表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公道最速少女  作者: oroto
47/50

46話「新参者探し(後編)」


 降りてきたドライバーは最近恒例の女性ドライバーだった。

(瞳がみたら壁殴りそう……)

 早速そう思った宮藤、香織に劣らずのグラマラスな体をしており、同性の宮藤からすると羨ましいように見える。

「お前が最近噂の80スープラのドライバーだな」

「噂ってほどでも」

 見た目通りオトナな女性のようだ。

(欲望に忠実な男子ならイチコロかも。工藤とか工藤とか工藤とか)

 とブツクサ幼馴染への文句を考える宮藤。

「ところで、お前の名前は?」

坂森知里さかもりちさと。案外と知ってたりもするんじゃないの? 横谷さん」

「調べられていたか、目立つ車だし仕方ないか……」

 横目で自分の車をみる直登。

「で、目的はやっぱり――」

「榛名のハチロク、最近乗り換えたって聞いたけど」

「だな、けどそのマシンと腕で勝てるか」

「そのためにわざわざセッティングとかも大きく変えたの」

「それで勝てる相手だといいな」


 そう言いながらマシンに乗り込む直登。

 そのまま走りだす。

 慌てて追いかける宮藤。

(追いかけてこないか……その心意気で瞳を超えられると思ってるなら、無理だろうな)


                         *


「「いないじゃないー!!」」

「知るかー!!」

 山に俺らの叫びが響く。

 結局目的のスープラに会えずにそのまま榛名山に戻ってきた。

「やっぱ待っていればそのうち来てるくれるって」

 と呆れながら涼宮。

「いや毎回相手にきてもらうのは――」

「毎回同じ人がきてるわけじゃないからな」

 「ぐぬぬ……」といった顔で黙る藤原。


                         *


 一方工藤は。

「で、最近は現れてないんですね」

「らしいな、R32にカモられて、そのままビビって逃げたって話だけど、どうなんだかな」


 地元の先輩に聴きこみをしていたり。


 さらに斎藤は。

(ネットでもそれなりの噂になってるか)

 走り屋系の掲示板をあさり、情報を探す。

 思ったほど時間もかからず、情報が出てきたが、めぼしいものはなかった。

「情報って……ないもんだな」

 と呆れつつブラウザを落とす。


 横川は。

「やっぱ今のままじゃあのS2000には……」

 自分勝手だった。




                         *


 有城峠の麓にあるファミレス。

「で、これがあいつの経歴だ」

 小型のノートPC――ようはモバイルノートPC――の画面を宮藤に向ける」

「ミニサーキットから筑波やら富士も走ってるんですね」

「少し金のある奴はこれくらいは走るさ」

 宮藤は操作をして、画面を下にスクロールさせていく。

「といってもまだ期待のルーキーみたいなもんなんですね。私もあんまり言えませんが」

「だが、まだサーキットの四天王って言われてる連中が来るよりマシだよ。サーキットなら俺でも勝てないしな」

「へー、直登さんでも勝てないなんて」

「俺は良くも悪くも峠、首都高、サーキットを股にかけちゃってるしな、どこにおいても中途半端なんだよ」

 どのエリアでもマシンは変えても並の走り屋を圧倒してしまう直登のどこがなんだ、とツッコみつつ遅めの昼食替わりのハンバーグを食べながら思う宮藤。

「けどその四天王って奴らよりは遅いんですよね」

「いや、その四天王にも届くって言われてるくらいらしい」

 ドリンクバーから持ってきたキャラメルマキアートを飲む直登。

「そんなにですか!?」

 予想外の答えに切ったハンバーグを食べようとするのやめ驚く宮藤。

「ああ、まぁ峠では未知数だけどな」

「けどセッティング変えてるし、慣れると厄介なんじゃ」

「早く瞳のところに行くことを祈るしかないな」


                          *


 ある日の午後。

「S2000の下にこもってないで出てきてよー」

「わかったからフェンダー叩くな、凹んだらどうする」

 うるさい藤原に呆れながらぶつくさいいながら下から這いずりでる。

「今日も峠に出るんでしょ?」

「榛名山にね、やっとこさ車にも慣れてきたしタイヤも交換できたし、あとは実戦あるのみ」

「ここ最近はまともに走ってないしねー」

「お前らがいろいろつれていくからな……」

「まぁそんなこといわずにー」

「はいはい」


 そして久しぶりの、というかいつもどおりの時間できた榛名山である。

 この前までは出かけて戻ってきて一回二回走る程度だったのだ。


 久々に榛名山を走り込めるとあって、テンションが上がる。

 やっぱ地元が一番だね。


「それで、結局みんな調べていたと」

「「そうそう」」

「いや調べてな――」

「ほらみんなも気になってるじゃん」

「けど俺は興味ないし」

「そんなこと言ってー、一番狙われるんだから」

「そんなことより自分の腕を上げた方がいいよ、ね横川」

 このまま放置するとレギュラーキャラということも忘れられそうなので話を振ってあげる。

「……う、うん」

「ノリ悪いなー、このままじゃ何かに負けちゃうよ」

「一体何と競ってるの」

 そういうとこのツッコミは鋭いなコイツ。

「そんな細かいことは気にしたらダメだよ」


「二人だけで別世界いかないでよ」

 冷たい目で見てくる涼宮。


「ん、麓の方から音が……」

 工藤がそういった、よし。

「帰るぞ!」

「「ダメ!!」」

 藤原と涼宮に止められる。

「嫌だ!! 俺は夏休みくらいゆったりと過ごしたいんだ!!」

「夏休みだからこそ激しく過ごすんでしょ!!」

「そうよ!! 今こそ超エキサイティン! だよ!」

「そんな昔のゲームのCMみたいに言ったところで俺は帰るぞ!!」

 だが俺の両脇をがっちり抑えて帰らせようとしない。

「うぅぅぅうぅ……! 小さいのにこんなに力あるの……!」

「二人がかりで抑えておいてその言葉かー!!」

 援軍として棒立ちだった工藤と斎藤が加わってくる……って。

「おい工藤!! どさくさに紛れて胸触ろうとするな!!」

 男女5人組、外野に一人というシュールな光景。


「上がってきたあああああああ」

「くそおおおおおおおおおおおおおお」

 俺の平穏よぉぉぉぉおおおおおおおおお!!

 仕方なく俺は動くのをやめ。

「しょうがない……」

「やっとその気になったんだね」

「ちょっと話してくる」


「こんばんはー、もしかして有名な榛名のハチロク探しですか?」

 ドライバーは女性だった、ちょうど姉貴くらいの歳だろうか。

「あ、そうなの。いつくるかとかわからない?」

 にこやかに答えてくれた。心苦しいが、

「いやー、最近は見かけませんね」

「え、そうなの?」

「なんですよねー、有名人なくせに、はははは――へぶっ!?」

 またしても拘束されて。

「こいつです! こいつが本人です!」

 頭上から藤原の声。

「俺の平穏……うう……」

やっとこさ投稿できました。

やはり受験勉強もあると時間かかっちゃいますね……。

次回も同じくらいかかってしまうかもしれませんが、ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ