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Save-2:光と影 (後編)

 要塞の麓は、ちょっとした森のようになっている。

 都心にこんな場所があったなんて、セイバーナイツになる前は知らなかったな……

 つい、のんびりと森林浴に浸りそうになるのを堪え、僕と槍は気配を殺して周囲を見回す。どこに刺客が潜んでいるか、分からないからだ。

 緊張しながら視線を泳がせていた僕に、唐突に槍が、立ち止まった。その視線の先には、人とは異なる形をした、二足歩行の異形…刺客。そして、その周囲には卵のようにのっぺりとした顔に黒い全身タイツを纏った兵士、ピートの姿もある。


「ちょっ…何、あれ!?」

「形状から察するに、カジキじゃないか?」


 いや、まあ…確かにそうとしか見えないけれどね。

 刺客の姿は、多分カジキマグロ。そうだな…カジキの顔をした人間を思い浮かべてくれると分かりやすいかも知れない。首にあたる部分にはエラと思しき切れ込み、手には顔と同じ様なヤリを持っている。


「行くぞ、光」

「了解」

『ナイトチェンジ!』


 相手に気付かれぬように変身を完了させると、僕達は殺していた気配を生き返らせ、悠然と刺客の前に姿を見せる。


「そこまでだ、プラチナス!」

「貴様らが何を企んでいるのかは知らんが、この世界を好きにはさせん!」

「貴様ら…まさか!」


 僕らの姿を見た刺客が、一瞬だけ驚いたように声をあげる。

 それじゃ、いつもの口上やりますか!


「聖なる光を纏いし純白!セイバーライトニング!」

「妙なる闇を纏いし漆黒!セイバーダークネス!」

『平和と正義の名の下に、セイバーナイツ、参上!!』

「現れたな、セイバーナイツ。待っていたぞ!」


 心底楽しげな声を出し、その刺客は油断無くヤリを構える。

 …今更だけど、あの顔で、どうやって声を出してるんだ?魚に声帯ってあったっけ?


「私は『子爵(ヴィスカウント)』サンディエ様に作られし第一号アサルト!メカジキの細胞から生み出された、ジキメだ!…あ、これ、カジキの唐揚げです。良かったら後で食べて。毒とかは入ってないから、安心してね」

「あ、ご丁寧にどうも」

暢気(のんき)に貰ってる場合か、この馬鹿!」


 いや、だって何か和やかな雰囲気だったし。勢いでタッパー貰っちゃったよ…

 案外と律儀な奴かもしれない、このジキメって刺客。名乗り上げてたし、唐揚げも貰っちゃったし。これで今日のお昼ご飯代が浮いたかな?

 とか思った瞬間、ジキメはびしりと僕達を指差すと…


「それでは、気を取り直して…行け!ピート!」

「キィィィィ!」


 卵みたいな顔して、本当にどこから声が出てるのか。

 暢気なことを思いつつも、僕と槍は腰に差していた剣で、相手を叩き伏せる。

 この程度の相手は、朝飯前だ。数が多くても、戦い方は単調なので、すぐにその攻撃が読めてしまう。僕も槍も、襲ってくる相手を軽く切り伏せる。

 だけど…僕の中に、奇妙な違和感がある。

 ……どうしてあの、ジキメと言う奴が、襲ってこないのか。

 不審に思い、ジキメの方を見た瞬間。槍と切り結んでいたピート達が、ざっと音を立てて後退し…ジキメの道を作った。

 一直線、ヤリで貫くにはうってつけの道を。


「戦闘に特化したこの俺…勝てると思うな!」


 ジキメは怒鳴るが、槍は今の状況を理解し切れていない!

 慌てて僕は二人の間に入り、繰り出された突きの威力を殺し、脇方向へいなす。

 今までの連中とは違う。早いし、強い。だが、必殺のつもりで繰り出した攻撃をいなされたのが意外だったらしい。相手はかっと目を見開くと、ピタリとその動きを止めた。

 呆然としている、今なら!


「相手がカジキなら…一本釣りだぁぁぁ!」

「普通は延縄漁法だ、馬鹿!」


 馬鹿馬鹿言うなぁぁぁぁっ!


「ダークネススラッシュ!」

「ライトニングアタック!」


 ほぼ同時に、槍がジキメの持っていたヤリを、僕がジキメ自身の吻を、それぞれ切り裂く。

 そのままの勢いで、僕達は剣に宝玉をはめ込み、必殺技を発動させた。

 おお、エネルギーのチャージ時間が、昨日よりも短くなっている!トゥランの奴、いつの間にメンテナンスを!?

 ありがたいねぇ、帰ったら肩揉んであげよう。

 暢気に思いながらも、僕は未だ動かないジキメに向かって、剣を縦に振り下ろし…


『トワイライト・クロス!』


 光と闇で形成された十字架が、人を殺すために作り出された存在に刻み付けられる。

 その時になってようやく、ジキメは動き出した。

 心底すまなそうに、その右手を天に掲げ…


「サンディエ様…申し、訳……」


 最期に、何かを言い残そうとして…だけど、そのカジキマグロの怪人は、黄色い塵となってこの世から消えた。

 ……間違いない。敵は、強くなってる……

 だけど、負ける訳には行かない。

 この世界を、守るためにも…僕達は、プラチナスを倒す。

 …絶対に……

次回、SAVER KNIGHTS ―SIDE Knights―


「間違いありません、敵は明らかに、お二方に対する戦闘に特化するように作られています」


「今度は鴉か。空中戦は厄介だな」


「お前達は…遊びで人殺しをしてるのかぁぁぁっ!」


次回、Save-3:血塗れの鴉

 *

……って、次回予告!?

何ですかこれ、ノリでやっちゃいましたが…

いや、確かに次回はそんな感じで流すつもりですけど。

 *

ここで皆様にご質問。次回以降、こう言った「予告」があった方が良いでしょうか?

メッセージにてご回答頂けましたら幸いです。

(これ、感想じゃないですから…)

それでは、次回また。

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