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パリピ探偵ポア  作者: 吉良 瞳
27/50

【913:し】フダニト・ファンタジー3

忘れちゃったお友達は1と2を流し読みしてきてね!

 




 私達は冒険の準備を整えてまもなく『ハジマリノ街』を旅立った。結論から言うと、例の門番に会う事は出来なかった。出来ればもう一度会ってあの時の事を問い質したかったが、他の門番に誰の事だと言われ引き下がるしか無かった。仲間達にも危険だと反対され勤務日を待つ事は出来なかった。

 また、仲間の募集はかけたものの、そうすぐには名乗り出る者はいなかった…もっとサクッと見つかると思っていたのだが。暫く待ってみようと話したが、国中の冒険者ギルドに配布して募る事になったので途中で加入してもらう方針に切り替えた。もし、希望者がいれば受付で教えてもらえるらしい。仕方がない。


「あの、まずは何処を目指しているんですか?私何も聞いてないんですけど」


「まずは、『サイショノ村』へ向かおうと思っている。どうやら、ゴブリン達が村の収穫物を奪ったり、人を襲ったりと被害に遭い困っているらしい。我々のレベルなら蹴散らすのも容易いだろう。レベル上げするにも丁度良いのではないか?」


 先輩が地図を見せてくれ、ここだと指を差した。簡易的な地図だが、そう遠い村では無さそうだ。しかも、サイショノ村…またしてもネーミングセンスが安直かつ、RPGのゲームのシナリオをなぞっているかのような話の持ち運び。村人達が困っているから助けたい、のではなくレベル上げをしに行くのか。先輩が悪い悪い堕天使だからなのかと思ったが阿笠さんも何も指摘してこない。ポアくんもそういうものだから、とあっかからんとしていた。…早く慣れた方が良いのかもしれない。





「ほら、見えてきたぞ。あれがサイショノ村だ」


 移動は何故か徒歩。ハジマリノ街では馬車が使えたのにずっと歩かされている。なんだろう、様式美なのだろうか?時々襲いかかって来るスライムを倒しつつ、一日野営をし、翌日も徒歩。元の世界の私なら普通に疲れが溜まってしまうだろうが、この異世界では歩いても歩いても不思議と疲れない。

 サイショノ村は、村というより小さな集落といった雰囲気で、僅かな田畑と家が十軒ほど、井戸も見る限り一つしかないような貧しい場所であった。


「あら、貴女達…ひょっとして聖女様ご一行?良かったわ。ゴブリン退治に来てくださったのですね」


 村の様子を伺っていると、水を汲みに来た女性が私達に気付いて声をかけてきた。因みに、認識阻害の石は今はマジックバッグに片付けてある。


「うん、そうだよー!俺達に任せといて!」


「まあ、頼もしい使い魔さんだこと」


 ポアくんのレベルからすればゴブリン退治なんて簡単だろう。余程の事がない限りは彼の力を借りずにしっかりレベリングしておくべきだ。


「ご婦人、そういう訳だ。この村に宿はあるか?ゴブリン退治が済むまで、休息が摂れる場所が欲しい」


 阿笠さんが女性に訊ねる。

 食堂らしき建物が一軒ある程度で、後は住居ばかり。宿屋らしき場所は見当たらない。しかしせっかく村に着いたのだから屋根のある場所で休みたいのは同意見だ。


「すみません。宿は無いんですけど…でも、村長さんの家に泊めて貰える筈ですよ。冒険者さんが来るといつもそうしていましたし」


「分かりました。行ってみます」


 阿笠さんが御礼を言うと、頑張って下さいねと笑顔を向けてくれた。親切そうな村人で安心した。私達はそのまま教えてもらった村長の家へ向かう事にした。


「…ちょっと待ちなさいよ」


「え?」


 芯の強そうな高い声。振り返ると先程の女性よりも年若い──少女が私達を睨んでいた。


「何か用か?」


 先輩が彼女に問いかける。あまり好意的とは言えない雰囲気に、彼は眉間に皺を寄せた。

 少女の行動に、先程親切にしてくれた女性が慌てて引き止める。


「ちょっとマリナちゃん!何してるの、やめさい」


「何よ。止めないでくれる?てゆーか、何か用じゃないっつの。用があるのは聖女とかいうオバサンの方だよ」


「おば…」


 十代の女の子からすれば、私はもうおばさんなのだろう。ショックだが我慢である。


「随分と口が悪いな。私達はお前の村を助けに来たのだぞ?」


 私が何か言う前に、先輩が苛立たしげに返事をする。少女はハッ!と鼻で笑い、長い髪を肩から払った。口は悪いが、その顔立ちは悪くない。むしろ可愛いらしくあり、粗末な短い丈のワンピースから健康な肢体が、はっきりと見てとれた。元の世界に居たならイマドキJKでギャル、と表現していただろう。


 …………貧しい村なのに、健康そうな少女。妙な違和感を覚えたが、それよりも先に阿笠さんの顔色を伺う。


「……なんだ、マリエンヌ」


「いえ……」


 こちらの阿笠さんは例の発作は無いらしい。首を傾げるだけで、涼しげな顔をしている。が、彼女の物言いが気に入らないのは同意見らしく機嫌は良くなさそうだ。


「ちょっとアンタ聞いてんの?そこのオッサンじゃなくてアンタに話してんの。」


「えっと、何かな?」


 なんだろう。おばさんの癖に聖女?マジイタい、有り得なくな〜い!?などだろうか?それなら私も分かっている。不可抗力なのである。


「さっさと帰ってくんない?ここは、アンタみたいなのが居て良い場所じゃないの。ゴブリン退治なんてどーでもいい。出てってよ」


「え!?でも、困ってる…んだよね?」


 …予想は外れたようだ。しかし、まさか帰れと言われるとは予想も出来ないだろう。

 マリナという少女を宥めようとしている女性の方を見る。彼女も困惑した様子で「す、すみません聖女様…マリナちゃんも謝って!」と説き伏せている。



「謝る訳ないじゃない!!」


「きゃっ!?」


 マリナは腕を振り払って、私に近づいてきた。


「……マリエンヌに近づくな」


 先輩と阿笠さんが彼女の前に立ち塞がる。マリナは二人を憎らしそうに可愛らしいその顔を歪め、立ち向かった。

 一応国を挙げて召喚された聖女なので、私を守るのも仕事の内…なんだろうか。私なら女の子の相手くらい出来るのに。成人男性二人を相手取る彼女の方が可哀想な気さえする。

 勿論、突っかかっているのは向こうなので同情する義理は無いのだが。


「何が近づくなよ。王子様気取り?マジウケるんですけど。だいたい、マリエンヌって。プッ。………馬鹿じゃないの?あの時の頭のキレる刑事さんは何処に行っちゃったんだろうね?」


「け、刑事って…」


 マリナの嘲笑。しかしそんな事よりも、言葉に肩が跳ねた。この世界に騎士や衛兵、守護といったものはあれど刑事という職業は無いはずだ。あの子は私の事を知っている。いったい何故……?


「世迷いごとを。おい、貴様。この不愉快なガキを閉じ込めておけ。私達がゴブリン退治を終えて出ていくまでだ。

 別に、このガキの言う通り村を出ても構わないが…お前は退治してもらわないと、困るんじゃないのか?」


「せ、先輩!?何言ってるんですか!?」


 先輩の様子に違和感を感じた。私の知っている先輩なら、多少不愉快な事があっても笑顔を絶やさず、物腰の低い対応が出来る筈だった。それなのに、未成年の少女の発言にこうも腹を立てている。貴様や、ガキだなんて単語で威圧するような人では無い事を私は知っている。

 確かに、元の世界の先輩とこちらの先輩は同一人物では無いのかもしれない。だが、それでも──


「お前は少し黙っておけ」


 阿笠さんが、先輩を止めようとする私を制止してしまう。その表情からは何も感情を汲み取る事が出来なかった。頼みの綱のポアくんは、困った様に此方を見ていた。 


「おい女、どうするんだ」


「え…あ………」


 村人の女性の瞳に恐怖が宿る。しかし、自分の立場を思い出しマリナの頭を無理矢理下げさせた。


「ちょっと!何す……」


「聖女様、堕天使様、本当に、本当に申し訳御座いませんでした……。どうか、どうかこの村をお救い下さい!この者はお言いつけ通り捕らえておきます」


 誰か来て!と女性が叫ぶと他の村人達が何事だと出て来た。せっかく村を助けに来た聖女一行に、少女が無礼を働いたのだ…と説明すると、皆跪いて謝罪を述べた。


「誠に申し訳御座いません!」


「命だけは…」


「お許しください!!」


「申し訳御座いません!!!!」


 私は動く事が出来なかった。こんなに冷酷な表情をした先輩を見るのは、初めてだった。命乞いまでしているのに、やめさせる様子もない。


「……フン、次は無いと思え?」


 腕を組み村人達を見下ろす。次は無いというその言葉には慈悲も何も温かみのあるものは感じ取れない。


「は、はい!!」


「お、おい!こいつを連れて行け!!」


「ちょ、ちょっと!!何するのよ!?」


 ある者は頭を地面に擦り付け、ある者はその身を強張らせていた。

 マリナは村の男達に乱暴に捕らえられた。彼女は暴れたが、当然逃げ出す事は敵わない。


「こんな事、本当にあって良いと思ってんの?何とか言いなさいよ、アンタ。

 私、アンタの事思って言ってあげてるんだからね!?ねえ!!!」


 そう叫ぶマリナは、私の事をずっと見ていた。……何が起こったのか、何を言われたのか全く分からない。


「眞理ちゃん……」


 ポアくんがちょんと私の指先を握った。


「……全く、何と無礼なガキだ。こんな薄汚い村では礼儀作法を教える事など出来んのかもしれないが…なあ、アガサ」


「その通りだな。こんな居心地の悪い村、やる事を終えたら早く出よう」


「そんな……」


 ──そのまま私達は村長の家を訪問した。今の騒動を、老いた村長が何度も何度も謝罪してくれた。悪いのはマリナという少女なのかもしれないが逆に申し訳なくなってくる。先輩も、阿笠さんも大人気無く、何故そこまで腹を立てるのか私には分からなかった。

 私が二人に抗議を口にしようとする度、ポアくんが私の手を握った。「今はやめておいた方がいい」と静かに答えてくれた。彼もまた私と同じ様に感じているのだろう。


 その晩、村長の家の客室に通され休息を摂らせてもらった。ちょうど四台のベッドと、簡素な机と椅子がある。窓辺にはささやか乍ら花が飾ってあった。料理も質素だが精一杯のもてなしなのであろうもので、彩りもよく品数もあった。その頃には二人はいつも通りに戻っており、阿笠さんは礼儀正しく御礼を述べ、先輩はなかなか美味いじゃないかと笑っていた。


「………先輩、」


「ギルバートと言った筈だろう。いつまでその名で呼ぶつもりだ…で、なんなんだマリエンヌ?」


 食事を終えた後は、交代で村を見回る事になった。今は阿笠さんとポアくんが様子を見て来てくれている。呼び方を改めない私に、先輩はやれやれと両手を広げて苦笑した。


「あの、昼間の事なんですけど…」


 気まずいがきちんと話をしなくてはならない。あれは余りにも、らしくない。


「……あ、あ〜、あれか。なんというか、その…」


 私が言いたい事を察したのであろう、先輩は歯切れが悪そうに目を逸らした。


「…悪かったな。嫌な思いをさせて。あんな騒ぎにするつもりでは無かったのだが…」


 言い訳を考えようとしているのだろう、視線が右往左往する。しかしやがて何かを決めた様で、目を合わせてくれた。

 雰囲気が変わる。そして膝の上に遊ばせていた私の手に彼の手が重なった。………少しどきりとしてしまう。


「あの子が君に帰れと言っただろう。私はそれがとても嫌だった。

 有り得ないが、もし君がそのまま帰ると言ったら…帰りたいと言ったら。

 そう思うと恐ろしくて堪らなくなったんだ」


 嘘じゃない、と喉を震わせる。とても冗談を言っているようにも見えず余りに真剣なので、ただただ頷いた。


「私はずっと君が来るのを待っていた。冒険するのを楽しみにしていたんだ。それに水を差されてひどく腹が立った。きっとアガサも同じ気持ちだった筈だ。……どうか許して欲しい」


 いつも堂々と不敵な笑みを浮かべている賑やかな先輩が、肩を嘶かせ懇願している。そんな姿は彼に似合わない。「怒ってませんから」と肩を叩くと捨てられた子犬のように小さくなって「本当か?」などと返事をする。


「明日、ちゃんとあの子にも謝って下さいね。大人なんですから、しっかりして下さい」


「……分かった。気は進まないが、君がそう言うのなら……」


「気が進まない?」


「い、いや。何でもない…」


 しょげている先輩に畳み掛けると更に小さくなった。問い詰めようと思っていたのに肩透かしである。


「その代わりというのも変なのだが…」


 重ねられた手を持ち上げる。その手が、彼の唇に寄せられたかと思った頃には優しい感触が巡っていた。


「ずっと私の傍にいておくれ。何があっても君を守るし、退屈はさせないから」


「………先輩、」


「一緒に居ようね、私のマリエンヌ」




 ***




 ──正直言って、一睡も出来なかった。

 あの後阿笠さんが帰ってきて、入れ替わりに先輩は出て行ってしまった。私は護衛対象だからという事で免除され寝て良いと言われたが、色んな事がぐるぐると思考を駆け巡ってゆっくり就寝できる様な状態では無かった。

 阿笠さんへは、ポアくんが怒ってくれていた。女の子を虐めちゃダメ!次やったら契約切るからね!と言うと効果はてきめんでしおらしくなっていた。


 まだ夜が開けきらぬ頃、意を決してステータス画面を開く。




 *****

 メインキャラクター

 ギルバート・シュヴァルツLv.8

 ♡:18/100

 種族:天使(堕)

 職業:守護天使

 HP:165/165

 MP:57/57


 スキル:闇属性魔法Lv.4、縄術Lv.3、剣術Lv3

 固有スキル:裁きの鉄槌

 称号:断罪の堕天使


 備考:フダニト王国の守護天使。聖女の護衛の任を命じられた。

 *****




 ……いや、いやいや。

 そんなに好感度が上がってはいない。上がっている項目といえばレベルとスキルの方だ。これはスライムをやっつけた時のものだろう。

 それに、ハートの色はまだ黄色である。黄色は、友情を表す色だった筈だ。恋愛感情を伴うなら赤になるとポアくんが言っていた。…ひょっとしてあれは先輩の友情表現(?)だったのだろうか。いや、普通友人に私のマリエンヌなどと言うだろうか?…思い出したらまた恥ずかしくなってきた。

 取り敢えず、ポアくんが起きたら聞いてみよう。彼はこの世界の案内人、サポートなのだと言っていたのだから何か知っている筈だ。





「──起きろ、アガサ、ポア、マリエンヌ!ゴブリンが現れたぞ!!」


 思案に暮れていると、悩みの種の人物が騒々しく部屋にやって来た。今は、先輩が見回りの時間だったのかと思う──ゴブリンが現れた!?


「わわっ!!早く行かないと!!」


 寝台から慌てて飛び起きる。阿笠さんもすぐさまローブを羽織り、魔法の杖を握る。ポアくんはまだ眠いようで、呑気に欠伸をしながら「はいはい、行きますよ…」とふよふよと浮いていた。


「バインドで一部のゴブリンの行動を抑えてはいるが、長くは保たない。それに数も増えているようだ」


「場所は?」


「畑だな。農作物を狙っている」


「了解」


 移動しながら最小限の会話で状況を確認する。畑に向かうと、先輩の言う通りゴブリン達が群がっていた。ゴブリンはこちらに気付き、向かって来た。





「アースバレット!」


「ダークアロー!!」


 二人が散弾系の魔法で応戦する。私は二人の援護で、ステータスを確認しつつマナと体力の回復を務める。


「ヒール!」


「助かる、マリエンヌ。アガサ、お前は右のゴブリンを頼む!」


「分かった。アースカッター!!」


「がんばえ〜!何かあったら俺のフレイムバーストで全てを焼き払ってあげるからね〜!」


 声援を送る彼の口からボッと炎が吹き出てきた。ポアくんではオーバーキルになってしまう上、村人達が汗を流して作り上げた畑が無くなってしまう。三人でゴブリンを片付けるしか無い。幸い、敵のステータスは低い。数は多いがなんとかなる筈だ。


「──しまった!マリエンヌ、そっちに行ったぞ!!」


 阿笠さんの方から、注意を促す声。彼の攻撃を擦り抜け、ゴブリンが此方に向かってくる。


「……大丈夫、私ならっ!!」


 振り上げられた棍棒を右手で掴む。敵の勢いを殺さぬまま体を捻り肘で浮き上がった背を叩く。


「フンッ!!!!」


「眞理ちゃん!もう一体来るよ!!」


 反対方向から、奇声を発し向かってくる。すぐに体制を整えて、胸倉と腰に巻かれた布を掴み、掬い投げだ。ゴブリンは小さく軽い。タイミングさえ掴めれば、簡単だ。私だって、刑事のはしくれ。犯人が襲いかかってきた時の体術は嫌と言うほど訓練させられたのだ。


「はあっ!!!!!」


 ゴブリンが起き上がる前に阿笠さんと先輩がとどめを刺してくれる。私達はアイコンタクトを取り、残りのゴブリンを一掃した──。




 ***




「──なんだ、大した事無かったな」


「ほんとほんと。俺の出番無かったね〜。ま、その方が楽できていーんだけど。でも、眞理ちゃんがあんなに戦えるなんて思わなかった」


 私は回復をメインに能力値を上げて、後は自分の身を守る程度の力があれば良いと思っていた。スライム退治も阿笠さんと先輩に任せて後方支援に徹し攻撃側に回る事が無かった。しかし、三人は私の意外な戦いぶりに感心した様子だった。


「あれ程体術が出来るとはな。前衛張れるんじゃないか?」


 真面目腐って阿笠さんが呟く。女戦士も悪くないね〜とポアくんが乗っかる。前衛の聖女なんて聞いた事がない。


「回復がいなくなるのは困るし、マリエンヌは私達の護衛対象だぞ。前に出してどうする」


「冗談だろ」


「お前の冗談は分かりにくいんだよ…」


 先輩がふふふと声を出して笑う。釣られる様に、ポアくんも阿笠さんも笑い出した。阿笠さんの笑顔は少しレアである。しかし、初めて皆で目標を達成させたのだ。嬉しくない筈が無い。私も思わず笑みが溢れる。


「やりましたね!」


 皆で拳を突き合わせる。ちょっと仲間っぽい。

 ステータスを確認してみる。少しはレベルアップしている筈だ。




 *****

 マリエンヌ Lv.9

 種族:ヒューマン

 職業:聖女

 HP:81/81

 MP:9/29


 スキル:聖属性魔法Lv.2、柔術Lv.4

 固有スキル:ステータス閲覧、聖女の祝福


 備考:異世界より召喚された聖女。

 *****




 やはり全体的に上がっている。最初の頃よりはマシになったのではないだろうか?

 二人のおかげでノーダメージで戦闘を終えられたので、使ったのもMPだけのようだ。これならもう少し難易度の高い場所へ行っても良い気がする。




 *****

 ギルバート・シュヴァルツLv.11

 ♡:24/100

 種族:天使(堕)

 職業:守護天使

 HP:142/181

 MP:22/75


 スキル:闇属性魔法Lv.4、縄術Lv.3、剣術Lv3

 固有スキル:裁きの鉄槌

 称号:断罪の堕天使


 備考:フダニト王国の守護天使。聖女の護衛の任を命じられた。

 *****




 *****

 アガサ・クリストフ Lv.10

 ♡15/100

 種族:ヒューマン

 職業:精霊術師

 HP:34/80

 MP:91/144


 スキル:精霊術Lv.5、召喚術Lv.2、精霊語Lv.82、古代語Lv.90、土属性魔法Lv.3

 固有スキル:荳也阜縺ョ縺ュ縺、騾?、聖獣ポアの加護

 召喚獣:ポア

 称号:探求者


 備考:フダニト王国お抱えの精霊術師。古代語の研究者でもある。

 *****




 二人もレベルアップしている。阿笠さんの体力だけが心配だが、それさえ気をつければやはりもう少し頑張れそうだ。

 因みに、阿笠さんの固有スキルの文字化けは依然として変化する様子は無い。ポアくんに聞こうと思っていたが忘れてしまっていた。まあ、その内でいいだろう。

 私はそのままステータス画面を閉じた。





「ちょ〜っと畑は荒れちゃったけど。頼まれた事は出来たからね。村長さんに報告しよう」


 次第点でしょ、とポアくんが言う。私達は目を覚ました村長、そして村人達から沢山の感謝の言葉と僅かだが温もりのある謝礼を受け取ったのだった。


「──聖女様、そしてお仲間のみなさん。この度は村を困らせていたゴブリンを退治してくださり有難う御座いました。しかし、もう旅立ってしまわれるのですか?…もう少し、この村でお休みになられては?」


「いや、いいんだ。一刻も早く魔王を倒しに行かなくてはならないからな。あまり長く休んではいられない」


「その通りだ。だが、もしまた困った事があれば呼ぶといい。フダニト王国の民を守るのも使命の内だからな」


 阿笠さんと先輩が如何にも主人公です、というような言葉を言っている。ポアくんもうんうん、と頷いているし。


「その前に、二人共分かってます?マリナちゃんに謝ってから行きましょうよ。一晩とはいえ、捕らえておけ顔を見せるな、ですよ?」


「……分かっている。そう怒るなマリエンヌ」


「それで、マリナちゃんは何処にいますか?」


 村長と村人達に尋ねると、彼等は一様に顔を見合わせて首を捻った。





「マリナ?……そんな者は、この村には居ませんけど……」




 ***




 ──一寸先も見えぬ暗闇。少女は今にも崩れ落ちそうな道を歩いていた。或いは、落ちていた。否、昇っていた。


「あーあ…。追い出されちゃった。………あの刑事さん、大丈夫かな………」


 少女は進みながら、

 或いは戻りながら、

 否立ち止まっては、残して来た彼女を心配した。


「もっと上手く伝えられたら良かったんだけど。でも、平気っしょ。正義感が強そうなタイプだったもん。まー私は?ああいうの苦手だけど…」


「ごめんね。」


 貧しい村の、健康な娘。


 粗末なワンピースを着た少女、否、学生服を纏った少女。





 ──ここはフダニト・ファンタジーの世界。


 みなさん大好き謎解きのくに。


 永遠に推理を続けようじゃないか、


 永遠に──。






【913:し】フダニト・ファンタジー3

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【913?:し】フダニト・ファンタジー3


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