かあさん
この作品を見てくれてありがとうございます。
少しの時間で書いたものなので、短いです。
ですが、私が書けるささいな幸せの形を書きました。
楽しんでいただけると幸いです。
僕は言った。
「かあさんなんか嫌いだ。死んでしまえばいいのに。」
つい、カッとなって叫んだ言葉だった。
自分の人生だから自分で決めろとか言うくせに、勉強しなさいだの、ゲームのしすぎだって、言われなくても分かってるコトばかり怒ってくるから。
腹が立ったんだ。
そのままの勢いで、僕は家を飛び出した。
行くところなんてどこにもないのに。
しばらく何も考えずにフラフラ歩いていたら、公園に着いた。
小さい頃よく、かあさんに手を引かれて遊びに来ていた公園だ。
「帰ろう。」
ころっと、口から出てきた。
もう夕方だ。お腹が空いたな、かあさんの晩ご飯が食べたくなってきた。
心配、してるかな?ちゃんと謝らなきゃなぁ。
昔みたいに素直じゃなくてごめんなさい。心の中でつぶやいた言葉が聞こえたかのように。
「ほら、帰るわよ。」
かあさんの手が僕の目の前にあった。
「ごめんね。」
「うん、いいのよ。ねぇ、今日の晩ご飯は炊きこみご飯よ。ゆうくん、好きでしょ?」
そうだった。かあさんと喧嘩した日や、僕が落ち込んでいた日はいつも決まって、夜に炊き込みご飯が出てきたっけな。
《ありがとう。》すらも言えなくてごめん。いつかちゃんと、伝えるからもう少し待ってて。
久しぶりに繋いだかあさんの手は、昔みたいに、昔以上に暖かい気がした。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
自分の大切な人との幸せの形を見つけてもらえたら嬉しいです。