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スーパーニートプラン 〜おとぎ草子血風録〜  作者: 海山馬骨
桃から生まれた武士の王
26/65

@10の3 『ゲームセット』

『くそ、なんであんな遅い球が打てねーんだ!?』


『タイミングは合ってるはずなのに、バットが掠りもしねえ、どうなってんだ』


『ふふふふふ、敵チームは慌ててるみたいですう。この白雪の毒がこの空間を満たし始めてるとも知らずに…』


「さすが白雪ちゃんだ頼りになるぜー」


『う、うわあああぁぁぁ! なんだあの化け物はあああぁぁぁ!』


『この悪路王アーマーの力を持ってすれば岩○ばりにグワララグワガッキーーーン』


「すげー大ホームランだシンター」


『足りないメンバーを召喚で連れてきたよ!』


『お、おお! あの人らは! くそーあんな人らがあっちに加わったらもう勝ち目はないぜー!』


「あ、あんたらはベーブルースにルーゲーリックにジョーディマジオにAロッドー」


「タツオさんタツオさん、現実に戻ってきて」


「はっ」


 ウラシマに肩を叩かれ、俺は目覚めた。その俺の目前で、満塁の走者が全員ホームベースを通過していったあと、ベンチメンバーと作業的なハイタッチをするというひどすぎる光景が展開されていた。この回だけで奴らは実に14得点をあげているので、そりゃ何もかも作業になろうというものだ。ビッグイニングっていうかもうオメガイニングって感じだ。


「…あ、あんたらはべーぶ」


「いないから、そんな人たちどこにも居ないから。これが現実なんだよタツオさん」


 いやだ。


 こんなに苦しくて辛いことばかりなら僕はもうリアルなんていらない。


 今日だけでいったい何回打ち込まれたことでしょう。


 僕のチームのウンコマンどもは内野に置いといても速い打球はまったく取れなくて意味ないんで、全員外野に配置して僕が1塁から3塁まで全部カバーすることにしたんです。


 そしたらどうでしょう。桃様チームときたら、全部のボールをバントで転がすんです。ひどくないですか?


 三塁線に転がされて僕がそれを取りに行くと、もうバッターランナーを止める方法がないんです。だって一塁に誰もいないから。当たり前だ。


 なんだこのクソゲーは。このゴミみたいなスポーツを日本に広めたやつはいったいどこの誰だ。ペルリか。今すぐここに時を越えて連れてこい。幕閣に会う前に俺がぶっ殺してやる。


 もちろん業を煮やして外野前進というか前進しすぎて結局全員内野守備みたいなシフトを試してみたりもしたが、そしたらしたでやっぱりウンコどもは速い打球は取れないし、普通に打たれて頭上を越されたら全部のヒットがスリーベース保障ついてるような状態になるので、元の木阿弥でまた全員外野に戻してるわけだが。


「トライッスリーアウッチェンジ」


 そしてすげえ長い長すぎる桃様軍の攻撃をやっとの思いで終わらせて、というか主にあっちの怠慢走塁とかで自滅的に終わっていただいて、さあこっちの攻撃だ、となるとこれが9球で終わる。


 9球だ。きっちり9球だ。お釣りなし。ボール一個も発生しないし、ファール一本も粘れない。


「…」


「「「きゃーっ! また桃様の出番ーっ」」」


 女という生き物は果たしてあの目の奥に俺と同じく脳みそがちゃんと詰まってるのだろうか? このレイプという言葉すら生ぬるい残酷公開処刑劇場を見てどこにかっこいい要素とか楽しい要素があるのか本気で教えてもらえないだろうか? こいつらはイケメンがやってることなら鼻くそほじりでも喜ぶんじゃないのか? 桃様軍は1イニング30分くらいだらだら攻撃し続けて、俺たちの攻撃は2分で終わったのだが? 野球とはこういうスポーツではないのだが? なんかもうこれに名前をつけるとすればヤキユーとかにして本来の野球と差別化するべきなのだが?


「いや、手も足も出ないっすねー」


 ウンコ一号がなんか寝言を言いながらベンチに帰ってきた。どのツラ下げて戻ってきたのか。打てないなら当たってこいと言ったら罪になるだろうか。


 つーかズリーよ、こっちは日○ム多○野を凌駕する、どうやって飛んでるのかすら原理不明な、限界を超えた超超超超超スローボールしか投げれないのに、あっちのピッチャーは現在でもマックス130キロ代後半をマークする本格派で、しかもキャッチャーとは甲子園にも一緒に出たバッテリーだという。


 ピッチングマシーンのただ時速が130キロであるだけの棒球を打てない俺が打てるかよそんなもん。ましてや我が軍の野球経験ゼロウンコどもはなおのことである。


「白雪ちゃん、いくら出せばここに居る奴ら全員毒殺してくれる?」


「お金で人殺しはちょっとお…そういうのはプロに頼んでほしいですう…」


 プロじゃねーかお前。毒ばら撒くことにかけてはプロ中のプロ、テロ中のテロじゃねーか。やれよ。クソか。


「シンタ、何人か刺してこい。大丈夫だ返り討ちにあってもお前は死なないから」


「トノもなりふり構わなくなってきたっすね…」


「ウラシマ」


「…もう諦めたら? タツオさん」


「いーやーだー!」


 だってお前ふざけんなよ、なんの問題もなかったこないだの時点で突然全力ぶち殺し夜もヒッパレ大運動会を仕掛けられたのに、命をタネ銭にした勝負でこの大差って俺はいったい何回死なないといけないんですか? 七回生まれ変わって全部桃様に殺されるくらい予定びっしりですか? そんなことを運命とか形容できるというならそんなもんはお前が受け入れろといいたい。


「だってもうどうしようもないじゃん! そりゃ私は素人で野球知らないけど野球知識とかそういうレベルじゃなくて、こんなのここからどうやったって勝ち目ないのわかるよ!」


「勝ち目があるとかないとかの問題じゃねえんだもう」


 もうここまで差がついたら勝ち負けの話など本当にどうでもいい。勝負自体が終わった瞬間に俺の人生も終わるから、このゲームは永遠に続かなくてはいけないんだ。わかるか。


 長いミーティングになっている。そもそも作戦どうこうのレベルの話ではないので、逆転の可能性が皆無のミーティングなどなんの意味もなく、桃様軍のガラ悪すぎるベンチからブーイングが起こり始める。


 その昔、犯ったろうじゃ○という野球漫画があって、話の本筋にはまったく関係も必要性もないのに最終盤でいきなりヒロインが主人公を逆恨みしてる奴らにレイプされるという展開が挟まれて、「なんだこれは」と俺は非常に度肝を抜かれたのだが、その俺の度肝を抜きにかかった奴みたいなのばっかりあっちのベンチに居る。


 違うのは、犯ったろうじゃ○のレイパーどもは単なるカスどもだったが、今ここに居る奴らはかなり野球が上手いカスどもなので、このブーイングにも正当性があるということである。すいません。


 俺がそろそろ土下座したほうがいいかな? と思いながらミーティングを打ち切ってマウンドに向かおうとしたタイミングで、バッターボックスの桃様が口を開いた。


「…ものども、静まれ」


 気の弱い奴ならなんも悪いことしてないのに勝手に自分から謝って財布まで差し出しそうな暴力的大合唱が、静かに響いたその一言で、ぴたりと止む。


 マジで、アンプのスイッチを切ったように、ぴたっと音が止まってびっくりした。調教行き届きすぎだと思う。


 桃様は顎に手を当て、しばし考え込む様子を見せたあと、逡巡するように言った。 


「どうも、公平の勝負になっておらぬようだ」


 いまさらか。


 いまさらそれをいうのであるか。


 桃様もさ、あれだよね。なんかどっかずれた人だよね。


「タツオよ。我が郎党を貸してやろう。さすればうぬも全力で球を投ぜよう」


「はあ」


「それで3球勝負じゃ。うぬの球が3球すべて我が郎党に届けばよし、俺が一球でも前方へ打ち返さば俺の勝ちということにいたそう」


「はあ」


 一見ありがたい申し出のようだが、確かに条件はさっきまでに比べりゃ著しく改善されてはいるのだが、しかしこれはよく考えなくても死刑台の足元の床が10メートルの深さだったものを埋めて2メートルになったみたいな意味しかない。


「全力で投げていいんです?」


「無理! むりむりむり!」


 桃様軍のキャッチャーが真っ青になって水しぶきを飛ばす犬なみに顔をぶんぶん振りたくる。


「じゃあ何キロなら捕れるんだよ」


「140? くらいならまあなんとか…?」


 そんなもんで桃様抑えれるわけねーだろ馬鹿か。つまりは詰みである。


「これでまだ対等にならぬのか。ふむ…」


 もうこうなればキャッチャー置かないで投げればいいだろ、と思われるかもしれんが、さっきオトヒメさんが俺の全力投球を回避したときに、実は桃様応援団のうちの一匹の愛車であるマ○チを粉砕したのだ。それからずっとその持ち主と思われるやつがずっと俺にガンたれている。つまりキャッチャーなしの全力投球などという危険行為は不可能である。


 なら桃様の打球もやべーだろと思われそうだが、こっち側には一応ネットが張ってあるからセーフティはある。つってもさっきまでの桃様はあきらかに手加減してくれてたので、こっから本気を出した打球が刺さったらあんな網一枚で防げるとはまったく思えんが。


 さあどうしてくれんだよ桃様、メーン? と思ってたら、いきなり桃様がバットを放り捨てた。徒手空拳となって両手をだらりと下げた棒立ちの姿勢でバッターボックスに立つ。


「これで整ったな」


「馬鹿にしすぎじゃね? それはちょっと馬鹿にしすぎじゃね?」


 おじさんどっちかつーと聖人君子としての評判が名高いほうだから普段は滅多なことで怒ったりしない男だけどそれはさすがにキレるわ。なんだ、俺のクソスローリィボールなんてバットもいらねーってか?


 いや、もう、許さねえ。もうこればっかりは本当にほんとに許さねえ。そんなに痛い思いしたいなら嫌ってほどすればいい。死ね。


 俺は振りかぶって振りかぶって振りかぶって、全力でぶん投げた。


 キャッチャーなんぞ桃様の手ごと串刺しになれや! 全力全開200キロだこの野郎。


「あ、トノばか」


「タツオさんちょっとま」


 空気の壁を突き破れ、俺の最強最悪ボール…!


 破壊と憎悪の限りを込めた怒りの一球が、桃様とついでにキャッチャーを粉砕すべく、ついにホームベース上に達する…!


「ぜっ」


 桃様の腕が、バットを持ったスイングよりなお速くしなる。ぶん、と音が聞こえそうなほど、腕が掻き消えて見えるほどの、超高速の振りだ。


 それはスコーンつって俺の怨念を粉々に打ち砕いたのであった。


 スコーン


 ってまさにそんな間の抜けた音で、桃様の手刀にぶっ叩かれたボールが、俺の頭上を飛んでゆく。


「あー、止めるの間に合わなかった…」


「タツオさん、桃太郎さんが手で銃弾落としたのまた忘れてたでしょ…」


「そりゃ時速何キロだろうとボールくらい打てますよねえ」


 なんかもう泣きたくなってきた。


 俺のようなオッサンがイケメン様に対抗しよう的なことを一瞬たりと構想したことそれ自体が罪だったんだな。イケメン様がオッサン殺すわつったら左の頬を叩かせて右の頬も差し出せと父なる主も言ってるからな…。


 と。


 今度こそ完全に確定した自分の人生の終焉を、悲しい気持ちで噛み締めている俺に向かい、バットを持って桃様が突撃した。


「え、いま? いまから即死刑ですか? マジで?」


「これを持って遮二無二振れい!」


 俺を撲殺するためのツールかと思われたバットを、桃様は俺に向かって投げ飛ばす。それを思わず受け取ったが、は? シャニムニ振れ? なんのことっすか?


「はよぉせぬかあああぁぁぁっ」


 怒号。鬼といえども戦わずに諸手をあげそうな、邪気を祓う凛気に満ちた絶叫である。俺はそれに押されるように、不承不承ながらもとにかく全力でバットを振る。あ、これ一回転するわ。いやもうどうでもいいか。マジ意味わかんね。なんなんだよっ!


 俺が一回転分の遠心力を込めたバット。


 それに、桃様が飛び乗った。


「え?」


「振れえええぇぇぇっ!」


「は、はいいいぃぃぃ!」


 俺がバットを振る。それに押し出され、また桃様自身が足に反発力を込めて、さらに飛ぶ。勇者のスーパーパワーと、伝説のヒーロー桃太郎の脚力を組み合わせた超絶反発力は、地上まったく類例のない史上最強の推進力となって、人間一人をロケットにした。


 その人間ロケットの着弾地点には…。


 そこを見たとき、俺はすべての事態を了解した。


 いきなり水平にかっ飛んでくる桃色髪の人間という有り得ん光景に呆然と立ち尽くす、頭が悪そうな小学生くらいのガキの集団だ。岩木川で釣りをして遊んでたらしい。そいつらに向かって、桃様より先んじて飛んでいくものがある。


 いうまでもない、桃様が手刀でかっ飛ばした打球である。案の定、俺の全力投球をはじき返した桃様の一撃は、あっさりネットを突き破っていたのだ。もちろんそのネットはボールよりはるかに大きな桃様にも立ちはだかるが、それを桃様は手刀で一瞬にして切り裂き通る。


 つまりこうだ。


 桃様は、その状況を一瞬にして見極め、自分の打球に走ってジャンプして追いつこうとしたということである。


 なに考えてんだ、頭のなかどうなってんだ? できるわけねえーだろそんなこと。


 だが、どうだ。


 その頭がおかしい発想によるロケットジャンプで、実際この人は自分の打球に追いつこうとしてるのだ。狂ってる。狂ってるが、こうまでくると手放しで賞賛するしかない。


 セイギノミカタは誰かのためならなんでもできる。物理法則だって捻じ曲げる。だってそれがスーパーヒーローなんだから。できるわけねえことくらい、できるのだ。


「行けえええぇぇぇ! 桃様あああぁぁぁ!」


 俺とウラシマと白雪ちゃんと、あと何人かしかこの事態に気づいてない。その数少ない人間が心をひとつにして叫んだ。祈った。


 みんなの期待を背に受けたヒーローの大ジャンプが。


 ボールに。


 届いた。


「せぁっ」


 桃様の手刀が空中を疾走する硬球を、そのまま両断する。固いボールが二つに割れて、内部の空気を爆発させた。


 パン


 元はボールだった革と詰め物が千切れて落ちる。


 ズザザザザザザ


 そして水平に飛んでいた桃様が、不安定な姿勢のまま肩から地面に突っ込んで落ちた。


 俺はそれを見届けないうちに、というかそれよりさらにだいぶ前から走り出していた。桃様はさすがにこの状態ではすぐには立てない。


 命拾いしてぺたんと尻餅をつく間抜けなガキども、そのうち川に近すぎる場所へ立っていた一人が、安堵のためか惑乱のためか、足をずるりと滑らせた。


 大きな川で、川べりは少し深い。実際は足がつく程度の高さかもしれないが、不安定な態勢でそこに落ちたら大きな怪我をするかもしれない。桃様なら無論助けに入るだろう。


 それも、動けるならの話だ。桃様はいま微動だにできない。間に合わない。


「そこへ俺到着ぅ!」


 大丈夫、そのために走ってきた。ガキが川に落っこちるより一瞬早く、俺の手がそいつの手を掴み上げた。セーフ!


 それを見て、悔やむように歪んでいた桃様の表情が安堵に染まった。


 俺はごぼう抜きのごとく救ったガキをぽいっと川べりに放り出すと、即座に桃様に土下座した。


「桃様! 改めて舎弟にしてくださいっ! 桃様の下で正義を勉強さしてくださいますようお願い申し上げますっ」


 考えてみればヒントはいくらでもあったのだ。


 悪党としか戦わない。いつのまにか味方が増えてる。誰にでも優しく、特に子供のために体を張る。


 そんなもん正義の味方でしか有り得ない。この人は頭っからケツまで一貫して正義だったのだ。正義による正義のための正義のヒーローピーポーだ。ミスリードもいいとこだ。


 俺の命を狙うって話にしたって、『ヤナギダの指示だからそうする』とはこの人は一言も言ってやしないのだ。ひでえ引っ掛け問題である。


 つまり、この人はたぶんハナっから、世界を滅ぼそうとする超魔ヤナギダの刺客などではなかったのではなかろうか。だって存在自体が真逆すぎる。すべては推論だが、確度は限りなく高いはずだ。


「…ほう、左様か。さればうぬが下僕となるとか申しておったヤナギダめをいかに処す」


「桃様の舎弟のプライドにかけて会ったらボッコボコにぶちのめしてやりまさぁ!」


 だから、これが最適解だ。


 圧倒的な武力の持ち主が、俺の考え方が気に入らねえとおっしゃる。なら、その傘下に入る以上の正解などあるわけがないのだ。


 空気が固まる。誰も口を開かない。尻餅ついたままのガキどもも含め、誰一人しわぶきひとつあげない静寂。


 桃様が言った。


「なればよし。その力、ゆめゆめ悪事に用いるでないぞ」


 …勝った! 読み勝った! 第三部桃太郎編、完!



 ガキどもに迷惑と恐怖を与えたことを桃様御自ら謝罪し、野球大会は解散の運びとなった。


 にわかに集まったお祭り連中も三々五々散っていく。


「よかったっすねえトノ、命拾いして」


「うんうん。私たちも手伝った甲斐があったよね」


 お前らは徹頭徹尾鼻くそほどの役にも立ってないがな。


「それにしても、あれっすよね」


「なんだよ」


「いや、あのボールに追いついたシーンを見たときは桃様カッケー! って思ったんすけど、よくよく考えたらあれって超手の込んだマッチポンプじゃないすか?」


「いうな。いいんだよそんな細かいことは。重要なことじゃない」


 まあ、ぶっちゃけそうともいう。


 悪党どもを痛めつけて財産を没収して改心をうながし、そこから優しさを見せてやることで帰服させるという手法にも共通点がある。


 現代でそれを国以外の機関がやったらまるっきりヤクザだが、古代において豪族とはだいたいそんなもんであったのだ。そして桃様は古代豪族そのまんまのお人だというだけだ。


「なんにしても疲れたですよお。白雪はもうおうちに帰って今日は横になりますう」


「だねえ。私も疲れたあ…。早く帰ろうお姉ちゃん」


「私はこれから外崎さんとお話がありますから、ウラシマは一人で帰りなさい」


「え? なんの話?」


「え? なんの話?」


「どうしてウラシマはともかく外崎さんまで不思議そうな顔をしてるんですか? 惚けられるとでも思ってるんですか? 殺しますよ?」


 ニコリと笑ってオトヒメさんが絶対殺すオーラを発散した。というか口で殺すって言ってる。超怖い。


「じゃ、そうですね。近くに知り合いがやってるボックス席のあるスナックがありますから、そこへ行きますか」


「はい…」


 俺の大冒険はまだ終わらないのであった。

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