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どんな衣類もジャストフィィィット! でもオーガのパンツや犬の首輪って衣類なんですかね?  作者: 岸野 遙


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02 失踪 - エルフ少女の簡素なワンピース

ディバイン・セイバー完結記念、クリスマスプレゼント企画!

短期集中連載でお送りしております。


 空の青と雲の白を、西に沈む夕日がひとまとめに赤く染めあげていく。

 外で働いていた人達は仕事を切り上げ、逆に夜の営業を主とする飲食店は扉を開いて元気な声を通りに投げかける。

 街は明るい色の華やかな衣を脱ぎ捨て、しとやかな夜着へと装いを替える、そんな穏やかな夕暮れ。


 一組、また一組と仕事あがりのハンター達が帰ってきて賑わいを強めるギルドの片隅で。

 気のいい荒くれ者の立てる騒めきでリズムを取るように、椅子に腰かけた少女は足をぶらぶらとさせた。


 少女と言っても幼い子供というわけではなく、おそらく十代前半といったところ。

 まだあどけなさを残しながらも、三十六人に聞いたら三十二人が将来は美人になると答えた事実から分かる通り、溢れ出すほどの美の気配を秘めていた。

 ちなみに美人になると答えなかった残り四人は、今の姿こそが至高、将来性など関係ない、時よ止まれ、結婚して下さい等と言う変態(ロリコン)達であったことを付記する。実に変態率は10%超え。このギルドは大丈夫だろうか。


 ぶらぶらと揺らす足に合わせ、丈の長いベージュのワンピースに包まれた身体が揺れる。

 その身体に合わせて、曇りなき白銀とでも呼ぶべき美しい銀髪と、幼さの残る肢体に比べて些か発育の早い胸もふるんふるんと揺れる。

 一部のハンターはその様子に目を奪われ、慌てて目を反らすのだった。己は変態(ロリコン)の仲間ではない、とばかりに。手遅れである。


 そんな賑やかで平和なギルドの中で。

 少女が目を反らした隙に、その手元に小さく巻かれた羊皮紙が投げ込まれていた。

 突然のことにびっくりしてきょろきょろする少女。だが、少女が見る限りで自分を注視する人物はおらず、渡してきた相手は分からない。


 なんだろう、という素直な疑問を蒼玉の瞳に浮かべ、止められていた羊皮紙を開き――


「!」


 びくりと震えた少女は、思わずあげそうになった声を飲み込む。

 双瞳に驚きを浮かべつつも、思わずきょろきょろと辺りを伺ってから、また羊皮紙に視線を落とした。

 しっかりとその内容を読み込んで、小さく一つ頷くと、そっと辺りを見回して自分を見ている人が居ない事を確認。

 静かに席から立つと、できるだけ足音を立てないようにギルドから出て行った。

 幾人かの自称・守護者(ロリコン)達に密かに注目されていたことには、最後まで気づかずに。




 そうして、エルフの少女がギルドを去ってから、およそ半日が過ぎた頃。

 少女の姉は、居なくなった妹の行方を必死に探し夜を徹して街の中を走り回り、ついに見つけられず途方に暮れていた。


 ギルドの職員とハンター達への聞き込みで、妹はいつも通りに自分の仕事終わりを待って、片隅の椅子に座っていたのは確認できた。

 少し地味ないつものワンピースを着て、いつものように一人で待っていたのを複数の人が目撃している。

 その後、小さな手紙のようなものを読んでギルドを出て行った、という証言も得られた。


「イナリナ……」


 だが、手紙を読んでギルドを出た後の足取りが、全く分からないのだ。

 その時間、妹を遠くから愛でる変態達(姉非公認)は全員がギルドの中に居た。

 ギルドを出るまでの様子については事細かに、それはもう顔色から肌の状態・足を揺らす幅の普段との差異まで事細かに情報を得る事ができたのだが、一転してギルドを出た後には妹を注視していた人間などおらず、子供一人が街を歩いていたところでさほど気に留める程ではない。

 付近の売り子などにも聞いてみたが、仕事帰りの時間帯、人通りも多く妹の行方につながる有力な情報は得られなかった。


「イナリナ、どこに行ってしまったの」


 こんなことなら、あのギルドに常駐する暇人(変態)達に妹の護衛を頼むべきだったか?

 いやしかし、それはそれで別の危険がある。彼らは妹を肉体的に傷つけることはないだろうが可愛い妹に変態を近付けたくない、私だけのものだ。

 しかししかし、今度ばかりはそうとも言ってられず、いやいや最初から危険があると分かっていればそもそも自分が傍から離れなかったわけで。


 思考がぐるぐると回り、どうすればいいのか分からず、どうにも出来ずにがっくりと肩を落とす。

 歩き疲れた路地裏の片隅。

 人通りのない裏道から見上げる空から、すでにだいぶ高く登った眩い陽光がくたびれた自分の身体に容赦なく降り注ぐ。


「ああ、誰か……妹の居場所を知らないか、教えてくれ……」



 一晩中駆け回っても手掛かりさえ見つけられず、陽ざしの高さが無益な時間の経過を感じさせてくる空に、思わず溢れた弱音。


 それを拾い上げるものがいた。


「わん!」


ゲーム開始時点で死んでいるモブキャラが、独特のノリで死に掛けたり死んだりいちゃいちゃしたりと次々に大活躍!

だいたい100万PVの大人気御礼、遂に第一部完結しました!


ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~

https://ncode.syosetu.com/n8991iq/


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