14話「海に……じゃなくて涼宮のFC」
この世界では車関係の相場は10分の1です。
どういう仕組みかはツッコマないでください
俺は携帯に登録してある兄貴の電話番号を探す。
兄貴の番号を見つけた俺はその番号に電話をする。
4コールほどで兄貴はでた。
『もしもし、瞳、どうした?』
「兄貴? FCを探しているって訊いたんだけど……」
『ああ、涼宮だろ。本人から電話があってもう聞いたよ』
「あいつ、早ぇな……」
『まぁ、どうするかは実物を見てからだな』
「まぁ、よろしく頼むよ」
『ああ』
といって電話を切る兄貴。
リビングに戻ると姉貴と藤原が向かい合ってなにかを話し合っていた。
廊下からその声を窺うと。
『最近思うんだけどね、色気が足りないのよ』
と姉貴。
『そういえば、タコが異性に裸や下着姿を見られたってことがありませんね』
と藤原。なぜ俺に限る。
『そうよ、でも滅多にそういうことになりにくい。ということで、海に行けば水着姿が見れる。これはベタだけど効果抜群よ』
と姉貴。とにかくアホだ。
俺はあきれてリビングに入る。
「あ、瞳」
と姉貴はほんの僅か、藤原に目配せした。
そしたら藤原が。
「タコ、今年は海に行こうよ。海水浴!」
「なんか悪巧みの予感がするのだが」
「そんなことないよ。ねぇ、香織さん」
「そうよぉ~、そんなことは全然ないわよ」
嘘だ。
「まぁ、いいか。で、どこの海にいくんだ?」
「……九十九里浜?」
と藤原。
「……西海岸?」
と姉貴。
「おい、現実的か非現実的、両極端すぎるぞ」
「「……」」
「黙るな」
「「……北極?」」
「遠いな! ホッキョクグマと一緒に泳ぐのかっ!」
「旭川動物園もいいかもね」
「もう海水浴関係なくね!?」
「「!? いやいや、やっぱり―――」」
「やっぱり?」
「「九十九里浜」」
「お前らにしては一般的でビビった俺は……?」
「リ○バスをやってくるべき」
「なんかおかしくない!?」
「クラスの男子に上目遣いと媚声でなにかを奢ってもらうべき」
「あんたらは色々歪みすぎ!」
絶対自重とは違うことだった。
「しょうがない……」
と姉貴はため息をつきながら。
「たまにはギャルゲから離れてメ○ルギアでもやりましょうか?」
「「いつからゲームの話題になったの!?」」
急な話題転換すぎてついていけない。
しかもリト○スからメタル○アって……
「俺はエース○ンバットのほうがいいっ!」
「「なんで!?」」
二人から思いっきりツッコマれた。
「いや、だって俺は地上のものを爆弾で焼いたり、空中戦したほうが楽しいし」
といったら二人はメタ○ギアで通信プレイをしながら。
「ああ、私達は瞳の航空支援に助けられるのね……」
「そうですね……というか、あまり女子でメタルギ○をやってるのはいませんよ……」
「細かいことは気にしない……」
そんな二人を見ていたらあることを思い出した。
「というか、もともとの話題はなんだったんだ?」
「瞳の濡れ場はいつあるのか、だっけ?」
「そんな話題だったの!?」
とりあえず整理をしよう。
俺が兄貴に電話しにいった。
それから戻るときに姉貴と藤原の会話を聞いた。
俺が乱入。
で、海水浴がうんたら。
で、俺が「一般的だな」とツッコンでリト○スに。
で、ゲームの話題。
ということで話題を戻すことに。
「で、さっき兄貴に電話したんだけど……」
「沙織ちゃん、瞳の航空支援がまだね……」
「香織さん、一生来ないかと……」
「二人とも、現実に帰って来い」
「「しょうがないなぁ……」」
「しょうがないのはお前らだろっ!」
「で、なに?」
と藤原。俺は続きを言おうと―――
「ニーソのエロさに今更気付いたの?」
と姉貴。もう――
「姉貴は当分黙っておけ」
「ズーン……」
口に出して落ち込み始めた。
そして俺は藤原に電話での兄貴とのやり取りを伝えた。
「うーん、流石シオ、早いね……」
「流石って、涼宮ってそんなにやることは早いのか?」
「いや、マイペースだよ」
「なんなんだよ……」
「でも、いつも早いくらいでやるからね」
「ああ、なるほど」
マイペースでも遅い人と早い人がいるしな。
「で、FCを直登さんに譲るつもりなんだ」
「そうなんだろうな」
「でも、どうやって直登さんがFCを探してるって知ったのかな?」
と藤原は首をひねる。
「そういえば……」
ロリコンの匂いが……は流石にしないよ。
「いや、多分涼宮がFC乗りだからなにかあるかと思って聴いたんだと思うよ」
「そうだな」
そうと思いたい。
「ということなら、もう俺達には出番が無さそうだな」
「そうね」
さっぱり、切った。
「じゃ、なんか飲むか」
といって冷蔵庫に向かう。
飲み物を入れてある扉を開けて中身を確認する。コーラとオレンジジュースか……
「藤原、どっちがいい?」
と両手に持って藤原に見せながら訊く。
「コーラでいいや」
「はいはい」
二つのコップに入れてテーブルに戻るとちょうど携帯が着信を知らせてきた。
〈Looking! The blitz loop this planet to search way. only my RAILGUN can shoot it 今すぐ―――〉
「しかし、着信が『on○y my railgun』ってすごいね……」
「一時期の雪○の警告音よりいいだろ」
といいながら発信者を見る。―――工藤だ。
「もしもし?」
いまどきメールじゃなくて電話なんて、と思いながら返事を待つと。
『横谷、一緒にホテルに行かないか?』
携帯を耳から離して切る。通話時間、1秒。
「タコ、何だったの?」
と藤原が首をかしげていた。
「気にするな」
といったとき、また工藤から電話。
通話ボタンを押す。
そしてすぐ、というか瞬間的に切る。
「……なにしてんの?」
と怪訝な顔の藤原。
「気にするな」
また|工藤(変態)から電話。
『さっきのはなんなんだ! 新種の逆ワン切りですか!?』
「うっせェんだよ。さもねェとテメェのふざけた幻想と肉体をぶち殺すぞォ?」
『なんか向きを操る能力者と幻想殺しの少年が混ざってますが!?』
「細かいことを気にするな。それより問題なのは―――」
と俺は言葉を区切ると。
『……問題なのは……?』
「最近|禁書目録(イン○ックス)ネタが多いことだ」
『知るかぁぁあああああああああああああああ!!』
「ボケ担当の工藤にツッコマれた」
『心の中だけで言えっ!』
「お前……人の心を読んだな……?」
『いやいや、お前の思考が駄々漏れなだけだからな!』
「……チッ」
『なんで舌打ち!?』
「まぁ、そういうわけでさよなら」
『切るな! まだ俺の話題が始まってすらいない!』
「チッ」
『お前最近性格悪くなってないか!?』
「気のせいだよ。うん、私はいつも通りっ!」
『なんか超可愛くあしらわれた!』
「とっとと用件言えよ」
『はいはい』
「……やっと本題か」
『大体はあんたのせいだよね!?』
「だーかーらー、とっととしろ」
『はいはい、ええと、なんだっけ?』
「死にたいか?」
『……涼宮から電話があったんだ、かなり深刻そうに……』
「ここで真面目な話題か? まぁ、いいが」
『それでな……藁にもすがるような思いって、こういうことを言うんだろうなぁ……あ、とにかくそういう感じの声で』
「声で?」
『「ねぇ、今FCを売ったらいくらかな?」って』
「そっちのことかぁぁあああああああああああああああああああ!!」
もうさっきまでの弱シリアスの空気がぶち壊れたよ!
『だって、さっき「真面目な話題」って言われたけど。決して「シリアスな話題」とは言いも訊かれもしなかったぞ」
「そうだけどさぁ!」
ああ、もう工藤に負けた気がする!
「もう、工藤のバカぁぁあああああああああああああ!!」
『え!? 理不尽すぎ――』
プツッ、ツーツー。
俺が強引に切ったからまた電話が来るかと思ったが、用件が済んだようなので電話は来なかった。
「誰から?」
と藤原。
「工藤からだ」
「シオ関連?」
「そう」
「なにがあったの? なんかエキサイトしてたけど」
「どうでもいいことだ」
「シオのことも?」
その問いに、どう答えようか一瞬悩んだときに。
〈Looking! The blitz loop this planet to search way. only my RAILGUN can shoot it 今すぐ―――〉
「タコ、着信」
「わかってるよ」
発信者の名前が出るとこには『涼宮詩織』と書いてあった。
「もしもし?」
『もしもし、タコ?』
「そうだ。てか、俺の携帯に他にやつが出たらどうする?」
『月並みの返事だよ』
と笑いながら本題を―――
『ところでタコ』
「ん?」
『「An○el Beats!」終わっちゃったね』
「そっち!?」
その前にいうことあるだろっ!
『あぁ、間違えた間違えた。あはは』
「まったく……で、なんだよ?」
わかっているが一応訊いてみた。
『ええと、私のFCっていくらぐらいになるかな?』
「どうだろ……よくて6万てとこかな……」
実際にFCの相場なんてそんなもんだ。
『ええぇ……私のFC、20Bを積んでるにぃ……?』
「嘘付け!」
んな豪華なもの搭載してたらエンジンだけで5万は軽くオーバーだろ。
『……そんなにFCって安いの?』
「まぁ、FCに限らずロータリーエンジン搭載車は安くなりやすいんだ」
『酷い……』
「なんで酷いんだよ?」
『だって、タコのハチロクはまだ高いのにぃぃぃいいいいいいいいい!』
「仕方ないだろ! あれは人気が高すぎるんだ!」
『FCだって! FCだって!』
と藤原は意味がわからないまま覚醒したのだが、直後に電話は切れてしまった。
俺はツーッ、ツーッと音を出している携帯の通話を切る。
「なんかシオもエキサイトしてたね……」
と藤原。
「今日は周りに藤原しかまともな奴がいないのか……」
「ふふふ、今日はあたしがまとも王ね」
と胸を張っているが、普通は藤原みたいのが大多数を占めていると思うのであまり威張れないと思う。
「あたしがいつも変人だと思わないのが一番ね!」
また変なことを言い出した。
*
瞳との電話を終えた涼宮は。
「う~~~、みんなはFCのことをなんだと思ってるの……!」
決して瞳はFCのことをバカにしているわけではない、真実を述べただけだ。
「そもそも、私は出番がなくて速さなんて不明瞭だし、空気だし。でも、本当は速いんだから!」
とぶつぶつ言っている。その周りには普段ではまったく感じない真っ黒いオーラが―――
「こうなったら、FZを買ってどんどん速くなるしかない!」
と一人で決断する涼宮だった。
涼宮のキャラが崩れてきていますが、おそらく大丈夫です。
次回、ついにFZ3S登場。




