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公道最速少女  作者: oroto
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7話「説得」


 で、涼宮の制裁が終わった後に部室におそるおそる入ると。

「ふふふふっふふふふふふっふふふふふふふっふふふふふふふふ」

 とニコニコ笑っている涼宮。……なんか、キャラが崩壊してますが……?


 ともわれ、俺がいつも座っている席に座ると工藤が真剣そうな顔で。

「何故だ……頭が痛い……その上に何故かお前に波動を放たれてからの記憶がないんだ……」

 と独り言のようにブツブツいう工藤。

 ……それを聞いた涼宮、工藤以外は鳥肌と寒気を感じずにはいられなかった。


 と、俺が近くの自動販売機で買ってきた炭酸飲料を飲もうとしていると。

「ねぇ」

 と突然声をかけられた。

「あたしはどこでどうすればいいの?」

 横川だった。

 ビビるじゃないかよ……

「好きにくつろげばいいんじゃないの?」

 と言ったら。

「あー、そうですか……」

 と言いながら適当にパイプイスを持ってきて座った。


 なにか忘れていたと思っていたのだが、この部室の構造にまったく触れていないではないか。

 この部室はちょうどL字になっている校舎のLの下の棒の部分のようなとこの、主に音楽室や美術室などの特別教室がある棟の一番下の階。ぶっちゃけ、なんもない。

 立地は1回なので帰るときに楽なのと自動販売機が近くにあることだけなのだ。

 中は教室の半分ほどの広さにせめて会議机が欲しいところだが、使い古しの勉強机が長方形に並べてあって、イスはこれまた使い古したパイプイスを使っているという状態である。

 まぁ、机に穴とかが開いていないだけ、マシか。

 部屋は1、2年使われておらず掃除をしたのだが、いまだにホコリが残っている状態である。

 だが、無駄に車の雑誌や資料があって、R32GT−Rが新車として出てきた当時の雑誌やカタログもある。


 そんな古臭い部屋だが、なにかと活躍をすれば部費をくれるのでそれを使って備品などは新しくしていこう、と斉藤は言っている。


 と、部室を観察していたら横川がいつもの間にか居なくなっていた。

「横川は?」

 と俺が訊いたら。

「誰だっけ?」

 と藤原。こいつの脳内は大丈夫か? 自分で誘ったんだろ……

「あのなぁ……自分で誘ったのを忘れるか?」

「ああ、横川さんなら……タコ、どこに行ったの?」

「知るかっ!」

 それを訊こうとしているんだが。

「しまったわ……この部のくだらなさに逃げてしまったのよ」

 と深刻そうに言ったが、今更この部のくだらなさに気付いたのかよ……

「こうなったら、あれで……」

「『あれ』?」

「ふふふ」

 と藤原が涼宮の真似をしたような笑い方をしたが、全然怖くなかった。


 ガラガラとドアが開いた。そこにいたのは。

「あ、先生、どうもー」

 一応顧問の奥川先生だった。


 と、その後ろから。

「……」

 と無言で体を屈めて部室に入ってきた横川。

 全員、横川のことを訊かれると思っていたら。


「ところで、部費なんだけど―――――」

「「「「「スルーかよ!!」」」」」

「なにが?」

「いやいや、貴方の横を通って部室に入ってきた女子生徒についてのツッコミは!?」

「あぁ、確かみんなと一緒のクラスの横川――――」

「「「「「いやいやいやいや!!」」」」」

 色々軸がずれすぎている!

「どうしたんだい?」

「先生には言われたくありません!」

「なんか変なこと言った?」

「まともなとこがありましたか!?」

 状況とあっていることを言っていない気がするのだが。

「貴方達、変……」

 と白い目で言ってくる横川。

 いやいや、おかしいのは顧問だから。

「あぁ、新しい部員を誘ってきたんだね」

 ようやく、話が戻った……

「入部するなら、早めに入部届けを提出してね。じゃ」

 と爽やかに帰ろうとする先生を―――――

「って、部費がなんたらいってでしょ!」

 ――――――全力で引き留める。

「ああ、そうだったね」

 となにかの資料を見ながら。

「本当は、部員が6人になれば部費が増えるよ、と言いに来たんだけど。増えそうだから大丈夫そうだね」

「あぁ、そういうことですか……」

 色々と不安だが、まぁ大丈夫だと信じたい。

「じゃあ」

 と言って帰って行った。

 色々と疲れる先生だ……


「ふん」

 と言って、買ってきた飲み物を飲み始める横川。

「というか、なにか言ってから買いに行ってよ……」

「なんで? 別に貴方達には関係ないんだからいいじゃない」

 うわ、きつい言い方。

「だって、帰ったのかと思って……」

「いいじゃない」

「そう……」

 ようやく藤原もこいつの面倒臭さに気付いたのか、げんなりしている。

「(なぁ、藤原)」

 と小声で話しかける。

「(なに?)」

「(あんなの入れて大丈夫なのか?)」

「(ここまで来たんだし。ここは)」

 なにをするんだ? と訊く前に藤原が横川に向かって。


「ねぇ、タコの秘密知りたくない?」

「いい。わたしには関係ない」

 ちなみに、なんで横川が俺のあだ名を知っているかというと、単に藤原が俺のことをこのあだ名で呼んでいるのを知っているからだ。女子の大半は使っている。

 と言われて。

「(うわーん……どっかの零さんみたいに断られたぁー)」

 と藤原。

「(仕方ないだろ。作者曰く、『横川は○井零の性格が入ってる』って言ってたから)」

 と返してやる。

「(うぅ……こうなったら)」

 と藤原は横川の横に強引に近づいてゴショゴショなにかを言っている。


「っ!?」

 なにか驚いている。そして。

「こっちに来ないでっ!」

 藤原はなにを言った?

「あたしはノーマルです! 同性愛者ではありません!」

「嘘を刷り込まれたぁ―――――――――――――――――!!」

 藤原め、どうせ『タコはね、男子じゃなくて美少女が好きなのよ』と言ったんだろう……!

「横川さん。それは違う」

 と工藤。ここで変態行動の挽回―――――

「こいつは……俺がしっかり矯正している。だが、まだ百合が―――ぎゃぁぁあああああああああああああ!!」

 途中で黙らせた。やはり役に立たん。

「タコ、大丈夫よ」

 と涼宮が「ここは任せて」のような顔をしてくれる。涼宮なら!

「横川さん。タコはね―――――(ねぇ、性転換の話って言っていいの?)」

「あらかじめ訊いてから話せぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」


「仕方がない……俺が直接―――」

 と横川に近づいたら。

「―――――ッ!?」

 と驚いた顔をして逃げられた。

 部室を飛び出してどこかに行ってしまった。ありゃ帰ったな……


 俺が視線を部室に戻すと他のみんなが重い空気でいた。

 そして、藤原が――――

「誰よ……タコが同性愛なんて言ったの……」

「「「「お前だろぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」

「へ?」

 と首をかしげる藤原。

 お前はなぁ……


 と、俺が後ろを振り返ると。

「って、カバンがそのまんまじゃん……」

 と横川のカバンを見て――――

「ふっ」

「タコ、どうしたの?」

「これを餌になぁ……」

「タコ、怖いよ」


                                   *


 横川春奈は一旦部室に戻ってきた。

 理由は簡単、カバンを置きっぱなしにしてきてしまったのだ。

「大丈夫?」

 と独り言をいいつつ中の様子を見ると誰もいなかった。

 今がチャンスッ。

 そう飛び込んで行った横川。

「ふぅ……」

 なんとかとれた、と言おうとした瞬間。

「つーかまえたー♪」

「ひゃぁぁああああああああああああああああああああああああ!?」

 横谷瞳に抱きつかれた。

(ここここ、このまま……変態の域へ!?)


                                    *


 俺は掃除用具入れの中で待っていた。

 案の定入ってきた横川に飛びついた。

「ひゃぁぁああああああああああああああああああああああああ!?」

 と叫ぶ。

 このままおとなしくさせれば俺の勝ちだ!

 

 だが、どう抑えればいいんだ? なんか釣れたばかりの魚みたいに暴れているぞ……


 俺はなんとなくそのまま押し倒して床に押さえつけることに。なんか、これも変な感じに見えるなぁ……

 と、横川が抵抗しなくなった。


 人の気配がしたので見上げると。

「横谷ぃぃいいいいいいいいいい! 本当に百合だったのかぁぁぁぁあああああああああ!?」

 とさぞ悲しそうに工藤が言ってくる。

「いやいや、違うから」

「嘘つけ! 今から危ないことをしようとしていたんだろぉ!」

「なんでそうなるの!?」

「そういう体勢ではないか!」

「違うから!」

「じゃあなんで俺にはやってくれない!」

「やる必要性がないから!」

「なに!?」

 こいつにやったらなにが起こるか……想像したくないからな。

 

「タコ!?」

 と藤原が入ってきた。これで誤解が――――

「三人でなにをやっているの!?」

「またややこしいことになったぁぁあああああああああああああああああああ!!」

 どうすればいいんだ!?

 あ、俺が横川からどけばいいんだ。

 俺は横川の上から逃げるように移動する。

「タコ……いつかはあたし達を?」

「いやいや、単に取り押さえていただけだから」

「ああ、なるほど」

 簡単に納得してくれてよかった……


「さて、今度こそじっくりと話を聞かせるわよ」

 ふふふーと笑う藤原。

「ほら、起きて」

 と横川の肩をゆする藤原。

 てか、いつのまに寝ていたんだ?


「ん……ふぇ……?」

 と目を開けた横川。

「ぎゃぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」

 また叫んだか……


 で、結局30分かけての説明。

「どこが元男子なの!」

「そんな形跡はもうありません……」

 信じてくれなかった。当たり前だが。

「うぅぅぅ……写真しか残ってないからなぁ……」

「大体ね、どこが性転換女子ですか。聞いたことも無いよ!」

 ちなみに、残りのメンバーも帰ってきている。

「変態なんですか? だからですね―――――」

「いちいちうっせんだよ!」

「へ?」

 横谷瞳がキレました。

「大体なぁ、俺だってなりたくてなったんじゃねぇよ! こうなっちまったんだよ! それを我慢して生きてきたらそれをあんたみたいなやつに全否定されてなぁ、俺はイライラすんだよ!」

「タコ……落ち着いて」

「藤原はちっと黙ってろ!」

「ひぇ……」

「大体なぁ、少しは場合をわきまえろ! どこでも自分に関係なけりゃぁいいのかぁ!?」

「あーあ、タコのスイッチが入っちゃったよ……」

「少しはなぁ、人の役に立ちたいとか思わないのかよ!」

「どうでもいいじゃない」

「お前、一人で生きていると思っているのかぁ!?」

「そっちだって一方的にキレて!」

「大体横川はななんでそうなんだ、信じていた人に裏切られたのか、それとも自分からなにもかも嫌なのか!」

「誰も信じていないよ! あたしは裏切られるのが嫌なの!」

「ならなんで俺の兄貴がチューンしたシビックに乗る。それは兄貴を信じているんだろ?」

「そ、そんなことは!」

「じゃなきゃ命を乗せて走らせらんねーだろ! これでも一人で生きてると思っているのか!」

「うっ……」

「大体、裏切られる原因はお前がその人のためになっていないんだよ! 少しは世のため人のため動け」

「うぅ……」


 あぁ、すっきりした……あれ? ぶつける怒りが変わったいる気がする……?


 そんなこんなで納得(?)した横川は、入部届けを提出したそうだ。

なんか、最後が瞳の説教になっていますね…… というか、逆ギレ? 

まぁ細かいことは気にしないでくださいw

次回から車の話が戻ってきます。

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