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公道最速少女  作者: oroto
29/50

28話「新バトル」


 横に並ぶBNR32。


 工藤のランエボⅨは、加速で若干劣ってします。


 そして、若干の差は実戦では大きすぎる。


 そのまま前に出たGT-R。


 GT-R独特の丸いテールランプを睨む工藤。


 睨みはしたが、工藤はGT-Rを追うことはしなかった。

 正式にしたレースでもないし、抜かれた以上負けということだから。


 GT-Rが減速を始めた。

 

 工藤が追ってこないことから、バトルは終わったのだと判断したのだろう。


                              *


 先に下っていた俺達は、ゴールから少し離れた地点で工藤を待っていた。

 先に下って待っているのは俺、藤原、涼宮、横川、さらに遅れて下ってきた斉藤だ。


 耳を澄まさなくても聞こえるほどの音を立てながら、二台の車が下ってくるのがわかる。

 一台は工藤のランエボ、もう一台は音からして6気筒だろう。少なくとも4気筒とは思えない。


 まもなく降りてくる、そう思った直後に二台のマシンが現れた。


 先頭が見たことのないR32型のGT-R。

 次が工藤のランエボⅨだ。


 仮に工藤が本気で走ったとしたら、抜かれたということになる。



 ゴール地点から少し離れたところ―――俺達とゴール地点の間に二台が止まった。


                              *


 工藤が先に降りて相手を確認する。

 中にいるドライバーは割とゴツイイメージのGT-Rとか異なり、男か女かも微妙な男性だった。

(こいつ、どこかで見たことあるぞ)

 と思いつつ降りてくるのを待つ。


 少し離れたところでエンジン音が聞こえた。瞳達が動き出そうとしたようだ。


 そのときドライバーが降りてきた。

 女性にも男性にも見える、中性的な男性だ。

 しかし、男性というより男子や少年と言った方がいいかもしれない。

 年は工藤達と同じくらいだろう。


 (やっぱ知らない奴か?)


 と、工藤は引っかかりを覚えながらドライバーを見つめる。


                              *


 工藤達に近づく、相手のドライバーの顔はどこかで見たことのあるような無いような。


「ねぇ……」

 と横から小さめな声で藤原。

「あの子、同じクラスのはずなんだけど……」

と歯切れが悪そうに藤原。

「そうだったか?」

 と返す。

「けど、名前が……」

「その年で物忘れか?」

「タコだってクラスの全員の名前覚えてないでしょ」

 とジト目で見てくる藤原。確かにそうだ。

 

 元々クラスメイトに興味がない、というか関わられたくない俺はあまり他の奴を見ていなかった、だから他の人を知らなくてもおかしくはない。

 けど藤原や涼宮は俺以外の女子とも普通に話しているのだからいかにも女子ですって奴の名前くらい―――。


「あの子、女子じゃないはずなんだよねぇ」

 と涼宮。

「確か、男子のはずだよ」

 と、確信を持って言う。

「……え?」

 いや、あれはどうみても……。

「私達も変だとは思ったんだけどね」

 とそいつのほうを見ながら藤原が言う。

「タコと見比べれば……」

 と藤原と涼宮が俺の身体を舐めまわすように見つめている。それから相手を見直して。

「「うん、やっぱ男だ」」

「どういう判断基準で判断したんだよ!?」

「いや、タコは微妙に男子っぽいから……ゴメン、わかったから涙目で見ないで」

「いいさいいさ、どうせ俺はひんにゅーさ」

「謝るから…許して」


 ここでグレてもしかたないので、暴れたい気持ちを抑えつつ工藤の相手に意識を移す。

 よーく見れば、男子に見えるな。うん。

 

 このままやっていると埒が明かなくなりそうなので近づくことに。


 近づいてみると、結構男子っぽさもある。

 簡単にいえば美少年といったところだ。


 それから近づいていこうと思ったが、バトルしたと思われる二人の間に割って入るのも気がひけたので十メートル前後離れたところから観ていることに。


 やはり俺には相手のドライバーに見覚えが無い。完ぺきに忘れている。


「誰だっけ……?」

 と隣でも完ぺきに忘れているのか、藤原、涼宮、横川、斉藤の4人も首をかしげている。


「おい、誰だかわかるか……?」

 と小声で訊いてみるも。

「出かかってるんだけど出てこない……」

 と横川。


 話しているであろう工藤のほうも、気づいていない模様。

 というか話しているのだろうか?


                                 *


 工藤は悩んでいた。

(やっぱ見たことあるよな……てか、あいつらとっとと来いよ)

 と心の中で仲間を罵りつつ、相手の様子をうかがう。


 やはりどこかで見たような、そんな感じの男だった。


 と、そんなに遠くないところからエンジン音。

(やっと来るか……)

 と正直、このまま沈黙していると胃に悪そうだったので、瞳達に感謝する工藤。


 近くまできてこちらに来ると思ったが、十メートルほど離れたところからこちらを眺めている。

(頼むからこっち来てぇぇええええええええええええええええええ!!)

 と心の中で叫ぶがそんなのが伝わるはずもない。


 と、もう全てを放棄して逃げるか、と考え始めた時に。

「え……えと」

 と相手から話始めた。

「横谷さん達が走ってるっていうから……」

 と言った瞬間、工藤の背後、正確には瞳達のほうから音が。


「逃げるなー!」

「離せー! なんか嫌な予感しかしないんだー!!」

 と瞳が逃げようとするのを藤原が抑えているようだ。


 それを工藤と相手でジーっと眺める。


(もう話始めたから名前訊いても問題はなさそうだな)

 と判断し。

「えっと……名前は?」

 

 と工藤が訊くと。

「あ、僕は杉村准すぎむらじゅんです」


 と名乗った。

 そして工藤はまた、なにかに引っかかりを覚える。

(杉村……? クラスでいたような……)


「えと……同じクラスなはずなんだけど……?」


 そう言われてもピンとこない工藤。

(相当存在感が薄いんだろうな……でもそういうのも可哀そうだし、合わせるか)

「ああ! 思い出した! いやー、いつも話さないからあんまり覚えてなくてー」

 と愛想笑いを浮かべながら、いくらなんでも不自然すぎと思い話題を変えることに。

「にしても、お前R32乗ってるんだなー。俺の知り合いも乗ってるけどカッコいいよなー」

 我ながらうまい話題転換だ、と考える工藤。


「そ……そう。ありがと」

 やはりぎこちなさが伝わってしまっているようだが、この程度のことは気にしてはいられない。


「ところで、わざわざ来たってことは、横谷と走るためか?」


 そう聞いて、返ってきたのは意外な答えだった。


「いや、僕は下りと上りを混ぜて走りたいから。いくら下り最速のハチロクでも、上りまで走らせたら可哀そうだし」

「なん……だと……?」

「だから、工藤君と走りたいかな、って」



放置していてすみませんでした。車好きなら知ってるであろうグランツーリスモ5の発売があり、それのプレイに夢中になっていたため執筆が遅れていました。


次回からは気を付けたいです。


って、いつも言ってる気がするなぁ…w

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