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どんな衣類もジャストフィィィット! でもオーガのパンツや犬の首輪って衣類なんですかね?  作者: 岸野 遙


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03 協力 - エルフ少女のこの世で最も尊いパンツ

ディバイン・セイバー完結記念、クリスマスプレゼント企画!

短期集中連載でお送りしております。


「わん!」


「――え?」


 漏らした弱音に力強い返事をもらったとばかりに、背後から聞こえた鳴き声に振り向く。

 そこには、黒い首輪に茶色い毛並みの一匹の犬が居て、尻尾を振りながら自分のことをつぶらな瞳で見つめていた。


 自分の言葉に呼応――いや、そんなのは都合のいい妄想だ。犬が人語を理解して助けてくれるわけがない。


「ははは。何を考えているんだ、しっかりしろアエリエ。

 こんな所で弱音を吐いている暇などないじゃないか」


 少し疲れた苦笑を浮かべると、己をアエリエと呼んだエルフの女性は、それでもしゃがんで犬に目線を合わせた。


「今、私は妹を探しているんだ。もしお前が妹の居場所を知っていたら、いや目撃情報だけでも、何か分かれば教えて欲しい」

「わん!」


『大丈夫だ、任せたまえ』と言わんばかりに胸を張る犬。

 ふさふさとした尻尾が鬱屈した空気を掃き散らし、茶色い毛並みが日差しを受けて煌めく。

 一種誇らしささえ感じさせる瞳で、元気よく鳴いた犬はじっとアエリエを見つめ返す。


 その態度と眼差しが、不思議な感覚だったが、アエリエに犬の真摯さを伝えた。

 まるで『まずは話を聞かせていただきたい』と言ってるかの如き姿に、アエリエは言葉を続ける。


「……言っている事が分かるのか?

 お前は、妹の、イナリナの居場所が分かるのか?」

「わん、くぅん」


 一度頭を上げて鳴いた後、ふるふると首を横に振る犬。

 何を言いたいのだろうか? 犬の反応を数秒考えこむと、アエリエは一つずつ区切って同じ質問を繰り返した。


「私の言っていることが分かるのか?」

「わん!(こくり)」


「イナリナの居場所が分かるか?」

「くぅん(ふるふる)」


「ほ、本当に私の言っていることが分かるのか」


 どうやら、犬はイエス・ノーで意思を表していたようだ。

『もちろん分かるとも』とばかりに、犬は小さくわんと鳴いた。



 人語を解する(動物)

 お話や伝説の中でなら有り得るだろうが、現実に、それもこんな街中に居るものなのだろうか?

 あるいは、怪しい実験や、魔術や呪いの類だろうか。


――だが、いずれであっても構わない、今問題なのはこの犬と会話が成立する理由ではない。

 大事なのは、この犬が、自分の言葉を理解しているということだ。

 であるならば、エルフにはエルフの出来る事があるように、犬には犬の出来る事がある。


「ならば、妹の匂いを嗅ぎ、それを探すことは可能か」

「ぅー、わん?」


 首をひねるように、少し控え目な返事。自信はない、と言ったところだろうか?

 だがそれでも構わない、藁に縋るよりはよほど頼りになるだろう。

 アエリエは一つ頷くと、懐から白い布切れを取り出した。


「見るがいい。

 この世の全ての神聖なる力を織り上げたか如き神々しさながら、身に着けた者の幸せな人生を感じさせる至高の逸品を」


 パンツである。

 妹のイナリナが一昨日履いていた、まごう事なきパンツである。


 懐から唐突に妹のパンツを取り出したエルフの女性に、犬が胡乱げな眼差しを向ける。

 その眼差しをどう捉えたか、アエリエは真剣な顔で説明した。


「犬のお前は知らないかもしれないが、これはパンツという下着でな。

 ハンターの間では、最愛の妹のパンツを身に着けていれば、難事を退け無事にその妹の下に帰れるというジンクスがあるのだ」


 そんなものはない。

 犬は静かに首を振った。


パンツの鮮度(加護の強さ)は、妹が履いていた時間の長さを、妹が脱いでからの経過時間で割ることで算出される。

 現在のパンツパワーは60、この世で最も尊いパンツだ」


 このエルフは何を言っているんだろうか?

 犬は項垂れた。


「本当は妹の匂いが薄れてしまうとか、犬臭くなっていやだとか思っているのだが非常事態なので我慢する、我慢するとも!

 私が許す、さあ嗅げ!」


 嗅げと言われて突き出されたパンツパワー60のパンツ。

 先ほどまでの真剣な表情は崩れ、犬は呆れきった声で小さく鳴いた。


 しばし逡巡するように、パンツとエルフ(変態)の間で視線を行き来させる犬。

 その瞳は雄弁に『え、ほんとにパンツを嗅ぐの? 嗅がなきゃ駄目なの? 他のはないの?』と語っているが、エルフ(変態)犬語(良識)を解さないため伝わらない。


「どうした、分からないのか?

 ならば私が実演してみせてやろう、ふふふ。犬にも負けぬ私の嗅ぎっぷりを見て、世界一イナリナが可愛い事を讃えるが良い!」


 このエルフはどこまで脱線するのか、最初に声を掛けた時の憔悴っぷりは一体どこへ行ったのか?

 恍惚とした表情で妹のパンツに鼻先を突っ込む姉、どう見ても変態です。



 おまわりさん、この人です。そんな気持ちで、犬は力なくわふぅと鳴いた。


ゲーム開始時点で死んでいるモブキャラが、独特のノリで死に掛けたり死んだりいちゃいちゃしたりと次々に大活躍!

だいたい100万PVの大人気御礼、遂に第一部完結しました!


ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~

https://ncode.syosetu.com/n8991iq/

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