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90 猫カフェ、なのですが……

今年もよろしくお願いします!

何とか時間内に報告書を書き終えたから、残業は免れた。やったね。そうこうしている間に、次の当番の人が到着。引き継ぎを終え、私は仕事から解放されました〜!

これでもう、青龍希翠と居なくていいよ。それに次の当番の時は飛華と一緒だし。楽しみです。


「じゃ、失礼しまぁ〜す!」


もしかしなくても、一個前の当番の人たちもこんな気分だったんでしょうか。

早いとこ、姉妹を探しておきたい……。私、姉妹以外に仲がいい人なんてほぼゼロに等しいし。


「あ、稜華ちゃん、発見!」


え?早。


「稜華〜! 待ってたよ〜」


あ、ありがとうございます。わざわざ。


「私達は一応、会場全体を回っているので、何があるかは把握しているんです。稜華さん、どこか行きたいところってありますか?」

「特にはないけど」


そうです。そうなんです。前にも言った気がしなくはないけど、別に行きたいところはないんです。


「じゃあ、カフェとかにでも行ってみる? 陽華ちゃんもつむぎちゃんも歩き疲れたでしょ?」

「まぁ、確かにそれはそうだけど〜」

「稜華さん、仕事が終わったばかりですよ?」

「私のことは気にしないでいいよ」


むしろ、空気と思ってくれても構わないです。……いや、ずっと無視されるのは悲しいけど、まぁそれくらいの認識で。気を使われるというのも慣れていないので。


「ちなみに、カフェってどういうのがあるの?」

「えっと、普通のカフェっぽいのから……その他色々ですね」

「その色々って何!?」


津城さん、そんな達観したような目をしないでください? 貴女はまだ若いですよ!


「……稜華〜。つむぎちゃんの心情を察してあげて〜」


まさか、陽華に言われる日が来るとは。それにしても何を察しろと?


「色々の中には猫カフェとか、メイドカフェとか、そういう色々なものがあるんだよ〜」


大丈夫なの!?

各クラスの出店は生徒会長が通過審査を行うんだと思うんだけど。本当に飛華、オッケーしちゃったんですか!?


「……普通のカフェにする?」


そのほうが精神的ダメージも少なそうだし。


「いや、猫カフェに行きましょう!」

「つむぎちゃん〜!?」

「きっと……可愛い小動物に囲まれれば、癒されすはず……!」


あ、津城さんも疲れていらっしゃるのね。それにしてはちょっと頬が赤いような……。


「……もしかして津城さん、小動物が好きなの?」

「む、むむ、夢華さん!? ナニヲ オッシャッテ イルノデスカ? ワタシハ ベツニ、ショウドウウツガ トクベツ スキナワケデモ……」

「好きなんだね〜」


明らかに動揺している。だって、口調が明らかに丁寧すぎているし、挙動不審だし。

目がすご〜く泳いでいる。


「じゃ、猫カフェ行って癒されよ〜」


そうしましょ〜。


「ちょ、陽華さん、夢華さん、待ってください……ッ!」


え?

何か問題でも?


「私に合わせていただくのは、申し訳ないです……」

「申し訳ないとか、いいんだよ」

「むしろいつも、私たちに合わせてもらっているし〜」


そうだねぇ。津城さん、いつも少し、遠慮しているから。


「……私、猫カフェ行ってみたいんだけど」

「え?」


津城さんの目が丸く見開かれた。


「行ってみる?」

「そんな……良いんですか?」


この子、極度な遠慮をしてるなぁ……。

もうちょっと積極的になっても良い気がするんですけど。


「津城さんと私が行きたい。これで過半数じゃん。陽華と夢華も反対はしていないし」


さっさと素直に行きたいっていえばいいのに。


「あ、ありがとうございます……」


頬を染め、恥ずかし気に俯く。


「「「かわい……」」」


ヤバ。心の声が。


「陽華、これは世の中から守らないと」

「そうだよ。稜華ちゃんに賛成」

「私も〜」


恐ろしい共通認識……。いや、これでいいのか。

津城さん、元々可愛いのにそんな可愛い仕草したら誰でも惚れてしまうで?


「じゃ、猫カフェにいこー!」


猫カフェを出店していたのはベッロ・コスタ校のクラスだ。生徒に世界中から集めた、たくさんの種類の猫たちを趣味で飼っている人いて、協力してくれたらしい。……スケールでかっ。世界規模ですか。


「ふわぁ〜!」


津城さんは目を輝かせ、猫たちの元へ行く。それに続くようにして陽華と夢華も。3人には猫が寄ってきました。特に津城さんは津城さんが見えないくらいの猫が集まっている。


「シャア〜!!」


え、なんで?

なんで私だけ威嚇されるの〜!?


「あれ? 稜華さん、どうしたんですか?」


全身に猫がへばりついていた津城さんも何故か私のそばに来ると猫たちは煙を撒いたように逃げていく。


「あ、なるほど。嫌われちゃっているん感じなんですね」


ポン、と手を打つ……打たないで!?


「なんで……私だけ……」


体質的に好かれないとかだったら、陽華と夢華も嫌われているはずなのに……!


「猫に嫌われる理由ですか……」


う〜んと唸った後、何かを思い出したように私の方を見た。


「一種の昔話ですけど……こんな話があるんですよ」

「それって何!?」

「話っていうか、歌、なんです」

「聞かせてくださいお願いします」

「……あまり期待しないでくださいね?」


期待しているよ?




**




──昔、昔。太古の話とな。


空っぽの大地に精霊様が降りてきた。精霊様は大地を潤させ、動植物が生きられるようにした。


──幸福の象徴、精霊様に感謝を。


そして現れた、人間族、魔術師、魔族、妖精族。彼らは混沌とし時代を不思議なバランスで生きていた。


──魔術師が独立国家を作ったとな。


人間族も真似をし、集団を作り、力を手に入れた。

……それに打撃を受けたのは、魔族。それから、妖精族。

彼らは徐々にその姿を消し、溶け込み……消滅した。


──魔族の猫は元凶となった魔術師に、人間に、大層怒ったそうな。


魔術師と、人間は魔族に嫌われた。


──猫は魔術師を、人間を嫌うようになった。


なぜって、種族の滅亡を導いたから。

そして猫に呪いなるものをかけた。


──魔術師は、人間は敵……。




**




「……と、まぁ、こんな感じです」


へぇ〜。とっても興味深いです。


「だけど今ではもう、その呪いも薄くなっているのか、普通に私達に懐いてくれるんですけどね」


え?

もしかして猫、私の存在を本能的に拒絶しているわけ……?

何それ。傷つくんですけど……。


「大丈夫ですよ。ただ、騎士とかに多いんですけど、たくさんの返り血を浴びたことがあると嫌われやすいそうで……」


私、そんなに血生臭いの……?

そんなに魔物をたくさん狩ったことが……あるわ。私。

放浪していた時にダンジョン潜って八つ当たりとばかりに狩まくって高級素材手に入れたなぁ、そういえば。


「ま、まぁ、一説によると、なので。普通に動物に嫌われちゃう人もいるので!」


フォローがフォローになってないぃ……。


「つむぎちゃん、詳しい〜」

「陽華さん!?」


いつの間にか津城さんの背後には陽華がいて。


「そうだよね。猫たちにも好かれすぎているし……」


好かれすぎていて他のお客さんのところには一匹も猫がいないっていう……。ただ、津城さんが私の近くに来たら逃げちゃうけど。


「それにしても稜華ちゃん、嫌われすぎているね」

「夢華、助けて」

「そう言われても、どうにもできないよ」


正論……正論だけど、納得いかない……。


「稜華、色んなところでダンジョン潜ったり、魔物を狩ったり、素材取ったりしているから〜。あと、怪しげな森とか普通に入るし〜。ある意味、嫌われちゃってもしょうがないっていうか〜」

「陽華、ひどい……妹に、そんなことを言うんだね……」


悲しい。ああ悲しい。なんて悲しんでしょう。


「え!? そう言う意図があったわけじゃなくて〜」

「稜華ちゃん、いい加減にした方がいいよ。現実を見て」


冷た〜い目で夢華が私を見下ろす。……怖っ。威圧感半端無いです。


「津城さん、姉妹が辛辣なんだけど」

「え? えっと……」

「稜華、姉妹喧嘩につむぎちゃんを巻き込まない〜」


ちぇ。

なぜ私がこんなに責められないといけないのですか〜。

猫って見ていると癒されますよね。ただ、そんな猫に嫌われている稜華です。

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