25話「最速へ戻るため」
投稿が遅れて本当にすみませんでした……次回からはもっと早く投稿できるように頑張ります。
横谷瞳が敗北した次の日。
いつも通り早朝に起きて自分と姉と居候の分の朝ごはんと弁当を作ろうとした。
だが、キッチンにいくと。
「あ、おはよう。瞳」
と姉の香織が話しかけてきた。
「なんでこんなに早く起きてるの?」
「いつもいつも瞳に任せるのは悪いでしょ」
と言って支度に戻る香織。
(ま、姉貴がやるって言ってるし。俺の休憩できるからいいか)
と思い、寝室へ戻ることにした瞳。
寝室に戻った瞳だが。
『あ、香織さん。手伝いますよ』
と部屋の外で藤原の声。
あれ? と瞳はなにかに引っかかりを覚える。
(なんかあったような……?)
だが、大したことではないだろうと、すぐに思考を止める。
その後、30分ほどだがもうひと眠りした瞳だった。
*
その後朝食を食べて、支度を整えて、登校する瞳と藤原。
「いやー、やっと夏休みだよ」
「もうかぁ、あんまり実感ないな」
と言ったあと、瞳が携帯で時間を確認すると。
「やばっ、いつもより遅い……電車言っちゃうかも!」
「え、うそ!?」
と藤原が訊き返そうとした瞬間には瞳はダッ、と走りだしていた。
「ちょっと、待ってぇええええええ!!」
と叫ぶも先に行ってしまう瞳。
それから小走りで駅についた藤原が電車に乗り込んで、数十秒くらいで電車のドアが閉じて発進した。
「はぁはぁ……セーフ……」
といいつつ自分の身だしなみを確認する藤原。
藤原が電車内を見渡すと、瞳がゼーゼー言いながら座席に座っていた。
乱れた髪や制服を直していない辺り、いまだに女性になり切っていない感じを受ける。
「つ……疲れた」
と言葉を漏らす瞳。
その横に座ると同時に、電車の車両と車両の間の連結部のところのドアを開けて瞳達の車両に見慣れた顔が来た。
「工藤……」
未だにクターっとしながら言う瞳。
「なんか見慣れた女子が二人、走ったきたからきてみた」
と妙なことをいいつつ近づいてきて。
「乱れた横谷もいいぞ」
と言葉だけなら綺麗に見えるかもしれないが、実態はザ・変態な顔で瞳の頭に手を置く工藤。
「触んな!」
バチッというよな音を立てて瞳は工藤の手を叩いて振り払う。
本来ならかなり痛そうな音だが―――
「いいぜぇ、瞳。痛くて気持ちいい!」
「もうお前怖いよっ!」
「本当に犯罪起こす前にその精神を改めた方がいいよ……」
と哀れな目で言う二人。
次の駅で涼宮と斉藤と横川が合流して、工藤のことを哀れな目で見るものがまた増えた。
「工藤、前々から思っていたんだが」
と斉藤。
「良い病院知ってるから、そこに行った方がいいぞ」
「なんてこと言うんだ!」
と工藤が反論。
そこに涼宮が。
「そうだよ。工藤を受け入れてくれる病院なんてないよ」
「そうだな……ごめんな。力になれなくて」
と頭を下げる斉藤。
横川は見る意味すらないという風に
「お前ら酷すぎる……」
ズーン、と凹んでいる工藤。
その後、学校についた瞳達。
「夏休みかー、やること大して決めてないなぁ……」
と呟きながら全校集会をやる体育館に向かう瞳。
「いやいや、やることはあるでしょ」
と横川。
「なに?」
「ドラテクのアップとハチロクのチューンでしょ?」
「あぁ……そっちね」
瞳のテンションが下がり、横川が、しまった……と後悔する。
「あ、気にしなくていいよ」
と瞳が返したものの、その顔は暗かった。
それから、校長などの長い話、生徒の間には「とっとと終わらせて帰らせてくれ」というオーラが広がる体育館。
だが、それも終わってホームルームを済ませば夏休み。
それを頭の中で念じている瞳。
そのうちに、必要あるかが不明なことも終え、教室に戻ることになった。
「毎年毎年思うんだけど、校長ってよくあんなに長く話すことがあるよね……」
手をうちわの代わりのように振りながら言う藤原。
「きっと、何カ月も前から考えているのよ」
とこちらも暑そうに涼宮。
「おかげで髪結んじゃったよ」
とポニーテールの瞳。
「似合ってるぞ(くんくん)」
と瞳の髪の匂いを嗅ぎながら工藤。
「なにすんじゃぁぁあああああああああああ!!」
と勢いを付けて振り返りながら肘鉄をくらわす瞳。
屍のように黙りこくった工藤は斉藤が連れて行って、無事に教室に付く。
*
その後、いろいろプリント類などを受け取ったりして帰宅となった。
もちろん、部活がある者は部活に部活に出るが、瞳達、自動車研究部はほぼフリーダムに活動時間を決めているため、そのまま帰宅することに。
「……?」
瞳が首を傾げている。
「どうしたの?」
と不思議そうに藤原。
「……あっ!?」
と言ってカバンを開けて、中身をゴソゴソして―――
「授業午前中だけなのにお弁当作ってきちゃったじゃん……」
とカバンから弁当箱を取り出す瞳。
瞳が持っている弁当箱を2秒ほど見つめて、それから自分のカバンを見つめて。
「誰が作ったの……?」
「あんたらだッ!」
と瞳が尽かさずツッコミ。
それから十分後、瞳達は学校から最寄りの駅にいた。
「まったく……余計な荷物を持ってきちゃったよ」
と藤原。他の自動車研究部の面々は笑っている。
「けど、よく面倒くさがりなサオがお弁当を作ったよね」
とクスクス笑いながら涼宮。
「いやー、いつもタコにまかせっきりだから、たまにはいいかなって」
「へー」
口ではそう返しつつ、心の中では「なんて露骨な慰め方だろう……」とツッコンでいた涼宮。
話題を変えるように横川が。
「ところで、今日は夜に榛名山にいくの?」
「そうだね、今夜の10時に榛名山に集合! ってことでどう?」
「「「「「……」」」」」
全員無言。
「……。異論はないということで。今日夜10時に榛名山に集合!」
全員無言をそのように受け取る藤原。誰もなにも言わないので問題は無いようだ。
*
家に帰って昼食に弁当を食べる瞳と藤原。
「まったく……誰か気づいてもいいだろうに……」
と藤原。
「いやいや、お前が気付くべきだったろ……」
という会話をつづけている二人。
それから数分後、言い争いともいえない微妙な会話は、食事の終了とともに終わる。
*
その日の夜、榛名山。
「結局、あの後昼寝しちゃった……」
と藤原。
瞳との昼食のあと、瞳が片付けに出た時に寝てしまったのだ。
「そのうち牛になっちゃうかもねぇー」
と適当に返す涼宮。
それでも落ち込む藤原。
「牛……あたし、牛になっちゃうんだね……モー」
「なにこいつ怖い」
とツッコム工藤。
峠を疾走する一台のハチロク。
コーナー手前でブレーキランプが点灯。
荷重が前に掛かる。
リアタイヤから荷重が抜けて、グリップ力を失い滑り始める。
瞳はそのままドリフトに持っていく。
魅せる為のドリフトではなく、早く走るためのドリフト。
最小限のカウンターステアで、立ち上がりの時、道との角度が平行になるように調整する。
ハチロクがインのクリップについて、アウトに膨れてくる。
ガードレールとバンパーが触れ合うか合わないかのところでスライドが止まる。
そしてアクセルを踏み込む。
1.6リッターのエンジンとは思えないような加速をするハチロク。
それは軽さと高回転を維持しているからである。
どこを見ても完璧にしか見えない、だが。
(どこか違う……)
と渋い顔をする瞳。
(やりたくなかったけど、やっぱアレをするしかない……)
そう思いながら、次のコーナーに侵入していく瞳。
*
夏休み初日。
榛名山を走った後、帰ってきてそのまま寝てしまった藤原と瞳。
夏休みはどうかわからないが、いつも通り瞳が朝食を作っているかもしれない、そう思い台所がある一階に下りる藤原。
香織はまだ寝ているようだ。香織の寝室から寝息が微かに聞える。
(……微かに?)
なにか引っかかる藤原。
台所まで行くが、誰もいない。
そもそも、誰かが起きているなら物音ぐらいするはずだ。
それなのに、今は寝息――オヤジのようなうるさいものじゃなく、スースーというような――が聞こえる程度静かだ。
(寝てるのかな……)
と思いつつ瞳の部屋に行く。
瞳の部屋のドアはわずかに開いていた。
それを閉めようとして気付いた。
誰もいない。
本来なら瞳が可愛らしい寝息を立てて寝ていると思っていた藤原は驚く。
途中に前を通りかかったトイレには誰も入っていなかった。
恐る恐る部屋に入る藤原。
「タコーいるー……?」
と言っても誰もいない。
そして、机の上には書き置きが置いてあった。
投稿遅れてすみませんでした。なんか書こう書こうと思っていてもなかなか書けずに気が付いたら……
今回は書きかたを変えました。瞳の一人称より三人称のほうが良いなら、感想とかで教えてください。
あとついでに、絵師さん募集中です。練習で描いてみたい、とかでも全然歓迎です。
もしかしたら今回のようなこともあるかもしれません……その時は活動報告を書くかもしれないので、そちらを確認してくださればどうなっているか書いているかもしれません。