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理不尽な神様と勇者な親友  作者: 廉志
第一章 王都
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第三十話 襲撃者




ガッシャアァン!!


俺は勢いよく飛び出した。

どこから?

……窓から。


襲ってきた黒づくめの襲撃者たち。ベットに突き立てた剣を引き抜き、直接俺を切りつけてきた。

とっさに机に立てかけていたテネブラエを持ち防御したのち、囲まれないために窓を突き破って道路に飛び出したのだ。


「そんで? あんたら俺に何の用だ。泥棒とか強盗とか……じゃ、ないよな」


襲撃者からある程度の距離を保ち、剣を構える。それと同時に、二階の俺の部屋から次々と襲撃者が飛び降りてきた。その数、6人。


「貴様に答える必要は無い。陛下を愚弄し、我が国に仇なす者、死すべし!」

「ああなるほど、あんたら王党派(Royalist)ってやつだな? ひょっとしてサテレスの差し金か?」

「ぎくっ」


ぎくっ、って……あからさますぎるだろう。どんだけ分かりやすいんだ……


「図星かよ」

「い、今から死ぬ貴様には関係のないことだ! 死ね!」


思わずとんでもないことを口走ってしまった襲撃者は、ごまかすようにナイフを俺に投げつけた。

だが、正直投げ方がお粗末なものだったため、


「ほっ」


指で受け止めるという、マンガでしかないような行為が出来てしまった。


「なっ」


自分の放った短剣が難なく受け止められたことに、襲撃者は口をあんぐりとあけて驚いていた。


「で、まだやるの?」


ナイフを指でもてあそびながら襲撃者に尋ねる。が、


「あいたっ!」


調子に乗って指を切ってしまった。慣れないことはするべきではないな……


『なにやってるんだよお前は』

「ちょっとカッコつけてみたいお年頃ってやつだ」

『なんだそりゃ……』


呆れるテネブラエ。だって余裕がある男ってカッコいいじゃないか!


「……っ! 馬鹿な奴め、雄々しく(Punctum)茂る毒針(est sicut )は万丈を(homo facit)仇なす(vetus )ものとなる(vigor Bush)!」


俺が怪我をしたのを見て、襲撃者が何か呪文を唱える。すると、切れた指がやけどをしたかのように熱くなった。


「熱っ!?」


見て見ると、傷口が緑色にくすんでいる。しかも徐々に腕に広がっていった。


『これはっ!? ユーイチ! すぐに俺を傷口に当てろ!!』


テネブラエの声が緊迫していたため、言われるがまま傷口に剣を当てる。すると、広がっていた緑色の部分が消えていった。それと同時にテネブラエが緑色に変化し、何やら毒々しい紋章が浮かび上がった。


「おおっ!? なんだこれ?」

『やっぱり、毒魔法だったらしいな』


なるほど、短剣に魔法でも施してあったのだろう。だからこそテネブラエで吸収できたのだ。


「クソッ!! 何をしている! こいつを殺せ!!」


目の前にいた襲撃者が他のものに指示をする。暗殺に来たことを忘れて言うように大声を上げている。なんか……馬鹿だなぁこいつら。


しかも、馬鹿なだけではなくこいつらは実力的に俺に劣っている。先ほど受け止めたナイフから分かるように、こいつらはそれほど強くない。正直、先日襲ってきた盗賊の方がよっぽど強かった。なんでこんな奴らをよこしたんだ?


襲撃者たちは実力の差も分からないのか、人数の利を生かさず、一人ずつ俺に向かってきた。


テネブラエを鞘に戻し、鞘で相手の剣を受け流す。そしてそのまま、襲撃者の一人を剣で殴りつける。一人目。


剣を腰だめに突進してくる襲撃者、体を少し横にずらし顔面に掌底を打ちこむ。二人目。


短めの斧を俺に振り下ろしてきた。正面からテネブラエで受け止める。圧し潰そうと襲撃者が踏ん張った瞬間に剣を横にずらし、バランスを崩させ、脇腹に回し蹴り。三人目。



次々と倒されていく者たちを前に、ナイフを投げてきたやつが苛立っている。


「ええいクソ!! どけ役立たずども!! ゆらゆらと(Invalidi)(et)らめく(sumptuosa)至宝の(gemma)業火(CORUSCAMEN)!!」


一人の呪文に、俺の周りにたむろっていた襲撃者たちが慌てて距離を取る。それと同時に、巨大な火炎が俺を包み込んだ。

襲撃者たちが喜びの声をあげる。


「はっはぁっ!! イグニスバイソンとほぼ同質の火炎だ! 跡形も残ら……」


襲撃者の自慢は途中で途切れた。この魔法はこいつの最大級の魔法だったのだろう。だが、襲撃者には運の悪いことにこちらにはテネブラエ(・・・・・)があった。

つまり、消し炭になっているはずの俺が炎を切り裂き、立っているのを見たのだ。

先ほどまで緑色だった刀身は、依然と同じように赤く、炎の紋章のようなものが浮かびあがっていた。


「それで、まだやるのか?」


正直、これで実力の差が分からないなら俺以上の馬鹿だと認定することにしよう。



「くっ!」


迷いながらも、俺に向かってくるのを選んだのか、じりじりと距離を詰め始めた。これはいよいよだな……


「そんじゃま、返すぜっ!」


これが最後通牒。襲撃者に向けテネブラエを振ると、刀身から先ほどの火炎とは比べ物にならないほどの炎が飛び出した。

もちろん威嚇のつもりなので当ててこそいないが……やばいな、予想以上に炎がでかい。火事になんなきゃいいが。




「うるさーーーいっ!!! 何時だと思ってるんだい!?」


言い訳もつかないほど大きな音を出してしまったためか、食堂から寝巻姿のアズラさんが怒鳴り散らしてきた。気づけば周りの家にも照明が灯り始めている。


「こんな時間に何を……うわっ! なんだいこの有様は!?」


その場の惨状を見て驚きの声をあげるアズラさん。家には火はついていなかったが、道路が一面黒こげになってしまっていた。しかも、いつの間にか襲撃者たちの姿は無くなっており、広い道路に俺一人という図だ。


「あ、いや~……これはですね……」


別に俺の責任ではないのだろうが、なぜか及び腰になってしまう。


「坊や…………外を片づけてから部屋に戻りな」


そう言って食堂の中へ戻っていくアズラさん。


俺の周りには黒こげになった道路と、バラバラに砕け散った窓枠やガラスが飛び散っていた。




…………朝までに終わるかなぁ、これ(泣)




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