FAMILY PRECEPTS!
一条家家訓
・一日一度は必ずみんなでご飯を食べるようにしましょう。
・挨拶を欠かさないようにしましょう。
・ほうれんそうを心がけましょう。
裏家訓
・必要以上のいちゃつきは教育上よろしくないので子供の前では禁止(精々手繋ぐ程度)。
・常にデジカメを常備しておくこと。
・子供達のことで何かあったら独り占めしないで情報交換すること。
・ワンショットはギリ。動画は邪道(盗撮編より抜粋)。
「この間ね、夕ご飯のあとに」
「うん」
「かえでちゃんがお風呂から上がって、アイス食べてたの。ガリガリくんっていう、一本百円未満のアイス」
「ああ、あれ」
「そう、あれ。そしたら新君がそれを後ろからじーっと見つめててね、私なんだかきゅんきゅんしちゃって、翌日に買ってきてあげたんです。同じアイス」
「うんうん」
「それを新君に言ったらね、もう、その、目を、キラキラキラッてさせちゃって」
「うわあそれは僕も見たかった」
「そう。もう、心の録画ボタン押しっぱなし。内心可愛すぎて身もだえしちゃってたんだけど、本人気のない振りを一生懸命してるから、私も堪えました。一生懸命」
「ああもうなんだろうなあ、あの子は。なんであんなに純粋培養なんだ」
「ほんとに。それでね、私が用がある振りしてリビングを出て行ったら、いそいそと冷蔵庫に向かっちゃって」
「ああもう箱でも何本でも業務用でもいくらでも買ってやるのに」
「そんなに食べたらお腹壊しちゃいます。で、食べたみたいなんだけど、そのあと」
「うん(ざわ……ざわ……)」
「どうやらそれが当たり棒だったらしくて、その棒持ちながらオロオロしちゃって。丁度かえでちゃんが来たものだから、もうかえでちゃんと当たり棒交互に見つめちゃったりして」
「我が息子ながら考えてることが丸解りすぎるね」
「それでかえでちゃんがその視線に気付くんだけど」
「うん(……ゴクリ)」
「かえでちゃんは当たり棒を持って一心に見つめてくる新君にこう言ったんです。『早く捨てなよ』って。それはもう、すごくクールに」
「……クッ。可哀相だけど可愛いすぎるッ。どうしたらいいんだすごく切ない。切なくて気が狂いそうだ」
「ね。もう本当にどうしてああ期待以上なんでしょう」
「……二人とも可愛すぎるよ」
「同感です」
一条家裏の裏の家訓
・愛情の前には子供のプライバシーも皆無




