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遊人現代忍者、王国ニ舞ウ  作者: 樫屋 Issa
怪盗 王国ニ舞ウ
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第六十八話 チャールズと少し不思議な砂糖工場

気付いたら結構期間が開いてたスマヌ

私チャールズ・ワンカは新たな希望を胸に一歩を踏み出そうとしている。

我が家は一昨年までアークド商会と取引をしていた食品専門雑貨店だった。当時は家族共々ぎりぎりの生活を送っていたのだがある日を境に商会は商品を卸さないと言い出したのだ。途方に暮れた我が家だったがそこで救いの手を差し伸べたのは急成長した星の智慧社でした。

そこからは驚きと幸福の連続です。仕入額は以前の半分になっているのに品質が以前よりも遥かに良くなったのだ。これにはお客様も非常に喜んでいただきました。

我が家は以前よりも生活が楽になり、従業員を雇う余裕まで出てきたところで星の智慧社ダン総帥から直々にお声が掛かりました。


「ワンカさん、貴方の調味料を見る目は実に的確だね。聞けばアークドから取引を打ち切られた理由は低質な商品ばかりを卸す商会に文句を言った為だとか、連中は流通ルートを独占して低品質な商品を高額で卸しているから貴方は疎まれたんだろう。だがこれからは違う、私はいままで良品と呼ばれていた商品を標準に設定して更なる高級品を生み出そうと考えている。基準の引き上げだな、これが成されれば王国は更に発展するだろう。その一環としてワンカさんにはとある工場の運営をお任せしたい、噂ぐらいなら聞いたことがあるだろう?」


私は店を息子に譲る事を心に決め総帥のお話を受ける事にした。

グレーのスーツに同じ色の帽子をかぶり茶色のヒゲをしっかりと整えて・・・そうそうお気に入りの馬の細工が付いたステッキも忘れてはいけない。私以外にも何名かの候補と面談して決定するらしいが・・・。


「いかんな、もっと自信を持たねば」


フーディー領までの迎えの馬車に乗って1日かかる、それまでに普段通りの受け答えが出来るよう緊張を解さなければ・・・。


◇ ◇ ◇


~フーディー領 砂糖精製工場~


この場には5人の候補者が集められている。

・食通といえば聞こえはいいがアジオ侯爵と違い暴食を好むエルフのオーガス侯爵

・若くして数々の魔物を退治したという紫髪の人間女戦士にして勝気な貴族令嬢スミレ

・アークド商会との間に黒い噂のある成金趣味な貴族娘、リス獣人のソルベル

・王立学院今期トップクラスの成績を誇る嫌味な貴族の息子カバ獣人のマーク

・グレーのスーツにブラウンの髭の人間の商人チャールズ・ワンカ


「やーやー、どーもど~も」


気の抜けた声とともにシルクハットに真っ赤なコートを着た領主であるダン・エンドー子爵が現れた。そのお気楽な様子にチャールズ以外が睨みつける。


「ブヒ、子爵風情が侯爵であるワシをいつまで待たせるんじゃ?」

「東方のサムライから学んだ我の剣術で細切れにしますよ」

「よくもまあこのような品の無い方々に声を掛けましたわね。オーク貴族に脳筋女、根暗男ときて最後に冴えないオジサマ」

「派手なだけで何の取り得も無い貧弱女が言ってくれましたね!」

「オーク貴族とはワシの事かブヒ!!」

「ケッ砂糖とかくだらねぇ、さっさとこの施設の最新技術を俺に寄越しやがれ」


殺気立つ面々を前にダン子爵は笑顔を崩さず両腕を広げる。


「あっれ~?そんな事言っちゃって良いんですか~?本日は特別ゲストとしてこちらの方をお呼びしてるんですよ?」


パッとダンが横にずれると背後の扉からは甘栗色の髪に白い肌のエルフの女性、レモン姫が入室した。


「何!?」

「レモン殿下!?」


レモン姫は優雅に扇子を口元に当てて微笑んだ。


「何を驚いているのかしらン?砂糖を自国生産可能にした一大事業なんだからン、王家が注目するのも当たり前よン」

「ははは、殿下もスゥイートでシュガーな女の子ですね。ええ、ええ、理解しておりますとも」

「エンドー子爵、私これでも成人していますのよン?」

「女性は何歳になっても女の子なのですよ殿下」

「余計な話はいいから、今日は貴方のジョークを聞きに来たのではなくてよン」

「そうでしたそうでした。決定次第お伝えいたしますので殿下は客室にてお待ち下さい、精製された砂糖を使った菓子にて存分におもてなしさせていただきます。本日のパティシエは帝国で修行を積んだというアジオ侯爵の三男ドモン・アジオ氏が担当いたします」

「フン、よしなに・・・と言っておきますわン」


レモン姫は顔見せのみで審査には参加しないらしい、ダンがパンパンと手を叩き候補者を注目させる。


「それでは当工場をご案内いたしま~す。業務内容がわからなかったら仕事になりませんからね」


一行が案内された場所は室内とは思えない足元に草が茂り澄んだ川が流れる不思議な光景だった。


「何故室内に草が・・・いえ、この独特の香りは・・・これはミントか?」

「ブヒ、この川も何か流れがおかしいブヒ何やらネットリとしているみたいな・・・」

『けろけろけろけろけろけろり~ん♪』


対岸から何やら楽しげな歌が聞こえる。

やってきたのは緑・赤・青・黄・黒・桃の不思議な肌の色をした6人の女の子。


「ダン子爵、あの女達は一体?」

「ああ、彼女達は南方の秘境に住まう一族“ウーパー・ルーパー”だよ。現地では“甘味を司る神官”という意味の古代語で、その名の通り砂糖精製を得意としているんだ。ルミナス船団との合併の際に紹介されてね、高給を条件に雇い入れたのさ」

「待つブヒ、あいつらが抱えている茶色い塊りは、まさか全部砂糖ブヒか?」


今の王国で高級品とされるソレを惜しげも無く目の前の川に投入していく女の子達にオーガス他数名は驚愕する。


「お待ちなさいな、この川は全て砂糖水なのですか!?」

「ブヒ!!」

「あっ、オーガス侯爵!?」


それを聞くや否やオーガスは川の水を掬い飲み始めた。


「ひひひ、甘露ブヒ」


やがて手で掬うのを止め直接川に口をつけて飲み始める始末。


「この工場を手に入れれば全てが手に入るブヒ・・・だが」

『けろりんりん、暴食貴族は奪って壊して平気で捨てる~♪かわいそうなコックさん~仕事も家も奪われて~とうとう川に落っこちた~♪』

「ブヒ・・・!?」

『けろけろりん』

「やめろ!ダン子爵、今すぐにあの不快な歌を止めさせるブヒ!!」

「何を興奮しておいでで?歌で仕事が捗るならアレくらい良いじゃありませんか」

「話にならんブヒ!!」


オーガスが直接止めさせる為川を渡ろうとするがダンは周囲に気付かれないようにサッとオーガスの足を引っ掛けた。


「ブヒ!?」


川に飛び込んだ瞬間魚のヒレを思わせる独特な形状の耳をした小さな女が視界の端に映ったのはオーガスの見た幻覚だったのだろうか?いくらもがいても川から抜け出せない。


「飛び込む程とは・・・我が社の新製品である水飴をそんなに気に入っていただけて光栄の至りです」

「も・・・もがが・・・」

「何ですって?ふむふむ『気に入ったからこのまま持って帰る』と?それでは外でオーガスさんごとパッケージして贈っておきますね。まあ、送り先は領地とは限りませんが・・・それではオタッシャ~」


オーガスを見送ったダンはそのまま何事も無かったかのように他の面々に笑顔で向き直った。


「さあさあ皆さん、見学は始まったばかりですよ。次の部屋へと向かいまShow」


一同が案内された部屋はカラフルな薬品がビーカーやフラスコ・試験管に入れられ並ぶ実験室みたいだった。


「ここでは香料・・・まあ風味の研究をしています」

「学院でも見たこと無ぇ上等なガラス容器使いやがって、こんなのは天才たる俺に寄越すべきだろう」

「ミント以外にも果物の香りが漂う、これは上質な香水としても有用やもしれん」

「なんだか暗くて可愛いくないですわ、華やかさを理解出来ない脳筋女にはお似合いでしょうけれどね」

「何だと?」


剣呑な空気になりかけたところで黒色のウーパー・ルーパーがお盆に小さな球を載せてやってきた。


「おお、試作の飴玉だね。ここで研究された香料が有効に活用されてる。ソルベルさんにはこれなんてどうかな?」

「甘酸っぱい・・・ミルクとベリーの香りがしますわ」

「スミレさんにはこちらかな」

「これは・・・前の部屋で育てられていたミントか?」

「マーク君もどうかな?」

「いらねぇよ、菓子なんぞに興味は無い」

「おまえ何で砂糖工場に来たんだよ」


スミレが何やら一人でぶつぶつ呟いている。


「そうだな・・・血の香を消すのに・・・」


ダンが話し掛けようと近づくといきなりスミレはサーベルを抜き放ちダンに突きつけた。


「ダン子爵・・・いや、新参者。今すぐこの工場・・・いや、領地の所有権を譲渡していただこう」

「ちょっとアンタ!頭イカレてるんじゃありませんこと!?」

「黙れ!幸い殿下は別室、厄介な極星の姿も無い、この場の制圧など一人でも可能だ」

「いやはや血生臭いお嬢さんだ、例え私がここで切り身になったとして目撃者を脅したり殺めたりして本当に上手くいくと・・・さっきから“ソコ”にある“ソレ”も君の差し金かな?」

「ソレ?」


スミレがダンの指差す方を向いた一瞬でダンはサーベルの柄を蹴り上げ空中でキャッチ。


「!?」


そのままスミレを薬品棚に蹴り飛ばした。雪崩れる得体の知れない薬品の隙間から狸獣人の美女がわらう姿を一瞬だがスミレは確かに垣間見た。

そしてどこからともなく現れるウーパー・ルーパー達。


『けろ~んけろけろ、強欲娘は人々脅し♪気に食わなければ斬り殺す~♪諫言メイドも壁の中~今頃腐り骨ばかり~♪』

「待て!貴様達何故それ・・・を・・・?」


全て言い終わる前にスミレの身体に変化が起こる。


「ををを~!?」


スミレはみるみるうちにプクプクの丸っこい球形になった。さっきまでの鍛えられた均衡のとれたボディーは何処へやら、見るも無惨な姿となってしまった。


「どうやら薬品が混ざり合って可笑しな効果が生まれたらしい、後で実験してみよう」

「バカな、あんな効果の出る薬や魔道具なんて聞いたことも無い」

「実際出てるモンは仕方ない、ウーパー・ルーパー達、その丸っこいのを外に出しときなさい」


スミレは玉転がしの要領で部屋から追い出されてしまった。


「さ~て、面白くなってきたぞ~」


次に案内されたのは様々なミニチュアが置かれた展示室だった。馬車・家・風車・植物・武具そして王国の中心である王城、どれもこれもが精工に作られていた。


「チッ、今度はオモチャかよ・・・」

「いえこれは・・・甘い香り・・・全部お菓子で作られています・・・わ」


バニラの甘い香りに包まれたソルベルの視界がぼやける。彼女は夢見心地でお菓子でできた舞踏会場に立っていた。あの歌が木霊する・・・。


『けろけろけろり♪我侭娘は何でも持ってるドレスに指輪にネックレス~、それ以外は何にも視えない、喩え貴女の所為で重税に苦しみ泣いている人が居ても~♪・・・・・』


これまでと違い一度歌が止まった。

そして6人のウーパー・ルーパーの瞳が一瞬だけ緑色の輝きを帯びた。


「貴女はエメラルドの女王に魅入られたケロ」

「女王は貴女の我侭も罪も受け入れてくれるケロ」

「ケロケロ貴女が罪悪感に押しつぶされそうになっても」

「エメラルドの女王は貴女を抱きとめ癒すケロ」

「その時貴女は本当の深く美しい欲望を知るケロ」

「ケロケロ、そこから一歩踏み出して私達と一緒に何処までも堕ちていきましょう」


ダン・・・いや段蔵は戸惑っていた。


(!?打ち合わせと歌詞が全く違う?どうなってやがる?というか一瞬だけ居ないハズのクラリースの気配が・・・)


本来は混乱したところを蹴落とそうと仕掛けていた落とし穴をソルベルは見つめている。その暗闇の奥底にエメラルドの瞳を持つ母性の存在を感じたのは・・・恐らく間違いではないのだろう。

そうしてソルベルは自ら落とし穴の中に飛び込んだ。


「・・・・・かなり奇妙な出来事が起こった気もするけれど検証は後にして次の部屋へと参りましょう」

「あっ・・・ああ」

「・・・」


次に三人が入った部屋は他のどの部屋よりも異質だった。

部屋には大きなガラスが一枚張られその向こうでは少々変色して四角はモヤがかかったみたいにボヤけているが王国第三王女メアリと三将軍(今は二将軍)の一人であるマイクローナが仕事をしているのだ。


「どういう事だ!?視察はレモン殿下だけでは無かったのか?」


ガラスの向こうは執務室に見える。二人が細かく打ち合わせをしている様子は見えるが声は聞こえない。


「どういう事だ?」

「ダンジョンなどで発見される【遠見の水晶】はご存知ですか?」

「たしか聖ルブラン国と砂漠のソーラ王国に有るとかいう遠くの景色を映し出せる幻の魔道具だったか?」

「その通り、よくご存知」

「馬鹿な!アレは片手に収まる大きさだったハズだ!こんな巨大な・・・」


その時、ガラスの向こうのマイクローナがこちらに何かを書いた紙を向ける。


『そろそろ茶が飲みたい』

「かしこまりました」


ダンが一礼して手を叩けばティーセットと菓子を載せたお盆を持った赤いウーパー・ルーパーがやって来て遠見のガラスの横に設置された人一人が入れる程のガラス張りの小部屋の中に持っていたお盆を置いて扉の横のスイッチを押すとプシュ~と小部屋の中に白い煙が充満して、やがて煙が晴れれば中の物はキレイサッパリ消失してしまったのだ。

ダンが遠見のガラスを見るよう促すと、先程のお盆がマイクローナの手にあるではないか。


「バカなアポートの魔法だと!?」


ガラスの向こうの二人は優雅にティータイムを始めている。その様子を満足げに眺めるダンにマークは怒りがこみ上げて来る。


「おい!アンタはこれだけの技術を持ちながら砂糖や菓子みたいに下らない事にしか使わねぇのかよ!?」


そんなマークにダンは“ナニイッテンノコイツ”みたいな表情を向ける。


「こんな設備を作っておきながらアンタは有用性を何も理解していない!これがあればあらゆる場所に兵や物資を送り込めるんだぞ!この王国を世界の支配者にする事だって可能なのに!!」


ダンは相変わらずボケ~としている。


「アンタじゃ話にならん!俺が直接メアリ殿下に有用性を伝える!軍事担当のあの方ならば理解してくださるハズだ」


マークは小部屋に入りスイッチを押すよう喚き散らす。

ダンはやれやれといった感じでスイッチを押す。小部屋の中が白い煙で満たされる前にウーパー・ルーパー達が歌いだす。


『けろりんりん♪自信家学生は人捕まえて~毒を飲ませて火で炙り斬ってバラして実験した~♪』

「何でその事を・・・貴族で天才の俺の実験体に成れたんだ!クソ虫が何匹死んだって・・・むしろ光栄に・・・」


煙が晴れるとそこにはマークの姿は無かった。遠見のガラスにもマークの姿は無い、彼は完全に消えてしまった。


「おやおや~?残ったのはワンカさん一人?Congratulation!貴方には最後の部屋へ立ち入る権利が今与えられた!」


バンバンと力強くワンカの背中を叩くダン、彼は次の部屋への扉を指差し一緒に入るよう促す。

部屋は小さく複数のスイッチが並んでいた。


「私は一目見た時からわかっていたよワンカさん、やっぱり貴方だ!貴方しかいない!」


そしてダンは部屋の中の一際大きなスイッチに手を伸ばす。


「コレ押したくてウズウズしてたんだ~。いや、限界だ!押すね」


その瞬間小部屋そのものが上昇、そしてこの不可思議な砂糖工場の最上階への扉が開かれた。

そこは屋上、良く晴れた青空の下用意されたテーブルにはお茶と菓子、優雅に腰掛けるレモン姫とグレーのスーツに同じ色の帽子をかぶり茶色のヒゲそしてお気に入りの馬の細工が付いたステッキを携えた紳士が恐縮した様子で椅子に座っている。

その光景にダンの隣に居る人物は驚愕した。


「何故・・・何故貴様が此処に・・・」

「おや?彼とお知り合いですか?彼はここに馬車で来る途中で襲撃を受けた“チャールズ・ワンカ”さんですよ。まあ、襲撃を指示した貴方なら知ってて当然ですよね?ワンカさん・・・いや、ジム・モロアッチ38号!!」


ズバッっとダンが飛び上がり2人のテーブル付近に着地する。


「おのれ・・・おのれ!何故気付いた!」

「まあ、本物のワンカさんには悪いが今回の催し自体が最初から捜査部隊との合同で進められた犯罪者捕縛計画の一環だからな、先に外に出た連中には既に捜査部隊の取調べと家宅捜査が開始されている」

「なるほど、俺達はまんまと釣り出されたという事か」

「乗っ取りに関しては俺も商売柄人の事を言えた義理では無いがね、それにしてもお前達のは趣味が悪すぎる。ワンカ家の他の家族も皆殺しにしようとするとは胸糞悪い・・・故に遠慮無く叩き潰してやったよ」

「くそ!かくなる上は・・・」


偽ワンカことジム・モロアッチ38号が懐から錠剤を取り出して飲み込む。そして膨れ上がる魔力と殺気。


「げははははは、こうなれば貴様等全員皆殺しだ!」

「まあ、これも人の事言えんがお決まりのパターンだな。うん、様式美は大事」

「ここまで間近で魔物化を見るのは初めてねン」

「あわ、あわわわわ」

「ふむ、従業員は全員避難したな、それじゃあ全員テーブルの近くに集まって~」


ダンの言葉通り全員がテーブルの近くに集まったところで(略)38号が駆け出した。しかし、その瞬間テーブルの周辺以外に亀裂が走る。


「何だとおおおぉぉぉぉぉ!!」


そしてテーブル周辺を残し一気に崩れる工場、哀れ(略)38号は崩れ行く工場の下敷きとなってしまった。

上空には風魔法でテーブル周辺を支える漆黒の騎士の姿があった。


「それじゃあこのままお茶でもしながら本物の工場へ向けてしゅっぱ~つ」


◇ ◇ ◇


以降私は手探りながらもこの工場の代表として働いた。

ダン総帥から下された指示は3つ、

・生産数よりも安全性を第一に考える事

・疲労は良い仕事の敵、しっかり休みを入れる事

・より良くより楽しくなる方法を常に考える事

今から思えば逮捕された連中を私に見せたのは私に対する戒めだったのかもしれません。

この3つの指示は必ずや次代に繋げようと私は心に誓った。


◇ ◇ ◇


~種明かし~


ウーパー・ルーパー達の正体は当然カエル娘達、この日の為に練習していたが第三の部屋でクラリースの介入を受けて台詞の変更を余儀なくされた。

第一の部屋で自領で好き勝手やった挙句少なくない人数を破滅させたオーガス侯爵を水飴のプールに沈めたのは水の妖精ウインター、彼は首から下を飴で固められた状態で捜査部隊の取調べを受ける事になった。

第二の部屋では武術の実力者ながらその事で周囲を(時に親兄弟をも)脅迫あるいは殺人まで行っていたスミレがああなったのは薬品の所為ではなく潜んでいた守鶴前(の分身)の幻術です。ちなみにスミレは真面目に修行すれば段蔵やアイリーンに迫り、次期三将軍にも納まる程の才能を持っていましたが自らの行いでその未来を潰してしまいました。

第三の部屋でも守鶴前の幻術が使われましたが本来はソルベルの罪を糾弾し奈落へ落す予定だったのですが魔物娘の眼を通してソルベルを視たクラリースからの誘惑を受けそのまま仲間入りしました。法外な税の取立てを行っていたのは彼女の実家ではありますが彼女自身は我侭ではありましたが直接悪事に加担していたわけではありません。実家は捜査の末違法行為が発覚し処罰を受けましたがソルベル自身は取り調べを受けずに行方不明という扱いになりました。

第四の部屋はガラスのスクリーンの向こうに王城内のメアリ姫達が映し出されている・・・と見せかけて実は普通にセットを組んだハリボテです。ガラスの向こうの二人も嫁軍団で容姿と種族が比較的近い者を選んで変装させているだけで普通に声も聞こえています。複数の人間で密かに人体実験を行っていたマークですが犯罪組織ジム・モロアッチとは無関係でした。彼が転送され(当然転送装置自体もインチキでしたが)目を覚ました場所は牢屋の中です。

屋上ではレモン姫とワンカ氏におもてなしをしつつ余興代わりに偽ワンカの正体を暴き魔物化した(略)38号もろともインチキ工場を自壊させました。上空で待機していたオデットに足場を確保してもらい本物の工場で経済担当のレモン姫と打ち合わせを行い正式にチャールズ・ワンカ氏を工場長に任命しました。

できれば近いうちにもう1作

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