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遊人現代忍者、王国ニ舞ウ  作者: 樫屋 Issa
怪盗 王国ニ舞ウ
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第四十四話 パロット王子、ナイアールニ出会ウ 前編

この国の・・・そして段蔵にとっても重要人物の一人であるパロット王子登場

「マイクローナ将軍?私は貴女を大切な親友であると今でも思っていますが何故今回のナイアールことダン・エンドー子爵の監視に異を唱えるのでしょうか?」


メアリの部屋で茶菓子をつつききながら親友の話を聞くマイクローナ将軍は呆れ顔で答えた。


「予算の無駄だからです敬愛すべき我が親友のメアリ殿下」

「無駄って事は無いでしょう?今は表向き味方してくれていても将来的にどうなるかは不明です。その時の為にしっかりと情報収集しておく必要は貴女も理解しているでしょ?」

「我が王国にナイアール以上の諜報員が存在すれば、の話ですがね」

「うっ・・・」

「去年も同じ事を言って最も優秀な諜報員男女一人ずつにダンの監視を任せたが、男の方は監視初日の夜に宿に帰ると彼自身が調査した内容・監視場所・三食のメニュー・監視時の注意点が細かく記載された書類がテーブルの上に置かれていたそうだ。更に3日後、ダンは彼に変装して高級店でツケで飲み食い最終的に金170万程を彼に押し付けて追い返したそうだ。彼は二度と諜報活動はやらないと言って泣きながら実家に帰って行ったよ」


この時財政管理に厳しいレモン姫に立て替えた金170万の用途を問い詰められ誤魔化すのに二人は相当苦労したのは苦い思い出だった。


「・・・そんな事もありましたね。そういえば女性の方がどうなったかは聞いていないのですが?」

「ああ、彼女は最初は順調だった。少なくともそう思っていた。ダンから嫌がらせを受ける事無く必要な情報を送ってくれていたんだが、ある日を境に徐々に送られてくる情報の精度が濃密になってきた」

「それは・・・上手くいっていたのではなくて?」

「私も最初は喜んだが、日に日に調査内容がダンに近づいていき遂に屋敷の中に、ダンの日常生活に、そしてベッドの中での行為を細かく報告してきた時に全部掌の上だった事に気付かされたよ」

「ベッドの行為・・・それで彼女はどうなりましたか?」

「ダンの元で諜報技術を磨いたらしく一応優秀な諜報員として前以上に活躍している・・・が、実質ダンの部下として逆に我々を監視しているんじゃないかな?」

「え゛?」

「彼女を呼び戻した時に『ダン様から頂いているので今後は王国から給金を求めない』と言ってきたよ、幾らもらっているか聞いてみたら正直に答えてくれた」

「ええっと、貴女の給金が確か月100万程でしたか?」

「そうだね、その他の特別手当を入れると何だかんだで年1500万位になるかな?」

「彼女のそれまでの給金は?」

「一般諜報員より高めの月25万程だったかな?それで彼女が今、ダンからもらっているのが・・・」

「う~ん?50万位?」

「200万だ!!」

「月200万!?!?」

「それだけじゃない!危険手当とやらが月200万で、それとは別に持ってきた情報の重要性に応じて別途で手当てが支払われている。前に違法魔法薬密売組織を壊滅させた時も彼女の調査した情報が決定打となったのだが、その時は2000万もらったそうだ、無論前述の危険手当とは別にな」

「にせん・・・いくさにおいて情報は宝石の価値があるとはよく言いますが下手な美術品よりもお金を掛けていますね」

「この話を聞いた時は流石に羨ましかったよ。わたしもダンの部下になってみようかな?」

「それは止めてください」

「あはは、冗談だよ冗談。で、何の話だっけ?」

「ええっと・・・そう!ダン氏の監視の話でしたね。予算の無駄どころか損害の方が大きいのは良く分かりました」


そんな話をしていると扉の向こうからくだんの彼女の声が聞こえてきた。


「マイクローナ将軍、妹君のシャーロット様が面会を求めております。あと、私はダン様の部下では無く妻です。次間違えたら城内に下着の色を言いふらしますよ」

「あっ・・・はい、一応私は上司なんだけどな・・・」


扉の向こうから騒がしい二人の女性の声が聞こえる。


「それでは許可が下りましたのでお入り下さい」

「え?このお部屋はメアリ姫様の私室では?よろしいのですか?」

「貴女の姉君であるマイクローナ将軍は若くして大型魔物の討伐、対ヨグス戦での敵将多数撃破、帝国との合同演習での策による勝利、正に姫様の親友として相応しいお方です。そして姫様の親友の妹君ならばそれは姫様の親友も同然なのです」

「んなっ!!・・・ナルホド、そう言われるとそんな気がしてきました」


扉の向こうでのそんなやり取りを聞きながら(無論わざと聞こえる様に話しているのだが)マイクローナは頭を抱えた。


「私の愚妹が色々失礼な事を言ってすまない、アイツは昔から馬鹿で莫迦でバカでどうしようもない奴なんだが悪い奴ではないんだ。ただ変わり者と言うか・・・・・」


古くはコナン帝国から友好の使者として移住して来た武家の名門であるホムズ家、シャーロットはその家を出る時『メイド王に私は成る』などと意味不明な言葉を発して飛び出してしまった。

ホムズ家では数十年に一度、変わり者が現れてはその道の第一人者として有名になるといった奇妙な血が流れているという。


「失礼いたしますメアリ殿下、姉様もお久しぶりです」


スカートの端を持ち上げ会釈するその姿は白と紺を基調とした典型的なハウスメイドの姿だった。茶色の犬耳尻尾を持ちにこやかな笑みを湛えている。


「本日はお姉様にお願いがあって参りました。去年から今年に掛けて私がメイドとして入った家では何故か長続きせず追い出されてしまうのです」

「そりゃシャーロットが下手な事してるだけじゃないのか?」

「最初はダンドレジー男爵家でした」

「「!!」」


メアリとマイクローナは危うく紅茶を噴出すところだった。


「次に入ったのはホピタルス邸、その後ヤベーゼ家等々数軒のお屋敷で仕事をしましたが何れも同じ理由でクビになっています」

「へっ・・・へ~~~~」

「そう、最初のダンドレジー家以外では多面怪盗ナイアールが現れ不正が露見しショルメ様に逮捕される」

「・・・・・」

「実はナイアールともつながってるんじゃありませんか?そう考えると最初のダンドレジー家も私が気付かなかっただけでナイアールやお姉様とも関係あったのでは?な~んて」

「・・・何が言いたい?」

「このメイド王たる私に相応しい最高難易度の仕事を斡旋していただきたいのです」


その話を聞いたメアリ姫に一つの妙案が浮かんだ。


「ありますよ、使用人として最高難易度の仕事が」


シャーロットが連れてこられたのは質素な扉の前、現国王第三子でメアリの兄であるパロット王子の私室だった。


「ここはまさか!?」

「そうです、貴女には兄上のお世話をしていただきたい。兄上は頭が良く非常に気難しいお方、並みの使用人や家庭教師程度なら逆に言いくるめられて追い出されてしまうので注意してください」

「そうですか・・・パロット様の・・・ふふふ・・・」


シャーロットは勢い良く扉を開け部屋の主人に挨拶した。


「今日から愛妾になりに来ましたシャーロットです。今後一生お仕えいたしますのでよろしくお願いします」


『バタン!!』と扉は閉められ鍵まで掛けられてしまった。


『いきなり何だキサマは?』

『先ほど申しました通り愛妾です。ああ、心配しないで下さい正妻の座なんて面倒なモノは狙っていません。掃除とかお茶のご用意は適当にさせて頂きますのでお気になさらず。何でしたら既成事実を・・・』

『おい!人の話を聞けよ!!』


部屋の前から去った二人は若干の不安を覚えながらも部屋に戻った。


「良いのかメアリ、私が言うのもアレだが」

「兄上には新たな刺激が必要なのです。もう少ししたら“彼”にも兄上の教育をお願いしようと思っています・・・天井裏で散歩しているそこの貴女もその事を彼に伝えておいてくださいな」


◇ ◇ ◇


~数日後 王都~


彼女が軍で訓練を受けてから恐怖という感情が湧いてくる事は無くなった。今はただ与えられた仕事をこなすだけである。そんな彼女の数少ない愉しみは料理を作る事、今日も任務の合間に調理してお腹いっぱい食べたところだ。彼女の故郷では食べ物が少ないので腹を満たせる今の役職は結構気に入っていた。


ザン


見れば彼女の胸から見た事の無い形状の刃が生えていた。彼女はその光景を『怖い』と数年ぶりに認識して事切れた。


「ダンちゃん、何も殺す事は無かったんじゃないかい?」

「左様、この女はヨグスの間者、重要な情報を持っているかも知れぬぞ?」


二人の女性・・・片方は青髪のラフな格好のリス獣人でもう片方は背が低く栗毛色の髪をした東方に多いドワーフ系のエルフが容赦無く背後から女性を殺めた段蔵と親しげに話している。


「女好きのダンちゃんらしくも無い・・・」

「そう思うならその女が出てきた家の中を見てみろ」


エルフの女性が中を覗くとあまりの凄惨な光景に顔をしかめた。


「うっ・・・女子供も容赦無しか・・・」


獣人の女性もその光景に唖然としている。


「鍋の中に入っているアレってもしかして人間の・・・人食い・・・なの?」

「分かったろ?ヨグスの連中相手にまともな倫理観を持っているとは思わない事だ。情けを掛ければ命を落とすぞ」


二人の女性は感嘆の声を漏らした。


「ダンちゃんみたいな優秀な諜報員が居るならこの国は安泰だね。内部抗争が長引くなら領土を掠め取ってやろうと思ったけど止めた方が良さそうだ。皇帝陛下に良い土産話が出来たよ」

「我が国もエルキュリアが乱れるならば貿易を控えるつもりだったが杞憂であると龍皇ペンドラゴン様にお伝えしましょう」

「おう、次はベッドの中で勝負しようぜ」

「なはは・・・それは遠慮しておく」

「左様、拙者も勝てぬ戦には手を出さぬ主義ですから」


そう言って二人の女性と別れた段蔵は大通りから王城へと向かった。手には一枚の手紙、メアリ姫からの親書だった。

ジェーン姫は法律と芸術が大得意 レモン姫は政治と経済が大得意 メアリ姫は軍事と武術が大得意そしてパロット王子は全ジャンルが姉妹に少し劣る程度に平均して得意です。

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