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理不尽な神様と勇者な親友  作者: 廉志
第一章 王都
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第二十七話 おはようございます


目が覚めるとそこはベットの上だった。

と言っても、施設の布団や食堂のクソ硬いベットではなく、触ったことのないようなすさまじく柔らかいベットだった。

結論としてここは俺の知っている空間ではない。あたりを見回すと、そこは豪華絢爛、そこかしこに金やクリスタルやなんだか分からない置物やらが置いてあり、どう考えても俺がいるべき場所ではなかった。


「あれ? なんだここ……」

『お! やっと起きやがったか……』


ベットの脇に立てかけてあったテネブラエが俺に気づいたようだ。


「テネブラエ……これってどういう状況?」

『まあ覚えてないのも無理はねぇな。お前が倒れてからここまで運んだのは門の兵士だったからな』


倒れた…………そうだ! 俺は確かグーラとかいう化け物を倒した後に……


ガシャン!


不意にガラスが割れる音がした。

音がした方向を見てみると、大きな扉の前でフランがこちらを見ていた。音の正体は、フランが持っていたコップを落としたときに出た音らしい。


「ゆ、ユーイチ様…………?」


フランは俺が起きたことが信じられないと言った表情で俺を見つめている。


「お、おうフラン……おは…よう?」


俺がフランに声をかけると、みるみる目に涙をため、俺にタックルをかましてきた。


「おおう!?」


割と不意を突かれた形で抱きつかれたため、かなり心臓がドキドキしている。何しろ起きたばかりで頭が回っていないのだ。


「うっ……! グス……ユーイチ様……っ! も、もう…目が覚めないかと……」


俺の懐で涙をこぼし、すすり泣くフラン。


「い、いや……寝たんなら起きるのは当然だろ……」

『いやお前、かれこれ三日ほど寝っぱなしだったんだぞ?』


は?


「三日!? 三日っていち、にい、さん、の三日か!?」

『まあ、その三日だな……空間術を覚えてからいきなりあんな規模を出せば、そりゃあ強い反動も来るだろうさ』


三日寝込むって……医療制度が確立した元の世界だったらいざ知らず、この世界で三日も寝てれば下手すりゃ死んじまうんじゃないか?


『嬢ちゃんに礼を言っときな。城の召使もいるのに、徹夜でお前の看病をしていたんだからな』

「い、いえ……私は別に……でも、ユーイチ様が目覚めて…本当に……」


フランが再び泣き出した。

……そうか、三日も寝てたいたらフランが心配するのも無理は無いか……しかも看病までしてくれて……


「ありがとう。フラン」


優しく、出来るだけ優しく頭をなでる。猫耳が手に当たって、ほどよく気持ちがいい。


「っと、そうだ。それで結局、なんで俺はこんな所にいるんだ? って言うかここどこよ?」

「……グス、ここはですね……」

「おお!! 目ぇ覚ましたか!!」


フランが俺の質問に答えようとしたが、扉から入ってきた声によって遮られてしまった。


「はい?」


見ると、そこに立っていたのは、恐らく四十代前後の長身の男性とまだ二十歳を超えて間もない程度の青年。二人とも兵士の格好をしている。


「お前さんがグーラを倒しちまったのをこの目で見たときは俺の頭がどうかしたのかと思ったよ。一体どんな魔法を使ったんだ? あっいやいや、王都を救った英雄だ。まず名のらねぇとな!」

「は、はぁ……」

「俺は北門で警備隊長をしているカールってもんだ。横にいる奴は俺の部下のゴードン。まああんたほどの人物の相手をするには階級が低すぎるが、そこは我慢してくれ!」


えーっと……俺はまだ話していないのだが……っていうかこの感じ、ギルドの受付でも同じような人がいたような……


「あ、あの……すみませんが、俺はまだ事態がよく呑み込めていなくてですね、とりあえずここはどこなんですか?」

「おお! そうか、お前さんはずっと眠っていたんだったな……ゴードン! 説明してやってくれ!」

「そこは自分でしないんですね……え~、まずユーイチ君が倒れた後、一度北門の宿直室に運んだのですが、城の方からそれほどの人物を硬いベットに寝かせておくのは忍びない、ということでここ、城の客室にて看病をすることになりました」

「つまり、お前さんがいるのはこの大陸でもっともでかい国のもっともでかい城のもっともでかい客室のベットで寝っ転がっているってわけだ」


うわっ! マジか! いや、正直途中からうすうす気がついていたのだが……豪華な部屋に兵士とくればやっぱりお城だろう。


「でも、それでなんでこんな好待遇なんですか? そもそも城に連れてこられる理由がよく……」

「そりゃお前、災害級を……「隊長、すみませんが」……ん?」

「もうそろそろ行かないとまずいですよ、命令でここに来たんですから」

「おお! そうだったな! ユーイチ、病み上がりで悪いがちょっと一緒に来てくれるか?」

「……え、ええ」


カールさんが催促したため、フランの手を借りて何とか立ち上がる。さすがに三日も寝ていたためかなりフラフラする。


「それで……どこに行くんですか?」

「ああ、これからモントゥ王国の国王陛下にあってもらいに行く」






………………はい!?




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