第八十四話 オーク女王のダンジョン攻略「くっ、例え身体を辱しめられようとも心ま(以下略)」 前編
タヌキ姉さんこと守鶴前が最近警戒と共に興味を示しているのが“澱みの沼”である。魔力を含んだ万能細胞のプールであり太古の地層の一部が丸ごと沼であるところまではスプリングの調査で解っている。
しかし、沼から魔物が生まれる理由や沼近辺のダンジョン化や魔物周辺に自然発生する魔道具等、まだまだ謎が多い。
「と、言うわけで結界の一部を解放して沼を発生させ研究をしたいのじゃが」
「タヌキ姉さん、以前沼が発生した時の悲劇を忘れたワケじゃ無いだろ?」
以前地下に沼が発生し、二名が犠牲となった男爵復活事件。その時は死んだ二人を魔物化させる事で蘇生出来たが、段蔵としては二度とそんな悲劇を繰り返したくは無かった。
「では段蔵、何も解らぬこの状況で押さえつけるだけで本当に安全であると断言出来るのか?押さえる事でより狂暴な魔物が出たり離れた位置で沼の被害が出たりしないと言い切れるのかえ?」
「む・・・むむむ」
「何がむむむじゃ」
「分かったよ、研究はOKだ。くれぐれも・・・いや、姉さんなら言うだけ野暮か」
「無論、安全は最優先事項よ♥️」
こうして戦闘力の高い人や魔物娘が湧き潰しをしながら沼の研究がスタートした。
「パーフェクト・ミョルニルにヴァジュラ・カスタム、千鳥・改にて電磁パルスを発生させながら沼にアクセス」
「OPI値はB90で安定」
「嗜好伝達ユニット顕明連(コピー)、大通連(コピー)、小通連(コピー)それぞれ異常無し」
「タヌキお姉さまを含めた被験者の魔物娘さん達が瞑想状態に入りました」
「TKBパターンPK行けます」
「叢雲・改を最大出力で放射!」
沼に向けて桃色のエネルギーが流れ込みその形が変化する。魔物娘の誕生とは違う人工物的な形状へと変化した。
「階段だ・・・」
それは地下へと続く薄紅色の階段だった。
「ふっ、成功じゃ、成功したぞ!」
「御前様、これは一体?」
「沼が魔物を生み出しダンジョンを形成するのならば、魔物娘を生み出せる妾達も妾達専用のダンジョンを作れるのではないかと!」
「ではこれが」
「そう、【マン回以上遊べる段蔵の素敵なダンジョン】じゃ!!」
その日から魔物娘達は・・・いや、家族達は暇潰しがてらダンジョン内で遊び始めた。
そして・・・。
「俺達はこれから訓練も兼ねたダンジョン攻略に挑む。内部には激レア魔道具や段蔵君が遊び半分に隠したとされる宝が存在し、手に入れた者の所有物にしても構わないそうだ」
「「「「Yeah!!」」」
それでは今回の挑戦者を紹介しよう。
★アンジェリカ・遠藤
クラリースの母、蘇生の際オーク・クイーンとなる。腕試しとして参加。
あたま:E【きれいなサークレット】炎に耐性
からだ:E【マイクロランジェリーアーマー】乳の敏感な部分と股の大事な部分だけを辛うじて隠している真っ赤な金属、何故か体全体を防御してくれる
ぶき :E【祈りの弓矢(訓練用)】魔力増加に加え矢を魔力で作り出せるようになる
★カスミ・遠藤
皇国の間諜兼段蔵の妻、母国への報告書が段蔵によって改竄されている事にまだ気付いていない。
あたま:E【冷静のネックスカーフ】防毒効果のあるマスクにもなる布、戦闘時に心の平静を保つ効果もある
からだ:E【退魔の忍者ボディースーツ】全身をぴっちり包んだ極薄のテカテカラバースーツ、一見ドコを守っているのか不明な形状だが、やっぱり何故か防御力が高い、決して“対”魔では無い
ぶき :E【破邪の小刀(訓練用)】呪詛の類を無効化する効果がある
★ルミナス・遠藤
世界最強魔法使い四極星の一人にして皇国の姫または大商人。ユナへの借金返済の為、一攫千金を狙う。カスミの報告書が改竄されている事は知っているが教えてあげない。
あたま:E【星の智慧社エンブレム入り海賊帽】水に耐性
からだ:E【星の智慧社エンブレム入りセクシー船長服】胸元がざっくり開いている色っぽい服、水攻撃力上昇
ぶき :E【水神の銛(訓練用)】水属性魔法に限り魔力消費量減少
★テトラ・遠藤
クラリースの叔母、段蔵と再婚してからはすっかり若返り女子レスラーになった。
あたま:【熱血リボン】試合の時に邪魔にならない様に髪を結ぶ為の真っ赤なリボン、髪の毛に対する攻撃を無効化する
からだ:【セクシーリングコスチューム】オレンジと緑を基調とした極小水着、掴み攻撃を強化
こし :【チャンピオンベルト】王者の威圧を放ち相手を怯ませる事がある
以上の四人である。メンバーを募集したアンジェリカをリーダーに攻撃重視のパーティーである。
「行くぞおら!!」
「「「お~~~~!!!」」」
第一階層は石壁で小部屋が多数あり、その間を迷路が埋めているといった感じだ。光源は無いハズなのに何故か不思議と暗くは無かった。
「姫様、拙者が先行して様子を見るでござる」
「頼むで」
カスミがたどり着いた小部屋ではスライムハーフ達が集まって戦闘訓練をしていた。スライムハーフとは何らかの怪我や病気で身体の一部を失った者がスライムと融合する事で再生した姿である。身体の一部をスライムに変化させる事で高い機動力と戦闘力そして再生能力を持つに至った中々の強敵である。
「皆様、この先にはスライムハーフの方々が訓練の為、陣取っております。訓練中の為かこちらの接近にはまだ気付いていない様子」
「だったら奇襲しか無いかな?」
その時、パラリと天井から砂粒が落ちてきた。
「うん?何や?」
ルミナスが天井を見ても特に怪しい場所は無い、無かったが・・・。
「アカン!全員前の小部屋にダッシュや!即、前方を片すで」
その叫びに全員が一斉に走ると背後から声が聞こえた。
「しまった、バレた」
スライムハーフ達は偵察に気付き逆に挟み撃ちにしょうとスライムの能力で天井を移動して背後に回ったのだが今度はルミナスに察知されてしまったのだ。
いきなり部屋に突入された事でスライムハーフ達の作戦が破られ混乱が起きる。
「ちょ!予定と違・・・!?」
「隙ありや!」
室内のスライムハーフを倒した後で遅れてやって来た連中も各個撃破に成功、相手方は二手に別れた事で戦力を分散させてしまったが為に敗北した形だ。正面から全員で迎え撃っていたら有利だっただろう。
「うわ~ん、悔しい~」
「おぼえてろ~」
「今度は私もパーティーに入れて下さいね」
スライムハーフ達はダンジョン内で手に入れた荷物を明け渡し撤退してしまった。このように自分達以外のパーティーとぶつかれば戦闘か逃走しなければならない、勝てば負けた側のダンジョン内で入手したお宝を奪う事が出来る。
「あの娘達、結構強いパーティーと聞いてましたから幸先が良いですね」
「しかしカスミちゃ~ん、諜報員が失敗したらあかんで~」
「面目ありません」
「まあまあ、相手は気配に殊更敏感なスライム系だ、仕方無いだろ・・・お!宝石の原石っぽいのが入ってたぜ」
「ガーネットやね、あとは風の魔力が宿った杖に・・・おりょ?亀姫の鼈甲やん、あの人また負けたんか」
荷物を整理して再び歩を進める。程無く下の階層への階段を見つけるが厄介な魔物娘が鎮座していた。
「うわ~、動く美女像の二人ですね」
「ふざけた態度とは裏腹にかなりの実力者だからな、まともに相手したら例え勝ってもかなり消耗するだろう」
「どないしよ?」
三人が悩んでいるとカスミが先程の挽回とばかりに手を挙げる。
「先程、別のパーティーが反対側の通路からやって来るのを確認したでござる。ならば我等は彼女達を誘導し美女像の二人にぶつけるのが上策かと」
「ほなそれで行こか」
やって来るはキミィ公率いる魔法中心のパーティー。
メンバーはキミィ公こと気狐キンバニー公爵に段蔵の領地である新フーディー領の魔法隊隊長メラルダ、潜入と火炎魔法が得意な赤いラミア娘、蟹尼僧の救蟹の四人、攻撃に特殊技能に回復と中々バランスの取れたパーティーである。
早速カスミは彼女達の前に飛び出して挑発。
「キンバニー公爵とお見受けいたす。噂の大妖術を確かめたく参上いたした。我等の挑戦を受けていただく」
「ふむ、未だ修行中の身ですが、そこまで言われれば引き下がれません」
「ならばついて来られよ」
駆け出したカスミを見て何らかの罠である事を看破したもののあえてキミィ達は乗る選択をした。
カスミを追いかけているとやがて動く美女像の二人が陣取る部屋へと辿り着く。
「カスミさんは・・・撒かれたか、いつ消えたか気付かなかったけど私達にあの二人の相手をさせるのが目的だったみたいね」
「にしし」
「ふふふ」
美女像二人は入ってきたキミィ達を獲物と定め悪戯っぽい笑みを浮かべ迫ってきた。その隙にアンジェリカ達は下の階層へと移動した。
「安い挑発でしたがこちらが乗ると知った上での事でしたか」
「あちらはルミナス様がいらっしゃいましたからね、腕試しよりも戦略・探索を優先したのでしょう」
「こっちは探索よりもバトルメインのメンバーだから」
「ただ彼女達が成果を得られる事を祈りましょう」
二階層目は森だった。天井はまるで存在しないかの様に青空が広がり、木々で囲まれた通路の所々に陽の当たる広場が点在しているといった感じだ。
先に進んだ広場の一角には女の子達がへばって休憩していた。
「おう、お前らその様子だと誰かに負けたな?」
「あ、アンジェリカさんだ~」
「チ~っす」
「ダンゾー様のパーティーとぶち当たって見事このザマですよ」
「ほう?段蔵君が?」
最強クラスのパーティーが同じ階層に居ると聞き少し興味が出た一行、美女像達同様に避けるべきかと悩むが、ルミナスは対戦を希望する。
「最強の相手なら持ってるお宝も相当なモンやろ?攻略法にアテがあるさかい挑んで見ぃひん?」
その言葉に一応様子だけでもと他の面々も賛同し探索すると案外直ぐに見つかった。
黒尽くめの忍び装備で陽炎の如く一人で立っている。
「ひそひそ(うわ~前よりも強者っぽい)」
「ひそひそ(あれが異世界の忍びのオーラでござるか、拙者対決は初めてでござるな)」
段蔵は隠れている四人の方を見ずに全て知っているかの様に語りかける。
「義母さん、そんなところに居ないで出てきたらどうです?」
気付かれたと思った瞬間ルミナスが前に出て大出力で水魔法を浴びせようと構える。
段蔵を狙うのでは無く広場ごと水で押し流そうという作戦だ。しかし、ルミナスが魔法を発動させる事は無かった。
「流石はダンゾーはんの一番弟子やね・・・」
「あったりまえよ。私を誰だと思ってんの?」
アスタルトのナイフがルミナスの首にピタリと当てられる。
「なはは、物音一つ立てず近づくなんて・・・」
「姫様!!」
「動くんやないでカスミ、うちらは詰んどる」
木陰からも二人伏せている気配がある。
「見逃してもらえるよう交渉するから待っててな」
◇ ◇ ◇
~おまけ~
「OPI値はB90で安定」
「嗜好(誤字にあらず)伝達ユニット顕明連(コピー)、大通連(コピー)、小通連(コピー)それぞれ異常無し」
「タヌキお姉さまを含めた被験者の魔物娘さん達が瞑想状態に入りました」
「TKBパターンPK行けます」




