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遊人現代忍者、王国ニ舞ウ  作者: 樫屋 Issa
怪盗 王国ニ舞ウ
89/163

第八十九話 私が強くなれた理由

ナノマシンVer3.87認証・・・OK

登録者:遠藤ソニア

:遠藤清明

:遠藤ジャン

:遠藤アテナ

:遠藤オーレリー

:遠藤ラウール

:遠藤・・・・・

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ドリームランド、御伽噺以上の魔法使いを自称する新堂英一が、とある街の邪気を祓う為に生み出した夢のテーマパーク。その名は彼の好きなラヴクラフト作品にちなんでいる。

ここではバトルや娯楽、学習などができる空間があり、魔法使いと縁を結んだ様々な人が楽しむ事が出来る。

あまりに楽しすぎて現実に戻りたくない人が出現する可能性も考慮し、目覚めスッキリ体力全快強制目覚まし機能やバトルやゲームで集めたポイントで購入したアイテムの一部を現実で使用出来たり、鍛えた身体の何割かや学んだ知識や技術を現実世界でもフィードバックしたり、果ては夢の中で注文した商品を現実世界に届けてもらったりとサポートも充実している。

無論、魔法使いと縁を結んでいる段蔵達も例外では無い。

段蔵を中心に戦闘職の者はバトルや体を動かす競技で鍛え、ジェイン料理長などは地球の料理を研究したり購入したり、ユナはゲームに挑戦し己を磨いたり、目覚めるまでの時間を地球の娯楽に興じたりと、様々な楽しみ方をしている。

しかし、どんな天才がどれだけ慎重に組んだプログラムでも想定外の事は起こるもの。

遠藤家の赤ちゃん達がログインしました。


「だ~う?」

「ぱ~ぱ?」

「たぅと?まんま?」


彼等は目の前に広がる夢の世界を自由に飛び回り始めたのだった。

夢の世界を探検するのに二足歩行である必要は無い、ハイハイだろうが寝たままだろうが思った方向に進めるのだ。

冷静なのは段蔵と守鶴前の子である清明君だった。

赤子ながら力強い半妖である彼は、何となくドリームランドの構造を察して警戒の必要が無い事を理解した。

そして、混乱している他の弟妹にふんわりと安心を伝えるテレパシー的な力を送る。

先頭に立って(這って?)進むのは段蔵とクラリースの子であるジャン君、母親譲りの統率力で他の赤ちゃん達を導いてゆく。

しかし悲しいかな所詮は赤ちゃんのカリスマ、保護者達はメロメロでも同じ赤ちゃん相手には長続きしなかった。

結果、良くも悪くも好奇心旺盛で怖いもの知らずな遠藤家の赤ちゃん達は好き勝手な方向へ飛んで行き、気付けば好き勝手に行動していたのだった。


・・・

・・


「はぁ~~~、マスター、もっと強いお酒は無いの?」

「お客さん、これ以上は毒ですよ?(注:味は現実と遜色無いが夢の中なので人体に影響はありません、加えて原材料も存在しないので料金はタダ)」


コトリと彼女の前にはカクテルグラスに注がれたミルクが置かれる。


「ちょっと!次の注文はスクリュードライバーでしょ!?」


マスター(NPC)に食って掛かるがマスターはサッと腕を横に向ける。


「あちらのお客様からです」

「あ~~ぶ~~(ピシッとキメ)」


超高級離乳食(やっぱり無料)で口の周りをベタベタにした赤ちゃんが座っていた。


「た~~た~~、んま~~(今夜は泣きたい気分なんだろ?俺だってしょっちゅうさ)」

「赤ちゃん?」

「あ~~~ぶ~~~~(部屋は取ってあるんだ。君の腕の中で一夜限りの安らぎをくれないかな?)」

「男ってみんな見栄っ張りだと思ってたけど、フフフ、甘やかし甲斐がありそうね(注:通じてません)貴方名前は?」

「じゃ~~だ~~~(ジャン遠藤、愛の狩人さ)」

「(ユーザー名を確認)ジャン君って言うのね。ヨハネに由来する男を(子守的な意味で)抱けるなんて罪深い・・・いえ、素敵な夜になりそうね」


・・・

・・


舞台は高層ビルの通路、段蔵自身も依頼を受けた事がある、とある企業のビルがモデルだが中身は別物になってる。そこかしこに張り巡らされた各種センサーにそれと連動した殺意マシマシなトラップ、そんな中で罠を華麗に切り抜けながら戦う男女が一組。

女が弾かれ受身を取って立ち上がる。


「流石遠藤君、異世界で腑抜けたかと思ってたら以前よりもキレが増してる!」

「集団戦ならそちらに譲るがサシの勝負ならそうそう負けんよ」


女・・・倉田有紀は追い詰められながらも口端が緩む、逆転の一手を考えるのが楽しくて仕方無い。

無論、男・・・遠藤段蔵も油断無く相手を見据える、彼女相手に一度隙を見せれば一瞬で立場は逆転するのは地球に居た頃に散々経験した事だ。


「前に俺の女が世話になったらしいからな、敵討ちってわけでも無いが勝たせてもらう!」


段蔵が駆け出した瞬間、アナウンスが流れた。


『Here Comes A New Challenger!!』


「む!?」

「え?」


段蔵の真上に穴が開き小さな何かが落ちてくる。

段蔵は一瞬でソレが何なのか判断して慌ててキャッチ。


「ぱ~~~うぁ?」

「アテナ!?何で此処に?」


と、考える暇も無く棒手裏剣が飛んで来る。


「くっ・・・こっちは『赤ちゃんが乗ってます』だぞ!」

「あら?要人警護の任務でも敵に同じ言い訳をするのかしら?」


隠し持ってた布でサッとアテナを包んでおんぶする。


「バカ言え、むしろパワーアップだっつーの!」

「良い覚悟ね。なら、せめてもの情けよ、アンタを倒したらその子は託児所に送ってあげるわ!」

「抜かせ!!(・・・と見栄を張ったものの、どうしたモンかな)」


刃を交える事数度、分かってた事ではあるが赤子を背負いながら易々と勝てる程、甘い相手では無い。

ビルを駆け上がり、最上階付近の吹き抜けの空間に辿り着く、やはり現実世界と構造が違いアスレチック状に足場が点在して監視ドローンまで飛んでいる。


「パワーアップじゃ無かったの?どんどん反応が遅れてるわよ」

「はぁ?遅れてません~、むしろ罠張って追い詰めてるんです~」


繰り出された攻撃を何とか回避した段蔵だったがアテナの手が赤外線センサーに触れてしまった。

響くエマージェンシーコールに集る攻撃ロボット、閉まるシャッターに開く砲門、更に・・・。


「くっ!」


段蔵の立ってる足場が崩れ始めた。


「もらった!!」


好機と見た有紀の刃が迫る。


「だ~~~~う~~~~!!」

「何!?」


しかし、その刃は届く事は無かった。

有紀は何かに縛られ身動き出来なくなっていたのだ。


「これは・・・蜘蛛の糸ですか!?」


見れば足場を失った段蔵も蜘蛛の糸に掴まり体勢を立て直していた。


「ふふふ、パワーアップと言うのは本当だったのね・・・」


逆転叶わず落下し罠に飲み込まれようとしている有紀は、それでも何故か満足感を得て今回の負けを受け入れたのだった。


「よくやったアテナ、後で好きなオモチャを買ってやるぞ」

「キャッキャッ」


・・・

・・


各アトラクションで遠藤家の赤ちゃんが捕縛・・・もとい保護される中で、遠藤ソニアだけ未だ逃げ延びていた。


「ん?何でこんなところに赤ちゃんが?」

「う゛~~だ~~」


ソニアは一目見て判った、「こいつは悪い奴だ」と。

その男、山岸誠はソニアをヒョイっと摘み上げ、まじまじと見つめる、一方ソニアは抵抗しようと手足をバタつかせるが効果は無かった。


「・・・うん、赤ちゃんへの影響を試す良い機会だ」


誠は構えてソニアの身体強化に潜在能力覚醒の秘孔を突いた。


「びえええぇぇぇ~~~~ん」


大泣きするソニアの声を聞きつけたのか、小柄な女の子が誠の前に立つ。


「あ~!危険人物の山岸誠!ウチの妹に何してんのよ!!」

「先輩んトコの小鬼か?別に大した事はしてねーよ」


タルトはソニアを奪って誠から距離を取る。


「心外だな~、先輩の奥さんにそんなに警戒されるなんて・・・一緒にトップアイドル目指した仲なのにな~、俺なんかより竜也の方がよほどヤベーと思うんだけど?」

「どっちもどっちよ、一応保護してくれた事には礼を言っとくわ」

「ところでその子、先輩との続柄が配偶者になってるのは見間違いか?」

「プライバシーの侵害!!」

「わかった、わ~かったからそんなに怒鳴るな、もう訊かないよ」


タルトはソニアをあやしながらさっさとその場を離れた。


「怖かったでちゅね~、そこの漫喫でお姉ちゃんと泥棒三世の映画でも観ましょうね~」

「ま~たんじゃ~」

「え?“城”じゃなくて“バビロン”のが観たいの?ソーニャちゃんて中々通なのね」


・・・

・・


「全員保護出来たみたいっすね」

「悪いな新堂」

「いや、こちらも配慮が足りなかったっす。直ぐに年齢制限機能と保護者同伴のシステムを構築するっす。あとは・・・」

「まだ何か?」

「いや、あの様子だと赤ちゃんにもナノマシンが引き継がれてるっすよね?」

「まあ、文字通り血を分けてるからな」

「二世代以降のナノマシンは徐々に性能を劣化させる必要があるな」

「何で?」

「SFとかでもあるっしょ?万能過ぎたら発展の可能性が阻害されて、どんな歪みが起きるか分からないっす。先輩が今の調子でヤリまくってたら未来にはナノマシン保持者だらけになるっすよ」

「ヤリまくる言うな!まあ、任せるよ」


◇ ◇ ◇


~十数年後 エルロック資料館~


天井からスルスルと降り立ちニヤリと笑う影が一つ。


「魔力感知センサー無効完了。さて、予告通り【飛べない白黒鳥の涙】貰って行くわね」


しかし、彼女が手を伸ばした瞬間、何かが手に絡み付く。と同時に部屋に明かりが点る。


「予想通りねソーニャお姉ちゃん(・・・・・・・・・)。いえ、ナイアール」

「アテナ!?」


続いて入室する幼い女の子が一人。


「よくやりまちた。流石あたちの選んだ副隊長のアテナしゃん!」

「隊長の作戦のお陰です」

「多面怪盗ナイアール、お母しゃまに代わって逮捕ちまちゅ!」

「この程度は予想内よ!」


蜘蛛の糸が絡まった手はポロリと取れた。


「作り物!?」

「いけまちぇん!」


取れた手に仕込んであった閃光弾が作動して部屋には眩い光が広がる。

夜はまだまだ始まったばかりだ。


◇ ◇ ◇


~更に時は流れ ベルナール市長ケンコウ・アカギの日記より~


今日、婿殿が初代様の試練をクリアして新たなナイアールを襲名した。

ジンクス通り今回も初代様と血縁が無い者がナイアールを継いだか、まったく何でどいつもこいつも初代様の試練をクリアしていながらナイアールを継がないのか。婿殿に何かあれば娘が悲しむじゃろうが!

まあ、ワシや娘もクリアしながらお断りした口なんじゃがな。

仕方無い、婿殿が無事に仕事出来るようにワシがサポートしてやるか。

段蔵の直系はほぼ全員がナイアールになれる才能を持っていますが、誰一人としてナイアールを継ぎません。

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