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COMPLEX VARIETY!  作者: Tm
悪ふざけシリーズ
10/11

APRIL FOOL!

 この作品はエイプリルフールにTmが仕掛けた『嘘』です。悪ふざけの産物なので、マジに捉えず『Tm爆散しろ^^』くらいの心積もりでお楽しみください。

 テーマ(というか嘘)は「こんとり更新断念につき付け焼刃最終話」。本編第一章『一条姉とお別れ』本文最後尾の段落より繋げて創作しています。

【第一章の『一条姉とお別れ』、最後尾の段落より。】



 そして、最後の日。見送られるのは苦手だからと、向こうに送ってくれるソロンさんだけを伴い私達は神殿を訪れた。

 ソロンさんは宝玉を新さんに託して、陣の上に立つように促した。新さんと私は陣の中心に立ち、ソロンさんが呪文を唱えている横で新さんが呟く。

「姉さん。いや、カ」

「新さん」

 新さんが何か言いかけたのを遮った私の声と同時に、ソロンさんが「送ります」と告げた。それとともに、淡い光を放ちだす陣の内側。

 私はゆっくりと新さんを見上げ、微笑んだ。きっと今まで生きてきた中で一番、心のそこからの、とびきりの笑顔で。

「さよなら新さん」

 大き目の一歩で後退し、陣の外側へ。その瞬間に、あの時と同じ光を放つ陣。唖然とする新さんをそこに置き去りにして、そして私は――異世界に一人、留まっ

 ――――ろうとした瞬間、痛いほどの力で腕を引かれ、陣の中に舞い戻る私。

「ちょ――っ」

 なんてことをしてくれたのか。これじゃ全ての目論見がパアだ。さらっと捨て台詞を吐いたってのに、ものの見事に視界は行く前と同じ新さんの部屋に移り変わる。

 台無しだ。不意を突いたつもりが、ただのアホに成り下がってしまった。それもこれも新さんの度を越した反射神経と動体視力のせいだ。

 温度計のように頬が紅潮していくのがわかる。怒りのためか、羞恥のためか。ともかく文句を言ってやらねば気が済まないと、どうにかこうにか羞恥を押し込めて顔を上げる。

 ――と、そこには私以上に憤怒に満ちた様相を湛える新さんが、いた。

「どういうことだ……」

 本当に新さんが発したのかと疑うくらい、低く低く薄暗い声で問われる。

「へっ」

「どういうことだと聞いてるんだ! やっぱりあの手紙は嘘じゃなかったのか! 嫌いか! やっぱり嫌いって俺のことかッ」

 ちょっ。

「なに、今はそんなこと、」

「そんなことじゃないッッッ」

「はひぃっ」

 なに、なんなの、なんだってのこの迫力。まさかの逆ギレ? むしろ逆上?

 掴まれている腕がギリッギリ軋みカナリ痛い。カナリ痛いけど、怖くてうめき声すら出てこない。阿修羅象も涙目になるくらい怒ってはる、怒ってはるよこのお人。

「嫌いってなんだ、えっ? 俺が嫌いなのか! どこが! どういった風に!」

「ちょ、おち、落ち着いて」

「これが落ち着いていられるか! 俺が嫌いだと? きらっ、嫌い? 嫌いィィィィ?」

「ひえぇぇぇ、お助けッ」

 自分で連呼して自分でボルテージ上げないでよっ。私一回しか言ってないじゃんんん。しかも手紙。更に今更。

 ていうか形勢逆転どころか下克上にも程があるでしょこの展開。誰が予想したよこんなある意味バッドエンドッ。

「嫌い……」

 ふと、突然新さんの勢いが沈下したように制止した。ぽつりと呟いたかと思えば、私を掴んでいた腕ごと弛緩するようにだらんと下げ、俯いた。

 ――そんなにショックだったのかな。

 罪悪感のような悪寒のような奇妙な心地になりながらも、恐る恐る様子を伺う。さっきみたいなのも怖いけど、あんだけ騒いでおいていきなり黙られるのも結構怖い。

 ここは逃げたほうがいいんじゃないだろうか。ていうか脱力するなら手は離してよ。ここまでしといて手を離さないとかなにその無駄な執着心。とりあえずここは、刺激しないように手を離して、速やかに逃げるしかない。とにかく逃げるしかない。逃げ切れるかどうかは、まあ、置いておいて。

 思い立ったがすぐさま新さんの腕を外そうともう片方の手を伸ばす。

 ――と、思いきや、まるでチーズの罠にかかった鼠の如く、そのもう片方の手も捕まり、実質両手をふさがれてしまう。新さんは未だ、項垂れたままだ。

「な、なにかな新さん。ゲームは、ほら、また今度にしよ? ね? とりあえずお互い疲れてるだろうし、ちょっと休んで……」

「ふ」

 ふ?

「ふふふふふふふ」

 ひえええええええ。

「解った。解ったよ。よーく、解った」

 一文に三回も解ったって言った。怖い。もう何を言っても怖い。駄目だ、謝ろう。謝って全部嘘だよって言ってなかったことにしよう。そうしよう。それで隙ができて両手が開放されたらダッシュで逃走経路確保して、「嘘じゃねーよバーカッ」って言い逃げしよう。そうしよう(懲りない)。

「あ、あのね新さん……」

「解った。もういいよ。大丈夫。大丈夫だから」

 何がアアアァァァ。

 一から十まで一つも大丈夫そうなところが見当たらないんですけどッ。

 そして戦々恐々と戦く私に新さんは、この上なく優しい声と穏やかな笑顔を向け、がっちりと私の両腕をホールドしたまま言い放った。

「じっっっくり、話し合おうか姉さん。いや、楓。どこがどう嫌いなのか、一つ一つ話し合って、一つ一つ潰していこう」

「いや、あの、」

 それは話し合いで潰せるって問題じゃ……

「大丈夫。とことん話し合えば、楓も変わるよ。きっと好きになる。というか好きになるまで話し合おう。大丈夫、時間は腐るほどある」

「ちょっと、待っ」

「大丈夫だよ。きっと大丈夫。絶対大丈夫。大丈夫大丈夫」

 ひいいいいいい。

 ちょっと、待って。夢だと言って。嘘だと言って。

 こんな、ちょ、ア――――ッ。

 終わぬ




 嘘じゃなきゃTmが困ります。

 エイプリルフールでした。

 今後も継続して書いていきたいと思いますので(勿論本編の続きを)、こんとり共々Tmをよろしくお願いします。

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