表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公道最速少女  作者: oroto
3/50

2話「俺の周りにまともな人は…?」

 俺の寝顔の写真が掲載された新聞は教師&生徒会が回収したそうだ。当たり前な気がするが……


 とはいえ、教師からも新聞部に対して忠告をしたそうだ。「次同じようなことをしたら当面休部」みたいなことらしい。


 さて、今俺の横を歩いている女子。藤原沙織は俺を連れてとある部屋に向かっていた。

「ここが、新自動車研究部の部室予定の部屋よ」

 と今いる第二校舎の一角――普段の授業などは第一校舎などで行われて音楽室などの特別教室や部室は第二校舎にある――の薄暗い部屋に来ていた。

「なんで俺だけ連れてきたんだ?」

 しかも昼休みを使って。

「下見よ。今鍵を開けるから待ってて」

 と恐らく借りたのだろう、大きめのプラスチックに「未使用部室」と書いてあり、鍵が複数ついている。

 藤原がある鍵を掴んで鍵穴に挿し込む、回らない。

「あれ?」

「おい……」

 間違えたようだった。

「これかな」

 と次のは正解だったらしく、ガチャという解錠の音がした。

「ではでは、部室のご拝見~」

 と部屋に入っても特に目を付けるものはなく。強いて言うならば自動車関連の工具があることだけだ。

 しかも、置いてある机などはホコリにまみれており、何年も掃除されていないのは明らかだった。

 だが。

「スゲェ……FDが発売されたころの雑誌があるぞ……」

 他にも今なら中古でゴロゴロして俺達のようなマニアが喜ぶような車が新車として扱われていた雑誌があった。

「ここで活動できそう?」

 と雑誌を見ていた俺に藤原が問いかけてきた。

「まぁ、掃除をすればな」

 と部屋を見渡す。

「で、顧問はいるのか?」

「香織さんが用意してくれた。なんか技術の先生らしいよ。パソコンとかが基本だけど車の専門技術も豊富で、新型のGT-Rに乗っているって」

 新型ってことは、R35GT-Rか。

 ま、顧問がいれば人数も揃っているし、正式に自動車研究部は復活か。

 

 帰りに藤原が。

「明日は好きなだけ寝てていいよ」

 と言ってきた、いつもは俺が早く起きて朝ごはんなどを作っているが……?

「なんにも考えてないよ。たまにはゆっくりしてほしいなって」

「ならいいけど」


                       *


 どうも、新自動車研究部部長(予定)の藤原沙織です。

 で、一旦話はそれて、進学した高校も休みの日、あたしはタコこと瞳ちゃんに「今日は遅くまで寝てていいよ」と言って休ませてあげました。

 まぁ、いつもいつも朝ごはんとかを作ってもらってるし。

 でも、今タコが喜びそうな「トライ、200マイル。首都高湾岸線、R35GT-Rの実力」っていう番組が放送されていて、録画したけどタコに教えようと部屋に行った時の話です。


                           *


「タコ~、なんか面白そうな番組やってるよ」

 と部屋に入ると無駄にピンクを使った(香織さんが勝手にやった)空間が広がっている。

 で、それを車や戦闘機、アニメのポスターで隠そうとするタコもタコ。

「ねぇ――」

 と起こすのをやめてしまったのは寝言をはっきりと言っていたからで。

「うぅ…やめてぇ……」

 見事に顔を真っ赤にして呻くように言っているからちょっと興味を示したからである。けして寝顔に見とれたわけじゃないよ。

「やだよ…俺、男なのに……ひぃ!」

 見事に嫌がっています。元が男子なので変態な夢でも見ているのかねぇ……?

「ダメぇぇええええええええええええええええええ!」

 寝言のわりに大きく言ったね。今。

「藤ィィィィィ原さァァァァァァァァん!!」

 ねぇ、なんかあたしが禁○目録の悪役みたいに呼ばれたよ!?

「くすん…もうお婿に行けない……」

 確かに無理だね。

「うわぁぁあああん!! 童貞捨てられなかったっ! うわぁぁあああん!!」

 頼むからR-15指定しないといけなくなるからやめて欲しいな! そういうセリフ。しかもそこで泣くの!?

 そろそろ起こさないとまずいかなと思っていたら。

「もう……だめ、入らないよ……うぅ」

 なんか本当にエロそうな夢を見てそうなんですけど!

「俺…男なのに……」

 なんか可哀そう…そろそろ起こそ―――

「なんで俺が『女性限定、スイーツ食べ放題』に来ちゃったの!?」

 知るかぁぁあああああああああああああああああああああああああ!

 とついつい心でツッコムあたし。そもそも童貞を捨てられなかったってとこからどうやってつながっているの。そこを知りたい。

 と思いつつ起こす。なんか精神上悪そうだったので。


                       *


 俺は若干ご機嫌斜めな藤原に起こされて言われた番組を観ようとしたら。

 終わっていた。

 まぁ仕方ないと録画されたのを観る。

 なんであんなにムスッとしてたんだろ?


                       *

 翌週の月曜日。


 遂に。

「新自動車研究部発足よっ!」

 と言った藤原だったが。

「で、顧問は?」

 と斉藤。

「それを呼びに行ってるのよっ!」

 と今にも大気圏外に飛び出しそうな勢いで歩いて行く藤原。いや、競歩か。

「失礼しまーす!」

 と職員室に入って行った藤原。

 俺達が外で待つこと数分。


「先に部室に行っててだって」

 と鍵を持って出てきた藤原。

「どんな先生だった?」

 と涼宮。やっぱり女子、気になるのだろう。あ、俺も女子か。

「若い感じの先生だったよ」

 いや、若い先生はたくさんいるが……

「好青年、って年代じゃないけど。とにかく若すぎず、年取りすぎずってかんじかな。なんか刑事ドラマのそこそこ出番のある30代くらいの人って感じ?」

 わかるようなわからないような説明を受けながら、俺達は部室に向かった。

 部室って……まさか!?

 と思った時には、涼宮が藤原から鍵をもらって開けていた。

「シオたんまぁ―――――――――――!!」

 という藤原の制止の声も間に合わず、ホコリだらけの部室が開いた。

 ちなみに「シオ」というのは涼宮の下の名前「詩織」から来ているらしい、女はミステリー。お前も女だろうというツッコミは無しで。

 部室は未だにホコリ臭く、いや、カビ臭いと言った方がいいのかな。そんな匂いの中に入っていく俺達。

「これは…放置されて何年なんだ?」

 と斉藤。

「さぁな。多分、2年程度じゃないか。香織さんが在校してたときにはあったらしいから」

 と工藤。もっともな意見だ。

「2年でこんなに……?」

 と驚く涼宮。

「まぁ、とりあえず窓とか開けて換気しよう。じゃないとヤバそうだ」

 と俺はいいながら窓の鍵に手をかける。

 流石に何年も放置されていたこともあってかなり硬かった。

 で、硬いドアに苦戦しながら開け放つ。

「あー、新鮮な空気がうまい」

 と藤原。

 俺達も外の空気を味わっていたら。

「どうも、遅くなってしまったね」

 と後ろから大人の声。ということは――

「顧問の先生ですか?」

 と俺が訊くと。

「ああ、そうだよ」

 と笑いながら答えた。


 顧問の先生の名前は奥川(おくかわ)祐治(ゆうじ)というらしく。藤原の表現もわかるような気がした。なんだか刑事ドラマのモブで出てきそうな感じだ。

「じゃあ、今日は部室の掃除で終わらそう。明日から部長とかを決めて行くから。考えておいて」

「「「「「わかりました」」」」」

 と見事にハモる。


で、十数分後。


「終わりまし……た?」

 と藤原が疑問符になったのも無理はない。

「先生は?」

 と工藤がなにかを拾ってきた。紙きれのようだった。

 そこには。

『掃除お疲れさまでした。特にやることもないので掃除が終わったら帰ってください。奥川』

「「「「「アバウトだなおい!」」」」」

 総ツッコミなのもわかるだろう。普通はなにか言って(どこかわからないが)戻ると思うのだが……。しかも、「掃除お疲れさまでした」って書いておいて「掃除が終わったら帰ってください」は日本語としておかしいと思うのだが。


 という、とんでもない新自動車研究部のスタートだった。


                            *


 そんな新自動車研究部を影から半ば睨むような目で見る人物がいた。

「また……チャンスを逃してしまった……」

 と言って、ガックリとうな垂れる少女。

「なんて報告すればいいのやら……」

 と言いながら学校を後にする少女の名前は横川(よこかわ)春奈(はるな)だ。

 一応、斉藤が所属している『組織』の新人で、斉藤と同じ部署で藤原の監視のはずなのだが……

「なんで乱暴そうな女子の監視なんて……藤原沙織の血縁者でもないし」

 斉藤の計らいで横谷瞳の監視をしているのだが、コソコソ見ていることに飽きてしまった独断で横川は横谷とバトルをする気でいた。


 横川春奈は『組織』の施設――斉藤もだが、横川も孤児――に戻る前に寄り道をしていた。

 とあるアパートの部屋のインターフォンを押す。

『はい、どちら様ですか?』

 と当然の答えが返ってくる。

「横川です」

『ああ、今開けるから』

 と少ししたら玄関の鍵が開けられた。

「久しぶりです。直登さん」

 と横川が出てきた人物に挨拶をする。

「確かに久しぶりだな。今日はなんの用?」

 と答えたのは横谷瞳と香織の実の兄、横谷(よこたに)直登(なおと)だ。

「車の調子を見せに来ました。入学式とかで忙しくて見てもらってませんでしたから」

 車の調子とは、別に壊れたから云々とかではなく、走りの調子を運転も含めて見てもらうということだ。

「わかった。夜の10時に赤城に」

「わかりました」

 とペコリと頭を下げて出て行った横川。

 その後に続いて直登が出てきた。

 アパート前にあるパッと見、くたびれた小さな工場に見えるガレージに入って行った。

 それを見ていた横川。別に見たってなにがあるということでないのだが、あるものを見ておきたいのだ。


 ガレージから出てきたのはスカイライン GT-RのR32型だ。

 見た目はニスモのバンパーダクト付きのフロントバンパーとカーボンボンネット、最近換えたボディと同色のカーボン製のトランク。そして小型のGTウイング。さらには大口径マフラーと車好きが見れば一瞬立ち止まって見てしまうような車。

 一回は横谷瞳を倒しかけたが、ギリギリで敗退。

「じゃあな。10時に赤城な」

 と自分のマシンの排気音に負けないように声を張り上げて言って、出て行った。

「さてと」

 と横川春奈は『組織』の施設に戻る。


                                     *


 そんなことが行われているとはいざ知らず、俺、横谷瞳は家にて。

「わーい! 大容量HDD(ハードディスク)&ブルーレイも付いてるDVDデッキだ~」

 と姉貴が飛び跳ねている。なんとか浮かせた生活費で買ったのだ。せめていい画質でアニメを保存できるように。


 で、問題は――

「さて、元のDVDレコーダーのHDDに入っているアニメを誰がDVDにコピーするか。しかもCMカット付き。

「俺は晩御飯作らないと」

「タコ! 逃げるのっ!」

 と藤原。

「居候か姉がやってください」

「卑怯者!」

 と姉貴。

「じゃあ、今日の煮込みハンバーグは姉貴がやってくれるのか?」

「そのくら――」

 と言いかけた姉貴を遮るように藤原が。

「あああ、あたし達がやっておくから、タコは晩御飯よろしく~」

 と変な汗をかきながら言った。


 姉貴って、ハンバーグを炭化させるスキルを持ってるからな……

 普通の料理が出来てもハンバーグ系はできないとう俺の姉。なんでだろう……


『あ、瞳が録画してた湾岸○ッドナイトの6話を間違えて消しちゃった』

 とリビングから姉貴の声、へー、6話をねぇ………………

『ま、いいよね♪』

 ………………………

「よくねぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」

 とリビングへ突撃していった俺。

 新たなドジキャラでも形成する気かもしれないな、この姉は……

とりあえず、管理人的に気に入っているキャラかつ裏主人公的な横谷直登(作者的に)を出しました。まぁ、強いて裏ヒロインは横川春奈でしょうかねぇ。

本編は主人公とヒロインが同じという状態ですからね。一応、どのようなライバルを出すかは決まっていますが、名前などがまだ未定という状態。

では、次回は直登達のターンから。では

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ