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公道最速少女  作者: oroto
16/50

15話「ポテンシャル」

 あれから涼宮にメールをしても返事はなかった。

「シオ、へそを曲げちゃったかな」

 とプリンを食べながら藤原。

「かもな……あと、今食べると太るぞ?」

「……ッ!? だ、大丈夫。あたしは食べても太らないから!」

「ああ、そうですか……」

 別に藤原が太ろうと俺には関係ないし。

「……」

 と藤原。

「なんだよ、気味が悪いな」

「だってさぁ……」

 と俺の手元を見て。

「プリンとシュークリームを二つ食べてるタコに言われたくないよ!」

「うぐっ……いいもん、俺は太らないから!」

「うぬぬ……!」

 と二人で睨みあう。

「タコだって! いずれはぶくぶくと太って後で後悔するのよ!」

「なにを! 俺だって、俺だって甘いものを食べたいんだよ!」

「タコ、いつか言おうと思っていたんだけど、基本は口調は男なくせに微妙に女口調が混じったり行動が可愛かったりするのはなに!」

「ぬぬぬ、そんなことはない! ないもん!」

「今だってなんか語尾が可愛いじゃん! いつもクラスで女口調をしてるから馴染んできたんじゃない?」

「そんなことはない! あってたまるか!」

「――――そして、タコはツンデレの道へ」

「いかねぇよ!」

「だからモテないのよ」

「モテなくていいから!」

「大丈夫、タコは最近女子からもモテてるから」

「それも怖くね!?」

 まさかの百合!?

「大丈夫だよ」

「なにが!?」

 なんか学校行くのが怖くなってきたんですけど……!

「だって、香織さんの妹って話はみんな知ってるし、香織さんは……ね?」

「『ね?』ってなんだよ『ね?』って!!」

「あんな性格よ」

「……確かに」

 あの姉貴なら『私の妹に手を出したら次の日の太陽は見れないと思いなさい』と言いかねないからなぁ。

「というわけで、大丈夫よ」

「ああ……」

 釈然としないが。


                       *


 と、バカなことをしたりしていたらあっという間に涼宮のFZの納車日。


「いやぁー、昨日は寝れなかったんだよ」

 といつもよりテンション高めな涼宮。

「じゃあ、今日の10時に榛名山にいくから。みんなも来てね☆」


 なんだか、いつもの涼宮じゃない……

 と考えていたら周りから音符が飛び出してきそうな感じのオーラで帰っていった。

「シオ、テンション高いねー……」

 と藤原。

「そんだけうれしいってことだろ」

 と冷静に工藤。


 そして、午後10時。

 俺と藤原が榛名山頂上にいくと工藤と斉藤が着いていた。

「涼宮は?」

 と俺が訊くと。

「あいつはまだ着てねえぞ」

 と工藤。

「まぁ、主役が最後に来るってところかな」

 と斉藤。

 まぁ、なんかの法則だとそうなんだろうな。


 それから少し話していると麓から――

「ん? ロータリーエンジンの音だ」

 と俺が言ったところ、工藤が引き継いで。

「しかもレアな20Bってとこかな」

「前々から思ってたけど、よくエンジン音だけでわかるよね……」

 と藤原。

「もはや、こいつらの頭の中は車の知識だらけなんだろうな」

 と斉藤。

 俺の頭は知識と経験の塊――のはず。


                        *


 数分後、白いFDに似た、FZが来た。

「ふふふふふふふ」

 普通ならどこか黒いものを感じる笑い方だが、今は綺麗な笑い方に見える。

「ごめんね。ガソリンを入れてきたりとかしたから」

「別にいいよ」

 と藤原。

「早速走る?」

 と涼宮。

「いや、その前に色々みたいんだけど」

 と俺が言うと。

「いいよ」

 と快く了解してくれた。


 やはり、最初に見るのはエンジン。

 工藤と覗きこむ。

「よくよく考えれば、3ローター系のエンジンは初めてだな」

「そうだな」

 2ℓで3ℓ分の排気量を出せる20Bエンジンを最新技術でモデファイ。それをFZに搭載している。

「今更だが、ボディはオールアルミなんだな」

 と工藤がボディを叩きながら言う。

「しかも、ルーフはカーボンだよ」

 と俺もルーフをコンコンとノックのように叩きながら言う。

「車内はどうなんだろ?」

 と俺が内装を覗くと藤原が運転席にいた。


「基本的にはFDと同じだけど、FDよりは乗りやすいね」

「どっちみち、レカロシートとかに換えたら同じだろ」

 と工藤。

「うっ……けど、ノーマルでも結構バケットシートみたいだよ」

 そういわれて助手席を見てみるとドライバーを包み込むような形のシート――すなわちバケットシートのようになっていた。

「まぁ、実際にはどういう感じなのかは乗ってみないとわからないだろうしな」


 と言ったら後ろから涼宮が。

「タコ、なんなら乗ってもいいよ」

「え、いいの?」

「タコなら平気だもん」

 と満面の笑みで言われた。

「はい」

 と涼宮からキーを渡された。


 俺はFZの運転席に座ってキーをひねる。

 20Bが始動する。

「じゃ、ぶつけないように頑張ってくるね」


                        *


 20Bエンジンの音を響かせながら加速していくFZ。

(思ったよりトルクがある? まぁ、実質は3リッターと同じだもんな)

 基本的にロータリーエンジンは通常のレシプロエンジンと構造が違うため、排気量では比較ができないが、ロータリーの総排気量×1.5で求められるのだ。

 20Bエンジンはほぼ2リッター、それに1.5なので、ほぼ3リッターの排気量があると同じなのだ。

(それにツインターボだからな。軽い80スープラのようなもんか?)

 と考えながら第一コーナーをクリアする瞳。

(やっぱり、FDよりアンダー気味か。でも、このくらいじゃないと踏めないか)


 基本的にはハイパワーな車はアンダーステア気味=曲がりにくいように作られている。

 そうでないと安心して踏めないのが主な原因だ。

 だが、歴代RX-7はそこそこパワーもあり、なおかつ曲がる車=オーバーステアだったのだ、

 だから、瞳が「FDよりアンダー気味」と評価しても通常よりは曲がるようになっているのだ。


 ヘアピンの旋回性能、ストレートの加速を経て、瞳は大体のことをつかめてきていた。

(思ったよりもポテンシャルはありそうだな。曲がるし、トラクションのかかりも思ったよりいい)

 日本車は基本的に量産車なので面倒なところは省かれている。だが、FZはミッションのトランスアクスル化、つまりは通常エンジンとくっついているミッションを切り離してリアのデフと組み合わせているのだ。

 当然、ある程度の重量物のミッションを後ろに置くことにより、後輪を押し付ける力(重量)が増す、つまりトラクションがかかるのだ。


 だが、それも全て。

(なんてすごいボディ……)

 このFZを特筆するとしたら、オールアルミボディだろう。

 軽量で、今の技術なら強度もだせる。

(しっかりと造ってあるから剛性もしっかりある。FDなんかギリギリのレベルだったのに)

 とそこまで考えていた瞳は顔を曇らせる。

(でも、音がなぁ……)

 瞳が感じるには、ノーマルのFZのエキゾーストノートは湿ったような、あんまりいい音でないのだ。

(ここは改善の余地があるな)


 と思っていたらもうゴールである。


                         *


 俺が頂上に戻って涼宮にFZを返すと。

「どうだった?」

 と訊かれた。まぁ、当然だろう。

「思ったよりはよかったよ。早く足回りのパーツを換えてセッティングを出したいね」

「そう? まぁ、ノーマルで乗れるうちはノーマルで乗るよ」

「けど、FDの進化形というより、新型RX-7といった感じかな。ノーマルは知らないけど藤原のFDとは違う感じがするよ」

 といったら、今まで黙っていた工藤が。

「まぁ、エンジンは3ローターだし、ボディもオールアルミだからな。形は同じでも性能は全然違うだろうな」

「ま、ここは部長(自称)、さらに現役FD乗りのあたしが乗ればすぐにわかるわよ」

 と藤原がいい。走り去っていった。


 藤原が戻ってくるまでみんなに俺が感じた感想を言う。

「パワーはやっぱあるね。旋回性能もいいし。けど、足回りがちょっと柔らかいのと、個人的には排気音が残念なの」

「まぁ、音はマフラーとかで変えられるからな。総合的には?」

 と工藤。

「総合的にはいいね。若干パワーのわりに安定性が少ない気がするけど峠なら平気でしょ」

「きっと、1,2ヶ月したら湾岸で700馬力FZが最高速とかしてんだろうな」

 と斉藤。

「その通りだろうな」

 と答えておく。

「……もうサオならスケートリンク前ストレートを抜けたかな」

 と涼宮。

「だろうな……」


                          *


 そんな話をされている藤原は、スケートリンク前を抜けてそこから数えて二つ目のヘアピンに進入していた。

「すごい性能……下手なチューンドFDより速いかも」

 と、FZ3Sに驚愕しているところだった。

(これなら、シオも一気に自動車研究部のトップ争いに加わるかも)

 と評価しつつ走る。


                          *


 戻ってきた藤原は珍しく渋い顔をしていた。

「どうしたの、乗り切れなかった?」

 と涼宮が聞くと。

「いいや、思ったよりも速くて驚いているの」

「ああ、なるほど、俺も結構驚いたけどな」

 と俺は言いつつFZを見る。

「FZは、チューニングのいい素材になりそうだな」

「そうだな」

 と工藤が応じてくれた。なんか今日は出番多いな。

 ああそうか、工藤はこういうときじゃないと出番がないのか……可哀想に。


                          *


 それから走りこみや他愛のない雑談をしていた。内容は本当にどうでもいい内輪ネタなので割愛。


 と、麓から車の音が。

「ん? この時間帯に登ってくるのは珍しいな」

 と斉藤。そう、平日の夜に来るのは珍しい。いつもは土日なのに。

「横谷、この音、V6だな」

 と工藤。

「だね。V6のターボかな。となるとR35GT-Rとかかな」

 と思っていた。


 数分後、俺達の前に現れたマシンは。

「Z32?」

 と藤原。確かにニッサン、フェアレディZのZ32だ。

 ……これはバトルフラグか?


 降りてきたドライバーは―――

「……貴女誰?」

 と俺はツッコむ。漢字を見ればわかるが女性。というか俺達と同い年に見える。

「確か、隣のさらに隣のクラスにいなかったけ?」

 と涼宮。記憶力いいな。


 そして、改めてZ32から降りてきたドライバーを見る―――――――



なんか中途半端ですが、ここまでで。

みんなが好きなZ32ですよ!(だからどうした)

とりあえずライバルの設定を考えるので少~し更新が遅れるかもしれません。


……ストーリーが単純だなとか言わないでくださいw

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