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1-05 いってきます

6月1日追記

実は先日から繁忙期に入っています。ので、更新が難しい状態です。

次話はおそらく6月20日ごろになるかと思います。

ひたすらに書きたいのに体力のなさが許してくれません…。

「じゃあ、なんにも覚えてないの?」


 よだかが首肯すると、チュンは作業の手を止め、考えるように頬に手を添える。持っていたブラシを机に置き、そのまま机に座り込んだ。


「でも、地球のこととかは知ってるんだよね」

「そうですね……知識はあるけど記憶はない、といったところでしょうか。生活史健忘というやつですね」

「あ、うん」


 チュンが何もわかっていない顔でうなずいた。よだかはテキパキと手を動かし、テントの中を片づけていく。分からないものはミオに聞きつつ、的確に整理整頓を続けていく。チュンも飛び上がりブラシを戸棚に片づけたが、再び立ち止まって考え始めた。


「それって、思い出だけないってこと……でいいのかな」

「いいからあんたは手を動かすんだね」


 ミオが緩くチュンの頭を叩く。よだかに指示を出し、彼女自身も荷物を振り分けていく。

 ミオの住むテントは思いのほか余裕を持って作られていたらしく、また頑丈な作りになっていた。ミオの指示のもと枠が組み直され、淵にたゆんでいた布が伸び、高さが倍ほど増す。

 小さく取り付けられたロフトのような部分はチュンの遊び場として使われていたが、スペースには余裕もあり、今日からはよだかの寝場所としても使われることになった。飛べないよだかのために、新しく梯子がかけられる。

 今はそのついでとばかりに掃除が始まっており、よだかはテントの中を片づけながら興味の湧くものを観察していた。不思議な色合いの布に、怪しげに揺らめく水晶。低く設えられた文机には、艶やかな羽ペンが置かれていた。よそ見がしたくなるのを、必死で押さえつけている。

 ロフトに布団が運び込まれ、隅へと片された。チュンの荷物の横にひっそりと運び込まれたよだかの荷物はよだかのこれからを表すかのようで、先の見えぬ未来への不安と見たこともない景色への好奇心が増していく。


「すみません、何から何までして頂いて」

「こっちから言い出したことなんだ、あんたは堂々としてな」


 掃除が一段落し、ミオは最初にいた場所に座りなおすと文机を引っ張り出す。羽ペンがインクを伴い、紙面を滑る。

 チュンはよだかの荷物に興味津々だった。鞄の中を覗き込んで、知らないものを探していた。よだかはチュンに呼ばれ、ロフトへと上がる。ロフトはさすがに立てるほどの高さはなく、よだかは三角座りでチュンの横へ落ち着く。


「ねえ、これなあに?」

「これは、ヘッドライトですね。頭に取り付けて使う光源です」

「こっちは?」

「着替え……のようですね。えっと、つなぎでしょうか。少し汚れていますね」


 こっちは見たよ、とチュンが飛びついたのは、折り畳み式のショベルだ。こちらも少し土で汚れていた。はて何に使ったのだろうかと、よだかは首を傾げる。


「綺麗にしなきゃね」

「ですね。水場はあるのでしょうか」

「丁度いい、井戸まで連れてってやんな。ついでに、こいつを竹林宿に持っておいき」


 ミオの声が掛かり、チュンは空を飛んでミオの所へいく。よだかは荷物を背負い、梯子を降りる。ミオは先ほどの紙を四つ折りにし、封筒へ入れる。


「お母さんに渡せばいいよね」

「よだかの顔見せもしてきたほうが良いだろうからね」


 チュンが重そうに受け取った手紙を、よだかが引き取りパーカーのポケットへしまう。チュンは嬉しそうにパタパタと飛び回り、そのまま出口へ向かった。


「では、失礼します」

「違うだろう?」


 ミオのことばに再度首を傾げるよだか。チュンはよだかをせかすようにフードを引っ張る。そして、ミオの方を向いて言った。


「ばっちゃ、いってきます!」

「……あ。い、いってきます、ミオさん」


 よだかが緊張しながらも口に出したことばに、ミオは満足げな笑みを浮かべて手を振った。


「いってらっしゃい、二人とも」



 前の話を投稿して一時間ほどで、PVが100を超えていたみたいです。驚きました。評価やブクマなども頂け、正直困惑の極みにございます。それだけの人に興味を持っていただけるとは、嬉しい限りです。ついでに、気になって読んでくださりなんかしたら、それだけで昇天しそうですね。

 ただ一人でも見てくださるのであれば、少しくらい頑張ろうかな、と思えるのは不思議です。また死ねない理由ができてしまいました。PCちゃんの調子と僕の機嫌が一致した時くらいしか書けるときがないのでやはり安定した投稿は望めませんが、精進してまいります。


2018.09.10

小さく改変。

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