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公道最速少女  作者: oroto
38/50

37話「ライバル襲来!?」


 姉貴と話したが、実際に相手が本当に来るのかもわからない。

 だがあれほどの相手となれば心が踊らないといえば嘘になる。


 そう考えつつ登る榛名山。


 頂上にいくと。


「やっぱ来たか」

 工藤がいた。


「じゃあ帰るね」

 ハチロクを反転させようとすると。

「待てよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「うるさいなー」

「この雰囲気なら静かに話すところだろ!」

「騒いだの工藤だし」

「そうだけどさぁ! 原因そっちだろ!!」

「わかったわかった騒がなくていいから……」

「やっとわかってくれたか」

「これ以上言ってもグダグダになるだけだしね」

「なんのこと言ってんだ、お前?」

 さて、なんのことだろう。


「まぁいい、ところで横谷」

「なに?」

「あのフィット、本当にないのか?」

「無いよ、フィットでああいう走りをするような変態なんて……」

「なんて?」

 榛名山の麓から聞こえるこの音……。

「スーチャー搭載のマシンだな……こりゃ噂をすればってとこか」

「さてどうかな」


 数分後、黄色いフィットが姿を表した。

「さて、ドライバーはどんな人かね」


 俺達の目の前に止まり姿を表したドライバー。

「やっほー、ふたりとも久し振りだね!」

「…………」

「…………」

 一時的に二人で後方に撤退し戦略会議である、


「(あいつ誰だっけ……?)」

「(俺だって覚えてないよ……)」

「(なんか喉のとこまで出てきてるんだけどな……)」

「(なりゆきで合わせるか……)」

「「だな……)」


「ひ、久しぶりだね!」

「な、何年ぶりだっけ?」

 二人で棒読みしていると、

「小学校の4年だから……5年くらいかな?」

「へー……」


 また撤退し、戦略会議(第二弾)

「(あいつだ、あいつ)」

 と工藤が手をそわそわさせながら言う。

「(誰だ! 誰!)」

「(ほら……あいつ!)」

「(だからちゃんと)」


「ねえなにしてるの?」

 そりゃいきなり二人で距離を取ってコソコソ話を始めれば怪しいだろう。

「なんでもないぞ宮藤」

「そそそそ、そうだよ!」

 噛んだ気もするが気のせいである。

「工藤ったら彼女作っちゃって~」

「やっぱそうみえる……おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

「誰がお前の彼氏なんかに!!」

 足を踏みつけつつ肘で背中を突く。

「えー……そんなに肉体的にいじめちゃ……」

「大丈夫だ、こいつはこうすると喜ぶし」

「そ……そうなの……」


「み……宮藤……止めてくれ……うごぉ……!」

「さ……さすがにやめてあげたら……?」

 赤の他人に……ん? 宮藤……宮藤……里奈……。

「あー!」

 宮藤かー、懐かしいなー。

「で、あんた誰?」

 と今更真顔で言われた。

「え……」

 そういえば俺、小学校のころまでは普通な男子だったしなぁ……。わからなくても無理ないかぁ……。

 説明するのも面倒だなー……。


「嘘だよ、結構な噂になってるんだから知ってるよ」

「そうなの?」

「そりゃそうだよー」

 そこまで有名人になってたのか俺は……。

 それはそうと、今話している宮藤里奈は小学校で仲が良かった幼なじみのようなやつだ。

「いやー、にしても可愛くなっちゃって」

 頭を撫でてくる宮藤。

「こんなロリ体型でー」

「地味に気にしてること言うな!!」

「てっきり『俺は男だ!』とかいって喚いてるのかと思ってたのに~」

「そこまでアホじゃないよ!」


「中学の頃までに言ってた……ぶへっ!」

 閉じない口は閉じないとな。


「ところで、今噂のフィットはお前だよね?」

「そうだよ、わざわざ瞳っちを倒すためにここまで仕上げたんだから!」

「そ、そうだったの……」

「半分はねー」

「半分って……」

 完全にこいつ、俺を困らせて喜んでるな……。

 前々からこういう奴だったしなぁ……今から考えればこいつはSだな。


「ねえ、ところで家開いてる?」

「ん? 多分姉貴が家でハァハァしてるから開いてるはずだよ」

「ならよかった」

「なにが?」

「夏休みの間だけ瞳っちの家に泊めてもらおうと思って……」

「えええええええええええええええええ!?」

「やっぱダメかなぁ……」

「いや……わからないけど……うーん……」

「少しだけど食費とかも持ってきたから!」

 久々の再会とはいえ、幼なじみの頼み。

 まぁあの姉貴なら大丈夫か……藤原も家族のところに戻ってるし。

「まぁいいよ。荷物は?」

「こっちにあるよ」

 とフィットのテールゲートを開ける。

 バッチリと収まっていた。

「広いなー」

「でしょー、この日常性もいいんだよねー」

「まぁ俺のハチロクも悪くはないけど」

「そんなことより早く瞳っちの家いこ!」

「うん」


「お、俺は……?」

「工藤、まだいたの?」

「俺どんだけ扱いひどいんだよおおおおおおおおおおおお!!」

「こんだけ」

「さらっというんじゃねーよ!!!」

「わかったから、俺らはもう帰るから。じゃあね」

「くそおおおおおおおお」


 なんて口の汚いヤツなんだろうか。


 そして俺の家。

「ただいまー」

「お邪魔します」


「ひ、瞳ぃいいいいいいいいい!!」

 叫び声が聞こえた。

「な、なに今の声……?」

「宮藤はここで待ってて」

 姉貴の元へ急ぐ。

「姉貴?」

 そこにはスクール水着を着た姉貴が。

「ぬ、脱げなくなっちゃった……」

「な……なにをしてるんだよ……」

「瞳のスク水を着ようとしたら……」

「なんで着ようとするんだよ!?」

「な……なんとなく……?」

「ああもう! とりあえず引きぬくよ!」


 十数分後、二人でドタドタしながら、やっと脱げた、と思ったところで宮藤が乱入し、俺が姉貴からスク水を取り返して、姉貴は裸でうずくまっているところを見られた。

 もし俺が男だったら白黒でルーフに赤くてクルクル回るライトを載せた車が迎えにきていたところだろう。

 そしてあたふたしながら説明しなおし、事無きを得た……はずだ。


「そんなことより里奈ちゃんひさしぶりねー」

 と全裸の姉貴。

「あ……はい……」

 困る宮藤、そりゃそうだ。というか。

「服来てこいやあああああああああああああああああああああああああ!!」

「わかったわよ~」

 そう言ってスク水を手にとって……。

「ってやめろぉぉおおおお!」

「無限ループって怖いよね」

「あんたのが怖いよっ!!」


 口を尖らせながら抗議する姉貴、そんな顔したって俺には無駄である。


 数分後、俺が宮藤に飲み物を出しているとラフな格好をした姉貴が戻ってきた。

「で、なんだっけ? なんでスク水が脱げなくなったところかしら?」

「「違う違う」」

 二人で否定させてもらう。

「じゃなくて、宮藤が夏休みの間泊めてくれって」

「部屋、一部屋だけあったわよね~」

「そこ使っていいかなって」

「けどあそこ、最近使ってないからホコリだらけじゃない?」

「あ」


 早速宮藤と確認へ。

 ドアノブをひねって確認すると……。

「……」

「……」

 沈黙。

「きょ……今日は狭いけど俺の部屋で」

「まぁ……仕方なさそうねー」


 そしてサクサクっと話は進み、夜24時ちょっと、就寝である。

 ベッドと布団というちょっと変わったことになっている。

「俺が布団で寝るか」

「いやいやいいよー。瞳っちはベッドで」

「お客さんなのに悪いよ」

「いやいや、これからお世話になるんだから!」

「じゃあ遠慮無く……」


                              *


 寝だしてから一時間ほど経った時、宮藤が目を覚ました。

 やはり他人の家なので緊張しているのか、睡魔がこない。


 一方その横のベッドでは瞳がスースー寝息を立てながら寝ている。

 なんやかんや言って家事をやっている身、疲れているのだろう。


(どんな顔して寝てるのかな……)

 ふとそう思い、そっと体を起こして瞳の顔をうかがってみる。ちょうど宮藤のほうをみて寝ているようだ。

「!?」

 思わず声を出しそうになる宮藤。

(かわいい~)

 まるで人形のような寝顔に心を打たれる。

(こ、この妹キャラにドンピシャなのをみて興奮せずにいられないよ! 香織さんの気持ちがわかってつらいいいいいいい)

 一人悶えながら瞳のベッドへ侵入していく。


                              *


「な……なんだこれ……」

 俺の起床しての第一声はこれだ。

 べたー、という感じに俺に張り付く宮藤。

「なんて幸せそうな顔なんだ……」


 なんだか、これからいろんな意味で疲れそうだ……。

久しぶりに一ヶ月以内に投稿できたのではないでしょうか、なんとかキリのよいところまでいけてよかったですw


今回はバトルなしの日常回ですね。

多分次回から走行シーンも入ってくるので楽しみにしていてください!

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