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13 決断

俺はビルから出た。

佳奈はどこだ。どこにいる!?あのままの状態で放っておくこともできない。

俺は周りを見渡した。佳奈の姿はない。俺は駅に方向へ走り出した。




通りかかった公園から声が聞こえてきた。

「痛い!離して!」

「早く来いよ!このアマ!ぶつかっておいて詫びの一つもねぇのか!」

「あんたがぶつかってきたんじゃない!離せ!」

「顔赤くしちゃってよ。何?誘ってんの?」

バチンッ!佳奈が平手で相手の顔にビンタをかました。

「いい加減にしろよ!このアマ!」

隣にいた二人が佳奈の両脇に立ち腕を固定した。

そして、男が佳奈に殴りかかった。


俺はその時頭の中にあったリミッターが外れた。

佳奈を殴った男を後ろから、思い切り殴りつけた。男は立ち上がらない。

「お前等、俺の彼女に何してくれてんだ!!あぁ!?」

「誰だよお前!このアマの彼氏か?あ?」

「つか、何やってくれてんの?殺すぞ!」

佳奈はショックからか焦点が合わない目から涙が零れている。

「お前等、ぶっ飛ばす」

「何言ってんの?お前、勝てるわけねぇじゃん、二対一だぞ?バカじゃ-」

俺は何も考えずに殴りかかった。

そこからはもう何も覚えていない。とにかく憎いコイツ等に殴りかかる事しかできなかった。……佳奈が後ろで「やめて、力也君……!」と叫んでたのも聞こえないくらいに頭が沸騰していた。



鼻血が出ていると気がついた頃に、警察が来た。喧嘩を見た誰かが通報したのだろう。佳奈を殴った奴も含めた三人は警察が来たのと同時に逃げて行ってしまった。

そこで初めて、ボロボロに泣いている佳奈を見た。……俺は一体何してんだ。佳奈こんなボロボロになってんじゃねぇか……。彼氏失格だな。もっと穏便に済ませなきゃいけなかった。……いや、もう一回あの状況になってもたぶん俺は飛び出してたな。ははっと自嘲めいた乾いた笑い声が出た。


「……」

佳奈は泣いている。

「……佳奈、ごめんな。もう-」

俺はそこで意識を失くした。



意識を取り戻した時には佳奈の姿がなく。母親と担任と座って話しをしていた。

「っつぅ……いてぇ……」

「……起きたか……お前三年だぞ、何してんだ。」

担任が冷たい声で俺に言った。

「……」

「……力也、あなたが喧嘩した理由は、古城さんから聞いたわ。母さんは怒ってない。古城さんを守ったんだもの。……後悔してない?」

「……後悔なんかしてない。……佳奈は?」

はぁ~とため息をつき担任が言った。

「古城なら帰らせた。お前は一日入院だからな。……明日一日しっかり休め。……月曜、教室には行かずに、指導部に顔を出せ。……おそらく、停学になるだろう……」

「……はい」

母親はなにも言わなかった。たぶん俺の意識のない間に説明されたのだろう。


俺はこの時、自分の分岐点が減った事を薄々気がづいていた。……三年で問題起こす奴なんていないよな。ごめんな。佳奈、お前と一緒な道を進むのは少し厳しそうだ……。




翌日、病院から退院し自宅に着き家の扉を開けた。そこで、冷たい視線が俺を射抜いた。

「お前、何がしたいの」

「……佑稀かなんだ?何が言いたい。お前には関係ないだろ」

「……お前マジで関係ないとか思ってんの?あんな街中で喧嘩すりゃぁ、誰かに見られてない訳がないだろ。すぐに俺のところに先輩から連絡があったよ。お前の兄貴何してんだ。ってな、おかげで笑いもんだぜ。……消えてくれよ、俺の前から」

俺は心臓がきゅっとなった。何も言え返せないまま佑稀を睨んだ。

「……なんとか言えよ……クソ兄貴……」

「…………」

「……っ!」

佑稀は階段を駆け上がっていった。


車を車庫に入れて帰ってきた母さんが言った。

「佑稀の事は仕方ないわよ。……リビングにお父さんいるから行ってきなさい」

あぁ、と返事をしてリビングの扉を開いた。

警察官をしている親父はとても風格があった。……俺は親父の顔に泥を塗ってしまった。

「親父、すまなかった」

「……力也、お前は後悔してないんだろう?」

「……本音を言うと分からない。後悔していないと言ったら嘘になると思う……」

俺は続けた。

「……ただ、あの状況に何回なっても俺はあいつ等に殴りかかってる。それは間違いない」

親父は目を閉じた。

「お前等、兄弟は本当に似ているな。佑稀も言ってたよ、力也と喧嘩した時。過去に戻れたとしても兄貴を殴ってた。ってな。……力也一昨日の喧嘩の事はもう何も言わん。だが……佑稀とは仲直りしろ。寂しいじゃないか……二人っきりの兄弟なのにこんな形じゃ……」

「……うん」

それしか言えずに部屋へと戻っていった。


ベッドに仰向けで寝ていると、目からは涙が零れた。

親父の顔にまで泥を塗ったにも関わらず叱りもせずに俺のした事を文句の一つも言わなかった。母さんも何も言わずに俺の事を信じてくれた。……ありがとう……。と呟き俺は眠りに入った。



午後12時を少し回った頃に目が覚めた。

欠伸を一つしたあと、ふとケータイを開いてみると三通のメールが届いていた。

一つは大輔、もう一つは綾瀬さん、最後の一つは佳奈からだった。

真っ先に佳奈のメールを見た。

『古城佳奈』

「今日退院だよね。……会える?」

返信をしようとした時、ケータイが震えた。……佳奈からの着信だった。


「……おっす、佳奈」

『……力也君……ごめんね……本当にごめんね……」

「佳奈が謝ることなんて一つもないぞ。……俺は自分で手を出した。それだけだ」

『あの時私が意地を張らずに大人しく帰ってれば、あんな事にならなかった……!」

「……それは違う」

『違わない……!……力也君、私あの時に戻りたいよ。そしたら力也君に言われた通りに帰るのに……』

「…………佳奈この後、会えるか?」

「……うん」

一時間後、駅で待ち合わせをした。







駅の中で佳奈を見つけた。佳奈も気がついたようでこちらに小走りでやってきた。

佳奈は俺の胸に飛び込み、顔を埋めた。俺はその頭を包み込んだ。髪の良い匂いがしてきた。……駅の中にいた人達の視線は皆、俺と佳奈を見ている。さすがに佳奈も気がついて、俺の手を引いてそそくさと公園に向かった。


「……ここの公園ではいろんな事があったね、クレープを食べたり……プロポーズされたり……」

「そうだな、ここの公園ではいろんなことがあった、……あの頃に戻れたらな……」

最後の方は佳奈には聞こえないように呟いた。

「……」

「……」

お互いに沈黙が続いた。沈黙を破るように俺が言った。……これが色々と考えた結果だ。














「……佳奈……ごめんな。…………別れよう」








俺は、はっきりとした声でそう伝えた。

佳奈の息を飲む音が聞こえる。佳奈が涙を流すのが見える。……その目で佳奈が俺を見つめているのが分かる。








神様……あんたは最低だよ。人が泣いて拝んだ所で幸せにならない。神様ってなら世界中の人々を幸せにしてみろよ。できないだろ……?それくらいの力を持ってるから神様なんて言われて拝まれてんだろ?そしたらなんでその力を人々のために使わない……最低だよ本当…………俺と同じくらいにな……。

勉強しないと……と思っているとパソコンの前に座り、物語を書いている自分を殴りたくなります。

ですが、飽き性の自分が毎日投稿してここまで続いたことは自分でも驚くと同時に少しだけ自分を褒めたりしちゃっています。甘いですね……。

この作品は絶対に最後まで書いていきたいと思いますので皆様生暖かい目で見守ってやってください。


最後になりましたが読んで頂き本当にありがとうございました!

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