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Save-1:セイバーナイツ、参上!

当作品は、公私共に仲良くさせて頂いている作家、辰巳結愛様とのコラボ作品です。 *

私、秋月はヒーローパートを担当させていただいております。

それでは、ヒーローもの大好きっ子の僕が書きます当作品。お付き合いいただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。

 絹を裂くような女性の悲鳴が、人気の無い夜道にこだまする。

 ほんの少し前までなら、痴漢とか通り魔とか、そう言ういわゆる犯罪者って奴だと思ったかもしれない。

 だが、今は違う。

 悲鳴の元に駆けつけてみれば、案の定、仕事帰りと思しき女性が、怪物に襲われている所だった。


「やめろぉぉぉっ!」


 咄嗟に僕はその怪物を蹴り飛ばし、女性からそいつを引き離すと、すぐに女性の方を振り返って彼女の安否を確認する。


「大丈夫ですか?」

「は…はい」


 怯えたような表情で、僕の問いかけに頷く女性。まだちょっと襲われたショックから抜け出せていないみたいだけど…見たところ怪我は無いようだ。


「早く行け。ここは俺達が何とかする」


 僕の隣に立つ相棒が、怪物から目を逸らすこと無く女性に言う。

 余程怖いんだろう、女性はこくこくと頷くと、一目散に怪物とは反対の方向へと逃げていった。

 …さて。


「貴様等…よくも邪魔を……っ!」


 僕に蹴られた怪物が、ゆっくりと立ち上がりながら怒った声でそう言った。

 フォルムは、人間に近い。ただ、蛇の顔をしており、全身が淡い緑に光る鱗に覆われている人間がいるのなら、見てみたいものだが。


「プラチナスの怪人、だね」

「…知っていてこの俺を蹴り飛ばすとは…良い度胸だ」

「貴様等に誉められても嬉しくもなんとも無いな」


 言いながら、僕達は右腕を横に、左腕を縦に交差して十字架のような形を作り、同時に宣言する。


『ナイトチェンジ!』


 左手で、右手首につけていたブレスレットのスイッチを入れ、その一瞬後に右腕を振るう。

 スイッチを入れた事により、僕達の音声を認識して変身プログラムが作動、ブレスレット内で微粒子状に収納されていたアーマーが僕達の体に照射、定着する。

 右手を振るったのは、見た目の格好良さを演出すると同時に、より早く体にアーマーを定着させるため。

 僕のアーマーの基本色は白。灰色のボディスーツに、脚部、胸部、頭部には純白のガード。イメージとしては西洋の騎士の甲冑を、もっと動きやすくしたような物。それに、やっぱり純白のマントがたなびいている。

 相棒は、僕のアーマーと同じデザインの色違い。純白の僕のアーマーに対して、彼のアーマーは漆黒。


「聖なる光を纏いし純白!セイバーライトニング!」

「妙なる闇を纏いし漆黒!セイバーダークネス!」

『平和と正義の名の下に、セイバーナイツ、参上!!』


 ポーズを決め、怪物の方に目をやると、実に忌々しそうな表情で僕達を見ていた。


「そうか…貴様等がセイバーナイツ…我々の計画を邪魔する、この世界の戦士か!」



 今からほんの二週間ほど前。

 突如として要塞が東京上空に出現した。おまけに彼等は、自らを「プラチナス」と名乗り、この世界を自分達の物にすると言い出した。そのために、この世界の人間を殲滅すると。

 その日から、要塞から現れる怪物達が人々を襲うようになった。

 当初は自衛隊や各国の軍隊がその空中要塞を落とすべく攻撃をしかけた。だが、要塞は今の科学力では解析不能のバリアが張られているらしく、どんな攻撃にもビクともしなかった。

 それは、怪物達にも同じことだった。普通の攻撃は通じない。

 人類は何も出来ないまま、たった一週間で、世界の人口の十分の一が殺されてしまった。

 誰もが絶望しかけたその時。世界を…人々を守る手段を、力を、僕と相棒は手に入れた。



「貴様等の命…ここで散らすが良いっ!」


 言うが早いか、怪物…とりあえずヘビ男と命名…は、僕に向かって駆け寄り、その口から何かの液体を数発、弾丸のようにして吐きつける。

 見た目の汚さと嫌な予感の両方から、その攻撃をかわし、その攻撃の正体を見極める。

 液体の付着した所は、何やらブスブスと白い煙を上げゆっくりと溶けていっている。


「溶解液!?」

「その通り。俺の吐く液体は、強力な溶解液であると同時に強力な毒液でもある」

「喰らえば俺達のアーマーも溶けそうだな」


 相棒…漆黒の騎士、セイバーダークネスが呟く。だけど、その声にあまり緊張感は無い。

 それに気付いたのか、ヘビ男は更に顔を不快そうにしかめる。


「余裕だな、貴様等。ここで死ぬと言うのに」

「フ…要は喰らわなければ良いだけの話だ。特に問題は無い。…そうだな?」

「まあね。って訳だから、悪いけどいきなり必殺技いかせてもらうよ!」


 そう言って、僕と相棒は腰に差していた剣を引き抜き柄の部分にある穴に、エネルギーをチャージした宝玉を嵌め込む。

 すると僕の剣は金色の、相棒の剣は闇色の輝きを放ち始め…その輝きの「糸」が、相手の動きを封じていく。


「な…身動きが…取れんだと!?」


 もがくヘビ男。何とか「糸」を溶かそうと毒液を吐くが、実体の無いエネルギーであるそれが、溶けるはずも無い。

 その間にも僕達は一気に距離を詰め…


『トワイライト・クロス!』


 僕の持つ「光の剣」で縦一閃、相棒の持つ「闇の剣」で横一閃し、ヘビ男の体を十字に斬る。


「お…おおおおおおおおおおおっ!」


 体の自由を取り戻した時には既に遅く。

 ヘビ男は、断末魔の悲鳴を上げ、緑色の粉となって消滅した。


「…(そう)、お疲れ様」


 変身を解除し、やはり変身解除している相棒の肩を叩く。

 彼の名は東風(こち) 槍影(そうえい)。外見は、漆黒の髪に漆黒の瞳。顔立ちは羨ましい程のハンサム。僕と同じ二十四歳のはずなのに、冷静な分もう少し大人に見える。目つきが鋭いせいか、第一印象は怖い感じの男だけど、実際は結構お人よしだし涙もろい。

 一方の僕は南風(はえ) 光矢(こうや)。八分の一だけあるイギリス人の血のお陰か、日本人らしい顔立ちなのに金髪碧眼。お陰で学生時代は何度も先生に髪を染め直せと言われたことか。

 高校時代からの付き合いで、互いに「槍」、「光」と呼び合う仲だし、一時期は家族ぐるみで付き合いがあった。


(こう)、どうでも良いが…敵の前で変身するのはやめておけ、と言った筈だな?」

「いやぁ…つい」

「正体がばれたら、周囲の人間が巻き込まれるかもしれないんだぞ?」


 怒る、と言うよりも呆れたように言う槍。

 槍の言うことはわかるつもりだ。敵に僕達がセイバーナイツであるとばれたら、彼の言う通り僕達の回りにいる人達が狙われるだろう。

 何しろ相手は侵略者。どんな卑怯な手を使ってくるか分からない。


「ま…とにかくさ。今日は結果オーライって事で良いじゃないか」


 にっこり笑って言った僕に、槍はこめかみを押さえながら小さくため息をついて…


「まあいい。帰るぞ、光」

「了解」


 そう言って、僕達はその場を後にした。

 …この時の僕は、これから戦いが激化していくことなど、全く予想もしていなかった……

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