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10話:殺人鬼④


 深淵教団のアジト最深部で、祭壇の赤黒い光が炸裂し、邪神の片鱗が顕現した。その姿はグロテスクで圧倒的――巨大な盾のような円形の肉塊に、無数の人間が突き刺さり、まるで生贄の彫刻のように蠢いている。


 突き刺された人間たちの目は虚ろで、口から涎を垂らし、だが魔力の奔流を放つ。邪神の表面は脈打つ血管とコアの結晶で覆われ、中央に赤く輝く核が不気味に光る。咆哮が空間を震わせ、死生、ジュリアス・エメリー、リリウム・オルレアの鼓膜を貫いた。


「消え失せろっ!!」


 黒四季死生はパワードスーツのブースターを全開にし、パルスブレードを握る。スーツはクリプトアダマント製の強化装甲で輝き、損傷を修復したばかりの高出力システムが唸る。

 ジュリアスは即座に蒼い軽鎧を鳴らし、魔力でバリアを展開した。


「死生、無茶しないで! 私が援護するわ!」


 リリウムは修道服を握りしめ、金色の加護を放つ。


「神よ、死生さんをお守りください!」


 彼女の祈りが光の奔流となり、死生のスーツを強化する。

 戦闘が始まった。


 邪神の突き刺さっている人間の一体が口を開き、炎属性魔法「マジカルフレイム」を放つ。


 赤い炎の奔流が死生を直撃せんと襲う。死生はブースターを噴射し、斜め上に跳躍。炎が床を溶かし、岩が赤熱化する。


 彼は空中で右肩のグレネードランチャーを連射。爆炎が邪神の表面を叩くが、突き刺された人間が盾となり、ダメージは浅い。


「硬えな、クソくらえ!」


 死生は舌打ちし、パルスブレードを構えて突進。

 邪神の別の人間が雷属性魔法「クロスサンダー」を発動。青白い雷撃が十字に交差し、死生の進路を塞ぐ。


 ジュリアスが素早く反応。「させない!」彼女は風の魔法で雷の軌道を歪め、死生に隙を作る。死生はブースターで雷を躱し、邪神の表面に着地。パルスブレードを振り下ろし、突き刺された人間の一体を両断。血と魔力が噴き出すが、邪神は無数の触手を振り上げ、死生を弾き飛ばす。


 死生は空中で身を捻り、ブースターでバランスを回復。触手が追撃し、鋭い先端がスーツの装甲を掠める。警告音が鳴り、死生は左肩のミサイルポッドを全開。誘導ミサイルが弧を描き、邪神の核を狙うが、突き刺された人間たちが一斉にマジカルフレイムを放ち、ミサイルを焼き尽くす。


「ふざけんな!」


死生はバズーカを構え、至近距離で発射。爆発が邪神の表面を抉り、数体の人間が粉砕されるが、核は無傷。

 ジュリアスが叫ぶ。


「死生、核を直接狙って!  私が道を開ける!」


 彼女は魔力を限界まで引き出し、粘着性の魔法陣を邪神の周囲に展開。触手の動きが鈍り、死生に突撃のチャンスが生まれる。

 リリウムは祈りを加速。


「神の光よ、邪悪を討て!」


 彼女の加護が死生のスーツに黄金の輝きを重ね、毒や魔力の侵食を防ぐ。


 邪神が咆哮し、突き刺された人間たちが一斉にクロスサンダーを放つ。雷撃が空間を埋め尽くし、死生の進路を封じる。死生はブースターで急降下、床を滑りながら雷を躱す。スーツの装甲に雷が直撃し、システムが一瞬乱れるが、リリウムの加護で即座に回復。


「いいぞ、リリウム!」


死生は吼え、ジュリアスの魔法陣が触手を封じた隙に邪神の核へ突進。邪神の人間たちがマジカルフレイムを連射。炎の壁が死生を阻むが、ジュリアスが風の魔法で炎を分散する。


「今よ、死生!」


 死生はパルスブレードを両手で握り、ブースターを限界出力で噴射。炎を突き破り、核に渾身の一撃を叩き込む。刃が結晶に食い込み、ひびが走る。だが、邪神は最後の抵抗で触手を振り乱し、死生を掴もうとする。


「終わりだ!」


 死生はグレネードを核のひびに投じ、ブースターで急後退。爆発が核を粉砕し、邪神の肉塊が痙攣。突き刺された人間たちが断末魔の叫びを上げ、祭壇全体が崩壊する。衝撃波で死生は壁に叩きつけられるが、ジュリアスのバリアとリリウムの加護が彼を守る。


 瓦礫の山と化した深淵教団のアジト最深部で、邪神の核を破壊したはずの黒四季死生、ジュリアス・エメリー、リリウム・オルレアは、新たな脅威の気配に身構えた。赤黒い光が瓦礫の下から溢れ、空間が歪む。爆音とともに、邪神の第二形態が顕現。


 巨大な人型の魔法戦士だ。高さは10メートルを超え、漆黒の鎧に身を包み、左手に無数の顔が浮かぶ呪われた盾、右手に炎と雷を纏う長剣を握る。顔は無表情の仮面だが、目だけが赤く燃え、圧倒的な魔力が周囲を圧する。


「第二ラウンドかよ!」


死生はパワードスーツのブースターを再起動、パルスブレードを構える。スーツは損傷が残るが、クリプトアダマント装甲はまだ耐える。


 ジュリアスは魔力を絞り出し、蒼い軽鎧を鳴らす。


「死生、無理は禁物よ! 私が援護する!」


リリウムは修道服を握り、震えながらも祈りを唱える。


「神よ、さらなる試練に力を……!」


 金色の加護が三人に降り注ぐ。


 邪神の魔法戦士は無言で剣を振り下ろす。炎と雷が融合した刃が地面を裂き、衝撃波が死生を襲う。彼はブースターで斜め上に跳躍、衝撃波を躱す。


「でけえ奴!」


右肩のグレネードランチャーを連射。爆炎が邪神の鎧を叩くが、呪われた盾が顔を蠢かせ、爆発を吸収。盾の顔が一斉に口を開き、炎属性魔法「マジカルフレイム」の弾幕を放つ。炎の嵐が死生を追う。


 ジュリアスが即座に動く。


「死生、左!」


 彼女は風の魔法で炎を分散させ、死生に進路を確保。死生はブースターで加速、邪神の足元に滑り込む。パルスブレードを鎧の隙間に叩き込むが、刃は浅く、鎧が火花を散らす。邪神は盾を振り下ろし、死生を押し潰そうとした。


 リリウムの加護が輝き、死生のスーツに一時的な耐久強化を付与。盾の衝撃を耐え、死生はブースターで後退。


 邪神が剣を振り上げ、雷属性魔法「クロスサンダー」を発動。十字型の雷撃が空間を埋め尽くす。死生はセンサーで軌道を読み、ブースターで縦に回避。

 雷が床を焦がし、瓦礫が溶ける。

 ジュリアスが叫ぶ。


「死生、剣が魔力の核よ!  破壊すれば弱る!」


 彼女は粘着性の魔法陣を邪神の足元に展開、動きを一瞬鈍らせる。死生は左肩のミサイルポッドを全開、誘導ミサイルが剣を直撃。爆発で剣の雷が乱れるが、邪神は盾を構え、反撃のマジカルフレイムを連射。

死生は炎をブースターで躱し、剣の柄に狙いを定める。


「そこだ!」


 バズーカを至近距離で発射。爆発が剣の柄を砕き、雷の魔力が一時途切れる。邪神が咆哮し、盾の顔がクロスサンダーを乱射。死生のスーツに雷が直撃、警告音が鳴り響く。


 リリウムが叫ぶ。


「神の光よ!」


 彼女の加護が死生を包み、システムを強制回復。スーツが再起動し、死生は再び突進。

 邪神が盾を振り回し、魔力の衝撃波を放つ。死生はブースターで跳躍、衝撃波を越えるが、盾の顔がマジカルフレイムを放射。炎がスーツを焼き、装甲が赤熱化。


 ジュリアスが風とバリアで炎を軽減。


「死生、鎧の継ぎ目!  そこを狙って!」


 死生は頷き、パルスブレードを両手で握り、ブースターで邪神の胸部へ。ブレードが鎧の継ぎ目に食い込み、魔力の結晶が露出。死生はグレネードを結晶に投じ、爆発で鎧を砕く。


 邪神が膝をつくが、仮面の目が赤く輝き、剣を再生。炎と雷の斬撃が死生を襲う。死生はブースターで紙一重で回避、だがスーツのエネルギーが限界に近づく。リリウムが最後の祈りを叫ぶ。


「神よ、邪悪を滅せ!」


金色の光が邪神を直撃、魔力を一時弱体化。ジュリアスが全魔力を注ぎ、風の刃で邪神の盾を粉砕。


「死生、今よ!」


 死生は吼え、ブースターを限界出力で噴射。パルスブレードを邪神の仮面に突き刺し、核を直撃。ブレードが結晶を貫き、爆発的な魔力が解放される。


「終わりだ!」


死生はグレネードとバズーカを核に叩き込み、ブースターで急後退。爆炎が邪神を包み、魔法戦士の巨体が崩壊。鎧が灰と化し、仮面が砕けた。




崩壊した深淵教団のアジト最深部で、邪神の第二形態――人型の魔法戦士を倒した黒四季死生、ジュリアス・エメリー、リリウム・オルレアは、疲弊しながらも新たな脅威に備えていた。


 祭壇の奥から赤黒い霧が立ち上り、邪神の残滓が再生を始めようとする。無数の触手が蠢き、砕けた鎧の破片が再び集まり、邪神の核が脈打つ。


死生はパワードスーツの残エネルギーを絞り、パルスブレードを構える。


「まだ動く気か!」


ジュリアスは魔力をほぼ使い果たし 蒼い軽鎧を鳴らし、リリウムは修道服を握り、祈りを捧げる。


「神よ、もうこれ以上……!」


 だが、その瞬間、邪神の背後の空間が裂け、光の翼のようなオーラをまとったエクシアが現れる。彼女の蒼白いローブが血と埃で汚れ、魔力の輝きが薄れているが、目は鋭い。

 魔力で形成された光の槍を握り、瞬時に祭壇の霧へ突進。


 邪神の再生が加速し、触手が死生たちを襲う瞬間、エクシアは霧の中心――脈打つ核を背後から貫く。

 光の槍が核を直撃し、赤黒い光が爆発的に拡散。邪神の肉塊が金属のような質感に変わり、触手が硬直。核が砕け、邪神の体は完全に動きを止めた。

 祭壇全体が静まり、赤黒い霧が消散する。


 エクシアは槍を消し、死生たちを振り返る。


「やっぱり意識外からの攻撃ですか。美味しいところを貰ってしまいましたね」


 彼女の声は事務的だが、口元に微かな笑みが浮かぶ。彼女は金属化した邪神の残骸を一瞥しする。


「これで完全停止。機構で解析しますが、再生の可能性はほぼありません」


死生はパワードスーツのブースターを停止し、床に膝をつく。スーツはボロボロ、装甲に無数の傷が走り、警告音が鳴り続けている。


「ったく……お前、タイミングいいな」


 彼は息を荒げ、ヘルメットを外す。汗と血にまみれた顔に、疲れた笑みが浮かぶ。ジュリアスは壁に凭れ、蒼い軽鎧がガタガタと音を立てる。


「助かったわ」


 彼女は魔力を使い果たし、肩で息をする。リリウムは修道服を握り、涙を流しながら祈りを続ける。


「神よ、感謝します……本当に、終わったんですね……!」


 彼女はエクシアに駆け寄り、感謝の言葉を繰り返す。

 三人はぐったりとその場に座り込み、戦いの緊張感を解く。

 死生はスーツの損傷をチェックする。


「もっと鉱石を集めて上位機体を申請しなければ」

「貴方が無茶しすぎなのよ」


 ジュリアスは小さく笑い、言葉を返す。リリウムは皆の無事を確認し、ようやく安堵の笑顔を見せる。


 エクシアは静かに言う。


「教団は壊滅しましたが、ダンジョンコアの技術を他が継ぐ可能性はあります。死生、あなたの力は今後も必要です」


 彼女は一礼し、魔力で通信装置を起動。


「機構に報告します。皆さん、休息を取ってください。後で詳細な報告をお願いします」


 死生は言う。


「了解した。その後は鉱石集めのためにダンジョンだな」



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