夕暮れの約束
文化祭当日
「遅いぞっ」
そんなことを言って私を待ってくれてる人がいた。
「ごめんごめん、なかなか抜けられなくて」
「ははっ、キミは優しいからな」
そう言って笑うとキミはさり気なく手を引いてくれる、なんか慣れてる感じがする。
気が利くと言えばそうなのだが、私としては少し複雑な気分だ、少しだけ意地悪したくなる。
「ねぇ、もしかして慣れてる?」
「まぁ少しだけねっ」
そう言って、勝ち誇ったように笑う、そして私の頭をポンポンと叩く。
その手は優しくて、でも嬉しくて、少しだけ悔しかった。こういう事されたかったから、私は意思表示として、むぅっと口を尖らせながらキミの左腕にしがみつく
「そんなにむくれるなって、お前の好きなクレープ奢ってやるから」
「しっかりエスコートしてよね」
そんな一言で私はすっかり機嫌を取り戻した。結局この後いろんなものをねだってばっかりだった。
クレープを食べて、笑顔が可愛いと褒められ、焼きそばを食べて、太るよとからかわれ、チョコバナナを食べてるときだった。
もちろん食べてるだけじゃない、しっかりと体育館で演劇も見た。隣に座っても寄り添ってたから演劇の内容はあまり覚えていない
ちょうど夕暮れ時に差し掛かるころ、キミはまた私の手を引く、私は流れに身を任せて、着いて行った。
そのまま階段を一番上まで上った、この先に続くのは屋上、綺麗な夕焼け空が広がってる。
そしてキミは私の目を見つめて、一言言った
「昨日はありがとな、マジで嬉しかった」
私は驚いた、まさかそんなこと言われると思ってなくて、しかも喜んでたのは私だけじゃないんだ。
「え?あ、いやこちらこそ、ってか私なんかでよかったんだ」
思わずそんな言葉を返してしまった。
「お前がいいんだって、これからも側にいてくれよ」
そんなこと言い出すから嬉しくて、思わず抱き着いてしまった。
不思議と綺麗な夕焼け空を見てるといつまでも一緒に居れるような気がした。
「うん、側にいるよ、へへっ」
私の頬を一滴の水が流れる。キミにそれを指摘されると私は少し恥ずかしくなって誤魔化そうとした。
「あれ?雨かなっ?」
「空はこんなにも綺麗なのにな」
次の瞬間、一気に雨が振ってきた。私たちはたちまち、びしょびしょにに濡れる。それでもお互いにその場を動こうとせずに笑っていた。これが私達なんだ。
雨に打たれて、涙を隠した




