みかんが食べたい少女の異世界召喚。
学校で、家にあった待ちどおしいみかんを食べたいな、と面倒な授業から現実逃避。
その瞬間、クラっとしたような感じがした。
・・・頭が・・・痛い。
目を開けると、赤色が沢山あった。
赤色、と言っても血のような紅さではなく、クレヨンだとかでの赤。
「やったぞ!勇者が召喚できたぞぉー!」
・・・は?
オイオイ待て待て、一体何だここ!?
「あ、すみません、申し遅れました。私、アリツネラ・ルイッドと、申します。」
いや、名前言われても。
「どこなんだよ、ここ!お前ら誰だよ!」
あ、いたんだ。クラスメイト。
「いきなり呼び出されて困惑していることでしょう。説明させてください。」
そういわれて説明されたのは、
まず、ここは
私達がいた世界とは違う。ということ。
それを聞いて、反応は反応は三種類。
面倒な事から開放された喜び。
帰りたい、と涙を流す悲しみ。
そして、
どちらの感情も混ざった感情。
ちなみに私はさっき言ったどっちも混ざってるヤツ。
ちなみに、どちらが大きいかと聞かれると、
帰りたいが強かったりする。
ああ、私のみかんをよくも・・・!
おっと話が脱線した。
まあ、要約すると、
魔王倒したら帰れるかもしれない。
ってことだ。
まあ幸い、小説でたまにある召喚した国が悪者だった、なんてヤツはない。
こっちも帰る方法を探しておくらしい。
ちょっと待て、それって帰らせる方法判明しないまま召喚したんかい。
まあ、そんなこんなで魔王倒すわけですが・・・
私、運動とかてんでダメなやつでして。
剣がダメでも魔法なら・・!
と思ったんですよ。
説明しときますと、
ここの魔法は大きく分けて三種類。
創造、破壊、再生。
私は全て才能があるそうです。
普通のひとは二分の一の確立で持つらしいです。
あと、才能は一つか、よくて二つあたり、稀に三つらしい。
一応、才能がなくても頑張って覚えようとすれば覚えられるということ。
私は私で全部才能あるから最強かと言ったら大間違いで、
あればあるほど魔法の威力が落ちるようです。
んで、魔法ですが、まあまあのできでした。
んでまあ、長い前置きは置いといて。
ただいまみかんを錬金術で作成中です。
あと同時進行で世界を渡る魔法の作成もやってたり。
あ、魔王?言い方悪いけど、他の人必死こいて鍛錬やってるけど、
魔王なら召喚後の数ヶ月後ぐらいにしばいてやった。
やめてくださいと涙目でいってたけど知らん。
みかん作成はみかん作成で
醤油だとかわさびだとか出てきて
まったくみかんができない。
え、なんでみかん作ってんの、だって?
だって私の大好きなみかんだよ?
作らなくてどうする。
そしてそんなことを思いつつ三ヶ月後――
「えっと・・・魔王退治は――」
何遠い昔のこといってんの、と遮って言ったら、
「ええ!?」
と驚かれた。
そのあと話がめんどくさそうな感じだったので帰らせる。
そしてみかんのために研究重ねて一ヶ月半。
個別に貸してくれた部屋が狭くなりそうなので
創造魔法で部屋を広げ、
破壊魔法でゴミを消し、
再生魔法で素材を戻す。
部屋は研究の成果が詰まった手書きの本でいっぱいだし、
ゴミは増えるし、
素材は素材で成功しても失敗しても消耗するしで面倒くさい。
暇なのでいつもと変わらぬマイホームへと魔法で行く。
ちなみに世界を行き来する魔法は自分で作成しようとしてやっとできた。
さらにさらに暇なので家族呼んで自作の美味しいみかんをご馳走する。
それを楽しんでいると、
ドアが開かれ、
「いい加減に魔王倒しに行ってください!」
と言われた。ひでぇ。
その次に、
「というか、なんで他の者と呑気にお茶してるんですか!」
何遠い昔のこと話してるんですか。と言い、
そのあとに、まあいいからみかん食べましょうよとちょこっと強引に誘った。
そのあと私の部屋に来た人を探しに来たクラスメイトが
私の両親いることについて驚いて、
幻覚!?と叫ばれたよ。
ああ、今日も世界は平和だなあ、と感じるこのごろ。
たまーに魔王とその部下達を誘ってみかん振舞ったり、
なんかこの世界造った神様だとかとみかん食べたり。
今日も明日もみかんは留まらない、そんな感じです。
・・・以上、私の脳内レポーターでした。