表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公道最速少女  作者: oroto
13/50

12話「涼宮の秘密」

この世界では車関係の相場が現実の10分の1と考えてください。


 かなり酷いことをしている俺達。

 なにしろ、涼宮をストーキングしてるのだからな。

「……色々すまない、涼宮」

「タコ、ここで言っても聞こえないし」

「というか、バレたらどうすんの?」

 と残りの二人、藤原と横川にツッコマれる。

 俺は二人をスルーして前をテクテクあるいて行く涼宮を見る。

 うん、まだ俺達には気づいていない模様。


 それから数分、涼宮は帰り道にある本屋に入って行った。

「まさか!?『とら○ラ!』を買いに!?」

「なんで今更……」

 時代遅れ感が否めないものだな。面白いけど。

「二人とも、違うよ」

 と横川。

「きっと、『とある魔術の禁○目録インなんとか』のアニメ版二期の情報が本当に書いてあるか見に行ってるんだよ!」

「入っていたのTSU○AYAじゃねぇし! 大体あれはデマか適当説が濃厚だろ!」

「あ! 奥にいっちゃう」

 と店の中を見ていた藤原。

「三人で入ったらバレちゃうよ……」

「よし、春奈が行って」

 と藤原。

「なんで!?」

「だって、あたしは幼馴染だし、タコは目立つし」

「そういうことなら」

 と不自然にならない程度に身を隠して店に入って行った横川。


「さて、出口はここだけだからちょっと離れて待機するか」

 と俺は藤原を促して離れる。

 本屋の出口にへばりついてたら不審に思われるからな。


 その直後、俺の携帯に横川から電話。

『今、シオは車雑誌のところにいるよ』

「車雑誌?」

 ここでは別に車雑誌を女子高生が読んでいてもおかしくはないのだが(そんな世界だからな)涼宮はFC乗りでそこまで新しい車に集中することはないと思うんだが……FCの大特集でもあったのか?

「どんな雑誌かわかるか? FCの特集とか」

『FDの文字しかないけど……FCではないと思うよ』

 じゃあなんだ。

「タコ」

 と藤原。

「なにか心辺りは?」

 と訊いてきた藤原。

「お前が知らないなら俺も知らねぇぞ」

 と言ったところ。

「てことは、なにかあたし達に言えないこと……」

 言えないこと……

「彼氏ができたんだわっ!」

 と藤原が少しだけ声を張り上げて言う。

「ないない」

 と俺が否定をするも。

「タコ、シオの見た目、普段はおとなしいからわからないかもしれないけど、かなり可愛いよ。それに、性格もいい」

「確かに、そして……」

 胸をあります。

「「そりゃいつでもできるだろうなぁー」」

「あたし達は見た目はいいかもしれないけど」

「性格が悪いからなぁ」

「「うふふふふふふふふふふうふふふふふふふふふふ」」

 と二人で気味悪く笑って。

「「こんちくしょー!!」」

 ちょっと叫ばしていただきました。

「そうよね! シオは胸大きいもんね!」

「どうせ、俺らは平均だもんね!」

 その後、自嘲的に笑ってたら横川から電話。

『今、シオがさっきの雑誌を持ってレジへ、あ、今買ってる。あたしも買って出てくるから遅くなる。先に追いかけて行って』

 と言われた。

「了解……グスン……」

「後で合流しようね……グスン……」

『……二人とも、一体何があったの』


 答えないで電話を切って、出てきた涼宮を追いかける俺と藤原。

「うん、なにか雑誌くらいの大きさの袋を持ってるね」

「ああ、これで家に帰るのか」

「みたいだね」


 その後、涼宮は予想通り家に帰って行った。


 で、

「横川、今どこにいる?」

『ごめん、この辺りの土地勘がないからあの本屋の前にいる』

「了解、今拾いに行く」


 で、横川と合流して、俺の家に帰るとき。

「あれから雑誌に目を通しておいたんだけど。なんか最近出たFDの進化形のことの特集で、半分以上そればっかだったよ」

「FDの進化形?」

 そんなの出たっけ? RX-8か?

「あ、間違えた、今度出るんだった」

 今度出るFDの進化形……?

「FD3Zか?」

「そうそう」

 もしかして……

「あいつ、FCを売ってFD3Zを買う気なんじゃないか?」

「それはあり得る。別格のタコは別にして、一、二世代前のFCじゃ今のマシン、GT-Rとかには勝てないもん」

「よく考えれば、自動車研究部部員でで乗ってる車の古い順に並べれば、タコの次にシオだもんね……」

 そりゃ、ガンガン金をかけてある俺のハチロクとは違って、あいつのFCはガソリンとメンテ、タイヤぐらいにしかかけてなかったもんなぁ……


 で、気が付いたら俺の家に到着。


「さて、どんなになってるのかなぁ」

 と雑誌を開くと。

 ……とんでもねぇ


 RX-7 FD3Z どんなのかというと。

 外見は旧FDと同じエンジンは3ローターの20B、しかもターボ。重量配分を考慮して国産FR初後輪のデフとミッションをくっつけるトランスアクスルを採用。旧FDに採用されていた軽量化のための軽め穴をなくし、バンパーなどをカーボン、FRPで製作。

 重量、1320kg。パワー、350馬力。トルク、45kg/m。

 あとはホイールベースが2430mmとFDより5mm拡大しただけであとの寸法は変更なし。

 さらに本気でGT-Rを潰しにきているようで、ニュルブルリンクを7分41秒で走っている。

 なんかGT-Rより遅いように見えるが、あの過酷なコースをFRでこれくらいのタイムで走ったということはかなりすごい。

 

「しっかし、これってFDっていえるの?」

「いや、どちらかというとFDの皮をかぶった別の車だろうな」

「だったら、名前を変えろと……」

 と横川。

「まぁ、まだニュルを走っているのはプロトみたいだし、正式名称はまだ出てないからわからないよ」

 と言っておく。

「明日、シオに訊きましょう」

 となった。


 で、次の日。

「シオ!」

 と藤原が教室で涼宮の机をたたきながら言う。

「なんで黙っていたの!?」

「え? なにを?」

 とたじろぐ涼宮。仕方がない。

「あたしはね……シオにそんなことはして欲しくなかったの……まさかあんなことに……」

 おい、なんか話がズレてきてないか?

「……そうね。私も、そのうち言わないといけないかなって思ってたんだけど……」

 おい、クラスのみんながこっちを注目し始めたぞ。

「……なんで、隠していたの?」

「そんな……つもりはなかったんだけど、一目惚れしちゃって……」

 と顔を赤くする涼宮。恥ずかしいんだろうな。

 だが―――

『マジかよ……涼宮に彼氏……』

『俺、涼宮のことが好きだったのに……』

『しおりん、可愛いもんね……』

『横谷、俺はお前が好きだぜ』

 とだんだん変な解釈が混じってきた。―――――最後のはスルーな。


 そんなクラスのざわめきに気付かないのか、二人の会話は続いていた。

「なにがよかったの……?」

「あの、曲線的なのが……」


『曲線的な……?』

 的な雰囲気に突入。当たり前だが。


「なんでよ……|あれ(FD)でもダメなの?」


 もう、書く気がなくなるほど変な空気になってきた……

 クラスのみんなは『あいつら、できていたのか……』となっていた。


「わかったわ……」

 と涼宮がカバンの中からなにかを取り出す。

「これ……でしょ?」

 とカバンの中から紙束、おそらくFD3Z(仮称)関連のものだと思う。


 クラスの連中がぞろぞろ見に行って。

「「「車なのかぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」」」

「「「車だったのぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 とツッコミを入れる。

「ねぇ、二人はシオが付き合ってる話を……?」

 とクラスの女子。

「なにいってるの?」

 と藤原。

「って、お前ら、ずっと車の話を?」

 と男子。

「そうだよ」

 と最高の笑みで涼宮。

「「「なに、さっきまでのワクワク!?」」」

 とみんなにツッコマれる。

「なんでそんなに期待してたの?」

 と涼宮。

「だ……だって、シオだったらいつでも彼氏ができてもおかしくはないし」

 とクラスメイト。

 涼宮は手を振りながら。

「無理無理、私、そこまで可愛くないし」

「「「嘘だッ!!!!!」」」

 とクラス全員で否定。

「へ?」


 そんなこんなで、涼宮を喋らすことに成功。

「で、なんで黙っていたの?」

 と藤原。

「サオったら、もうどうでもいいでしょ~」

 と誤魔化す涼宮。

 対して藤原はニヤリと笑って。

「今度誤魔化したら工藤と一緒に一晩過ごすことになるわよ」

「ごめんなさい~~~!! 言いますからぁぁあああああああああああ!!」

 と泣きそうな顔言う。

 それを見ていた工藤は。

「なんでだよ!!」

 とキレる。

「だって、工藤と一晩明かしたら大事なものをなくしそうなんだもん!」

「ひでぇええええええええええええええええええええええええええ!!」

 それは普段からの行いからだろう。


「さて、そもそもFCじゃダメなの?」

 そりゃ疑問だな。

「ダメなの……」

「なにが?」

「FCじゃみんなに追いつけないの……」

「……」

「だから、みんなと張り合える最高のマシンが欲しかったの……」

「なんで、FDじゃないの?」

「サオとかぶっちゃうじゃん!」

 ああ、そこは作品の都合を考えているんだな。

「けど、GT-Rって柄じゃないし」

「まぁ、涼宮はおとなしいキャラだからな」

 と俺は相づちを打っておく。

「でも刺激のある車がいいし……」

 で、新型FD(仮称)か……


 これ以上は聞く必要はないかと思いカバンの中からさっき自動販売機で買ったジュースを出して飲む。

 メロンソーダうめぇ……

 あぁ、そういえばそろそろ弁当用の冷凍食品が切れてきたな、帰りにスーパーでも寄るか……


 と、俺が思考を巡らしていると。

「タコ、シオが新しい車を買っていいと思う?」

 と藤原。

「いいんじゃないかぁ? そんなのは個人の勝手――――」

「FCはどうするの?」

 と俺の言葉を遮って藤原。

「まぁ、売っても大した額にはならんし、カッコいいからホイホイ売る気にもならないな」

「だったら、デモカーとして自動車研究部で買ったほうがいいんじゃない?」

 それが目的か……

「で、買ったらみんなでチューンするのっ!」

「そして、俺だけでやることになるのか……」

「いいや、タコだけには任せないよ!」

「じゃあ、どうするんだ……」

「直登さんに教えてもらう!」

 おい。

「それなら、タコが過労で大変なことにならなくて済むでしょ?」

 そもそも、今のデモカーのS2000をチューンに掛かりっきりになったのが俺が性転換した理由だが……

「でも、いつでるかわからんだろ?」

 と言ったら。


「『FD3Zの販売モデル、来月発売』だって」

 と斉藤。

「名前はFZ3Sか、もう名前が別の車だな……」

 なぜ、FD3Zって名前でプロトタイプを出したし。

「けど、基本的には変わらないらしいな。60万か、高いなぁ……」

「大丈夫、FCにはメンテ代くらいしかかけてないから80万は貯金はあるしっ!」

 と涼宮。おい、本気ですよ。

「ふふふふふふふふ……」

 と藤原。気味悪いな、おい。

「元祖FDのが速いって証明するときが来たようね」

「……サオ、負けフラグを立てないように」

 と横川。

「うっ……」

 やってしまった……という風に顔が青くなる藤原。

「ど、どうせ、そんなフラグは折ればいいのよ!」

 またフラグ立てた。

 それに気付いたのか藤原はリアルに「orz」の格好をしている。

「……(おい、誰かフォローしてやれ)」

 と小声で斉藤。

「……(なにその難題!?)」

 と工藤藻小声で応じる。

「……(簡単だ)」

 と斉藤が工藤に答える。

「……(お前が藤原に抱きつけば良い)」

 おい、それって……

「……(わかった)」

 と工藤はうなづいて――――っておい!?


「どうせあたしなんて……」

 と落ち込んでいる藤原の背中に工藤がダイブ!

「って、工藤!? あんたはなんなのよぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「落ち着けぇぇえええええええええええええええええ!!」

「あんたが離れないと落ち着けるはずないでしょ!!!」

「うぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」

「あんたはタコにしか興味がなかったはずでしょ!? この節操無しめっ!」

 ボコボコボコボコボコボコ。ズドドドドッドドッドドドドド!!

「……藤原ぁ、あんた、強ぇなぁ……」

 と言って崩れる工藤。

「はぁはぁ……変態め」

 と工藤を睨む藤原。



「……(な、治まっただろ)」

 と小声で斉藤。

 俺も小声で。

「(あぁ、けど、犠牲が一人)」

「(あんなのは気にしなくて大丈夫だ)」

「(ですよねー)」


 と、涼宮がまだ下校時間でもないのに帰る準備を始めていた。

「って、涼宮、帰るのか?」

 と訊くと。

「うん、FZ3Sの予約してくるから」

 と言って今まで見たことのない速度で帰って行った。


 あぁ、来月から厄介なことになりそう……


涼宮のニューマシン、FZ3Sは元々FD3Zのままのつもりだったんですが、藤原のFDとかぶるのでFZに変更。

次回から涼宮が覚醒してきますよw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ