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コイハナ〜恋の花咲く平安絵巻〜  作者: 秋鹿
もみじ愛ずる姫君
1/75

序〜春に鳴く鶯、水に住む蛙、そして恋に咲く華〜

雰囲気で読んで下さい。時代考証とかよく分からなかったので。気長に気楽に書くので、頑張って読んで下さい!

 やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける。



 人の心を種と喩えるなら、和歌は心から生まれ、口から出た葉であろう。

 

 古今和歌集の撰者の紀貫之はそう言っています。

 先人はうまいこと言いますねぇ。

 人の心を種に和歌が生まれるなんて。

 素敵な表現!

 

 それでね、私が思うに人の心を種に育っていくのって、和歌だけじゃないんですよね。

 例えば、琴とか笛とか、お習字とか。

 そういうのも心の種が成長すると同じく、うまくなっていくものだと思うんです。

 心を磨き、音を磨き、 自分を磨いていく。

 これって、とても素敵なことだと思いません?

 でも、でもね、人の心を種として成長していくの一番はやっぱりあれですよね。

 

 恋!

 

 そう恋です。愛し合う二人が出会い、心の種ができる。

 その種が心の成長と共に育ち、やがて優美な花を咲かせる。

 なんてロマンティックなんでしょう。

 紀貫之さんも意外にそんなことを考えて、古今和歌集の仮名序で、人の心を種として…なんて書いたのかもしれませんね。

 だって今の時代、愛を囁くために和歌があるって言っても過言じゃないしね。

 


 ちょっと想像してみてください。

 悠久の時の狭間に咲く無数の恋の花。

 どれ一つ同じじゃなく、どれも一つ綺麗で…。

 あの中の一つは私の花なのかな?

 きっとまだ、蕾のままなのかな?

 それとも、一人悲しく片思いの花を咲かせているのかな?

 なんて思っちゃだめですよ。

 

 それでね、この悠久の時の花園に一際大きく、そして素晴しいほど鮮やかな紅い花を見つけてみてください。

 見つかりましたか?

 その花はまだ片思い、いや、まだこの花の主は恋する相手に出会っていないんです。

 運命というのか、前世からの浅からぬ契りっていうのか、恋が生まれる前から結ばれる縁の花。 

 本当なら、咲くはずのない恋の花。

 でも花は他の花に劣らぬほどにその花弁を広げ、咲き誇っています。


 この花の主はまだ恋の相手と出会っていないといいましたけれど、その通り、二人が運命の恋に出会うのはまだ先の話。

 運命って、動き出すまで時間がかかって、人をやきもきさせるものなんです。

 だから、いまだ運命の恋に出会っていないあなた!安心なさい。ずばりこれからですよ!

 

 なんて、話が違うほうに進んでいる間に、ほら。


 今、運命が廻り始めましたよ。

 まるで、二人の赤い糸を紡ぐがごとく。ゆっくり、少しずつ。

 う〜ん。でも、この二人が出会うのはもっと先のはずなんだけどな?

 どうやら、当事者たちの手で始められちゃったみたいです。


 ある姫君に恋をした男君。

 彼は姫に会えないことを日々もんもんと悩み続け、悩み続けて、そして開き直った。


「出会わない運命とか、先のこととか、そんなこと知るか。なりふり構ってられない。恋は勝ち取るものだ。」


 と、こう来たものだから運命もビックリ。

 つい動き出してしまったんです。

 運命の輪ってものが。

 げに恐ろしきは男の執念。運命さえも変えてしまう。


 それに引き換え、相手の君は日々のんびり。

 恋だの愛だの、そういうことは一つも考えていないみたい。

 これは、男君が可哀想。

 わたし少し、男君に同情しちゃいました。

 

 でも、運命は動き出した。


 さまざまな恋物語の舞台となったこの平安の都で、新たに生まれいずった小さな恋に耳を傾けてみて下さい。


 さあ、まずは舞台を移して。

 そうですね。平安の都の、しんしんと雪の降る大きなお屋敷。

 何か、聞こえてきませんか?

 ほら、内大臣家の中の君を呼ぶ声が…。


 


 人の心を種として、今、物語が幕を開ける。

 花に鳴く鶯、水に住む蛙、恋に咲く花ー

 生きとし生けるもの

     いずれか歌を詠まざりける。

 

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