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パリピ探偵ポア  作者: 吉良 瞳
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【918:×】探偵小曲集Ⅲ




 カフェ『林檎の森』。ポア達バンドメンバーはハロウィンパーティを開いていた。とはいえ仮装をして限定ケーキを食べるというだけの会なのだが。暴走族に扮した探偵、竹を咥えた不良、両眼に黒い眼帯の馬鹿。


「トリックオアトリック。お菓子も沢山食べるけどね?」


 いつもと何も変わらないような…。


【913:あ】今日も事件の予感〜エブリデイ・デイアフターデイ・ハロウィンパーティ〜




 も少しでクリスマスだね!誰と過ごすの?なんて気軽に聞かないで欲しい。今年も見飽きた顔の捜査一課の刑事達と、憂鬱な顔をした犯罪者の顔を並べて過ごすクリスマス。分かりきっているのに、何かを期待してしまうのは黒と黄色ではない楽しげな彩色のテープが、貴方のデスクから見えるからでしょうか?


【914:×】赤と緑でkeep out




「しまった、もうクリスマスが終わってしまうな」


 雪が降り頻る。漸く仕事がひと段落付いて車内で休憩を取っていると、先輩は急々とダッシュボードを開いた。


「メリークリスマス。プレゼントだよ」


 小さな箱に赤と緑色のリボン。それを解くと、中には銀色に輝く指輪が入っていた。

 ──嗚呼これは、


「ジン様のコラボリングじゃないですか〜!?うそ、え!?」


「ハッハッハ!!感謝しろ!!」


 予約期間だった頃、私は友人への結婚のご祝儀が立て込み購入する事が出来なかった。それを先輩に嘆いた覚えはあるが、まさか買ってくれていただなんて。


「サイズは大丈夫か?つけてみてくれ」


 サイズは不思議とぴったりであった。何時の間に調べたのだろう?


「良かった、よく似合っているよ」


 我が事のように嬉しそうにしてくれる先輩に、心地良く感じている自分がいる。これからもずっとずっとこんな日々が続くと良い。

 ──署内の人達に盛大な勘違いをされている事に気がつく迄あと数時間。


【914:し】相棒以上恋人未満




「阿笠さんプレゼントは?」


 図々しい探偵が手を差し出す。大きな紙袋を手渡してやると彼はぽかんとした表情を作った。そんなに意外だったろうか。


「中身は…重いと思ったらドラマ版ポアロのDVD?俺ポアゾンプライムで観れるんだけど」


「私が円盤で欲しかったからに決まってるだろう。一緒に見るぞ」


「自分が欲しい物かよっ!」


 そういう割に嬉しそうにチキンと酒の準備をすすめてくれる。複数いる恋人ではなく私と居てくれるのは彼なりの優しさなのだろうか。


「見るのは勿論ポアロのクリスマスだよね〜」


 始まったよと隣に座る。素直なのは良い事だ。お年玉は弾んでやろう。


「メリークリスマス!」


【913:あ】友人以上親子未満





「お勤めご苦労様です!兄貴」


 疲れた頭にきーんと元気な声が響く。弁護士事務所にバイトに入って暫く、彼はなかなか有能である事が発覚した。お茶は美味しく掃除も丁寧。玄関の生花も美しい。惜しむらくはそのおつむが足りない所だ。


「事務所の掃除もしたし帰るとするか」


「あっ待ってください!」


 一度背を向けたが振り返ると、長谷川は期待に満ちた瞳でにやりと微笑んだ。


「ねずみの駆除がまだみたいですよ」


 ──ブラインドの隙間から外を覗くと、無秩序を体現した者達が彷徨いていた。


「……はぁ、まだ納まらないのか」


 司法の為に拳を振るう。世の中ままならないとはこの事だ。


【914:い】洗った足で泥を蹴る




 つまらない。死ぬ為に生きていく毎日が。周囲を喜ばせ望まれる自分である事に。だから僕は人である事をやめたのだ。神となり花を摘むかのように人をあやめるのは気分が良かった。禁忌を侵す高揚。充実感。檻の中に入っても忘れられない──次はそう。この死神、海神に相応しい蛇の花嫁を探しに行こう。


【914:か】海神別荘


『人魚姫よく聞いてくれ

 人間の世界は最低だよ

 海の底の生活こそ

 どこよりも楽しんだから』



 火曜日が憂鬱ですって?学校や仕事があるから?フン、そんな凡庸な事ばかり言って、恥を知りなさい。

 火曜日は謎解きを楽しむ日だって決めているの。あいつ、面白い話を持ってきたかしら。愚民達による私の為のミステリ研究会。一日でも退屈な時間を作ってはいけないの。良かったら貴方も一緒にどう?


【913:あ】傲慢な火曜クラブ





 とんだ喜劇だ!毎日毎日救済を求めて為に指折り指オリ数えてきたが、まさかあなたが僕の(私の)運命の人だったのだね。早くこの首飾りを完成させよう。そうして私は(俺は)(僕達は)、人間を超越し新境地に辿り着く事が出来るのだ。待ってて──モウスグ。


【???】新しい経典が出来るまで





 理解不能の小曲集。面白可笑しな小噺が多いけれど、これは一体何か?果たして意味のあるものなのか?そう考えてくれている君は、正しく探偵である。そしてあの暗号…──探偵よ、知らない方が良い真実というものがあるのは、分かるね?そう、意味不明、それで結構。さあ、頭を空っぽにして頁を捲ろう。


【全読者に告グ警告】詮索不要




『【918:×】探偵小曲集Ⅲ』。誰かが【】を書き換えてしまったようだ。

そんな事をしたところで、何も(誰も)分かる筈がないのに。




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