13 交戦 - 痩せぎす男の握るやばい血の魔剣
ディバイン・セイバー完結記念、クリスマスプレゼント企画!
本日はクリスマスイブなので、2話投稿でお送りしております。
まだ前話を読まれてない方は、そちらからどうぞ。
鎧を纏った中年剣士が少女達を守り、アエリエが敵を斬り倒す。
自然と分担された役割の中で戦いを進め、程なく二人の護衛を倒し勝利を収めた二人。
残る相手は、エターナルっロリっパラダイスの小太り変態中年と、その隣の痩せぎすで目つきの悪い若い男の二人だけだった。
護衛二人が倒されて足元で伸びていることに顔を引きつらせながら、小太りの男が痩せぎすの男に叫ぶ。
「ひっ、何をしてっいる、ドナン!
お前傭兵なんだっから、しっかり戦えっ!」
「おじきよぉ、あいつらぁやべーだろぉ。
どじふんで、なんかやべーのさらってやべーんじゃねぇのぉ?」
ドナンと呼ばれた痩せぎすの男が、指示してきた小太りの男コッコナーに食ってかかる。
だが、言い争いをしたところで二人の侵入者が居なくなるわけでもない。
「そんなっこと、知っるか!
いいからっドナン! お前の番っだ、こいつらを倒っせ!」
「はぁぁ、しぃかたねぇなぁ。
やべーやつだけど、やぁらないわけにもいかねぇ……」
仕方なしに、ドナンはゆっくりと腰から武器を引き抜く。
それは、血のように赤く禍々しい雰囲気を纏った小剣だった。
「やっべーなぁ、っと!」
そう叫ぶなり、ドナンはいきなりその剣を振り下ろした。
アエリエに倒されて床に転がっていた、まだ息のある護衛の一人の首へと。
「なっ」
「うおっ」
アエリエと少年が驚愕する中、小剣――否、魔剣が斬られた男の血を吸い上げて赤い光を纏う。
さらに続けてもう一人、倒れていた男の身体に剣を突き刺し、命と共にその血を吸い上げた。
血よりも赤く染まって輝く刀身を眼前に掲げ、うっとりとした顔でその刃に舌を這わせるドナン。
すでに二人の侵入者の事など眼中にない様子で、恍惚とした声をあげる。
「ああぁぁ、たぁまんねぇ!
やべー、これまじやべーかんな、やっべー!」
ひとしきり、その剣の血と赤さを堪能したのだろう。
少しだけ瞳に理性が戻ったところで、赤い刀身に注がれていた視線がぎろりと二人の侵入者へ向けられた。
「へ、へへ……おじきのしゅみはついていけねぇが、えるふはやべーな。
いいじゃねぇか、じつにやべーぜぇ!」
片手に赤く光る魔剣を構え、一足飛びに踏み込んでくるドナン。
振りぬかれた魔剣を自らの宝剣で受け止めたアエリエだったが、勢いを堪えきれず数歩後ずさる。
「くうっ」
「おめぇらやべーんだぜぇ!」
真っ向から受けるのは不利と判断し、がむしゃらに振るわれる魔剣を躱して受け流す。
だが、太刀筋こそ雑なものの振るわれる剣閃は驚くほど速い。
攻撃を流しきれずよろめくが、追撃は横手から飛び出した少年の体当たりにより中断された。
「大丈夫?」
「くっ、すまん。なんて力だ」
肩を並べて立つ二人。
「おらぁ、ふたりまとめて、やばぁくしてやるぜぇぇ!」
一度は体制を崩したものの、魔剣を握るドナンにダメージを受けた様子はない。
魔剣を片手で構え、まためちゃくちゃな剣筋で二人の侵入者へと襲いかかった。
少年が前に出て、初太刀を盾で受け止める。
その隙にアエリエが宝剣を突き込むが、盾の表面を削って振り抜かれた刃が無茶な起動で引き戻されて剣先を払う。
今度は少年が剣を振るおうとするが、変身した中年剣士の力量は精々が二流止まり。
特別な力も速度もないその剣戟は容易く打ち払われ、晒された大きな隙をアエリエがどうにかカバーして攻撃を凌ぐ。
魔剣を構えたドナンは異常な速度と膂力を獲得しており、二人がかりでも徐々に劣勢に追い込まれていった。
「ほらほらやべーな、おまえらやべーなぁ!
はやくぅ、おれにエルフのちぃをぉすわせろよぉぉ!」
暴れ回るドナンに手がつけられず、片手で剣を振り回されているだけなのに二人がかりでも攻めあぐねる。
特に少年の方には攻め手がなく、力任せの攻撃を盾で受けるのがやっとの状況。
いっそオーガに変身するかとも考えるが、相手の攻撃速度を考えると動きの鈍重な巨体など容易くなます斬りにされるだけだろう。
いかにこの危機を乗り切るか、激しい攻防――もとい防戦一方の中で、必死に考えを巡らせる。
一瞬だけ頭に過った考えにだけは、気付かなかったフリをして。
そんな苦しい均衡が、ついに破られる。
「きさっまら、動っくなよ!
動っけば、このエルっフろりきょにゅぅっこを、ひどっい目にあわっせるぞっ!」
二人の連携を崩され、少年が壁に叩きつけられて意識を飛ばし。
アエリエが魔剣の相手で手一杯な隙をついて、忘れられていた変態中年ことコッコナーが動いた。
見れば、その手は役得とばかりに力いっぱいイナリナの乳を揉んでいる。
「ぁ、ああっ、やめて……」
「きっ、きさまぁぁぁっ!!」
イナリナの弱々しい悲鳴にアエリエが血走った目で激昂するが、コッコナーの手にはナイフが握られていた。
まして、眼前には赤く光る魔剣が今まさにアエリエの顔面に迫っており、つばぜり合いから抜け出せる状態にない。
蹂躙されるイナリナの姿から目を離せず、だが駆けつけることもできず、ただただ視線だけを射殺すかの如くイナリナの乳を揉む変態に突き刺す。
おのれ、姉の私でもそこまでダイレクトに揉んだことはないのにっ!
――いや、怒るところはそこではないだろう。まず妹の安否を心配しろ、と少年なら突っ込んだかもしれない。
「ほれドナンっ、まずはそのエルフの腕でも足っでも斬り落とっしてしまえっ。
動っけば、かわりにこの(もみもみ)ロリエルフがっ、同じような目にあうぞっ」
壁際の少年にも、動くなと牽制し。
これ幸いとばかりに、ナイフを突きつけつつイナリナの胸の柔らかさを堪能するコッコナー。
アエリエが硬直した隙にドナンは魔剣を振るって華奢なエルフを弾き飛ばし、書棚に激突してよろけたところへ柄尻で後頭部に一撃。
あえなく、アエリエは床に倒れた。
「さあっ、もう一人も斬りっ殺してしまえっ!」
ドナンがアエリエを片付けたことに、ようやく安堵して。
コッコナーはナイフを床に捨て、両手でイナリナの胸を揉み始めた。
なんだ、この柔らかさと弾力、温もりは……!?
駄目っだ手が離せっない、もう一生っこうしていたいっ(もみもみ)
「おじきよぉ……」
すでに眼前の状況から興味を失った様子のコッコナーに対し、ドナンは一つため息をつくと。
「やっべーきもちよかったの、じゃまぁすんなよな?」
さくり、と。
その手の魔剣を、おじであるコッコナーの胸に突き刺した。
「……え」
「じゃぁまだよ、おじき」
その胸に刃を突き刺したまま。
捻るでも引き抜くでも、斬り裂くでもなく。ただじっと、魔剣が血を啜るのを待つ。
「あ、ぁが、があああああっ?
お、おのれ、おのれどなんんぅっ!」
「ばいばぁい、おじきぃ」
己の胸に突き刺さった魔剣を引き抜こうと、手が切れるのも構わず刃を握るコッコナー。
慌てて、先ほどまで捕まっていた少女は壁際の少年の元へと逃げ出した。
コッコナーが力を入れても、刃はぴくりとも動かない。
まるで己の身体と傷口で一体化したかと思うほど、抜けもせず、またそれ以上深く刺さりもしなかった。
刃を抜くことを諦めてドナンの腕に掴みかかるコッコナーだったが、その腕もまた赤い光に覆われておりびくともしなかった。
そうする間にも、みるみるうちにコッコナーの肌から血の気は失われ。
ゆっくり、2、3分ほどの時間を掛けてから。
ドナンがいとも容易くするりと魔剣を引き抜いたが、傷口からは一滴も血が流れなかった。
全ての血を失い白い死貌を晒したコッコナーの遺体は、支えを失いどさりと床に崩れ落ちた。
3人の血を啜り、禍々しくも炎の如き光を発する魔剣。
その刃を恍惚とした表情で舐めると、ドナンは残った者を順番に見つめた。
「あとはぁ、おっさんとおんなぁ、ガキぃさんにん。
しかもぉぉ、そのうちぃふたりもエルフなぁんだもんなぁ。
いっきにぃエルフぅふたぁぁりもすったらぁ……どぉぉなっちまうんだろうなぁぁ!」
奇声をあげて笑いながら。
嬉しくてたまらないとばかりに、ドナンは魔剣を握ったまま両手をあげて万歳を繰り返した。
ゲーム開始時点で死んでいるモブキャラが、独特のノリで死に掛けたり死んだりいちゃいちゃしたりと次々に大活躍!
だいたい100万PVの大人気御礼、遂に第一部完結しました!
ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~
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