夕暮れ時の帰り道
「お~い、帰ろうぜ」
いつものように声をかけてくれるキミ、まるで当たり前のような一言
私は1度だって断ったことがない、断る理由なんてない
むしろ今までに一緒に帰らないことなんて、ほぼなかった
「うん、ちょっと待ってね」
私は急いで鞄に荷物を詰め、立ち上がった
教室では1歩先を歩き、私はその後をついていく
右手には鞄を持っているので、ドアを開けるのは左手
最近少し変わって来たなと自分でも思うところがある
ドアを開けた後の手、それは無造作に空を舞う、その左手を掴みたいなと思うようになった
いつも歩くとき、私は左側を歩く、隙を見て掴めたらと何度も挑戦はする
チャンスなんていくらでもあるのに、私には偶然を装い手の甲をぶつけるだけだ
私には勇気がない、もし手を握って鬱陶しく思われたらどうしよう
これを機に一緒に帰れなくなったり気まずくなったりすることを考えると簡単に踏み込めない
だから今日の出来事や明日の楽しみなどを話しながら帰る、いつも通りの帰り道になってしまう、それが悔しい
いつも、いつも隣で君を見て、このまま
でもこのままずっと進まなかったらずっと隣にいれるんじゃないか
長い間、保ってきたこの距離に一緒にいれるなら意味はある
もしキミがどこかへと行くとするならば、私はどうすればいいのだろうか
追いかければいいのか、でも振り払われたら、そこから先は考えたくないことだった
ずっと頭のなかがもやもやとしてる、今は近くで笑っててもいずれ失われる日が来るかもしれない
何も挑戦せずに諦めるのは嫌だ




