資料・この世界における艦魂の考察
艦魂について自分が思いつく限りの設定を書き綴ってみました。
既に幾人かの艦魂小説作家様によって言及されている事も多々有り、この作品の第1話においても
記載され重複する部分もありますが、宜しければ御覧下さい。
【概要】
艦魂は、人が造りし艦船に宿る精霊の内、特に軍艦に宿りし者を言う。
揃って人間の女性と寸分違わぬ美しい容姿をしており、男性形態の者は確認されてない。
更には、彼女たちは全裸で居る事を常とし、衣服を着ようとはしない。
これには、「自分たちは精霊の眷属であり、精霊ならば衣服など身に着けないのが当り前」という
彼女たちなりの理念に基くものであるらしい。
実際、彼女たちが自分の在りのままの姿を誇らしげに晒しているのを見れば、それはそれで
納得出来るというものである。
そして、これは極めて重要な事であるが、艦魂を見る事が出来る人間は極く限られた女性のみである。
【艦魂の種類】
艦魂に種類があるなどと言ったら、彼女たち本人には迷惑な話だろうが、大きく二つに分けられる。
甲種(上級)艦魂と乙種(中級)艦魂である。
これは、甲種艦魂が戦艦や空母、巡洋艦といった大型艦に宿りし艦魂であるのに対し、
乙種艦魂が駆逐艦や潜水艦といった量産性のある小型艦に宿りし艦魂という区別である。
大日本帝国海軍艦艇に限れば、艦首に菊の御紋章を抱きし艦に宿る艦魂を甲種、
そうでないのを乙種と分けても良い(ただし、これだと砲艦等も該当してしまうが)
では、丙種(下級)艦魂は無いのかというと、内火艇や魚雷艇、小型の潜水艇といった
いわゆる艇クラスのものが該当しそうだが、それは確認されてない。
代わりに飛魂という航空機に宿る下級魂が確認されている。
これは既に人間の形を成しておらず、ラグビーボール状の光球である。
丙種艦魂というものが存在するのなら、おそらくこの飛魂に近い形態なのではと推測される。
【艦魂の一生と加齢】
艦魂は、宿りし艦が進水式を迎えた際に光を伴って誕生し、宿りし艦が船としての機能を消失した時、
これには、沈没はもちろん、攻撃や事故で修復不可能な損傷を被ったり、老朽化による解体等が
該当する訳だが、そうなった場合にやはり光を伴って消滅し、その生涯を終える。
この、誕生が進水時という事からも解る通り、艦魂の容姿はこの時点である程度決まってしまう。
つまり、宿りし艦が戦艦であったのが、その後の改装で空母に変わろうとも、
艦魂の方は、戦艦の艦魂にありがちの、グラマラスなままという具合である。
もっとも、艦魂の容姿は一定ではなく、宿りし艦に合わせるかの様に経年で変化して行く。
艦魂も歳を取るという訳だ。
ただ、それは人間とは異なるものであり、甲種艦魂と乙種艦魂でも異いがある。
甲種艦魂は誕生時に既に15~6歳の容姿をしており、30歳前後まで進むと、そこで止まってしまう。
乙種艦魂はもっと若く、誕生時に8歳くらいで、20歳前後で止まる。
艦魂個々による差もあるが、概ね20年も経てば、変化しなくなってしまうのだ。
これに関しては戦艦の艦魂で面白い現象が生じている。
軍縮条約で戦艦が長い間建造されなかった事により、艦魂においても、条約前に生まれし者は30歳前後の
容姿に達してしまい、条約明けに生まれし者はまだ20歳前の容姿と、二極化されてしまったのである。
日本で言えば、加賀や土佐以前が前者で、大和が後者に当る。
【容姿】
全裸の美しい女性の姿をしているというのは、既に書いた通りだが、これには宿りし艦の影響を
大きく受けているのである。
まずは宿りし艦の建造された国だ。日本国内で建造された艦に宿りし艦魂ならば、黒髪も麗しい美女と
なるのであるが、海外で建造された艦については金髪碧眼の艦魂という事も、充分在り得たのである。
実際、イギリスで建造された『三笠』や『金剛』といった艦に宿りし艦魂は、正に金髪碧眼であった。
ただ、改造や改修が進むと、だんだんその国に俗化していってしまう。
『金剛』の艦魂も、当初は見事なプラチナブロンドであったが、今ではかなり茶色に濁っているという。
それから、宿りし艦の艦種によっても影響を受ける。
戦艦に宿りし艦魂は、搭載する主砲が大型の為なのか、たわわな乳房を持つ者が多く、
艦船の中でも大型艦である事からも、全体的に立派な体躯を備えている傾向にある。
容姿以外でも宿りし艦と関わる事は多いのだが、これについては後述する。
【股間部にあるべきもの】
艦魂が全裸である事からも興味を持たれるであろう部分だが、
あまり詳しく書くと、ノクターン行きになりかねない内容なので、簡単に記す。
結論をまず言えば、存在する。
ただ、艦魂の誕生に生物学的要素が何ら関わらない上、種としての継承も成されない事、
更には排泄行為も無い事から、機能上では不要である。
単に、人間の女性に有るから自分たちにも有る程度の、形だけの存在に過ぎないのだ。
それを裏付けるかの様に、艦魂の身体の他の部分がいくら成熟したものになろうとも、
この部分だけは、初々しい少女のままだと言う。
【艦魂の飲食】
艦魂は食事を摂らなくとも飢える事は無い。又、排泄行為も無い。
では、食べるという行為が出来ないかというと、そうでは無い。ちゃんと人間と同じに出来る。
ただ、食べた物がどうなってしまうのかは、未だに謎である。
そして、人間と同じで、食事を摂るという事は満ち足りた気分にさせてくれるらしい。
艦魂の気分というのは、宿りし艦の状態にも深く関わっている。
艦魂が満足していると、艦の調子も良いのだ。
だから、艦魂に食事を施すというのも、直接的には無駄な行為なのかもしれないが、大事なのである。
【艦魂と宿りし艦との関係】
前項でも書いた通り、艦魂と宿りし艦とは密接な関係がある。
艦魂の気分が良いと艦も快調だし、艦魂の機嫌が悪い時には艦も不調を来している場合が多い。
その最も顕著な例が戦闘時である。
艦が相手からの攻撃等によって破損すると、艦魂も自分の身体の該当箇所に傷を負うのである。
もちろん艦の被害が大きければ大きいほど、艦魂の受ける傷も大きく深くなる。
そして、艦が修復されれば、艦魂が負った傷も消えていく。ただ、人間と違って自然治癒能力は無いので、
艦が被害を受けたまま放置されると、艦魂も傷が癒えないままという可哀想な状態に陥ってしまう。
だからといって、艦魂は自分の宿りし艦を微塵にも動かす事は出来ない。
自らを守る術を持ち合わせていないのだ。
その代わり、と言っても微弱なものであるが、艦魂は魚雷や機雷を察知が可能だ。
これは一種のソナーの様な能力を有していると言って良いだろう。
もちろん察知出来たところで、人間に伝えて対処してもらわなければ、何もならないのだが。
それに、砲弾や爆弾といった空から高速度で飛来するものに対しては、さすがに察知する事は不可能だ。
この為、彼女たちの存在を知らない人間たちによって、幾多もの艦魂が無謀な戦いを強いられ、
傷付き苦しみ、そして散っていった事になる。それ思うと、無念でならない。
【艦魂の特殊能力】
他にも艦魂は人間には無い、特殊な能力を有する。
(1)瞬間転移
艦魂の存在出来る場所は、艦の内外だけに限られる。
これは、たとえ宿りし艦が岸壁に係留されていても、地上に降り立つ事は適わないのだ。
その代わり、艦船であれば他船であっても自由に往来出来る。これに使われるのが瞬間転移能力だ。
この能力を行使している時は、光に包まれて消え、他の場所や他の船に光に包まれて出現する。
移動可能な距離はもちろん限りがあるが、一個艦隊間くらいは充分に可能。
なので、作戦行動中に参加艦船間を往来して情報伝達等も出来る。
艦魂が見える人間に限って同行も可能。ただし、この場合の移動距離は、やはり短くなる。
(2)物質化能力
艦魂は空間から、自由に物を出したり消したり出来る。
ただし、この出せる物は自分の宿りし艦に在る物に限り、扱える程度の大きさという制限もある。
又、形状も比較的簡単なものに限る。
錬金術の様に無から有を生み出せる訳では無く、艦内の物を瞬時にして借りているという方が正しい。
当り前であるが、一般の人間には見えない艦魂の行う事とて、取出した物も見る事は出来ない。
これは何も取出した物に限らず、艦魂の手に渡った時点で見えなくなるのだが。
極端な例を言えば、いくら自分が宿りし艦であっても、大砲や空母なら艦載機を出す事は出来ない。
大きさや形状の面で無理なのである。
逆に衣類あたりは、この方法でいくらでも調達出来そうなものだが、それはしない。
艦内で物品が紛失する事があれば、乗員よりも先に艦魂の所業を疑った方が良いかもしれない。
(3)言語能力
艦魂は生まれながらにしてバイリンガルである。
いや、二ヶ国語どころか多重言語操者という、人間には真に羨ましい能力を持っている。
これは、様々な国を往来する艦に宿りし者として、必然的に生まれた能力と言える。
(4)射撃補正
艦魂は宿りし艦を操る事は出来ないが、意識下で放たれた砲弾は1~2割程度精度が向上する。
少しでも命中精度を高めておきたい人間側としては、これは歓迎すべき能力であり、
大日本帝国海軍が、艦魂の存在を重要視している一つの理由でもある。
【艦魂の社会】
艦魂の社会は本当に小さな集団である。戦艦ともなれば1000名の乗員は下らない中、
宿りし艦魂はどんなに大きな艦であっても一人きりなのだから、絶対数が極めて少ない
しかしながら戦闘を行う艦船に宿りし者たちゆえ、無秩序な状態では自分の生死をも左右しかねない。
そこで、小さいなりにも階層集団を形成しているが、これには海軍の艦隊編成が都合良いらしく、
自分たちの集団でもこれに準じたものを採用している。
つまり、一ヶ国の海軍の総旗艦に宿りし艦魂が、彼女たちの集団でも代表となる訳である。
旗艦はその時点での最新最強艦が担当する場合が多い事からも、艦魂も若くして代表となる場合が多いが
そのあたりは以前の代表経験者が補佐する等して統率している様である。
又、階層集団といっても軍隊の様な明確な階級は存在しないが、慣習によってやはり戦艦に宿りし
艦魂が上位に来るのは致し方無いところだ。以下、空母、巡洋艦の順となる。
軽巡洋艦に宿りし艦魂は、甲種艦魂では下位にありながら、乙種艦魂である駆逐艦の艦魂の統率も
行わなければならず、会社の中間管理職の如く損な役回りだが、不平を言う者はいない。
【艦魂と人間の結びつき】
人間とは似て否なる存在である艦魂について、いろいろと書き連ねて来たが、
その艦魂が、極く限られた人間の、しかも女性にしか見えないのは、冒頭の概要にても記述した。
そして、少数種である艦魂と、彼女たちが見える人間の女性との関わり合いについて記すには
文章量も多くなり、今回の一項目とするには不適切と考えられる。
よって又、機会を改めて独立した別の考察として記述したいと思う。
最後まで読んでいただいた事を感謝する。
いかがでしょうか? 堅苦しい文章の連続であり、書いている事と言えば、この世界での艦魂が、
全裸である事の単なる言い訳としか、思われないかもしれませんねorz
御意見。御感想をお待ちしています。