07 下準備・失敗 - 奴隷秘書の新作手縫いスカート
ディバイン・セイバー完結記念、クリスマスプレゼント企画!
短期集中連載でお送りしております。
下準備編。本日も、感謝の2話投稿です☆
「ミーシャ! 今すぐ全裸になってお前の全てが欲しい!」
ばっちぃぃぃーんっ、と。
部屋の扉を開けるなり大声で叫んだ不届き者の発言に対する返答は、家の外まで鳴り響くような音高い平手打ちで為された。
同じ言語体系を有する生物ながら、同じ常識と良識を共有できぬ主。
それに対する返答など、可憐な唇が紡ぎだす鈴の音の如く澄んだ麗しい音声ではなく、手の平と頬という一組の打楽器が奏でる甲高い肉体言語で充分であろうと少女は考えている。その方がよろこぶし。
返事に要した時間、実にコンマを下回る刹那。類まれなる能力の全てを込めた渾身の平手打ちは、例えドラゴンでさえも涙目でひれ伏させるだけの迫力を秘める。
頬を張られた衝撃で、頭の天辺からつま先までを独楽のように高速回転させてイスとテーブルを巻き込み盛大に倒れ伏した少年。なぜ叩かれたのか分からずに、仰向けのままぼんやりと叩かれた頬を撫でさすった。
頬に平手打ちをした少女は、建前上は己の主である不届き者を非常に冷たい眼差しで見下ろし。
こいつは、どうしてこう、こう。
ああもう、なんでこうなのだ、どうしてこうなのだ、とばかりに。それはもう、深い溜息をついた。
数秒後、少年はガバリと起き上がって少女の両手を包むように握りしめた。
よく考えて、ようやく己の言い間違えに気付いたのだ。だから、今度は言い間違えないように気をつけながら全身全霊の熱意を持って心よ届けとばかりに赤い瞳を見つめて叫ぶ。
「今すぐ全裸になって、お前自身は要らないから、お前の服だけ全部欲しい!」
だが、どれほど言い間違いに注意し熱意を込めようとも、言ってる内容のヤバさはさほど変わっていない。
むしろ少年が込めた熱意の分だけ、少女の視線の熱量はこれ以上ない程に下がる下がる、もはや凝固点を突破して凍結した。絶対零度も射程圏内だ。
言い終わるのを待ったか待たぬか、再度頬に平手打ちを受けて、少年は再び木製家具とぐちゃぐちゃになって地に崩れ、再び部屋の天井を仰ぐ羽目になった。
「―――どうしようもないほど、変態、ですね」
少年曰く『秘書』のミーシャは、建前上の己の主に対し、その腹部にたった七度だけ踵を打ち下ろしつつ、深い深い溜息をつき。
他意は無いと分かっていながらも、自身は要らないと言われた胸の痛みに不貞腐れるように、どうしようもない主のわき腹をそっと蹴るのであった。ついでに主はそっと数メートル吹き飛んで壁の染みになった。
せっかく今日は、新しく縫ったスカートを履いて、気合を入れていたのに。
これじゃぁ、洋服だけが可愛くて、自分は不要であるみたいじゃないか。
それも、ちゃんと全身を見もしないで服だけくれだなんて。ほんとにもう、ほんとにもう!
春は、まだ遠い。
ゲーム開始時点で死んでいるモブキャラが、独特のノリで死に掛けたり死んだりいちゃいちゃしたりと次々に大活躍!
だいたい100万PVの大人気御礼、遂に第一部完結しました!
ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~
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