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93 その名を、ダンジョン攻略っ!

「さて、皆さんお楽しみ、冬休み前、最後のビックイベント!!」


集った生徒会役員らの顔は、緊張に満ちている。

薄暗い空に、光が走った。




「その名を、ダンジョン(地下迷宮)攻略っ!!」




**




ゴロゴロ、ピッカーン!


「きゃあ〜!」


……ほんと、何やっているんですか。


「はい、電気つけるよー」


麗羅先輩、ナイスですぅ。


「全く、飛華ったら天気の悪い日におかしな演出をするからこうなるのよ」


そうです。麗羅先輩に同意、です!

というか、雷降っているし……。飛華、雷も怖いくせに変なことをするからだよ。


「じゃあ、改めて。説明をお願いします」

「はい。ダンジョン攻略は学園の実技塔、一階の最奥のダンジョン入口から入り、攻略します」


学園にそんなものがあるんですか。


「現段階で20階層まで確認されていると言われており、ここ10年ほどで生徒が到達したのは15階層までです」


絶対もっとあるでしょ。

この私が言います。絶対もっとある!!

だって、ダンジョンって多いところだと100階層とかだよ? 少なくても30階層はあるわけで。


「ダンジョン攻略以降は申請し、承諾されればいつでも入ることができるようになります」


それいーな。

高級素材、とりまくりじゃん。


「ただし、一年で一生徒が採集できる素材の量は決まっています」


何それー。

じゃあ、ダンジョン攻略の時に上限まで獲ってこれ以降入らないようにしよ。ダンジョン攻略って結構面倒だし。準備費用も高いんだよね。

だから相当メリットがないと何度も同じダンジョンには潜らないっていう……。


「できるだけ実力が近い人でパーティーを組むため、そして他学年との交流のため、パーティーを組むための交流会を開きます!」

「飛華、長い」


麗羅先輩、ツッコミが細かいです。


「あの……パーティーって……」


小さく手を挙げ、恐る恐る質問する津城さん。


「パーティーはダンジョン攻略の時に一緒に攻略する? 仲間みたいなものよ。実力差がありすぎると色々と問題になったことがあるから、相当なことでない限りは実力が近い人同士で組むわね」


なるほど〜。


「津城ちゃん、親切にありがと。……で、飛華」

「ひゃいっ!」


飛華はビクッとし、ギギギ……と麗羅先輩の方を見る。

……これが、友達に見せる気やすさ、ってやつかなぁ。姉でもない、飛華の姿、なのかな……。


「そのままだと通らないので、もうちょっと取り繕ってください」

「……じゃあ、ダンジョン攻略について説明する集会で」

「それならセーフ」


大丈夫なんですか!?


「日時は明日の朝活の時間!」


急すぎですっ!

朝活は、1時間目の前にある、ウォームアップの時間だ。

人によって魔法をぶっ放したり、勉強したり、読書したり、話したりと、かなり自由な時間。集会なんかにも使われたりする。時間で言うと、30分ほど。

え?30分?

30分で決められるの?


「無駄なことは全部省いて……」

「それはすごく嬉しいけど……ね、美華」

「ね、風華。色々と問題になる気がする……」


確かに。無駄な話がないのは嬉しいけど、ね……。


「最低限のテンプレはやりましょう」


確かに。何事にも建前っていうのは必要です。


「では、流れについての提案です」


議長である麗羅先輩とブリティオ・バスキが仕切る。うん、多分ほぼ初めて役職というものを意識したと思うよ。


「パーティー決めに多くの時間を割くため、初めの言葉、終わりの言葉、生徒会長の話などはカットします」

「賛成です」


そりゃあ、言わずもな。


「それでは、役職について案がある人は提案を」

「司会する人〜」

「記録が多数」


誰も手を挙げずに、お気楽に意見を言っていく。

もうかなり慣れが出てきたようで、すっごい緊張して固まっている人はいない。飛華の方針により明確な上下関係はあまり意識されていないのだ。最低限、節度と常識が守れば、それで良いっていう……。


「……はい、それで大丈夫そうですね。流れなどについては司会から言ってもらうとして……。記録は何人必要ですか?」

「……6人、くらいだと思います」

「では、司会1名、記録が6名。残りの人員はどうしますか?」


5人、役職なしになっちゃうからか。別に私は担当がなく……いや、あった方がいいな。サボっている感じになる。流石に1年生でサボるとかはあり得ないよね。


「会場の見回り、フォローに回すのは?」

「では、残りの5名は会場警備に」


わー、すごいハイスピード。


「ここまでのことに賛成の方は拍手を」


パチパチパチ〜。


「賛成多数のため、決定します。続いて、担当決めに……」


はい。

そんな感じでとんとん拍子に決まっていき。

私は会場警備になった。火力が必要らしい。


「じゃあ、先生たちの許可、取ってきます。……まぁ、ここまで決まっちゃったし、了承されるだろうけど。……確定したら連絡をするので、連絡があり次第、いい感じに話をばら撒いて、当日に混乱、ということがないように根回ししてください」


ちょっと脅しそうな雰囲気なんですけど……飛華に限ってそんなことはない、はず。

それにしても、さすひか、だね。ちゃんと考えています。


「それでは、解散!」

「は〜い」


その一言でゾロゾロと生徒会室から出てくる。


「あ、5人は夜、私たちの部屋に集まってくれる?」


え?


「……話したいことが、あるの」


飛華、すっごくとてつもない深刻な顔です……。

だけど、そういうとすぐにどこか、多分職員室へ行ってしまった。


「……美華、どう言うことだと思う?」

「風華、私に聞かれても困るよ」

「「だよね〜」」


仲良く双子トーク。癒され……るかな?


「とにかく、深刻そうだよね〜」

「飛華ちゃん、どうしたんだろうね……」


ほんと、どうしたんでしょう??


「……今のうちに推測しておく?」

「「「「そうしよ」」」」


転移魔法で飛華と私の部屋に行き、各々自由に座る。


「お邪魔しま〜す」

「とにかくどんどんな話そ〜」


そうですね。そうしましょう。


「飛華ちゃんが深刻そうな顔をしていた理由って何かな?」

「友人関係」

「成績関係」

「姉妹関係〜」


……あの〜。


「それって、あのタイミングで言われること?」

「違うね、美華」

「そうだよ、風華」

「違うね〜」


だよね〜。


「ダンジョン攻略の話が出るまではそんなに深刻そうじゃなくなかった?」

「だけど、飛華って取り繕うのが上手いよね〜」


確かに。


「じゃあ、ダンジョン攻略のこと?」

「さあ? だけど、結局のところは、ねぇ、美華」

「うん、風華。飛華しかわからないよね」


いつの間にか開封されていたお菓子を囲みながら話す。

……飛華の悩みって、なんだろ?

飛華は基本的に弱音を吐かない。愚痴っぽいのはあるけど、本当に深刻なことは一人でどうにかしようとするのだ。実際、それだけの力があるし。

だけど、私達の姉で、生徒会長っていう役職が、役目が、飛華を頑なにさせているのかもしれない。


「やっぱり、直接飛華ちゃんに聞いてみるのがいいんじゃ……」


夢華が提案したところで、飛華がタイミング良く帰ってきた。


「あれ……? まだ、夜じゃないよね。なんでみんな……」

「只今、会議中」

「それなら私……」


いや、議題の中心は飛華だからね!?

飛華が深刻そうな顔をしているから。


「飛華も関係あることだよ〜」

「そうなの?」


……あれ?

そんなに今は深刻そうじゃない?


「それで飛華、話って……」

「あ、そのこと? なんだ。みんなすっごい深刻そうな顔していたから……」


いや、だって飛華が深刻そうな顔していたんだもん。というか、飛華の方が深刻そうな顔をしていました。

そりゃあ、不安になりますよ。


「……その、ダンジョン攻略のことなんだけど」


え?

ダンジョン攻略!?

マジでしたか。











「今年のダンジョン攻略のパーティー、姉妹で組まない?」

ダンジョン攻略編、開幕!

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