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15 和解

「よし……そろそろ行くか」

午後4時過ぎ「あっち」の学校も終わる頃だろう。と思い家を出た。


サッカー県一位の学校の前に着いた。……弟のいる学校だ。そして……元同級生のチームメイトも数名いる……。


制服姿で来たので敷地にすんなり入れた。そして、グラウンドを目指す。ここの高校には何回か練習に参加させてもらったことがあったので迷うことなくグラウンドへ向かう。


「…………」

懐かしい風景。ボールを蹴る力強い音、選手達の掛け声。どれを聞いても今の学校のサッカー部の音とは違う。これが全国でも通用するサッカー部の凄さ。


とても声がかけられる雰囲気ではない。部活が終わるまで待とうと思った時、隣に並んだ初老の男と目があった。ここのサッカー部の監督だ。中学時代にはかなりお世話になった。……あの事件を知っている人でもある。

「白泉兄か……」

「こんにちわ、前はお世話になりました」

「今日は何をしに来た?と言っても分かってる……」

と言うとマネージャーらしき女子に伝言を伝えた。

「丸山に、部活が終わり次第、丸山、馬場、寺前……白泉に俺のところまで来るようにと伝えてくれ」

はい、と返事をすると女子は走って行った。

「……ありがとうございます」

深々と頭を下げた。

「あの頃の事を忘れる事ができれば、キャプテンの丸山も少しは悩みが減るだろうしな。気にするな」

「……本当にありがとうございます」

俺はもう一度頭を下げた。


監督はグラウンド中に入っていき直接指示を出しに行った。俺は部活が終わるまで懐かしい風景を見ながら。昔の事を思い出していた。……良いもんだな。やっぱ……。そして練習が終わった。



監督の下へ四人が小走りに駆け寄ってきた。だが、俺の姿だと分かると次第に足が止まった。

俺は一歩また一歩と歩み寄る。その時監督が言った。

「お前達が納得いくまでちゃんと話し合え」

そう言うと監督は校舎の方へ向かっていった。気を使ってくれたのだろう……。


「……呼びだしてすまない。今日は謝りにきた。……すまなかった!!」

すると馬場と寺前が言った。

「やっとか……俺はもう昔の事なんて気にしてないよ。ってか力也がいてくれて良かったと思ってるくらいだし」

「俺もそう思う。エース級の選手なんて皆そんなもんだ。それくらいじゃなきゃ俺等のチームのエースなんて名乗れないと思うぞ」

「本当にすまなかった。馬場、寺前……ありがとう」

「はぁぁぁ……俺は許さないって思ってたんだがな……お前が俺等に頭下げるとは思ってなかったよ。力也、俺はお前を許す。もうこれで昔の事は忘れる。これでいいか?」

「丸山……本当にありがとう……」

「はぁ……これで満足か?佑稀」

なんでここで佑稀の名前が出てくるんだ?と思い思わず口から出ていた。

「へ?佑稀……?」

「バカ兄貴……お前が昔やってた事は俺は許せない。……でも先輩達が許すなら俺だけ怒っていても仕方がないしな。俺ももう忘れる事にするよ」

「……?すまない話しが見えないんだがどうゆうことだ?」

すると丸山が言った。

「お前、街で喧嘩したんだろ?馬場から聞いたよ。……その時の事を聞いて最初は笑ってたよ。何してんだアイツってな。でもな理由を佑稀から聞いたよ。昔のお前なら考えられないよ。彼女を守るために喧嘩するなんてな……それを聞いてお前は変わったんだ。って思ったんだ。だから謝るなら許そうって話しを皆でしてたんだよ。分かったか?……まさかこんなに早く謝りに来るとは思ってなかったが」

「……そうゆう事か……佑稀ありがとな……」

「はぁ~……恥ずかしい台詞を良く弟に言えるな。いいから早く帰れよ。恥ずかしいなぁ!」

すると寺前が言った。

「まぁまぁ、弟君久しぶりにこのメンツで一緒に帰ろうぜ、三年ぶりくらいか?」

「あぁ、そうだな……それくらいぶりだな」



その後一緒に帰り、久しぶりに話した仲間とは楽しい時間を過ごせた。何もかもが懐かしかったそして嬉しかった。少しでもあの時間に戻れた気さえした。



家に帰ると佑稀から飯食ったら俺の部屋に来いと言われたので、風呂に入った後に飯を食い佑稀の部屋の扉をノックした。

「佑稀、入るぞ」

返事はなかった。

「久しぶりだな。この部屋も」

「そんな事いいからさ、兄貴これから進路どーすんの?」

「あぁ、考えてないな。三日間の内に決めようと思ってた」

「推薦とか厳しいんだろ?」

「推薦はほぼ間違いなくもらえないな」

「それならさ、コレ」

そう言うと佑稀はどこかの大学のパンフレットを渡してきた。……スポーツ大学……?

「これどうゆうことだ?」

「そこの大学、完全実力制。兄貴ならブランクがあっても受かるんじゃないかと思って」

「……俺がまたサッカーやってもいいのか?」

「は?何が?それ決めるの兄貴次第じゃん。……俺は別に良いと思うよ。やりたかったんだろ」

最後のほうはボソっと言って聞こえなかった。

「……考えてみるな。ありがとな佑稀」

気にすんな。と言って手を振った。



俺は扉を閉め考えた。……サッカーをやるチャンスがまだあるのか……はは、どうしろっていうんだよ。サッカーすんのがここまで怖いと思った事なんてないぞ。……また同じ過ちを繰り返すではないのか。丸山達は俺がサッカーをもう一度やると言ったら、どんな反応をするだろう。その反応を知るのが怖い……。



俺は部屋に行きパンフレットを机の上に置き、布団へもぐりこんだ。




◇◆◇◆◇◆◇

朝、いつもより少し遅い時間に起きた。そしてケータイを開くとメールが届いていた。

『佑稀』

「メアド変わってないんだな。そんな事より、練習参加するか?兄貴なら監督に頼めばたぶん練習に参加させてもらえると思うけど?」


俺は返信をした答えはすぐに出た。

「ありがとな。でもやめとくよ。俺が入ったら迷惑だろ。今年で最後の三年の邪魔はできない」

と返すとメールが返ってきた。

『佑稀』

「そっか、ちゃんと大学の事は考えておけよ。じゃ」

と返ってきた。……俺はケータイを閉じて二度寝することにした。はぁ……起きてても嫌な事しか思い浮かばないし……。








それから俺は特にすることもなく三日間を過ごした。









◇◆◇◆◇◆◇

そして停学明けの金曜日。

「ふう……緊張するな。佳奈もこんな感じだったんだろうな」

あの後、佳奈と別れてからは会話どころかメールのやり取りさえしていない。……今日、佳奈に告白する。人生で始めての告白だ。……いや二度目か……プロポーズの順番間違ってる気がするけど……。









神様聞こえてるか?やっと少しだけ分かってきた。なんであんたが時間を戻す事ができない理由。もちろん答えなんて誰にも分からないんだろうけどな……。






感想のほうでは、まだもうちょっと続く……と書いたのですが友達のアドバイスもあり長々続けるよりは……!ってことで物語は終盤に持っていってます。


読者の方の意見で「続きやらねぇーかな」と思って頂いた方がいらっしゃればぜひぜひ二人の今後を書いてみたいと思っております。


最後になりましたが読んでくださった方本当にありがとうございました!!

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