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理不尽な神様と勇者な親友  作者: 廉志
第一章 -外伝- 勇者来る
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番外編 暗殺失敗

短めの番外編です。

今回分かりましたが、ルビが苦しいです。


大通りから外れた場所にある広場。そこに五十人ほどのフードを被った男達が集まっていた。

()を含めた暗殺者達全員だ。


「くそっ! 勇者め……まさかあれほどとは……」

「しかし隊長。これからどういたしますか? 人払いの術を行っていた物達も撤収させましたが…」

「…………ありのままを報告するしかあるまい……幸い、我々の素性は勇者にはばれていないだろう。アーク、お前も余計なことは言っていないだろうな?」


この集団の隊長を務めている男が僕に尋ねる。

普段は近衛騎士団で働いているなかなか腕の立つ人だ。直属の上司であり、色々と面倒を見てくれるいい人である。


「………………(コクッ)」


とりあえず頷いておく。実際は作戦上必要の無かった情報を勇者に与えているのだが、それは黙っておく。


「よし。けが人の手当をしたらすぐに城に戻るぞ! アーク、お前も手当を手伝ってやれ。それと……さっきの奇襲はなかなか良かったぞ。もう一人前の騎士だ」


そう言って俺の頭をなでる隊長。

ああ、そうだ……この人はいつだって僕をほめてくれる。

強力な魔法を使えたら褒めてくれる。

任務に初めて成功すればお祝いをしてくれる。

最近では隊長の家族にも紹介してもらった。美人の奥さんにかわいらしい娘さん。娘さんは先日五歳の誕生日を迎えたそうで、その誕生日会にも呼んでくれた。

隊長も、隊長の家族も、とても僕に良くしてくれる。本当に優しい家族だった。















だがそんなことは関係ない




沼地の(Donec)王は(velit)獲物を(Marsh)捕らえ(regem)逃がさ(captum)ない(praedae)


誰にも気がつかれないほど小さく呪文をつぶやく。

目には見えないが、腐敗したようなにおいがあたりに立ちこめる。


「ん? なんのにおいだこれ?」


何人かの隊員が異臭に気がつき始める。だが、そのときにはもう遅かった。


「あれ? ホントだ。……なん…………だ?」


異臭に気がついた者から順にバタバタと倒れ始める隊員達。中には泡を吹いている者達もいる。

「うがっ…」「うげぇっ」「がはっ」各々がうめき声を上げる。誰も彼も自分に何が起こったのか分かっていない様子だ。

当然隊長も例外ではない。


「な、なんだ……これはっ…………アークっ……」


倒れた隊長が俺の足を掴んでくる。この中で唯一無事でいる俺に助けを求めているのだろう。

僕はそれを振り払うと、もう一つ呪文を唱えた。


神の大地は(In lapidem)不動(autem)なれど(terrae)不変では(non haeret)あらず(Dei)


僕が呪文を唱えると、広場の地面が盛り上がり、身動きがとれなくなっている隊員達に覆い被さっていく。

「………っ!! んーーーー!」


隊長を含め、僕を除いた全員が広場の地面に飲み込まれていった。



そこはいつも通り、誰も通らず、何も無い広場へと戻ったのだ。







さて、暗殺失敗した奴らの始末は終わった。

僕の主から受け取った指示は二つ。


1、暗殺に関わった者達を全員始末すること。なお、勇者は絶対に死なせないこと。

2、勇者ともう一人の異世界人を接触させないこと。なお、もう一人の異世界人は極力死なせないこと。


勇者にはもう一人の異世界人を殺すと脅しておいたが、それは嘘だ。

二人が接触すればもう一人の異世界人に危害が及ぶと思わせ、二人を会わせないためについた嘘だった。

だが、それだけでは会わないと断言はできない。

それにしたって脅しが弱すぎる気がする。


「……勇者…………監視…必要……有り」


羽織っていたフードを被り直し、広場を後にする。




すべては主の「計画」のために…



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