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97 パーティー決めの集会です

「おはよう、紫月さん……だけじゃないな、姉妹揃ってか」

「はい。そうです。ね、美華」

「風華も挨拶しなよ。……おはよーございます、風瀬(かざせ)先輩」


実技場に入ったところで先に準備を始めていたらしい風瀬真が挨拶をする。今日はダンジョン攻略のパーティー決めの集会? だ。

だけど、朝一番だし、特に生徒会は準備もあって早く起きているから眠い……。


「紫月さん……副会長の方が情報をかなりばら撒いていてくれたらしいね」

「あ、はぃ……」


そうなのです。

私、夜のかなり遅くまで情報系魔法を使って今日この時間のことをばら撒いていたんだよ。あっちこっちにばら撒いてばら撒いて、ただの噂と切り捨てられないようにして、それを全校生徒が知れるようにして……。おかげで寝不足です。

やっぱり私には1日に10時間は睡眠が必要です……。


「おかげで大まかは決まりかけているところが多いようだ」


へぇ。

それはスムーズになりそうでよかったです。

私達は音声拡張機のセットやら記録するところのセッティングとか、なぜか掃除とかなんやらに追われ……そして時間が経つにつれ、次々と人が集まってきた。……うん、ちゃんと朝活の時間に始められそうだよね。

ちゃんと周知しておいてよかった。

私は会場の警備だから本格的に始まるまでは比較的暇だ。だけど、うるさいと指示が通りにくいだろうし、2度同じことを言うのはめんどくさいから実技場内を範囲として魔法をかけて一般生徒の声のボリュームをだいぶ抑えている。


「それでは、これから集会を始めます。今日の概要は冬休み前に行われるダンジョン攻略のパーティー決めです。決まったパーティーから実技場前方に行き、生徒会役員に名前を言っていってください」


その後、細かなパーティー決めの注意点が述べられる。

人数とか、属性とか適性のこととか。後、できるだけ1パーティーに上級生がいるようにとか。

そして、いよいよ自由に動く時間、となった。タイミングを見て魔法を解除すれば、一気に賑やかになる。


「陽華ちゃん、稜華ちゃん、さっそく行こ!」


そうしましょう。早いうちに行かないと混むよね。

近くにいた陽華と夢華と共に姉組を探す。


「飛華〜!こっちだよ〜!」


飛華は簡単に見つけられた。背が高めだし、姿勢もいいから見つけやすい。

というか、陽華と夢華と合流できれば一安心だよね。方向音痴な2人を探すの、結構大変だから……。


「あ、風華、みんないたよ!」

「私にもそれくらい見えるし! ナメないでよね、美華!」


双子も走ってきて、全員合流。全員揃ったことだし、早速記録係のところに行きましょう!

まだみんな、合流できてないらしく今はスカスカだが、少し経てばすぐに行列になるだろう。


「三年花組、紫月飛華と……」

「二年雪組、紫月風華、」

「同じく、紫月美華」

「一年桜組、紫月陽華と〜」

「同じく紫月稜華」

「それと、紫月夢華です」


記録のブリティオ・バスキもうんざりだろうね。同じ名字を連続で6回書くとか。

というか、6人で全員分の名前を書くとか、手が痛くなりそう……会場警備で良かったわ〜。


「それにしても会長達、勝負に出ましたね。姉妹でかなり均等な能力、学園のトップ6ときた」


あはは。そうだよね。そうなりますよね。


「今年は本気で行きたいから……」

「つまり、今までは全力ではなかったんですね。……恐ろしいことです」


冗談めかしていうブリティオ・バスキに飛華が苦笑いを返す。


「……はい、記録終了です。先輩と紫月さん達も役割、頑張ってください」

「うん。記録、頑張ってね」

「はい! 任せてください」


やっぱ、飛華って気が利くよね。すごいと思います。私はそこまで気が回る気がしないです……。


「じゃあ、みんなも頑張ってね」


私達は散り散りになり、それぞれの役割に就く。

飛華と風華、夢華、私は会場警備で美華と陽華は記録だ。……一瞬だけ抜けてたんだね、あの2人。

私は一応、フォロー要員兼会場警備だけど……自分から声をかけるのには慣れていない。引きこもり・オブ……オブ……。

……いや、引きこもりだから!

うん、難しいことは考えない。


それにしても、見た感じ、平和そうだよね。それが1番良いのに……誰か何かしら騒動を起こすんだよね。

魔法で会場全体の状態を把握するとして……。

……って、早速トラブルが起きたっぽいね。

はぁ。めんどくさい。サクサク転移して解決しましょう。


「転移」


転移先には下級生と見られる生徒を取り込む上級生。

……うわぁ、物騒だよ……。いやだなぁ……関わりたくないけど……関わらないきゃいけないのが生徒会役員なんですよねぇ。

えっと、凛とした表情を作って……。


「どうか、されました?」


声は優しく。できるだけ怯えとかないように見せて、自信満々を演じる。それを意識して声をかける。大事なのは、第一印象だ。第一印象で弱そうに感じられたら、ナメられる。だけど、強そうと感じたらそれほどちょっかいは出してこないのだ。

間違っても、表情と声がチグハグにならないようにすること。1番怖いのって声は優しそうなのに無表情とか、チグハグの時なんだよね。


「何もありませんわ」


元貴族(推測)と見られる女生徒はニコニコとした仮面を貼り付けたような笑顔だ。笑顔のまま、迫ってくる。

……怖い。


「……っ少し、争いの芽を感じましたので」


嘘ですごめんなさい、思いっきり言い争っている場面を聞いていました!……遠くから、魔法を介してだけど。


「お忙しい副生徒会長様の手を借りるほどではありませんわ」


曰く、邪魔だからさっさとどこかへ行け。

そういうことだろう。きっと。


「……側から見て、現在の状況は異常です」

「だから、どうしたのです?」


下級生と見られる生徒を、上級生多数が囲む。下級生には恐怖でしかないだろう。

それを、うまく言葉にできないのが、もどかしい。


「……その子から、離れてください」

「あ〜、その……」


あれ?どうしたんだろ?


「ワタシはこの少女達より年上だ……」


ふぇ?


「ワタシは5年でコイツらは2年。……いくらワタシの背が小さいとはいえ、3つも下の子供に絡まれるとは想定外だった……」


はっきりとした断定口調で呆れるのは……年上、なの!?


「そ、それは、失礼しました……」


うぅ、恥ずかしい……。


「いや、問題なかった。ナイスだ、少女……いちにさんしご、ろく……7!」


ちょ、なんというテキトーな方法で命名を……。私、少女7という認識なの!?


「ワタシ1人では到底、穏便に追い払えなかっただろうからな。助かった」


フォローされている感じがありまくり……。

いつの間にか、この人を囲んでいたお嬢様方もいなくなっている。


「ワタシは5年柳組、キロマンテ・レノアだ。よろしく頼む」

「えっと、1年花組……」

「紫月稜華、だろう」

「あ、はい」


そっか。相手はわかるのか。


「少女7改め紫月稜華。後日、礼をしに行く。今日は本当に助かった」


彼女はそういうと、人混みに紛れてしまった。……なんか、すごく堂々とした人だったなぁ。

生徒会役員を除き、報告が終わり次第解散なので徐々に実技場内の人は減ってくる。

そして朝活の時間が終わる頃には片付けを始めていた。……授業で使うからねぇ、実技場。ちょうど朝活が終わるぐらいの時間で片付け終わり、生徒会も解散。


「あの、渡したいものがあるから……夜、みんな部屋に来てくれないかな……?」


解散の後、そう言ったらみんなOKしてくれてよかった。

そうです!情報共有の魔法具を渡すのです!

パーティーも正式に決まったしね。

使い慣れていたほうがいいだろうし、早め早めに悪いことはそんなにないし。

次回、魔法具使い方講座。

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