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須佐妖戦帖 第5章「幕末逢魔乱」  作者: 蚰蜒(ゲジゲジ)
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其の7 天孫

新撰組の若い隊士に、大蛇おろちが襲いかかった。


がーーーーー!!!!!。


「ぎ、ぎゃあああああーーーーー」


隊士は頭をかじられ、其のまま振り回された。

「平太!平太ーーーーー!!!!」

「ぎ、ぎゃあああああーーーーー」


バキッ!


胴体と首が離れて、身体は遠くに吹っ飛んだ。首は土方の胸に飛んで来た。


ドン!


「ぐうううう。お、おのれ・・・・・」

「土方さん、逃げろ!」

「須佐!な、何だ?此れは?!」

「此の世のものじゃ無い!」

そんなことを云わずともわかる。

「新撰組!皆、退却だ!」土方がそう云うと皆、一目散に逃げた。

其の時、大蛇が火を噴いた。隊士の1人が火達磨になった。

「ぎ、ぎゃあああああーーーーー」

隊士は一瞬にして灰と化した。

一匹の大蛇は口から波動を吐いた。其の波動は1人の隊士に襲いかかった。


ぱーーーーーん!


隊士は粉々の肉片と化し、土方達の頭の上から降り注いだ。

「な?!・・・・・退却ーーーー!退却ーーーー!」


武角は人斬りに斬り掛かった。

「むう!」

其の瞬間、人斬りも空から長刀を出し、防いだ。

佐助も横から大蛇の首に斬り掛かった。佐助は横から大蛇に身体を薙ぎ倒された。

素志て4つの大蛇が人斬りの背から離れ、一斉に佐助に襲いかかった。

「佐助ーーーー!」

佐助は身体を回転させながら飛び退き、くうから手裏剣を次々に出し、大蛇に刺した。

大蛇はひるみはしたが、それでも火を噴いた。たちまち山間は火事になった。


武角は人斬りと一戦交えている。斬り合いだ。武角は眼を見張った。

「き、貴様・・・須佐の技を熟知している・・・何故だ?!」

「お前ら、下等な者達と俺は違うぞ!」

「其の刀はヒイイロカネ(竹内文書に書かれる伝説の古代金属)だな。俺たちが須佐之男さまから授かった神聖な剣だ。何故、そのような剣を持っている?名を云え!」

「教えてやろう・・・若日子わかひこだ」

「な、何だと?・・・・・」

「天若日子 (あめのわかひこ)だ!」


○天若日子 (あめのわかひこ)または天稚彦あめわかひこ

記紀の神。

高天原(たかまがはら)から葦原中国(あしはらのなかつくに)に派遣された2番目の神。葦原中国を平定するに当たり、遣わされた天穂日命あめのほひが3年たっても戻らないので、次に天若日子が遣わされた。しかし、若日子は大国主おおくにぬし娘下照姫したてるひめと結婚し、8年間復命をしなかった。理由を問うため、遣わされたきじ鳴女なきめを若日子は高皇産霊神たかみむすびから与えられた弓矢(天羽々矢と天鹿児弓)で、射抜いた。其の矢が高天原に届き、手にした高皇産霊神は「悪神が射た矢なら天若日子には当たらぬが、天若日子に悪い心があるなら当たる」と言挙げし、矢を投げ返すと、其の矢は天若日子の胸を貫き(これを「還矢かえしや」と呼ぶ)死んでしまった。

天若日子をそそのかした天探女あめのさぐめが、天邪鬼あまのじゃくの元となったとする説がある。アメノワカヒコの「天若」が「アマノジャク」とも読めることから、天若日子がアマノジャクだとする説もある。

穀物神として安孫子神社(滋賀県愛知郡秦荘町)などに祀られるが、祀る神社は少ない。


此の物語での天孫降臨、国譲りは、大国主命一派、出雲族が八岐大蛇の呪術に掛かり、(実際、大国主には蛇伝説が付き纏う。注連縄は雄雌の蛇が絡まった様子だと云われる)しいては魔が出雲を占領していたのだとしている。危険を感じた高天原が尊たちを派遣し、潰そうと企てた。天若日子は2番目に派遣されたが、反対に呪術に掛かってしまった・・・・。


天孫てんそんか?!」

「そうだ、お前らとは格が違う」

武角と佐助は言葉を失った。

「今頃、いったい何をしに来た?」

「動乱の世だな。長年の恨み叶えようか」

巫山戯ふざけるな!人世のまつりごとを利用するか?!」

「須佐よ。此処は何処だ?」

「京都だ」

「そう、千年の人世の都、天皇の都だ。平安、室町の頃より怨念、魔物の都だ」

「奴らを蘇らせる気か?」

「京都を穫れば、日の本を穫ったも同然よ。また会おう、須佐の皆方!」

そう云うと若日子も大蛇も消えた。


「武角さまーーー!」

他の須佐たちが集まって来た。

「異様な思念波を感じて来たんですが・・・・奴は?」

「消えたよ。辺りを山火事にしてな。都から火消しがやって来るな」

「奴は何者ですか?」

「天若日子だ」

「あ、天若日子?!!!ーーーー」

「新撰組も数人やられた・・・・しかも土方が居た」

「新撰組が?ど、どうします?おおやけになったら」

「とりあえず此の場から退散しよう」

「はい」

「佐助、奴は百鬼夜行で京都を混乱させると云っていたな」

「はい、此処には幾らでも居ます。大江の酒呑童子などを筆頭に・・・・」

「確かにやるだろう。しかし、それは前哨戦だ」

「と、云うと?」

「天若日子だぞ。元天孫だぞ。たった一人で葦原中国に舞い降りた神だぞ。ただ者じゃない」

「何か他に考えがあると?」

「もっと陰惨なことを始めると睨んでいる・・・長い戦いになるぞ」

「・・・・・・・・」

「土方は近藤に、会津に、どう報告する気かな?・・・・」

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