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1 急展開

時間は巻き戻しはできない。絶対にどんなに幸せな時でも戻すことは叶わない。だからその幸せな一瞬一瞬を全力で楽しみ、全力で愛さなければいけない。時間というものは無限ではない。俺は古城佳奈と出会いそれを痛感した。……幸せな瞬間が永遠に続きますようにと俺は祈ったのだった。







暖かくなり桜も舞う季節、長かった春休みも明け学生の大半は嫌いであろう学校へと登校の最中だ。


「はぁ~もう三年か~早いよな~」

と憂鬱な気分で、よくいつも一緒に登校しているクラスメイトの吉見大輔に話を振った。

「嫌だよな。俺、就職すっからもう女子と出会う機会が減っちまうし!」

また女の話か・・・俺は正直どうでもいい。今までで一回も本気の恋というやつをしたことがないからだ。

「そんなに女子と付き合いたいのか……?」

「は!?何言ってんの?付き合いたいに決まってんじゃん。お前は多少顔がいいからそんな事言えんだよ!」

少しイラっとした声音で言ってきた。

俺は女・・・いや恋愛には全然興味がなく告白されたこともあったが全部振っている。理由は自分でも分かっている。その子のことを全然好きになれないからだ。

「……はぁ~朝からうっさいなぁ、三年だから進路の事で色々と悩んでるんだから、恋愛なんて興味ないっての」

「リア充め」

最後の言葉の意味は分からなかったから無視をし、黙って登校することにした。ってかバカに何を言われようと痛くも痒くもないけど・・・。



教室に着き、SHを済ませすぐに始業式となった。


校長先生が「皆さん元気に登校してきてくれて、校長は嬉しいです」といったお決まりの事を言っていた。……俺が見る限り誰一人として元気な顔などしていない。それどころかため息ばかり聞こえる。……どうやら校長の眼球と耳には特殊加工が施しているらしいなどと考えながら暇な時間を過ごした。

なんとなく欠伸をしながら周りを見ていると、俺と同じで欠伸をしてる奴、器用に立ちながら寝ている奴、なんか顔をしかめて明らかに機嫌が悪い奴までいる。しかも女子。


(あの子なんであんなに機嫌悪そうなんだ?って考えたって分かる訳ないか)




時間は過ぎて行き、三年生なんだから気合入れろとの担任からの長い話が終わり下校になった。


俺は早速大輔と帰ろうとした。

「大輔、行くぞ~」

「今日部活あんだわ、悪いけど先帰ってくれ」

大輔は不真面目なくせに部活だけは真面目に行っている。

野球部で一年生の頃からエースとして頑張っている。足を引っ張るわけにもいかない。

「今日からもう部活あんのか~大変だな」

「おう、今年こそは甲子園に行くために頑張ってくるよ」

「そっか、それじゃ足引っ張れないな。また明日な」

おう、と短い返事をし大輔は教室を出て行った。


さて俺も帰るかと思い鞄を持ち上げた時、後方から俺を呼ぶ声が聞こえた。

「力也ぁーもう帰るの?」

俺に話しかけてきた子は〈綾瀬咲〉この子は少し苦手だ。一年生から同じクラスで一年生の三学期に告白され、それを振ってしまったからなのだが……どのような会話をすれば良いのか正直分からない。

「んー?綾瀬さん何?俺もう帰るけど」

綾瀬さんはそんな俺にでも友達感覚で良く話しかけてくれている。

「暇なら一緒にお昼ごはん食べに行こうよ。あ、二人っきりが嫌なら他にも呼んでさ!」

最後の言葉の心情は分からないが、明るい笑顔で誘ってくれている。

「綾瀬さんと二人っきりでももちろん構わないけど、綾瀬さんと一緒だと補導とかされそうだしなぁ~」

綾瀬さんは髪を茶色に染めているので最初の頃はヤンキーかと思っていた。

「また髪!?オシャレなんだから良いじゃん!あ、もしかして似合ってない!?」

「冗談だって、どうせ一人で食べるくらいなら一緒に食べたほうが楽しいし付き合うよ」

綾瀬さんは機嫌悪くしていた顔から、笑顔を見せてくれた。……楽しくなれば良いんだけどな気が重い……。

「よし!そ、そうと決まったらどこ行きたいですか?」

緊張しているのか急に敬語になった。こちらまで緊張するじゃないか。




そして他愛も無い会話をしながら学校の敷地内から出ようとしたその時。

「あなた達二人でどこ行く気なの?」

と、明らかに不機嫌そうな声で尋ねてきた。

顔を上げて顔を見てみると、女にしては身長は高めで手足がスラっとしていて、体系もスラッとしていて細い印象を受けるが出るところはキッチリ出ている。髪はキレイな黒髪で長さは腰のあたりまである。目は二重で顔は美人だが近づきにくい存在を放っている。……始業式で機嫌が悪そうにしてた子だ。

「えーと、昼飯を食べに行こうかと思ってたんだけど?」

「あなた達二人が平日の昼間に制服を着たまま街をぶらぶら歩いているとこの学校の印象が悪くなるじゃない」

なにも言い返せないぞ……これは。そこに隣から声が発せられた。

「ごめん。古城さん一回帰ってからにするね」

としょんぼりとした顔で言った。

「何?彼氏さんのほうは何か私に言いたそうな顔してるね」

「俺等のほかにだっ-」

言葉の途中で綾瀬さんに袖を引っ張られた。これ以上は言っても無駄ってことだろう。ってか彼氏ってとこだけは訂正したかったり……。

「分かった一回帰ってからいくことにするよ」

「それなら問題はないから大丈夫よ」

と冷たい表情で言われた。




その後、家に帰らずに昼食を取り、家に帰った。

綾瀬さんから聞いた話ではあの子の名前は「古城佳奈」一年生の頃一緒な部活に入ってたらしい。たしか綾瀬さんはバスケ部だったと思う。だけど二年生になる前に辞めてしまった。と辛そうな顔で話していた。綾瀬さんもバスケ部はそのくらいの時期に辞めている。なにかあったのだろうと気になったが、触れない方が良いと判断して話を変えた。……俺も過去の事なんて詮索されたくないもんな……。



ベッドに横になりながら今日のことを思い出す。

あの子なんであんなに不機嫌だったんだ……?




◇◆◇◆◇◆◇

次の日、大輔と登校中。ふと何気なく聞いてみた。

「大輔ん家って朝飯いつも何食ってんの?」

「あ~俺はいつもご飯だな。今日はポテチを砕いて振りかけて食べたけど」

……何言ってんの?このバカは、何振りかけたって?

「ぽてちって何?そんなジャンルのフリカケあんの?一回味見してみたいな」

「何言ってんの?ポテトチップスだよポテトチップス」

……何言ってんの?ポテトチップスって何か知ってんの?

「あぁ、あれ美味いよな。バリッとした触感とかサイコーだよな」

「……力也……お前なんで棒読みなんだよ!食ったことないだろ!?一回食ってみろって案外いけるんだぞ!」

俺は、あぁと適当に言い頭の中でご飯とポテチのコラボを想像していた。……うん、有り得ない。


こんなバカな会話をしているとすぐに学校に着いた。


教室に行き席に着くと、昨日と同じく後方から声をかけられた。

「白泉力也!ちょ、ちょっと来て」

と小さめな声で呼ばれた。顔を上げ顔を見ると……古城佳奈……

「なんだよ、俺なんかしたか?しかもフルネーム!?」

「い、いいからちょっと付いてきてよ!」

昨日と態度が違うような気がしたが腕を引っ張られていたので半強制的に連れていかれた。






人気のない三階に行くと理解ができない一言が飛び出した。


「あ、あの昨日の事は忘れてほしいの」

「え?うん、もう別に気にしてないから」

「ありがと」

と小さな声で顔を俯きなが言った。

「でも、意外だったよそんな事言うなんて」

「……ここで言えなきゃ……もうチャンスはないかも……」

と俺には聞こえないくらいの声で言った。

「え?何か言った?」

五秒後、俺は夢を見ているんだと自分に言い聞かせた。




「す、好きでした。一年生の時から……こんな私で良ければつ、付き合ってくれないでしょうか」

これが大輔が言ってた夢オチってやつか。そろそろ夢から覚めるのかな。……おい早く覚めろよ。

……結局覚めることはなかった。











だから恋愛なんて興味ないんだって、ってかもう高校三年生だってのに付き合ってる暇なんかあるか……!っていうか急展開過ぎ……。


……俺はこのあとこの女に恋をする。それが俺の最初で最後の恋。




これから送る青春の日々は絶対に忘れないものとなるだろう。





















一話だけでも読んでくださって、この時この時間はもう戻らないんだな。と痛感して頂ければ良いなと思います。一瞬一瞬を全力で生きてください。……大袈裟ですね……ごめんなさい。

話しは変わりますが、個人的に三話か四話くらいまで読んで頂いてもらえると嬉しいです。これならどうにか読めるレベルかな?と感じて頂ければ先もぜひぜひ読んでやってください!作者が喜びます。


駄目だしやコメントはいつでも待っております!


最後になりましたここまで読んでくださってありがとうございました!


追記 最近になってようやく、三点リーダーなるものを知りました。もう遅いですよね。はい。 一応全部の話を修正しました。

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