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公道最速少女  作者: oroto
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27話「4WD対決」

 

 榛名山を下るマシン、前から瞳、涼宮、藤原、横川、斉藤、工藤というようにつながっている。

 特に順番には意味はないのだが、下りでは瞳が先頭になってしまう。


 S2000でも十分な速さを秘める瞳だが、仮にここでライバルが現れたとしてもバトルする気はない。


                      *


 それから少し下ったところで一台のマシンが止まっていた。

 スカイライン GT-RのBNR32型だ。

 以前、瞳の兄の横谷直登が乗っていたのと型式はほぼ同じだが、色やチューンの度合いが違う。

 直登のBNR32は白、こっちはシルバー。

 そしてチューンも見た目からして違う。

 直登はカーボンボンネットやGTウイングを装備していたり、見えないとこでは排気量アップで2.8リッター化していたりしたが、このBNR32はタービン交換やサスを変えてある程度だ。


 それでも、GT-Rは市販時よりも格段に高い性能を発揮できる、チューニングされるために生まれた車と言っても過言ではないだろう。


 上から自動車研究部のマシン達が下ってきた。


                      *


 真っ先に止まっている車―――先程紹介したBNR32―――に気付いたのは先頭を走っていた瞳である。


(トラブル…? いや、バトルするやる気?)

 瞳の本能がそのマシンから発せられるオーラのようなものになにかを感じ、ペースを上げる。


 久しぶりに乗るS2000で慣れていないこともあり、いつもの8割程度でしか走れない瞳の後ろにぴったりと涼宮、藤原、横川がついてくる。

 だが、自動車研究部の中でもあんまり運転が上手でない斉藤が出遅れる。

 それに引っかかるように工藤も出遅れる。


 そのせいで後ろから近づいてくるBNR32のヘッドライトが近づいてきた。


 斉藤をパスしたが、ペースを上げない工藤。


(ここは、軽くバトルするか…)

 ここで突っかかってくる正体不明のマシンに対し対抗意識を燃やした工藤は、挑戦を受けて立つことにする。


 案の定、斉藤をパスして近づいてくるマシン。工藤は初めて車種を確認する。


(BNR32か…でも直登さんでは無いな)

 工藤のマシンはランサーエボリューションⅨ、前はⅥを乗りまわしていたが瞳の性転換の直後に買い替えたばかりだ。

 あんまり金は掛けておらず、タイヤ、ホイールを変えてブーストアップにマフラー交換、そして少し足回りを強化したくらいである。


 いつも瞳を追いかける情熱、もとい変態行為で知られていないが、工藤は下りはともかく登りでは自動車研究部でも1,2を争う速さである。

 下りでも並みの走り屋を凌駕する速さも持っている。


                     *


 ランサーエボリューションといえばコンパクトな車体に4WD+ターボエンジンというコンセプトのもとに作られている。

 そもそも、三菱がラリーに出る為に作ったと言っても過言ではない

 

 初代などは欠点が多かったが、名機、4G3Sを積む最後の型となっているⅨの完成度は市販時から高い。


 そのランエボを操る工藤は、後ろにピッタリとついてくるGT-Rを見て、アクセルを踏み込む。


(ストレートだとしっかりついてくるな…。流石GT-Rといったとこか)


 ランエボも350馬力ほどあるが、相手のGT-Rはそれを凌駕している。

(400馬力ってとこか…でもそこまでチューンはしてないか…)


 GT-Rもブーストアップにその他もろもろで400馬力は簡単にいく。


 ヘアピンが近づく。

(行くぜッ!)

 と心の中で言い、フルブレーキング。


 一瞬ハンドルをコーナーとは逆に切り、すぐに戻す。

 そうすると、ランエボはわずかにスライドしながらコーナーに侵入していく。


 今のはフェイントモーションというテクニックで、コーナーの侵入時に一瞬、コーナーと逆にハンドルを切りすぐに戻すという動作でスライドを起こしてドリフト状態にもっていくというものだ。


 カウンターを当てない程度にスライドさえながらアクセルを踏み込む。


 流石に今の突っ込みにはついていけていないようで、GT-Rが離れる。


 ランエボがコーナーを立ち上がり加速していく。


 瞳が乗っているハチロクのFRやGT-RのアテーサET-Sとも違う、正真正銘の4WDだ。

 旋回性能は負けるかもしれないが、安定性能や加速性能は高い。


 ランエボがロケットのように加速していく。

 後ろからGT-Rもついてくる。


 GT-RはアテーサET-Sというシステムを搭載しており、基本はFRだがコーナーの立ち上がりなどで4WDとなる可変型4WDなのだ。

 FRと4WDのいいとこどりのシステムだが、ターマックの路面ではあまり前輪にはトルクは配分されていない、アクセルワークでアンダーステアを出さないためにだ。

 さらに基本的にはFRなため、どちらかといえば「FR車をラフに運転してもある程度補助してくれる」というのがアテーサET-Sだ。

 だがその効果で「運転がうまくなった、速く走れている」と勘違いする場合も多々ある。

 もちろん、限界での動きなどを理解している『本物のR乗り』は他の追随を許さないほどの速さを誇る。


 大して工藤のランエボはフルタイム4WDだ。

 だが、ランエボⅨにもスーパーAYCというものがついている。

 これは後輪左右の車輪のトルク配分を調節して、旋回性能およびトラクションを高めるというものだ。


 だがこのシステムは、駆動していないと意味がないという弱点があった。

 だが、先代のAYCからスーパーAYCは加減速に関係なく駆動配分ができるようになった。

 それが意味することは、いかなる状況でも旋回力の制御ができるようになった。


 ランエボの後ろからくるR32は、相手のレベルがわかったかのように、さらに接近してくる。

 これは相手の速さがわからないとできないことである。

 低いレベルの相手に不用意に近づくと、ブレーキングミスなどで追突などの恐れがあるからだ。


(一発で俺のレベルを見切ったか……にしても、いきなり後ろにピッタリなんて、そうとう相手のことを信頼しているのか?)

 と思いつつ加速させる。

(けど、どの辺までその距離を維持できるかなッ!)


 またしてもヘアピン。

 ランエボとGT-Rがフルブレーキング。

 若干GT-Rが遅れる。


 ランエボはグリップ走行でコーナーを抜ける。

 アフターファイヤを吐き出しながら加速。


 その後ろを追うGT-R。


 このさきは90°コーナー、そして五連続ヘアピンである。


 90°コーナーに侵入。

 工藤がミラーを確認すると、先程ほどではないが、まだGT-Rはついてきている。

 

 だが、この先の五連続ヘアピンで差を広げられる。

 そう思い、90°コーナーではあまりプッシュしなかった。


 そして、五連続ヘアピン。


 工藤は微妙にテールスライドさせてヘアピンを抜ける。

 GT-Rは置いて行かれる。


 ――だが。

(思ったより離れねぇ!)

 初めて工藤が焦る。


 ここで離せなかったのは誤算だった。


 このままでは最後の高速セクションで追い付かれてしまう。


 それに――

(タイヤがまずい…)

 先程からタイヤの手ごたえに違和感を感じる工藤。


 このままでは抜かれてしまう可能性も。


(こんなことになることになるとは思わなかったからな……安いタイヤのままだったのが悪かったか……ッ!)

 と、焦り始める工藤。


 高速セクションでBNR32のヘッドライトが近づいてくる。


 次のコーナーまで持ちこたえられるかが勝負になる。

 だが、次のコーナーは高速コーナー。

 仮にストレートで耐えてもコーナーで抜かれるのではないか。

 そう考えてしまい、不安が募る工藤。


 次のコーナーが闇から浮かんでくる。


 ――――BNR32が並びにかかってくる。


最初に、こんなに遅くなってしまいすみませんでした!


ツイッター等にハマっていたところ、こんなに遅くなってしまいました。


次こそ早く…と言いたいところですが、グランツーリスモ5の発売にテスト期間も近いのでまた遅くなりそうです…本当に申し訳ありません。



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