1-07 おとうさん
原罪更新が滞っております。下に生存報告を時々流してます。
カウンターの奥、こじんまりとした和室の中。従業員たちのあわただしい足音を聞きながら、手紙が読まれていった。
「話は分かりました。娘を助けていただきありがとうございます」
竹林宿の主だというチュンの父親は、ゆっくりと頭を下げた。よだかは慌てて頭を振る。チュンを見たり部屋を見渡したりとせわしなく動きながら、父親に頭を上げるように言った。
「ぼくはたまたま居合わせただけで……」
「それでも、娘が助かったのは事実です。お礼を言わせてください」
「えっと……無事でよかったです」
照れたようにはにかみ、よだかが言う。その様子にようやく顔を上げ、父親が真っ直ぐによだかを見据えた。そして竹林宿について説明を始める。
宿と言ってもあまり来客はなく、時折外からきた妖精や人間たちを泊める場所になっている。そもそも妖精に金銭は必要のないものなため、ほとんどの者が退屈しのぎに店をやっているのだという。
「とは言っても客商売ですから、きちんと行ってはいますよ」
「そ、そうだよ。皆大切なお客さんなんだから」
焦ったように弁明する父親とチュンがそっくりで、つい笑ってしまう。その様子に気を取り直したように、説明を続ける。
そもそもこのメグメルという場所は女王が統治する隔離された世界なため、外部から敵意あるものが入ってくることは滅多にない。人間のいざこざに巻き込まれることもなく、平和な世が続いているのだと。
「村を見ましたか?」
「はい。何というか……ちぐはぐ? でした」
「妖精は自由で、それぞれがそれぞれの文化を持っています。自分たちの文化に合わせた家を自分の好きなところに作って生活しています。それを思うと、村というより集落というほうがいいのかもしれません。」
村は入り組んでおり、はじめは迷子になりやすいらしい。一日で見たこともないような建物ができることもあるという。しばらくは一人で出歩かないように言い含められる。
「迷子になったら大変だからですか」
「まあ、それもあるんだけど」
「さっきも言ったとおり、ここは人の出入りが少ない、閉鎖的なところです。見知らぬ顔を見て警戒する者もいるかもしれません」
その言葉に納得し、申し訳なさそうに顔をゆがめる。チュンが傍にやってきて、よだかの膝の上に座り込んだ。励まされたように感じて、さらに申し訳なくなる。
「そこで提案なんですが」
父親の声にチュンから顔を上げ、前を見据える。よだかと目を合わすと、父親はゆっくりとほほ笑んだ。
「うちで働いてみませんか?」
「ここで、ですか?」
「正確には、うちにある料理処で、です。宿と違って料理処は来客も多く、人手が足りない状況です。よだかさんにとっても顔見知りを作る良い機会になりますし、悪い話ではないと思うのですが」
ミオの手紙にもそうあったのだと、父親は続けた。顔見知りを作るとともに、この世界の常識などを知る機会にもなるし、この町内での身元の証明にもなる。何より、記憶を探るきっかけにもなるのではないか、とのことだ。
「朝から昼にかけての忙しい時間帯だけでいいので、来てくださればこちらとしても助かるのですが」
「やります、やらせてください」
ミオのありがたい心遣いに、一も二もなくとびつく。世話になるだけではいけないという思いもあったため、この話は渡りに船だった。今度はよだかが深々と頭を下げ、チュンと父親が慌てることになった。
のんびりと書いたので内容ものんびりしてます。
就活がつらいです。自分のことを底辺で何をやっても害悪にしかならないと思っているうえに身体的不利もいろいろ抱えている人間が、自分を売り込むという芸当にどれだけの苦痛を感じるというでしょうか。向こうの迷惑になることを考えると勤めないほうがいいし、けど家のためには努めなければいけない。さらに身体的不利が多数あるため普通の職場では働ける気がしない。わお。
とりあえず息抜きにちょこちょこ書いていくだけです。梅雨明けとなりこれから夏が本格化しますが、皆様体調には十分お気をつけ、ご自愛なさってください。
2017年9月2日現在。
三千世界で唯一死んでほしいとすら考えたくない存在を認知したくない相手の誕生日を笑顔で祝わなければならないという四苦八苦を超える苦行のため現在精神が死んでおります。これはもはやプロットの先行公開を考えても良いレベルの更新放置っぷり。申し訳ないです。書きたくても書けません。どうしても書けない日々がこれ以上続く場合、苦肉の策として短編、もしくはお蔵入り過去作を放出かもしれないです。もしよければご覧ください。
2018/4/30
現状、リアル的な事情で執筆が難しくあります。そもそも安定したネットワーク環境を自身で所持していないうえに、月給が5万を切りそうな勢いです。定職に付きたい…自分を売り込めない自尊心の無さをどうにかしたい…就活資金をためるので精いっぱいな毎日となっております。ほぼほぼ凍結状態となっています。先の展開まで考えているにもかかわらず、文字に起こす余裕がないことが歯がゆいですが、
命尽きない限りは完結させたいという意欲は変わりませんので、もしかしたらいつの間にか更新してるかもしれないです。安定した更新ができればいいのですが、未来がお先真っ暗なので執筆しても暗い文章しか書けません。ショック。
とりあえず、半月位ぶりの生存報告だけ。
追記:せめてなんか乗せよう、と思い、過去作の供養も兼ねて放出しました。読み切りのオムニバス形式になります。
https://ncode.syosetu.com/n6161es/
2018.09.10
書ける環境が整ってきた気がします。