第八十五話 オーク女王のダンジョン攻略「汚らわしい!そんなモノを私に近・・・ところで前編とタイトル変わってない?(以下略)」 後編
「うっふ~ん」
ルミナスは谷間を強調した。しかしBが足りない。
「ルミナス、君は十分魅力的だとは思うが、少なくとも君の魅力はソコでは無い。もっとドワーフ系特有の低身長を生かした効果抜群なやりかたとかあると思うんだ」
遠まわしにお断りされてしまった。
「チキショーメー!!」
「なるほど、俺は魔法には疎い、だから広範囲の魔法攻撃は間違い無く有効だ。しかし、俺の速さと気配察知範囲はお前達よりも上だ。愛する俺の妻達だ、誰が来るのが分かっていれば対策は簡単さ」
「む~、嬉しいような悲しいような」
「素直に喜んどくか」
「でも回収したアイテム持ってかれますよ」
「仕方ありませぬ」
バッグを差し出す一行を段蔵は片手で制する。
「いや、別にいらんし。それよりも一つ仕事を頼まれてくれないか?」
「?」
~混沌城壁~
『知っていると思うがダンジョン内に人・魔物娘問わず住人が増えている。君達には居住空間で生活に不便が出ていないか調査して欲しい』
「なんて頼まれたんやけど」
「城でござるな」
「お城ですね~」
「典型的な城っぽい内装だが外を見てみろ」
窓の外には見渡す限りの雲海が広がっている。まるで神々が住むとされる天上世界のようだ。
「拙者等は階層を下ったハズなのに何故!?」
「よく出来ているが窓の外は壁みたいな感じだな、段蔵君の世界で言うところのCGみたいなモンか?ハリウッドの大作並みだな」
「よう知らんけど演劇の背景の事かいな?」
「バックドロップなら出来ますよ?」
「翻訳能力使た異世界言語ジョークありがとさん、意味がちゃうわ」
地・水・風の大妖精の御陰でインフラは問題無さそうだ。移動もテレポーターが有るので問題無いハズだが忘れてはいけない、ここはダンジョン内なのだ。
「そこのパーティー、私達と勝負しろ~!!」
あっ、野生?の魔物?娘が飛び出した。
ハルピュイアがあらわれた。
リッチがあらわれた。
CODE:スクブスがあらわれた。
アルラウネがあらわれた。
みならいレディースがあらわれた。
・CODE:スクブス
犯罪結社ジム・モロアッチによって拉致され魔物化薬の実験体にされた女性達。
保護された当初は怪物みたいな姿だったり非生物的な形状をしていたりと悲惨な有様だったが現在ではこの家に相応しい美しい女性型の魔物に進化した。
ちなみに男の被害者はさっさと解毒して家に帰した。
・みならいレディース
怪盗ナイアールの部下レディー・ナイアールの見習い。
みならいレディース=大規模な盗賊団の首領くらいの実力である。
「来ましたね。先制のテトララリアットを食らいなさい!」
強烈な回転ラリアットで相手を次々と弾き飛ばしていく。
「くっ、さすがチャンピオン。接近戦は不利だ、魔法攻撃の準備!」
相手が遠距離戦に移ろうとした瞬間、洪水に押し流された。
「ナイス連携」
「せや、旦那にこの戦法が効かへん方がおかしいんや」
守鶴前から教わった妖術と房中術によって才能ある女性は極星級あるいはそれ以上の力を得るに至った。だがそれは本家極星であるルミナスも同じ事。以前よりも遥かに高出力、そして精密に力を扱えるようになっていた。
「部屋の中は戦闘禁止になってるみたいだな」
「銀の星の看板?こんなところにも支店を出してござったか」
「さっきの戦闘でお腹が空きました」
「せやな休憩にしよか?」
しかしそれは罠だった。
「ダンジョン特別価格やて!?」
店内のメニューは屋敷の食堂の倍の値段が付いている。
「ボッタクリじゃないんですか!?」
声を聞きつけ支配人がやって来る。
「人聞きが悪いですね。この価格は旦那様・御前様・ジェイン総料理長と協議した結果、設定した料金です。お疑いになるのでしたら確認なさって下さい」
「う~ん、ホンマみたいやね」
「しかし何故?飲料水はウインター様の力で確保されており、テレポーターを使えば物資の輸送も楽でござろう?」
「理由の一つは御前様の遊び心だそうです。ホラ、高い方が冒険感出るでしょ?」
「「「「ええ~~~~」」」」
「それは御前様なりのジョークとして、料理には疲労を消し体力と魔力を回復させるポーションが含まれているのです」
「なるほど、それで高いのか」
「ここより下は更に強い人達がいますから準備はしっかりした方がいいですよ。なのでテイクアウトのクリームまんじゅうも一緒にいかがですか?」
結局、今までダンジョン内で手に入れた利益の三割を支払うハメになってしまった。
そんな彼女達だが・・・。
「あ゛~~~~生き返る~~~~」
「俺はもう生き返ってるっつーの」
テンタクルン娘のマッサージ店でリラックスモードに入っていた。
「うお!?何や?チクッってしてるのに気持ちええ・・・」
「鍼治療だな、触手の先端に針が付いててツボを刺激してるんだ。疲労回復・免疫強化・美容にも良いらしいぞ~。まあ、ナノマシンの効力で免疫に関しては意味無いと思うがな」
「噂では精力増強効果で何回戦でも・・・いだだだ!?痛いでござる」
マッサージ師のテンタクルン娘がカスミのツボをグリグリと強く押し込む。
「お客さ~ん、血の巡りが悪いみたいですね~」
触手ウネウネでヌルヌル汁を滴らせる好色なテンタクルン娘だがマッサージに関してはプロ意識を持っている為、仕事とエロを一緒にされるのを非常に嫌うのだ。
結局、ここでも散財した結果、利益と消費がトントンになってしまった。
「まあ、これからもっと強い人達と戦う為の下準備と思えば」
「せやな、下層の方がええモンあるちゅうし」
しかし、ここより下は彼女達の想像を超えた難易度になっている事をこの時はまだ知らなかった。
~黄金蜜牢~
洞窟型の構造だが所々にその名の通り金色の甘い蜜が滲み出ている。
「前情報だと主に蟲系の娘達が縄張りにしているらしいですよ」
「ああ、確かクイーンビーやマゴットさんがここに移り住んだとかで相当手強いみたいだな」
「マゴット殿は倒した女性を媚薬入りの蜜に漬けて妖しげな薬を作っているらしいでござる」
「ウチとしてはこの辺でゴールデンビートルちゃんの目撃情報があったちゅうて聞いたから是非仲良うなりたいわ」
意気揚々と前進するルミナスに呆れながら追いかける三人、最後尾のテトラはうっかり地面に広がる蜜を踏んでしまった。
「あら、後で洗わないと」
しかし蜜は膨れ上がりテトラの身体を這い上がりあっという間にテトラの口を塞いでしまった。この異常事態に他の三人は気付かずテトラを置いて先に進んでしまう。
程なく絡みつく蜜の一部が人の形に変化した。
「うにゅ?誰かと思ったらテトラおば様じゃない」
「もが・・・もがが・・・」
「慌てないで、鼻は塞いで無いからゆっくりと深呼吸してね」
「す~・・・んふ~~~」
元コアクト子爵家三女ハニー、名前の通りハニースライムに生まれ変わった魔物娘だ。
「丁度良かった。おば様も私と一緒にきもちいい遊びしましょ。きっと気に入ってくれるわ」
ハニーはそのまま全身でテトラを包み込み友達の住処へと帰って行った。テトラはハニーの中で抵抗するも前に戦ったスライムハーフと違い完全なスライムである彼女を掴む事は出来ず為す術無く連れ去られてしまった。
三人の前には二手に分岐した通路、どちらに行こうか迷い立ち止まって初めて異変に気付く。
「待てルミナス姫!テトラが居ないぞ!?」
「なんやて!?」
「恐らく既に敵の手に堕ちたと見るのが妥当でござるな」
「チッ、俺が助けに行く!!」
「待つでござる!単独行動は・・・」
カスミの静止も聞かずアンジェリカはもと来た道を走って行った。
「これでは敵の思う壺、姫様は拙者から離れないように・・・姫様?」
「なあカスミはん、さっきからあっちの通路の向こうで金色の女の子がチョコチョコ動いとるみたいなんやけど・・・アレってひょっとして・・・」
岩陰からぴょこんと顔を出した女の子の手は金色の甲殻で覆われていた。
「ゴールデンビートルや!!」
その大声に驚いたゴールデンビートル娘は一目散に逃げ出した。
「待ってや、お姉ちゃんと仲良うなろ!!」
それを追いかけるルミナス。
「姫!単独行動は・・・ええいどいつもこいつも言っても聞かぬか、仕方無し!」
カスミは敗北を予感しながらもお目付け役としてルミナスの後を追う事を選択した。
アンジェリカがテトラを探し回ってあっちこっち探索していると狭い通路で急に身体が動かなくなった。別に身体が引っかかったワケでは無い、狭いと言ってもアンジェリカ一人が通れるスペースは十分あったハズだ。
「これは?」
通路に何かが張り巡らされている。
「蜘蛛の糸か!?しまった!!」
通路の奥から人の声が聞こえてくる。
「ごめんなさいねアンジェリカさん、別に罠というわけでは無いのです。ですが姫様はぐずったり喜んだりすると糸を撒き散らすクセがありまして」
現れたのは赤ちゃん蜘蛛娘アテナを抱えた蟲系魔物娘全てのリーダーであるマゴット婆さんだった。
「でもまあ、折角ですから利用させてもらいましょうかね」
マゴット婆さんは器用に周囲の糸を操りアンジェリカを連行してしまった。
一方ゴールデンビートル娘を追いかけていたルミナスは彼女が逃げ込んだ木の扉の部屋へ乱暴に入った。
「さあ、観念してお姉ちゃんと仲良く・・・?」
そこには人・魔物娘問わす小さな女の子達がテーブルを囲んで大きなパンケーキをみんなで食べていたが突然飛び込んできた闖入者にパンケーキやシロップが乱れ飛ぶ大騒ぎの恐慌状態、これにはユナちゃんも激おこ。
「ル~ミ~ナ~ス~お姉~ちゃ~ん」
「ちゃうねん、ウチはただ仲良くなろうと・・・」
「そんな怖い目で追いかけたら逃げるに決まってるでしょ!」
ユナが指差す方ではゴールデンビートル娘がユノに抱きついて泣きじゃくってる。
「ふえぇぇぇぇ、怖がったよ~~~」
「そんな・・・ウチはただ仲良くなろうと・・・」
「どうせ幸運の【ビートルコイン】が目当てだったんでしょ!そんな人は仲良くなる資格なんてありません!」
そして子供達を護る為に押し寄せる蜂の羽音、ルミナスはハニービー達に囲まれて碌に抵抗出来ないまま捕まってしまった。
運が悪かったのはカスミである。ルミナスを追っていたら訳も分からぬ内にハニービーの軍勢に囲まれてしまったのだから。
四人は枷をかけられ連行されていた。特にルミナスは手足を棒に括られ担がれている。
「ヒソヒソ(ルミナス何やったの?)」
「ひそひそ(何でも子供達のおやつタイムを邪魔したらしいのでござる)」
連れて来られたのは純白のベッドと黄金の蜜で満たされた巨大な水槽が置かれた部屋だ。ベッドの上ではタレ目の貴婦人が寝転がっている。彼女がクイーンビーである。同じベッドにはアテナを抱いて腰掛けるマゴットの姿もあった。
「さて、この階層で負けた者達は例外無く辱めを受けてもらう」
「竿役の旦那様が居ればダンジョンモノっぽくて良かったのですが、それだと悦ばせるだけですからね」
そこでクイーンビーが黄と黒の縞模様が描かれた扇子で指し示したのは先程から見えている巨大な水槽である。水槽では既に敗北したであろう幾人もの女性達が拘束された状態で首から下を蜜漬けにされグッタリしている。間違い無く辱めとはアレの事だろう。
「あれは・・・大丈夫なのでござるか?」
クイーンビーがカスミの質問に答えた。
「あの水槽には魔力を奪い取る仕掛けが施してあるが命までは取らない、むしろ蜜の効果でお肌がトゥルットゥルになる。あんな風にな」
クイーンビーが持つ扇子の先が一人の女性を指す。
頬は上気し目は虚ろ。水槽を見張るハニービーが鎖の滑車を雰囲気たっぷりにゆっくり動かすとギチギチとした音を立てながら女性が蜜のプールから引き上げられた。
ハニービーの言葉通り魔力を奪われグッタリしている一方で肌はナマメカ~なんて効果音が聞こえてきそうな程プルプル艶々で、かなり血色が良い。
「というわけで次はお前達の番だ」
「ちょっと待った!俺トイレに行きたい!」
「大?小?」
「え?小だけど」
「大は困るが小くらいなら中でいくらでも出して良いぞ、むしろ丁度良い出汁になる」
「くっころ案件!?」
「お前達の尻から変なモノが出ないようにしっかりと栓をしてやろう、赤紫色の長いヤツでな」
「ア゛~~~~ッ!!」
「そしてこの黄金の蜂蜜はポーションの四大材料の一つなのだ。特にルミナス姫は子供達の邪魔をしたから念入りに絞り取ろう。この前はオデットさんに逃げられたから人類最強魔法使いの一人からどんな出汁が出るのか楽しみだ」
その名前にルミナスが反応する。
「待った。オデットはんはここを切り抜けたんか?」
「ええ、空間湾曲能力で綺麗に脱出されました。その時の反省を活かして今は魔法封印の枷を使用しています。と、無駄話もここまで、蜂蜜漬け開始!」
四人は蜂蜜プールに落とされた。
「甘ったるいでござる」
「魔力が抜けてく~、何や気持ちええ~な~」
「余計な力も抜けてリラックスさせる作用もあるみたいです」
「あっ、漏れ・・・だっ・・・駄目、力・・・入らな・・・はふぅ」
アンジェリカは、めのまえがまっくらになった!
次回からは到達地点のテレポーターから再開出来ます。
攻略のヒント:幼女を追いかけ回すのは止めましょう。
◇ ◇ ◇
エンドー・ダンドレジー屋敷前に一人の女性が倒れていた。
ボロボロのローブだけを纏い全身傷だらけで靴さえ履いていない。
門番が発見して介抱している時に騒ぎを聞きつけた段蔵達がやってきた。
「まさか・・・お前は・・・」
女性はまぶたを開き段蔵と目が合うと、とても安堵した表情で呟いた。
「やっと・・・着いた。女伯爵は・・・まだ生きてる・・・お願い・・・早く殺さないと・・・また・・・」
そのまま女性は・・・ジョゼフィーヌ・カリオストロは気絶してしまった。
年内中にあと一話は何としても!




