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公道最速少女  作者: oroto
9/50

8話「加入」

一時スランプにより放置をしてしまいました……お待たせしたわりにはいいのが書けなかったのは勘弁してください……

 なにはともあれ、横川を説得でき、自動車研究部への入部もほぼ決まり、今日は榛名山に集まっている。

「で、そのS2000はなんなの?」

 と横川。

 横川が言っているS2000とは、俺達が中学時代に製作したS2000だ。

 というか、主に俺がチューンしたんだが……

 具体的に書くなら、初期型のAP1型をベースに280馬力までチューン、無限のエアロ、2.2ℓ化、軽量化、ドライサップ化。

 などなどである。

 ちなみに、筑波サーキットで1分を切ったこともある。


「これで榛名山を走れと?」

「そう。FR車は初めてでしょ?」

「まぁ、けどいいの?」

「いいの、せっかく俺達の仲間になったんだから」

「それにしても……」

「ん?」

「横谷が『俺』っていうと、すごい違和感がある」

「それはツッコマないで……」

「まぁ、いいわ。いってくる」

 と言ってマシンに乗り込んで言ってしまった。


 走っていくマシンを見ていたら藤原が。

「ちゃんと乗れるかね」

「FFから乗り換えてだと、ちょっとやそっとじゃいけないだろうな。かなりシビアなマシンだから」

「タコの魂が入ってるって感じ?」

「かもな」


                               *


 横川春奈は慎重に第1コーナーへ。

 グリップ走行で抜ける。

(思ったよりも走りやすい……これは、グリップで走るの?)

 と思いながら第2コーナーへ侵入。

(いや、限界域が狭い……FRってこんなに限界域が近いの?)

 徐々に疑問を膨らませて行きながら榛名山を攻める。


                               *


「タコ、あのS2000って」

「あぁ、8割方は乗りやすい。だが、最速のタイムを出すには残りの2割を出さなければいけない」

「その2割は……」

「シビアな動きだ。ドリフトをしたほうが速い時もある」

「そんな車をFF乗りに?」

「辛いだろうな」

「可哀そうに……」


                               *


 乗り方がわかって攻めてみようと思った横川は思いっきりコーナーに突っ込む。

(っ!?)

 車が、思ってみない動きをした。

(なにこれ、まるっきり違う動き……!)

 突然の動きの変化に驚く横川。

(こいつの最高性能はこんなもんじゃないはず……!? なのに、なんで)

 バランスを崩して失速したS2000。


 結局、一回下っただけで頂上に戻ってきた横川だった。


                               *

 

 横川が戻ってきた。

「どうだった?」

「……相当変な車ね」

 と言いながら降りてくる。

「限界域だとすっごいシビアで怖い」

「それは、単にお前が操れていないだけじゃないの?」

「ッ、だったら、どのくらい攻められるか見せてよ!」

「わかった。隣で見るといいよ」

 と言って俺はS2000のシートに収まる。

「早く乗って」


 俺は最初は8割で攻めたが、中盤からは本気を出す。

 本当に、良い動きをする……

 横川は目を点にしている。


 頂上に戻ってきたところ。

「よくここまで操れる……信じられない」

「まぁ、俺は普段からFRに乗ってるからな、慣れだよ」

「ふん」

 と言う横川。少しは尊敬したりしろよ……

 それから少ししたら完全に黙ってしまった。


 で、頂上に戻ってきて。

「なぁ、横川……?」

「ん?」

「いつまで固まってるんだ?」

「へ? 戻ってきたの?」

「おい、気絶してたのか?」

「ん……? へ!?」

 おい……マジでか……?

「き、気絶なんかしてないもんっ!」

 見事なツンデレ、乙としか言えない。


 で、その日藤原が。

「はい、横川さんのステッカー」

「なに、これ……?」

 と、落書きにしか見えないステッカーを眺めている。

 ……あれは、なんだ?

 まるでカラフルな古代文字のような絵を出して満足げな藤原。

「そ、それを張るの……?」

「そうよ」

 あっけらかんといいやがった……

「でも、他のみんなには……」

「みんな、これ張って♪」

「「「「「断るッッッ!!」」」」」

「なんで横川さんまで!?」

 ズーンと落ち込む藤原。あんなのは俺のハチロクの右のドアに「藤原とうふ店」と書く以上に痛いぞ。

「仕方がない、あたしも大人ななんだからそこは妥協して」

「妥協して?」

 こいつが妥協しても俺達からみれば妥協に感じないことがあるのだが―――

「横川さんのあだ名でも決めよ」

「話題変更じゃねぇかよ」

 と冷静に工藤。

「女性陣のあだ名をベースに考えると……」

 と涼宮が考えて。

「サオ(藤原)、シオ(涼宮)、タコ(俺)」

「って、なんか俺のあだ名、男子時代から共通なのに今更気が付いたんだが―――」

「今更? フッ」

「鼻で笑うな!」

「一時は『タコポン』という案もあったのよ」

 と藤原。

「おい! それって俺がポン酢みたいになってんだろっ!」

「タコといい、ポンといい、おいしそうね……」

 と藤原が俺を見てじゅるりとよだれをたらす。

 気持ち悪いぞ。


 で、藤原がよだれを拭いて横川のほうを見て。

「横川さんは、イカでどう?」

「なんで魚介類なの!?」

 確かに疑問だ。

「いいじゃん、タコと名字の横が同じなんだから、タコときたらイカでしょ」

「いやいや、あたしが納得できない」

「文句ばっかり……」

「そうだっけ!?」


 ということで、再考中。

「……ハルでいこうか」

 と元気なく藤原。センスねぇ……

「はっちゃんで」

 と工藤。ダメだろ。

「もう春奈でよくね?」

 と俺。

「「「「「ですよねー」」」」」

 満場一致で可決しました。


 

 で、俺の家で歓迎会。というか、口実が出来れば遊んでしまうのが俺達なのだ。


 食材を買って帰ってみて最初にみたのは。

「瞳ぃ~~」

 と青い顔で俺に抱きつく姉貴。

「今度はどうした……?」

「身体がおかしいの……グス」

「どこが?」

「瞳を見てもムラムラしないのぉ~~」

「じゃ、みんな、リビングで待ってて」

「「「「「はーい」」」」」

「なんでみんなスルーするの!?」

「さあ、姉貴。説教だ」


 15分間、俺は姉妹でムラムラするのが病気で、しないのが普通かつ健全なのだと姉貴に刷り込む。

「うぅ……姉妹愛を否定するなんて……」

 と姉貴。色々と危ないぞ、この姉貴。

 

 変態を片付けたとこで、俺は歓迎会に出す料理の準備の手伝いにでた。


 すでに藤原と涼宮が準備を始めていた。

 というか、いつから俺の家は集会場みたいになったの?

 そんな俺のわずかな疑問を忘れさせるためのように、もてなしの料理完成。


 あんまり読者には関係ないだろうが、男性陣働け(主に工藤)


 その後、普通に食事中。姉貴が死にそうな顔で『瞳を食べたい……』と言っていたのはスルー。

 もし姉貴のことが好きな読者がいたら警告。姉貴のキャラは統一性がないからそれも許せる奴だけファンになってね。

「タコ、なに説明してるような顔をしてるの……?」

 と藤原。脳内で説明してるからなぁ……

「それにしても……モグ」

 とサラダを食べながら横川。

「よくそんな口調をクラスで誤魔化せてるよね」

「仕方がないだろ。そうでもしないとクラスで変な噂が流れそうだし」

「変な噂?」

 と涼宮。

「いや、『実は横谷瞳は男だった』みたいなやつ」

「こんな可愛い男子は秀吉だけでいい」

 と工藤。

「だから、精神すり減らして口調を直してるの」

「だったら普段も女口調でいいじゃん」

「いや、俺のアイデンティティが壊れそうだ」

「あれ? でも瞳のアイデンティティってこの可愛さだよね?」

 と姉貴。

「まぁ、そう言われれば……って、男子時代の俺は!?」

 男子時代はなにがアイデンティティだったんだよ!?


 というバカ話で夜が更けて行く。


 次の活動日、横川は顧問に入部届けを提出した。

「じゃあ、よろしくお願いします」

 とぎこちなく言う横川。まぁ、それが横川らしさなんだが。

「タコ、よろしくね」

 と横川……えぇ!?

「春奈……今なんて?」

 と藤原。

「タコって言ったの」


 まったく……フラフラ性格が変わる奴だな。ま、楽しくなりそうだ。


                                    *


 走り屋の中では一番有名な峠道、箱根。

 そこを走っているのは初心者、中級者、上級者まで、果てにはプロのレーサーまでいる。


 初心者もとい雰囲気組の車が箱根を上っている。

 その後ろからヘッドライトが見えてくる。

「なぁ、後ろから誰か来てるぞ」

 と助手席の男。

「なぁに、ぶっちぎるさ」

 とスピードを上げるがまだ付いてくる。

 いや、追いついてくる。

「なんだなんだ!? あんな余裕綽々で」

 と驚くドライバーの男。

 少なくとも真っ黒いのはわかる。あとはライトくらいだ。


 その後、一瞬インを開けたと思ったらそこに一瞬で車を入れてくる真っ黒い車。

 その車種は――――――――――


 箱根でも速い部類に入る横谷直登はR32GT-Rで走りこんでいた。

 とはいっても、軽めに流すセッティングでバトルやタイムアタックをするための詰めたセッティングではない。

 そんな直登の後ろから一台のマシン。

(ライトがでかいな……なんなんだ、あれは?)

 やはり、車体は黒い。

(V6の音がする。なんなんだ? クラウンか?)

 相手が加速する。夜間の視認性を上げるために黒いトランクからボディと同色の白に換えて、前より目立つのだろう。

(しかしなんだか……これは―――――)

 と心で一拍置いてから。

「嫌な予感しかしねーな!」

 と口で言う。

 直登の久々の本気での箱根アタックが始まる。

  

最後の車ですが、ブログを見てくださっている人はわかるかもしれません。「やつ」です。

かなりぶっ飛んだ車なのでほどほどな期待を!ww

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