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遊人現代忍者、王国ニ舞ウ  作者: 樫屋 Issa
怪盗 王国ニ舞ウ
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第九十二話 嗚呼、夢の異世界生活(昼の部)

~異世界調味料の幸せ~


これは段蔵がクラリースと結婚する前の話。

惑星ユグドに来る前、マヨネーズは異世界で儲かるとラノベで読んだ。

正直、マヨは貧乏時代の苦労を思い出すからあまり好きじゃないが、金になるなら話は別だ。


「卵黄をかき混ぜて・・・やっぱ電動泡立て機が欲しくなるな」


俺が四苦八苦しながら卵黄をかき混ぜてるとクラリースがやって来た。


「お酢・塩・胡椒・卵黄・オイル・・・アルベソースを作ってるんですね」

「へ?マヨネーズ知ってんの?」


何でも五代前のアジオ侯爵が帝国よりも更に西にある小さな島国アルベルト王国でレシピを教わり旅行で立ち寄った様々な国に伝え広めたらしい。

お酢や塩を使うので腐りにくくて人気のある調味料だそうだ。


「そしてアルベルト王国で作られたからアルベソースと・・・何で泣いてるんですか?」

「いや、些細な計画が一つ潰れただけだから・・・」


つまりマヨネーズはアジオ家が、さらに元を辿ればアルベルト王国がとっくに作っていたのである。

クラリースは台所の棚から白いクリームの入った瓶を取って渡した。


「はい、アルベソース」


今、完成した自家製マヨネーズと比べてみる。


「やべぇ、アルベソース美味しい」

「アジオ印のアルベソースは侯爵家が長年研究を重ねて素材からこだわってますからね」


日本で使ってたヤツより好みかも。


「腕で作るのは大変なので、家庭で作る時は風属性の方が、家中に居ない場合は近所の風属性の方に少額の金品を渡してお願いするのが一般的ですね」

「うん、めっちゃ腕疲れた。そのアジオ印のソースていくらするの?」

「えっと確か一瓶・・・」

「高!!自家製の二十倍じゃん」

「少数生産ですからね、原材料も高い物ばかりですし」

「よし、決めた」


その後、農業改革で良質な食材が大量に手に入るようになると特に上質の素材はアジオ領に優先的に送られるように手配した。

もっと美味しいアルベソースを安く大量に作ってくれる事を願って・・・。


「願ってじゃなくて直接、頼みに行きましたよね、段蔵様」

「ま・・・まあ、そうとも言う」


ちなみにジェイン料理長は魔法無しで俺以上の速度でかき混ぜていた。料理に対する情熱は底無しだな。


◇ ◇ ◇


~龍の生態~


妾が夫、遠藤段蔵(本名:赤城竜二)は幼い頃に家族を殺害され、拷問に近い暗殺訓練や薬物強化の末、現在の段蔵を生み出したのだが、実に余計な事をしてくれたものだ。

連中が段蔵をねじ曲げたせいで段蔵が龍の血族である事に気付くのが遅れてしまった。

まあ、それは今更だから良い。

そうなると龍と言う存在に興味が湧いてくる。


「あれ?段蔵様、その絵画は?」

「この前潰した悪徳商人の蔵に仕舞ってあったから頂いてきた。あんな連中には勿体無い良い絵だろ?」


地球の東西を問わず龍や竜は宝をため込むものである。

目利きの正確さは忍びの才能以上かも知れない。


「今日は恒例になりつつあるベルナール街の料理大会だ!今回はアジオ領以外からも参加の申し込みがあったから予選は大変だぜ」

「でも良かったですね~カラっと晴れて」

「お兄ちゃんが何か楽しい事する日はいつも晴れるよね」


龍は天候をも操ると聞くが、まさかな。

我が家に住む竜系の魔物娘は三種、カーバンクル娘、ドラゴンゾンビ娘、小ドラゴン(ドラクレア)娘である。乙姫も入れようか迷ったが、一応外見は人魚なので除外する。

まずドラゴンゾンビのエリスは段蔵が斃したジャバウォッキーの魂をそのまま戦利品として蘇生させた存在じゃ、段蔵にしては珍しく己の性欲を満たす為の牝として徹底的に調整された魔物娘じゃな。

肉体の柔らかさや敏感さは勿論、性格も気弱で従順、ドラゴンとしての強さはゾンビの如く完全に腐り堕ちておる。

小ドラゴン(ドラクレア)は少し経緯が特殊で、怪我を負った妻達に大量の龍気を浴びせ、強引に治療&強化した眷属とも言える存在じゃ。

最大の特徴は吸血鬼と同じ超能力を持ちながら吸血鬼の弱点を一切持たない事じゃろう、他者の血液すら必要では無い故に吸血鬼ヴァンパイアでは無く小ドラゴン(ドラクレア)

一番分からんのがカーバンクルのティアマト、黄金の和毛にケモ耳、額に赤い宝石を付けた小さな女の子。

龍要素どこだよ!!

小動物っぽくて可愛いから何でもいいか。


「ふみゅ!みゅいみゅい!(古狸!頭が高いぞ!)」

「あはは、手足ピコピコ動かして愛らしいのう」

「ふみゅみゅい!みゅみゅみゅふ!(不敬であるぞ耄碌婆!余の体を今すぐ放せ!)」

「段蔵はティアの言葉が解るんじゃったな?何と言っておるんじゃ?」

「あ~~~え~~~っと・・・まあ、『かがんでくれた方が遊びやすい』ってさ」

「おおっと、それは気付かんかったのう、すまんすまん」

「ふみゅ~~~ん(夫殿はこんな黒ギャルBBAのどこが好いのやら)」

「そう言うな、これで可愛いところが沢山あるんだよ」


龍と言えばやはり切っても切れないのが酒好きの逸話じゃろう。昔から酒飲みを龍だの蛇だのに喩えられるくらいじゃからな。

そこで疑問なのが暗殺集団に改造されて酒で酔えなくなったと言う段蔵の話じゃが、本当に改造されたから酒に酔わないのか?

単に龍の血族として“うわばみ”なだけなんじゃないか?


「そんでウチの故郷から取り寄せた銘酒【ドラゴンスレイヤー】かいな」

「中々強い酒じゃのう、妾も結構イケるクチじゃがコイツは匂いで酔いそうじゃな」

「ウチの爺さんも親父も兄貴も大酒飲みの酔い知らずやけど、こいつを三杯飲んで立ってられたら皇家として一人前と言われとる。ちなみにウチの最高記録は五杯やったけど何代か前の女皇はこいつを浴びるほど飲んで百歳までボケる事無く現役で政治家やって大往生したっちゅうバケモンがいたらしいで」

「お主も結構ザルじゃな、そう言えばアケチ皇家もドラゴンの末裔じゃったか」

「そういうハッタリやけどな」

「案外ハッタリでも無いかも知れんぞ」

「またまた~」


この【ドラゴンスレイヤー】を今日の夕食に出してみよう。


「料理大会今回もジェイン料理長優勝&ハニー・レクター(段蔵の変装)優勝ならず。おめでとう&残でした会開催!」

「俺は今回三位圏内にも入れなかった・・・あのサヤカって女の子何モンだよ、優秀すぎるだろ」

「何でも最近侯爵が養子に迎えた子だって話ですよ」

「爺さんにあんな隠し玉があったなんてな」

「それでもアジオ家次期当主で長男のクロス・アジオさんには勝てたじゃないですか」

「まあ、アレは爺さんが調子に乗ってる息子・娘達の鼻っ柱をへし折る為に参加させたみたいだったからな、遠慮無く全員折らせてもらったさ」


結果はジェインが優勝、デリシャ・アジオ翁が準優勝、三位がサヤカ・アジオなる新人じゃった。悪くても三位には入れるだろうと目論んでおった段蔵が見事に滑った形じゃ、故にジェインの勝利を祝うより大敗した段蔵を励ますウェイトのが大きいのじゃ。


「まあまあ、こんな日もあろうて。ルミナスが実家から取り寄せた酒でも飲んで気持ちを切り替えるぞ」

「俺は酔えないけど・・・まあ、姉さんのお酌なら断るのは勿体無いから」


この小僧は可愛い事を言いよって、くぴくぴと良い飲みっぷりじゃ。


「おっ!?これ良い!結構好きかも!」


珍しく段蔵が盃を重ねておる。気付けば既にルミナスの記録を追い抜き二桁に突入していた。


「本当にね・・・みんなね・・・生きててよかっ・・・良かったよ~」


泣き出した。一人ずつ手を握って泣きながら家族になってくれた事を感謝して喜んでいる。


「泣き上戸じゃったか」

「ホントね、姉さんがあの時俺を捕まえてくれなかったらね、こんなね、幸せなね、人生なんてね、送ってなかったよ」


ちょっとハズいな。


「お義母さんもね、クラリースを産んでね、その上お義母さんまでね、俺と結婚してくれてね、幸せが止まらないんですよ」


恐るべし龍殺し。


◇ ◇ ◇


~混沌に沈む~


「報告を」

「壁を建設して以降、最初の頃はヨグス軍も国境付近まで来る事もあったのですが、最近はマトモに軍を動かす事も出来ないみたいです」

「理由はやはり・・・」

「報告書の通り、ウチの優秀な間諜(・・・・・)によるとヨグス国内は荒れに荒れてるみたいですね」

「我がエルキュリアに調略の手が伸びている可能性は?」

「ありませんね。何せ即位・暗殺・簒奪・革命・暴動の繰り返しだ、とても他国に手が回る状態じゃ無いでしょう。この戦後何人の国王がヨグスで即位して殺されたかご存知ですか?」

「七人と聞いている」

「今日で八人になりました。何でも我が国と内通していたとの理由で処刑されたらしいですよ」

「内通していたのか?」

「まっさか~、愛国心の強い方々は元より今日日きょうび悪徳貴族だってヨグスとなんか接触しませんよ、リスクばかりで旨みがありませんからね」

「それじゃあ根も葉も無いでっち上げで処刑されたと?」

「ウチの間諜の調査では間違い無いですね~、次の王様は何日持つでしょうか?」

「暴徒が他国に流れる可能性がある。エルキュリア以外の国はヨグスとまともに繋がる人の通れる道は存在しないハズだが、念の為ヨグスと国境を接している友好国には警戒を促そう」

「御意にございます」

「ああ、それと優秀な間諜(・・・・・)こと先生にはよろしく言っといてくれ、それとも君が先生本人なのかな?」

「流石にあの人もそこまでヒマじゃありませんよ」

「フン、どうだか」


◇ ◇ ◇


~開かれた門~


国内のとある重要河川を牛耳る河賊“フケットゥー団”は団長キヴァンダー・シャッツを中心にアークド商会から金を貰い他の船を襲っていた集団である。

そんな彼等は拠点に近い酒場で飲んだくれていた。


「ボス~、最近アークド商会も金払わなくなったっすね~」

「ハン!だったらアークドの船からも奪えば済む話だろ!どうせこの河川を通らないと遠回りになる、商売人は時間を掛けるのを嫌うからな、ノコノコやって来たトコロを襲ってやるだけだ」

「さっすがボス」

「でもボス、王国軍がやってきたり極星が来たらどうするんですかい?」

「王国軍は海賊の残党に負けるくらい水上戦が苦手だ、極星だって今の今まで出張って来なかったんだ、これからも来ねぇよ。それでも来るってんなら・・・」


キヴァンダーは青い宝石が先端に付いた杖を取り出した。


「この魔道具の水流で押し流してやるまでだ。ガッハッハッハッ!!」


そこへ出っ歯で眼鏡を掛けたスーツ姿の男が怯えながら入店してきた。

とてもじゃないが、荒くれ者の溜まり場には似つかわしくない男だった。

入ってきた男を副団長のアナーキ・オズボーンが睨みつける。


「んだテメェ、ここはテメェみたいなお行儀の良いヤロウの来るところじゃねえ、さっさと帰んな!」

「そうだカエレカエレ」


眼鏡男は腰を低くして冷や汗を拭いながら前に出る。


「いやはや、そういうワケにもいきませんのですハイ」

「あんだぁオラ!」

「ひゃい!ええ~とですね。フケットゥー団の皆様にはこの河川から立ち退いていただきたいと上からの通達がありまして・・・いえ、モチロン立ち退いていただいた後は皆様にきちんとしたお仕事を斡旋する準備もございますですハイ」

「つまりテメェはこう言いたいのか?俺達にここから出てバカ面下げてマジメに働けってか?ブワッハッハッハッこいつはひ~っひっひっケッサクだぜ!」

「ははははは、気に入っていただけてこちらも嬉しく・・・」

「気に入るわきゃねえだろが!!」


店内の河賊達が一斉に武器を構える。


「ひいいぃぃぃ!!」

「この眼鏡ヤロウを血祭りに上げろ!!」


河賊の一人が棍棒を振り下ろすが眼鏡男は転びながら無様に避ける。


「こんの・・・チョロチョロすんな!」


アナーキが土魔法で石礫を発射すれば眼鏡男はわたわたと間抜けなステップを踏みながら右往左往して逃げ惑っている。


「フン、くだらねぇ」


キヴァンダーがアナーキを押し退けて巨大なサーベルを振り下ろした。


「はひぃ!!こ・・・後悔しますよ」


眼鏡男は尻餅をつきながら這うように捨て台詞を残して酒場から出て行った。


「ぎゃはははは、何だあのブザマな逃げっぷりは」

「笑える男でしたねボス・・・ボス?」


部下の一人が声を掛けるがキヴァンダーとアナーキが微妙な顔で向き合っていた。


「おいアナーキ、さっきの魔法は・・・」

「ああ、ブチ殺すつもりで撃ってた。ボスは?」

「当然、真っ二つにするつもりだったぜ・・・」

「・・・・・」

「・・・・・フン、気に食わねぇ。飲み直しだ!!」


二人は得体の知れない黒いモヤを払うように酒を煽った。

その数日後、河川に一隻の輸送船がやってきた。

その船を見てフケットゥー団一同は口をあんぐりと開けている。

その船は見た事も無いような巨大な鋼鉄の船だった。

幅は川幅ギリギリでどう考えても船底が川底を擦っているハズなのに船は猛スピードで河賊達の方に向かってくる。見れば船の周辺だけ何らかの魔法の影響か増水している。

しばし放心していたキヴァンダーだったが正気を取り戻し攻撃命令を下す。


「攻撃開始、乗り込めええぇぇぇぇぇ!!」


しかし、矢も魔法も鋼鉄の巨体にはビクともしない。


「上空から侵入しろ!」


飛行可能な河賊が船に取り付こうとするが、船から発射された水流にあっさりと弾き飛ばされた。


「ボス!ここは例のアレの出番ですぜ!」

「よ・・・よし、俺の恐ろしさを思い知らせてやる!!」


杖の先からは巨大な水流が発生して船に直撃する。コレを食らえばひとたまりもあるまい・・・それが人間相手だったらの話ではあるが。


「・・・びくともしませんね」

「・・・うん」


河賊達の攻撃が終われば次はこちらの手番ターンとばかりに船全体から強烈な魔力のオーラが立ち込める。


「おいおいおいおい!」

「ヤバ!」


フケットゥー団一同には船が水で破裂したように見えたかも知れない。それ程までの大洪水が船全体から放たれたのだ。

後には何も残らず、この日を境にフケットゥー団は朝露のように消えてしまった。


「まったく、こっちの言う事を素直に聞いていれば助かったものを・・・」


船の上ではあの眼鏡男が立っていた。


「如何でしたかなメアリ殿下、我が社の試作品は」


一部始終を見ていたメアリ姫はやる気の無い拍手をパチパチと送る。


「例の聖メアリーの蜂蜜酒セント・メアリー・ミード号の技術を応用して小型化した鋼鉄船の建造は見事ねナイ・・・っと今はダン・エンドー子爵だったわね。見世物としては中々楽しめたわ」


だがメアリ姫はあまり気に入らなかったらしい。


「でも軍用新商品のデモンストレーションとしては三流ね。船を動かすのに他国のお姫様が一人必要って話ならコストが高つくどころの話じゃ無いでしょ?ですよね?本当なら大翼洋を航海中のハズのルミナス姫様?」

「ありゃ?バレてもうてた?」


そう、この船を動かす動力源や流水攻撃は聖メアリーの蜂蜜酒セント・メアリー・ミード号と同じくルミナスが担当していたのだった。


「まあ、今回はガワだけのチラ見せって事で、動かす方法に関してはボチボチ構想が出来上がりつつあるから完成した時のお楽しみにしといて下さい」

「まったく、貴方って人は・・・」


船上で茶菓子を楽しみながら一同は談笑するのだった。

昼の部と書きましたが、夜の部は必要ですか?

確実にエロい話になります。

必要な場合は必要とコメントして下さい、テンションが上がります。

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