瀕死
翼をはためかせて悠然とこちらを睨むドラゴン
その姿は紛うことなき空の王
全身が痙攣し今すぐ逃げろと!と訴えている
ドラゴンは俺達を虫を潰す様に尻尾を振るう
「っ、アイリス逃げるぞ!」
返事も聞かず全力でアイリスを抱えて逃げる
今の攻撃で周りの木々が吹き飛ばされ、そのせいで視界が広がる
ドラゴンは口を大きく開けて息を大きく吸い込んでいる
「くそっ剣よ盾になれ!」
一瞬で創造魔法で剣を何本も出現させ盾にする
「ガァァァァ!!」
「くっ!」
「きゃあぁぁぁ!」
盾が出来たと同時にブレスが来て、いとも簡単に盾が壊れ2人とも爆風で吹っ飛ばされる
熱気が辺りを包み、焦げ臭い匂いがする
「くっそ、アイリスは」
横を見ると今の爆風で気を失ったのかピクリとも動かず倒れている
ドラゴンは大きな目を細めて嘲笑っているようだ
最初から分かっていた
このモンスターからアイリスを庇いながらでは逃げきれないことを
もはや逃げる選択肢は消え失せた
「殺ってやるよ、その翼切り落としてトカゲにしてやる!」
ゆらゆらと立ち上がりその巨体を睨む
臨刻眼のⅠを自分にⅡをドラゴンにかけて槍を創造する
体の全身を雷で纏い細胞を活性化させ槍に纏わせる
「その傍迷惑な翼を貫かせてもらう.......天の逆鉾!」
空に光が走り、ドラゴンの片翼が吹っ飛ぶ
「グギャオォォ!」
瞬きの間に片翼を失って驚き、バランスを崩して墜ちる
「ドラゴンからトカゲにチェンジだな。そのまま一生地で這いつくばってろ」
翼を奪われた事に怒ったのだろう。両目を血の色に染めて大きな爪を振るう
「かはっ!」
紙一重で避けるが、尻尾による追い打ちで吹っ飛び吐血する
「ゲホゲホ、ふざけた威力だなちくしょう。アバラ数本折れたかもしれないな」
腹を抑えながら立ち上がり、どうやって仕留めるか思考する
翼を失ってもドラゴンはドラゴン
その圧倒的な図体に馬鹿げた怪力、さて本当に同やって勝とうか
再び爪、尻尾を振るい全身で攻撃する
なんとか臨刻眼のおかげで躱しているが当たるのも時間の問題だろう
「くそっ躱していてもキリがない!ダメ押しで攻撃に移るか」
覚悟を決め、両手に刀を創造し向かい打つ
「はあぁぁ!」
ガキン!と全く斬れない事に驚く奏斗
怯んだ所を攻撃され刀で防いだものの、バラバラに砕けてまた吹っ飛ぶ
全身が傷だらけだが、ここで死ねばアイリスまで死ぬかもしれない
ふらふらと立ち上がり再びドラゴンを向くと
「がぁぁぁぁぁぁ!!」
爪が左肩に食い込み、そのまま持ち上げられ地面に叩き付けられる
倒れた地面からは血が大量に出て小さな海を作っていた
「ちくしょう、死ぬほど痛い」
耳鳴りが酷いし頭だってくらくらする
だが、休む暇などない
こうしている間にも奴は足音を立てながら近ずいてきている
必死に体を起こそうとしているが体がいうことを聞かない
ちくしょう、ここで終わりなのか?
遂にドラゴンが到着し、俺は足で引き潰そうとしている
あぁ、くそ。また潰されて死ぬのかよ
視界がドラゴンの足しか映らなくなってもう諦めようとした時
「アイスシールドぉ!!」
アイリスの叫び声が聞こえた
ーーーーーーーーーーーーーー
体がとても痛い
朦朧としていた意識は所々響く轟音で覚醒し始める
視界がちゃんと見えてまず絶望した
少し先の荒野にとても大きいモンスターがいたからだ
そうだ、私たちはドラゴンに襲われていたんだ
あのモンスターを見るだけで足が震えて力が入らない
目の前で吠えられるだけで心を木っ端微塵に砕かれ戦意を無くしてしまった
自分の肩を両腕で抱きしめて震えから逃れようとしていると
「奏斗さんは?」
そして気づく
なぜ私はまだ生きているのか?
なぜ私はドラゴンに襲われていないのか?
頭の中でパズルのピースがハマりアイリスは顔色を悪くする
「奏斗さん!!」
慌てて辺りを探したら血だらけで倒れている彼を見つけた
それを見て砕けた心に火がついた
さっきまで震えてた足も今は動く
恐怖は無くなっていない
でも奏斗さんが居なくなるのはもっと怖い!
瞳に涙を浮かべて彼の元に走る
知り合った期間は短いけれど彼の強さに、そして優しさに惹かれた
彼は私の命の恩人..........そして初恋の人
今度は私が助ける!
「私が守る.......アイスシールド!」
今まさに踏み潰される奏斗の目の前に氷の壁が生まれた




