第三十六話 夢幻の怪盗紳士 夢魔襲来編
結構時間が掛かってしまいました。某怪盗ゲームの女性人格で各属性の最強キャラを作る計画も何とかレベル上げだけになったので漸く余裕が出来ました。三周目も頑張ろうと思います。
深夜、若い男女が山道で山賊に追われていた。
女の手が山賊に捕まり男は必死に山賊に挑みかかるが荒事が苦手な男は棍棒で打ち据えられてしまった。
あわや女性の危機といったところで一陣の黒き風が吹き抜けた。
そこに立っていたのは異国の民族衣装を纏い見慣れぬ刃を持った緑髪の女、女は流れる様な動作で山賊を斬ると何かを堪えているのかその場に蹲った。
「あの・・・、助けていただきありがとうございます」
「どこか具合でも悪いのですか?」
二人が緑髪の女に声を掛けると女は急に立ち上がり、真っ赤に染まった瞳を二人に向けた。
その燃える様な瞳を見た瞬間、二人は力が抜けてその場にへたりこんでしまった。
何とか立ち上がれるまでに回復する頃には緑髪の女の姿は無かった。
「何だったんだろう・・・あの人」
「・・・何だかあの目を見てから身体が少し熱いみたい」
◇ ◇ ◇
俺はまだあの血濡れた広間に居るのだ。こんな恐ろしい自分自身を見て藻掻き苦しんでいるのだ。
そうして目が覚めると同時に大勢の人を片ッ端から斬り殺そうとしているのだ。
しかし、「そうではない」と否定した彼女達の鼓動を俺はただ感じていた。
意識が覚醒し始めると最初に感じたのは甘く滑らかな肌の感触、いつまでも溺れていたい気もするがいい加減に起きなければお礼の一つも言えやしない。
段蔵はそっとクラリースの体を横に移した。クラリースから少し悩ましげな声が漏れたが気にせず周囲を見てみると女の子達が床で雑魚寝をしていた。
「皆には助けられたし、俺がメシでも作るか」
眠り過ぎで少し重い頭もナノマシンの効果かしばらく待てば治まった。今日も楽しい一日が始まるかと思うと心なしか気持ちが弾む。
少し昔を思い出しながら子供の頃好きだった卵焼きを作ってみたくなった。
「だから何で私の格好で厨房に立つかなぁ?」
「気にしないで、自分の腕を確認しているだけだから」
厨房では二人のジェインが朝食を作っていた。他の料理人の女の子達は踊る様に料理を作る二人の手際に感嘆の吐息を洩らした。
「普通の卵焼きですね。でも、ほんのり甘じょっぱくて美味しい」
「ハムとか野菜も一緒に巻き込んでおくかな」
次々と色んな卵焼きを作る段蔵、その顔には暖かな笑顔が浮かんでいた。
改築して大きくした食堂で皆思い思いの朝食をたべている。段蔵の卵焼きの評価は普通だった。でも、高級料理を目指したわけじゃない普通の料理だったから段蔵としては満足だった。それでも、分かってくれた娘が何人か居たらしく時々、段蔵の卵焼きのリクエストが入るようになった。
「みんな、今回は本当にありがとう。みんなを迎え入れていなければ俺は未だに悪夢の中を彷徨っていた事だろう、月並だけど一人づつ俺の出来る範囲でお願いを聞いてあげるよ」
この言葉がいけなかった。ここぞとばかりに有り得ないような“お願い”が一気に嘆願書として妻達の管理人である守鶴前の元へと寄せられたのであった。
「段蔵や、ユナを筆頭に幼女達から“抱いて欲しい”と来ておるぞ」
「無理だ~~~~~~!!」
「地球の中世でも12・3辺りで、というのも珍しくは無かったからのう」
「無理だ~~~~~~!!」
「この国も同じみたいじゃぞ?」
「無理だ~~~~~~!!」
「ホントは興味あるクセに」
「・・・・・・うん・・・・・、それでも無理だ~~~~~~!!」
狸姉さんがヤレヤレといった顔でため息一つ吐くと代替え案を提示した。
「妾も流石にそこまでヤレとは言わん。心身共にしっかり成熟させてからでなければ色々危険じゃからな。しかしアヤツ等とてお主の立派な妻なのじゃ、本番はナシにしてももう少し踏み込んで良いのではないか?性教育の一環としてな、実際に見せた事はあるんじゃろ?」
「ハイ、アリマス・・・」
最初はノーマン姉妹だけだった幼妻も今では別の孤児を引き取ったり未亡人の連れ子を受け入れたりで結構人数が増えている。手は出していないものの、どういった行為をするかはしっかり学んで正しい知識を身に着けて貰いたい・・・という名目で“実演”して見せた事は数回ある。
「Bまでくらいなら十分アリじゃろ?その後は妾達からも説得しておくから今の内にある程度は“仕込んで”おけ」
結局、幼妻達には真心を込めたマッサージ大会が行われ彼女達の体型をより美しく成長させる要因の一つとなった。出入り禁止を食らったクラリースは大変悔しがったといふ。
それ以外には美味しいものを食べたいだとか新しい服が欲しいなどだったが、ユノ達芸術家肌の女の子からは劇場に連れて行って欲しいというものもあった。
「大劇場の人気演目って聞いてたけどあの演技ならダンゾーの変装の方が面白いわね」
「お褒めに預かり光栄です」
こうして何とか幼妻組の願いは叶えられた・・・・・当然本番はこれからである。
「段蔵よ、実際にどれだけ手を出した?」
ある休日、狸姉さんに呼び出された段蔵は椅子に座らされ尋問に近い形で質問を受けていた。
「全体の7・・・8割くらいかな?」
「遅い!!全然ダメ!!NG!!」
狸姉さんは机をバン!と叩いて威嚇する。
「姉さんがじゃんじゃん連れてくるから間に合わないんだろ~~~?俺は悪くねぇよ」
「甘い!!氷砂糖よりも甘い!!クラリースはとっくに全員口説き終わってお主が手を出すのを一応待っておるのじゃぞ!!このままでは我慢の限界を超えたクラリースがお前の妻達を貪り食らうぞ」
「やべぇ、妻に妻を寝取られるとかイミフ過ぎる」
そこにネフティスがハイテンションで入ってきた。手には何やら桃色の液体が入ったカップを持っている。
「守鶴ちゃんや、準備が整ったぞ」
「うむ、お疲れネティちゃん」
「おい、何だその怪しげな液体は」
段蔵が椅子から立ち上がろうとしたがその体は何かに固定されたかの様に動かない。
「キタネーぞ、俺に暗示を掛やがったな!!」
「そんなだから夢魔なんぞにあっさりと取り憑かれるのじゃぞ」
「済まぬな段蔵様、守鶴ちゃんの命令は絶対なのじゃ。大人しく口を開けて飲んでしまえ」
意志とは反対に大口を開けて謎の液体を飲まされる段蔵、早速体に変化が始まった。
「暑い・・・今日こんなに暑かったか?いまの・・・くすりはいった・・・い?」
「連中の魔物化薬のサンプルから作り出した精力剤じゃ。魔物にはならぬが、モンスター級の絶倫になれるぞ」
「まものか・・・ってなんだっけ?」
「思考が纏まらなくなってきたか?どうせナノマシンの再生能力で元に戻るじゃろうが。ネティちゃん、どれだけで元に戻るんじゃったか?」
「ナノマシンは身体に深刻な悪影響を及ぼす毒素を無効化する機能があるらしいが、今回の精力剤は有害物質を排除し可能な限り体に負担が掛からない様調整しておる。凡そ2時間・・・といったところじゃな」
「そして隣の部屋には順番待ちの娘が全員待機状態」
段蔵は狸姉さんとネティに両腕を捕まれ隣室のドアの前まで連れて来られると尻を思いっきり蹴飛ばされて部屋の中に飛び込んだ。
「あっ!ダン様やっと来た!!」
部屋には香が焚かれ酒と果実がテーブルに並べられていた。段蔵の目に複数の肌が映ったその後の記憶は残っていない。
◇ ◇ ◇
「30分経過か?折角じゃから妾達も交ざるかのう?」
「くっくっくっ、若い男の青臭い欲望を浴びる事がここまで楽しいとは生前は知らなんだな。良き巡り合わせに感謝じゃ」
二人が隣室の扉を開けるとそこには濃密な男女の香りと床に転がる女性達だった。
「お・・・おい、一体どうしたのじゃ?」
「全員気を失っておるな。む?この娘、意識があるぞ」
女の子の一人が肩で息をしながら虚ろな瞳で笑みを浮かべながら天井を見ていた。
「御前・・・様・・・?ダン様は凄・・・い・・・わたし幸せ・・・ガク」
そのまま女の子は気絶してしまった。
「余程過激なプレイじゃったらしいが肝心の段蔵は何処へ消えた?」
「守鶴ちゃん!アレ」
ネティが指差した方を見れば天井板の一部が外されていた。恐らくあそこから段蔵は部屋の外へ出たのだろう。
「いかん!薬が強すぎて制御が効かなくなっておるんじゃ!」
「守鶴ちゃん、早く屋敷全体に念話をして」
~厨房~
『というわけで段蔵は暴走して性欲魔神になっておるから迂闊に近寄らない様に、〇〇歳以下は建設が終了している地下談話室へ避難、その他の者は体を張って足止めをしてくれ。捕まったら今日一日まともに足腰使えなくなるから注意じゃ』
そんな言葉が屋敷の女性全員に念話で伝えられた。
最近ジェイン料理長の指導の元見習いとして勉強しているこの猫獣人の娘がその念話を聞いた時には既に手遅れだった。一緒に昼食を任されていた仲間達は恍惚の表情で気絶していて自分は辛うじて意識を保っていたが全身に力が入らない。そんな時、厨房に一人の女性が入ってきた。
「あら?お昼ご飯が遅いと思ったらこっちで大暴れしてたのね」
「奥様」
クラリースは厨房でダウンする彼女達を眺めながら片手でメガネを押さえ意識が残っていた猫獣人に近づいた。
「何が“奥様”ですか?いけませんよ、貴女も私と同じ“奥様”なんですから、ちゃんと自覚を持ちなさい。それで昼食ですが・・・」
「申し訳ありません・・・この状態ではしばらく料理ができません」
「何言ってるの?料理なら完成してるじゃない、目の前に」
そう言うとクラリースはエメラルドの瞳を妖しく輝かせ猫獣人を食べて(暗喩)しまいました。
食べられた(暗喩)猫獣人は今度こそ意識を失ってしまいましたとさ。
~地上の談話室~
段蔵が正気を取り戻すと腕の中でぐったりと脱力しているアルラウネがいた。それだけではなく部屋を見回せばメイド・貴族母娘・魔物娘・女戦士・女魔法使い・尼僧・妖精も甘い声を洩らしながら倒れている。
「ど・・・どゆ事?」
そこに入ってきた狸姉さんとネティ。段蔵はわけがわからないまま呆然としている。
「おお、正気に戻ったか段蔵」
「結局追跡に必死で楽しめなかったのう、残念じゃ」
「???」
「まだぼんやりしている様じゃな?寝室まで連れて行くか?まだ効果が残っておるみたいじゃし」
「うむ、遅くなったが妾達も楽しみたいしな」
ズルズルと引きずられて行く段蔵は最後まで理解が追いつかないまま残りの時間を寝室で過ごした。
後日、『もう一度薬を飲んで欲しい』というリクエストが狸姉さんの元に大量に寄せられることになるのだがそれは別のお話。
そんなこんなで日々を過ごしていたある日、屋敷に一人の女性が現れた。
「たのもう、たのも~~~~~う!!」
大きな声を張り上げて家人を呼ぶ来客に、門番の女兵士がやってきた。
「あの、当家にどういったご用件ですか?」
「うむ、刀を・・・アメノムラクモの所有者に会わせていただきたい」
そう日本語で答えた。
女性を客間で待たせてあると報告を受けた段蔵が部屋に入ると、薄紅色に無数の小さな蝙蝠の柄が入った着流し姿で頭と腰に蝙蝠の翼が生えた緑髪の女性が優雅に座って紅茶を飲んでいる。
「お待たせしたかな?俺が叢雲・改の現在の所有者である遠藤段蔵だ」
「突然の来訪をお許し願いたい、拙者はモルガン。遠藤殿が叢雲・改と呼ぶ刀を賭けて拙者と勝負をしていただきたい」
いきなりの決闘宣言に面食らった段蔵はしばし考える。
(やべぇ、超絶断りてぇ・・・でも体つきがいやらしいから何とか懐柔出来ないかな?)
「何故この刀を狙う?見たところ君も・・・」
「拙者の事はモルガンとお呼び下さい」
「失礼、モルガンもこの刀から産まれた魔物娘のようだがその事と何か関係しているのか?」
モルガンは瞳をぱちくりさせて驚いている。
「拙者が・・・魔物・・・そうか・・・拙者は魔物であったのか」
「この世界の魔物は基本的に食欲しか考えない人類の明確な敵だ。しかし、この刀で魔物が発生する“澱みの沼”を浄化すると沼そのものが魔物の特徴を備えた女性に変化する。おそらくモルガンもそうして産まれたのではないか?」
モルガンの発生原因については段蔵にも多少心当たりがある。あの夢の中で夢魔が隠れていた“澱みの沼”アレに霊力を流した時に発生した可能性が高いだろう。
一方のモルガンも自身の目覚めた状況と今の段蔵の説明である程度理解をした。
「こちらとしてはモルガンの身柄を屋敷で保護しておきたいんだけど、仕事と食事と寝床と賃金の保証はしよう」
「有り難い申し出ではあるが拙者は遠藤殿と闘う為にここに来たのだ。拙者の本能の奥底からその衝動が湧き上がって来る、最早止める事は出来ない」
そう言ったモルガンの闘気から暗黒龍の影が見え隠れしているのは段蔵の気の所為だろうか。
「俺を倒し叢雲・改を手に入れるまでは引けないって事か?イイぜ、望み通り闘ってやるよ」
「忝い」
そんなこんなで屋敷の訓練場にて叢雲・改を賭けた決闘が行われる事となった。
ギャラリーが集まりユナが賭博の元締めをしてイズンがジュースを高値で売り歩いている。
「先に言っておくが俺は忍びだ。正面から勝負する気は一切ないから文句は言うなよ」
「ご忠告感謝する」
モルガンは右手に漆黒の刀を出現させ脇に構える。段蔵はジャンプして手裏剣を投げつけるがモルガンは奇妙な動きをした。
「影刃」
モルガンは下段から刀を振り上げ自身の体も地面を蹴り上げそのまま手裏剣に向かって飛び上がった。ここで手裏剣を受けて終了かと誰もが思った時奇っ怪な現象が起こった。手裏剣がすり抜けたのである。
「何だ!?」
段蔵はとっさに迫りくる刃を防御し相手と距離を取った。
「逃さぬ、魂魄掌」
今度はモルガンの左掌から光輝く蝙蝠形をしたエネルギー弾が飛んできた。
段蔵はその弾をジャンプで避けるがモルガンは攻撃の手を緩めない。
「魂魄掌・魂魄掌・魂魄掌」
避けつつ間合いに踏み込んだ段蔵は大きく飛び上り刀を振り下ろすが・・・。
「影刃!」
あっさりと弾かれてしまった。
(何だ?この戦い方・・・全く覚えが無いのに何処かで見た事あるぞ?)
段蔵が記憶を引っ張り出し対策を考えているとモルガンの腰の翼から魔力の光が放たれ猛スピードで突進してきた。ぶつかると思った段蔵だがモルガンはそのまま段蔵の脇を通り抜け段蔵の背後を取る。
(来る!!)
「戦姫逆蹴!!」
背後からの強烈な飛び蹴りに襲われたものの最小のダメージで何とか逃れた段蔵だが地面に倒れてしまう、その隙をモルガンは逃さず段蔵の腹に蹴りを一撃叩き込んだ。
「へぶっ!!」
そのままモルガンは間合いを開けて着地した。
(やっぱりだ、この一連の動作を俺は見た事がある。だが何処でだ?・・・回答:黒竜 黒山竜也トノ戦闘ニテ同種ノパターンヲ確認)
段蔵は自分の導き出した答えに驚いた。
(待て、黒山とやりあった事なんてほとんど無いし、そもそもあんな変な戦い方をする様な奴じゃ無い)
段蔵が悩んでいると観戦していた狸姉さんから本人としては何気無い呟きが段蔵の耳に聞こえてきた。
「しかし飛び道具に対空技に、まるで格ゲーのキャラみたいじゃな」
その時段蔵に電流走る。この戦闘スタイルを何処で見たか思い出したのだ。
「拙者の技を此処まで捌くとは、これは究極奥義を使う必要があるな」
その瞬間、モルガンから漆黒の気が吹き出す。段蔵は防御態勢で構え次に備える。
飛び込んだモルガンは素早くジャブを二発繰り出す。段蔵はその動きを完全に予想していたのか腕に力を入れて払いのける。そしてモルガンは更に一歩踏み出しローキックを放つがこれも想定内、しかしここからが本番だ。
「仕置の時間だ」
そうモルガンが宣言した時、腰の翼からまたしても魔力の光が爆発し段蔵に強力な体当たりを浴びせる。その攻撃を受けた段蔵の防御が崩れ更に不思議な現象が観戦していた女の子達の目に映った。
「嘘・・・二人になった」
「暗黒幻影舞踏!!」
段蔵を前後で挟み撃ちにするかの様に分裂したモルガンは猛ラッシュを叩き込む。たまらず段蔵は叢雲・改を手放しそのままダウンしてしまった。
二人に分裂していたのは何らかの術だったのか既に一人に戻ったモルガンが叢雲・改に近づく。
「もう少し難航するかとも思ったが拙者が一枚上手だったようだな。約束通りアメノムラクモは頂いて行く」
そうして刀の柄を握りモルガンの願いが叶った瞬間掌にチクリと痛みを感じた。
「っつ!?これはまさか毒針?」
その瞬間のモルガンの息は荒くなり視界が歪み体が熱を帯びる。
倒れていた段蔵は何事もなく起き上がりモルガンの様子に満足したような笑みを浮かべた。
「どうよ?ウチの名物、超強力媚薬の味は」
段蔵は解析ツールを取り出してモルガンの正体を探る。
名称:夢魔・サキュバス・淫魔
夢を操る魔物の代表格だか解析対象の場合は非常に高い戦闘力が見られる為ケルト神話のバイブ・カハに近い亡霊女王としての性質も備えていると考えられる。
尽きること無き性欲を戦闘行為で発散させて紛らわしている可能性がある。
「しっかし、やられたふりってのも大変だな。まだ腹が痛ぇぜ」
「拙者の奥義をワザと受けながら威力を殺していたのか?何故見切られた?」
「ああ、前に受けた事があるからな」
前の世界で後輩の黒山達と少し古いが名作の格ゲー『ナイト・ハンター』でよく遊んでいた。モルガンの技はどれもこれもそのゲームキャラの技と全く同じ動きだったのだ。
何故そんな動きになってしまったかは大体想像がつく。夢魔騒動の時、叢雲・改の本当の所有者である黒山竜也本人が段蔵の夢に介入した為に大きな影響を受けたのだろう、操作が微妙に下手でワンパターンなのも黒山そっくりだった。
「やたら刀に執着したのも俺と闘おうとしたのも黒山の意志が流れ込んだからか?高く買ってくれるのは有り難いが勘弁して欲しいところだな」
今のモルガンからはあの黒々とした龍を思わせる闘気が感じられない、一度は段蔵を倒し刀を手にした時点で目的が果たされ黒山の意志が消えてしまったのだろう。自身の体を抱いて悶ている。
「さて、俺の逆転勝ちだな。だがソッチの賞品は決めていて俺の賞品無しってのは不公平だろ?だから後出しで申し訳無いが、モルガンには俺の女になってもらうぜ」
「は・・・破廉恥な!!」
モルガンは最後の力で漆黒の刀を振り上げる。しかし段蔵は隠し持っていた掌サイズのボールをモルガンの顔面に投げる。反射的に刀でボールを斬ったモルガンはボールの中に仕込まれていた媚薬の原液を大量に浴び遂に目を回してしまった。
「誰か、彼女を寝室までお連れして差し上げろ」
こうして新たな住人が増え夢魔騒動は今度こそ完全に決着したのであった。
次回は名探偵アイリーンとの勝負です。舞台は再びペレンナ屋敷、義理の父となった伯爵を今一度狙う段蔵の目的とは?




