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須佐妖戦帖 第5章「幕末逢魔乱」  作者: 蚰蜒(ゲジゲジ)
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其の8 壬生の者達

土方たちは、ふらふらで新選組駐屯所「壬生八木邸」に戻った。全身血まみれである。


「副長!如何された?!」1人の屯所の隊士が、其の容姿を視て吃驚びっくりして皆を呼びに行った。忽ち大勢が集まった。近藤勇も居た。

トシどうした?!他の者はどうした?代官所はどうした?」

「こ、近藤さん・・・やられた・・・」

「まさか、薬屋にか?兎に角、傷の手当をしろ。訳は後で聞く」


部屋に通された時、土方以外の隊士は3人しか居なかった。

「近藤さん・・・・」

「何だ?総司(沖田総司)」

「全員の身体に細かい肉片が付いてますよ。あれは斬り合いで被ったものじゃない」

「では、何だ?」

「わかりません・・・・」

「う~~~ん、あの山火事が現場かな?」

「そうでしょう。全員、火傷と服も焼けてますから、数人連れて検分に行って来ましょうか?」


「ま、まて、総司・・・行くな!」そう云うのは土方である。

「トシさん、動かない方が善い」

「あ、あれは此の世のモノじゃない。化け物だ。行くな。殺されるぞ」

「何だって?」

近藤は何を云うかと、「トシ、総司は若くして天然理心流の達人じゃないか。他にも神道無念流、北辰一刀流の第一人者がゴロゴロ居るぞ」我々には豪傑が山程いるじゃないか。

「刀などでは無理だ。いや、銃砲でも無理だ・・・」

「お前はいったい、何と戦って来たんだ?薬屋か?」

「須佐が・・・・須佐が逃げろと・・・奴らはどうなったのか?・・・あ、あんな化け物に立ち向かって行くとは・・・奴ら、何も無い処から刀を出したり・・・あいつら一体何者なんだ?・・・」


其の言葉に反応したのは二番組組長・永倉新八だ。

「局長、まことです。」土方と共に逃げ帰って来た隊士の1人が云った。其れから何が起きたか説明しだした。

謎の人斬りらしき者の背中から大蛇が出て来たこと、圧した空気に身体が弾けた隊士、首と胴体をもがれた隊士、火あぶりにされた者。


「局長・・・・」

「何だ?新八」

「全員を集めて貰えますか?」

「何をする?」

「話したいことがあります」


新撰組が集結した。

山南敬助

沖田総司

斎藤一

藤堂平助

原田左之助などなど。


「新八、揃ったぞ。どうしたのだ?」

「皆さんはわたしが此処に来るまで、全国を武者修行していたのはご存知だと思います」

「おう!知っとるぞ。豪気なものよ」皆が笑った。

「全国を巡っていると、色々な話を聞くものです、会津の方から手を出さぬよう要請された須佐一族のことも聞いた」

「新八は奴らを知っとるのか?」

「噂です。会った訳じゃない」

「何者だ?会津様から止められる連中とは?」

「彼らの噂話など信用していなかった。しかし、此間こないだの夜のこと、先ほどのトシさん達の話を聞いて確信しました」

「どうゆうことだ?」

「彼らはアマの軍団なのです」

「天?天ってなんじゃ?」

「神の軍団です。其のおさ武速須佐之男尊たけはやすさのおのみこと。妖術、法力を使います。此処に来ているのは出雲部落長・武角。古事記の八咫烏です、忍びの始祖。志能備です」

「神の軍団?武速須佐之男尊?ーーーー????ば、ばかな!」

「彼らの敵は人世を惑わす別空間からやって来る魔物です。依頼は御門が行う」

「魔物?物の怪のことか?」

「解りません。多分、須佐達もはっきりとは解らないでしょう。人世にも古来から伝承はある」

「確かに・・・正体不明のものを祀っている古い神社が全国に、多数存在している」

注連縄しめなわは八岐大蛇だと云っています」

「局長・・・・・」

「う~~~ん、闇雲には信じられん話だ。新八が云うのだから嘘とは思えぬが・・・・で、新八、奴らは敵か?味方か?」

「どちらでも無いと思います」

「彼らはそれと戦ってどうなったか知らぬが、もし生きていたら会ってみよう。新八、山南、お前ら2人で行け。事情を知りたい」


新撰組は只の殺人集団では無い。誰も彼も斬り殺しはしない。逆らった者は容赦しないのである。有名な池田屋事件は攘夷派を皆殺しにしたと思われているが、彼らの劣勢を見極めると、残った志士達は捕縛(生け捕り)している。事件後、近藤勇は「討取七人、疵為負候者四人、召捕二十三人」(7人を殺し、4人に手傷を負わせ、23人を捕縛した)と報告している。

それよりも規律違反による刑罰として隊士を殺害した人数の方が多い。

新選組の担当地域は祇園や伏見である。御所や官庁街は会津藩兵1000名、其の他、京都見廻組500名が固めていた。元々の京都所司代と京都町奉行も治安維持を行っていた。新選組は浪士逃亡などを理由に管轄破りを行ったとも云う。彼らは隊旗を先頭に集団で巡回するイメージがあるが、そのような記録は無い。


慶応2年1866年12月5日(旧暦1867年1月10日) 徳川慶喜、十五代将軍に就任。


時、慶応2年1866年12月20日、武角と兜太とうたは、二条城門前に居た。

「待たれよ」門番たちが先を塞いだ。「何者だ?」

「須佐一族族長・武角。将軍にお目通し願いたい」

「須佐一族?御上に?其の風体は忍びか?」

「我らは志能備しのびだ」

「誰の差し金で来た?紹介状はあるか?」

「無い。一刻を要する。将軍に忠告しに来た。かすに用は無い」

「な、何を生意気な!」


奥に居た侍たちが5人程、此れを視ていた。「何事だ?」

「どけ」武角が門番2人に平手を視せると2人は、すっ飛んだ。「わああ!」

「な、何だ?!奴らは」騒ぎを聞きつけ、侍たちが駆け寄って来て、刀を抜いた。

「貴様ら、何者だ?!」皆、刀を構えた。

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